マーケティングにおいて、予算をしっかり割り振った上で実行していくことは非常に重要です。
一方で、綿密に予算を組んだつもりでも、四半期末や年度末になると予定外の支出が多かったということはよくあります。
そこで今回HubSpotでは日本語版のマーケティング予算管理用無料テンプレート全8種を用意しました!テンプレートでは、必要となる項目すべてに対する推定コストを記入し、その予算と実際の費用を比較することができます。
【無料】マーケティング予算を効率的に管理できる8種のテンプレート
このテンプレートを使うと、あなたの月間予算、四半期予算を細かく管理し、瞬時にグラフであなたの予算を可視化することができます。簡単で手軽に、かつ効率的に予算を管理できるようになります。ぜひ試してみてください。
8種類のテンプレートには、ウェブサイト再設計予算管理テンプレートの他に、コンテンツ予算、広告予算、イベント予算等々を管理するためのテンプレートが、エクセル形式で含まれています。
予算を管理する際のポイントについてもご紹介するので、ぜひご覧ください。
マーケティング予算管理のための無料Excelテンプレート8つ
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- 8種のマーケティング活動用の予算テンプレート
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全てのフィールドが必須です。
予算をマーケティング目標と整合する
予算をどこにどれだけかけるか、特に検索連動型広告やディスプレイ広告、SNS広告などの各有料広告にいくら使うかは、マーケティング目標と整合していることが重要です。どんな目標を達成したいのかにあわせて、必要なチャネルに予算を当てることになるでしょう。
一方、アプローチしたい層によって、有料広告に必要な費用は変わってきます。そのため、予算を組む段階で費用の差を認識しておくことが重要です。
HubSpotのデマンドジェネレーションマーケターであるJessica Webbは、リードジェネレーション(見込み客の醸成)にフォーカスしている場合とリードコンバージョン(見込み客から顧客へ)にフォーカスしている場合ではコストが変わってくると言います。
Webb:「有料の取り組みに使う費用の大部分は、通常クリック数またはインプレッション数で計算されます。そのため、リーチするオーディエンス数が多いキャンペーンほど、より多くのクリック数が期待されます。
見込み客を醸成する目的のリードジェネレーションでは、まだ自社やブランドに興味を持っていない段階の層にも広くアプローチするため、顧客へのコンバージョンを狙う段階と比べて獲得できるクリック数は多くなるはずです。そのため、オーディエンス数の多いキャンペーンにより多くの予算を割り当てるのが賢明と言えるでしょう」
Webbは有料広告の費用感の例として、以下のように話しています。
Webb:「Twitterの広告を例にとってみましょう。この場合、ユーザーの関心や検索キーワードに基づいてキャンペーンのターゲットを選択するわけですが、『特定のキーワードを検索したユーザー数』に比べると、『あることに関心のあるユーザー数』と言うのはかなり大規模になります。そのためより多くの予算が必要となるのです」
有料広告の取り組みを効果的に管理するには、有料広告予算テンプレートをご利用ください(マーケティング予算管理用無料テンプレート全8種に含まれています)。
隠れた費用に注意する
Excelを用いて予算管理を行う際には、四半期末や年度末になって「一体何にこんなに使ったのだろう!?」と慌てることがないよう、隠れた費用に注意する必要があります。
例えばプロダクトマーケティングにおいて、プロモーションばかりに気を取られ、その前段階に隠れている費用を見落としてしまった、というようなケースが考えられます。
HubSpotのマーケティング部門VPであるMeghan Keaney Andersonは、以下のように述べています。
Anderson:「プロダクトマーケティングを成功させるには、最終的にプロダクトで解決しようとしているペインポイント(課題)について、顧客/見込み客と話をすることが重要です。プロダクトの設計段階でリサーチやアンケートなどでコミュニケーションを取ることで、適切にアプローチできるメッセージ戦略を立て、課題解決につながるプロダクトのリリース成功につながるでしょう。
その後に、リリース時に必要な費用やプロモーション費用を考えることになります。プロモーションも重要ですが、プロダクトマーケティングで予算を割り当てる際は、このように見逃されがちな費用に注意しましょう」
プロダクトマーケティングの取り組みを効果的に管理するにはプロダクトマーケティング予算テンプレートをご利用ください(マーケティング予算管理用無料テンプレート全8種に含まれています)。
優先順位付けをしっかりと行う
マーケティングを管理するにあたって、今やツールの活用は欠かせません。例えばPRについて考えても、無数にツールが存在し、PRのさまざまなフェーズに合わせて多くのツールを当てることができます。
一方で、そのどれもに予算を割り当てることはできないでしょう。すべての費用を整理し、マーケティングツールのどれに予算を割くのか優先順位をしっかり付ける必要があります。
優先順位付けにおいては、まず「絶対に必要な項目」を洗い出し、次に「あったら便利な項目」を洗い出します。「絶対に必要な項目」の予算を削ることは難しいですが、費用に対して得られた結果を比較することで、「あったら便利な項目」についてはROI(投資対効果)の低いものを炙り出せるでしょう。
また、そのマーケティングツールを使って誰にリーチしたいか、その人たちが自分たちのメッセージを好意的に受け取り共有したいと思ってくれるかを考えることも重要です。HubSpotのPR&ブランド部門ディレクターであるNathaniel Eberleは、そうした層にリーチできる可能性の高い方法に予算を割り当てるべきだと考えています。
また、Eberleは次のようにも述べています。
Eberle:「デジタル社会は恐ろしいほどの速度で進化しているため、使用しているツールやサービスは継続的に見直すのがいいでしょう。こうすることで費用のROIをリアルタイムで判断することができ、予算割り当ての優先順位付けも高い精度で行えます」
PRの項目を効果的に優先順位化するには、PR予算テンプレートをご利用ください(マーケティング予算管理無料テンプレート全8種に含まれています)。
「予実管理」についても押さえる
予算を管理する上での考え方として、「予実管理」についても押さえておきましょう。
予実管理とは、あらかじめ計画しておいた予算と結果である実績を比較し、予定通りに物事が進んだかどうかを管理するものです。予算の目標に対する進捗を管理者が判断するのに必要であり、実績をリアルタイムに更新し、振り返ることのできる仕組みが必要です。
予実管理は経営陣だけでなく、予算をもつ全ての部署で行う必要があります。
マーケティング部門においては、認知拡大・リード獲得・リードナーチャリングなど見込み客を顧客へ醸成するまでの間にさまざまな施策があり、それぞれに対して予算を割り振ります。成果を出すために必要な予算を仮説立てて運用し、実績に大きな差がなければ、安定した予実管理ができているといえるでしょう。
予実管理についてより詳しい内容については、以下の記事を参考にしてください。
予実管理の3つの目的
予実管理には主に以下3つの目的があります。
目標達成に向けた軌道修正
事業の目標を達成するために重要なのが適切に予算を組むことであり、それが上手くいっていないのであれば早急に軌道修正を行う必要があります。
予実管理でリアルタイムに実績を確認できる仕組みを作っておけば、ずれがあったときにすぐ軌道修正を行い、目標達成に近づけるようになります。
信頼を得るための根拠
軌道修正は社内における目的ですが、外部からの信頼を得るためにも予実管理は重要です。
例えば新規プロジェクトを立ち上げたいとき、必要な資金を融資で得ようとしたり、プロジェクトの将来性や持続性をクライアントに説明したりする場面があるでしょう。そのために有効となるのが、予実管理に裏付けされた数字です。
経営上のリスクヘッジ
予実管理では予算と実績の比較をリアルタイムで行うだけでなく、過去の実績との比較も行えます。
さまざまな角度から現状を分析することが可能になり、市況感の変化からリスクをいち早く察知できるようになります。
かける費用がすべてではない
本記事にてご紹介している予算テンプレートを開くと、細かい費用項目がずらりと並んでいますが、すべての項目に予算を割り当てられなくても、どうぞご心配なく。ここでは「常により多く使う」マーケティングアプローチを推奨しているわけではありません。むしろ「常によりスマートに使う」ことを推奨しています。
テンプレートに記載されている項目はすべて必須という訳ではなく、皆さんが考える際のガイドとなり、隠れた費用を見逃さないようにすることが目的です。
マーケティング費用を管理するのに必要な8つの予算テンプレート
「マーケティング予算管理用無料テンプレート全8種」を使えば、流動的な予算項目すべてを毎月あるいは四半期ごとに管理することが可能です。すべての予算を一箇所で管理するにはエクセル版をご利用ください。
ZIPファイルをダウンロードすると、各マーケティングチーム別の個別のファイルが用意されているのが分かると思います。さらに全体的な費用をハイレベルで把握するための「マーケティング予算マスターテンプレート」も含まれています。
Google スプレッドシート版では各チームの予算は同一シートの異なるタブに記載されています。どちらの版でも、予算は同じマーケティング項目、ヒント、グラフで最適化されています。それでは、以下で各テンプレートの使い方を説明していきましょう。
1. マーケティング予算マスターテンプレート
特定のマーケティング部門や取り組みに対して個別の予算テンプレートを設けるのはもちろん役に立つのですが、一段高い視点から全体像を見るというのも大切です。
マーケティング予算マスターテンプレートは、まさにその全体像を見るためのテンプレートです。他の7つのテンプレートから合計値を集計し、マーケティング全体の費用を確認できる場所です。
2. プロダクト(製品)マーケティング予算テンプレート
このテンプレートは、プロダクトローンチに向けた予算管理を、順を追って進められるように構成されています。
プロダクト・マーケット・フィット(PMF:プロダクトとターゲットのニーズが完全に一致する状態)を特定するところから、ユーザーテストセッションの実施、完成プロダクトのプロモーションまで、プロダクトマーケティング予算テンプレートを使えば、重要な費用を見逃すことがありません。
各項目は、自社の管理したい方向性にあわせて別の項目に変えることもできます。
例えば、「製品リリース」の部分にはローンチイベントや広報などの項目を入れています。ローンチイベントは特に実施する予定がなく広報に力を入れる場合、広報をさらに「メディアへのPR」と「インフルエンサーマーケティング」に分けるなど、自社の事情にあわせた項目に変更できます。
3. コンテンツ予算テンプレート
コンテンツを作成してプロモートするために必要な予算は、組織によって大きく異なります。例えば、コンテンツ業務のほとんどを社内でまかなっている組織もあれば、フリーランスや業務委託先に多くを任せている組織もあるでしょう。さまざまなソフトウェア製品やパブリッシングツール、サービスを使用しているところもあれば、もっとシンプルなアプローチをとっているところもあります。
HubSpotのコンテンツ予算テンプレートは、コンテンツに関する諸々をできる限り網羅するように作成されています。
テンプレートのデフォルトでは、コンテンツに必要なツール・サービスのうち代表的なものを例として記入しているため、自社が使用するツール・サービス名に変更しましょう。
また、他のタイプのツール、例えばCRMやSFAを導入する場合は、マーケティングオートメーションや分析ツールの代わりに入れるといいでしょう。
4. 有料広告予算テンプレート
有料広告はインバウンドマーケティングの手法/チャネルと言えるのかという疑問はありますが、インバウンドな方法で有料広告を実施することは可能です。
つまり、特定のバイヤーペルソナをターゲットとし、自然検索等のオーガニックな取り組みを補足するものとして、認知度やコンバージョン機会を促進するために有料広告を使用するのです。
有料広告キャンペーンの効果度を測るというのも、インバウンドな方法で広告を実施するために重要です。有料広告予算テンプレートを使用することで、月別(および四半期別)の広告費用を把握し、それらをリードジェネレーションの数字と照らし合わせて、リード毎のコストを算出することができます。
調査、ディスプレイ、アフィリエイトではCPCとCPMの項目を入れていますが、場合によっては両方は必要ないこともあるでしょう。
クリエイティブの制作費用が必要となる場合は、外注費やPhotoshopなどのデザインツール費用を入れ、どちらかと置き換えることができます。
5. 広報/PR予算テンプレート
PR予算というのは、プレスリリースにかかる料金だけではありません。企業の評判をモニタリングするレピュテーションモニタリングソフトウェアから、出張(例:イベントや展示会)、賞へのエントリーまで、見過ごしてしまいがちなPRコストは多数あります。
組織におけるPR関連の費用を余すところなく計上するために、HubSpotのPR予算テンプレートをご活用ください。
コンテンツについては、どのような媒体が必要になるかは企業やプロダクト、サービスによって変わってきます。例えば、他にはLPやインフルエンサー投稿などが挙げられるでしょう。
6. ブランディング&クリエイティブ予算テンプレート
高品質で革新的なグラフィック、動画、その他コンテンツを生み出すために、今日のブランディング&クリエイティブチームにはPhotoshop以外にも様々なものが必要です。そして、最も大きくかつ見過ごされやすい費用の一つがストレージ費用です。
組織が多数の動画を作成している場合、ストレージは特に重要になります。動画のストレージを考える場合、メガバイト(MB)やギガバイト(GB)の規模では足らず、テラバイト(TB)規模で考えなければなりません。
HubSpotの無料テンプレートを使えば、ストレージコスト(およびその他のブランディング&クリエイティブコスト)をトラッキングすることが可能です。
ここでもソフトウェアやハードウェアには代表的なツール・サービスを入れているため、実際に自社で使用するものに変更します。
カメラやマイクなどの機材はサブスクリプションでレンタルすることもできるため、その場合は1つの項目にまとめるのもいいかもしれません。
7. Webサイト再設計予算テンプレート
ウェブサイト再設計の予算見積もりは、非常に難しいところがあります。多くの項目が流動的で、低く見積もってしまったり、計算を誤ったりする可能性が高いためです。HubSpotでは、皆さんが再設計関連の費用を一箇所で便利に管理できるように、ウェブサイト再設計予算テンプレートを作成しました。
あなたのウェブサイトの現状を知りたい方はこちらのウェブサイトグレーダーをご利用ください。ほんの数秒であなたのウェブサイトを診断することができます。
大規模なデザイン変更を計画する場合は、ソフトウェアの部分にPhotoshopなどのデザインツールの予算を入れるのもいいでしょう。
コンテンツでは、コピーライティングやバックエンドの実装などの項目を用意するのもおすすめです。
8. イベント予算テンプレート
イベントの計画について、関連費用は一見明らかなように思えますが、細かい部分にも気を配る必要があります。
基本的なところでは、会場、音響システムとマイク、プレゼンター/パフォーマーのブッキングと当日の交通手段などが挙げられます。
具体的に考えを進めると、会場には椅子やテーブルが備え付けられているか、参加者には名札を付けてもらうか、付ける場合に名札は事前に印刷するか、空白の札に当日名前を記入してもらうならペンやマーカーの調達は考えているか……など細かい費用はたくさん出てくるでしょう。
しっかりと計画するために、イベント予算テンプレートをご活用ください。
プログラムの部分では、交通費と宿泊費を1つにまとめ、イベント制作会社の費用を入れるのもおすすめです。会場や雑費の部分では、実際に必要となったものを余さず記入するといいでしょう。
テンプレートを活用して抜け目のない予算管理を
マーケティング予算の管理について、見逃しがちなポイントや成果につながる振り分けのコツについてご紹介しました。
HubSpotが作成したマーケティング予算管理テンプレート全8種を活用すれば、見逃しがちな予算についても事前に把握してトラッキングし、実績とのギャップを埋めつつブラッシュアップも容易に行えるようになるでしょう。ぜひ活用してみてください。