予実は、「予算と実績」の略語です。予実管理とは、予算と実績を比較し、計画通りに成果が上がるように管理することを指します。
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企業経営では、予算と実績を関連付けて管理することが重要です。しかし、具体的な進め方やポイントがわからないという方も多いでしょう。
本記事では、予実管理の概要や必要性、「予算管理」との違いに加えて、具体的な手法や手順、実施時のポイントなどを解説します。
予実管理とは?
予実管理とは、事前に設定した予算や売上目標と、現状の売上や経費などの実績を対比させて数値分析を行うことです。
予算目標に対する進捗状況や課題を、マネージャーなどの管理者が判断するために用いられます。まずは、予実管理について理解を深めるために、概要や必要性、「予算管理」との違いを詳しく解説します。
予実管理の概要・必要性
予実管理は、経営者や予算を管理するすべての部署のマネージャーが、組織を正しい方向に導くために欠かせない指針です。
例えば、営業部門では、売上目標や最新の実績、コール数・訪問数・見積もり実施数といった営業メンバーの行動記録などを記録します。このようなデータを蓄積しておくと、進捗が遅れている場合に、どのプロセスが問題になっているのかボトルネックを特定できます。
マーケティング部門では、認知拡大から見込み客の醸成、継続利用の促進に至るまでに、さまざまな施策を実施します。施策ごとに割り当てた予算が適切だったかどうかを判断する際にも、予実管理が役立ちます。費用対効果が低い施策を取りやめ、成果が上がる見込みのある施策に注力することで、予算配分の適正化が可能です。
予算管理との違い
予実管理と似た概念に、「予算管理」があります。予算管理は予算計画そのものに焦点を当てているのに対して、予実管理は予算と実績を比較する点が異なります。しかし、予算に基づいた実績を管理し、評価する点では共通しているため、大きな違いはありません。
予実管理の手法
ここでは、予算管理の主な手法を具体的に紹介します。
- Excel・Google スプレッドシート
- CRM・SFAツール
- 予実管理システム・予算管理システム
Excel・Google スプレッドシート
予実管理は、スケジュール管理やデータベース作成に活用されるExcelやGoogle スプレッドシートで実施可能です。
ExcelやGoogle スプレッドシートを予実管理に活用する際は、次の3つの項目を設定しましょう。
- 過去から現在にかけての実績
- その期の目標
- 目標と実績の差分
ExcelやGoogle スプレッドシートを活用した予実管理は、予算を抑えて予実管理を始められるのが大きなメリットです。また、グラフや図表の作成機能がデータの直感的な理解に役立ちます。
ただし、ファイルの保存や共有には向いていないため、Google ドライブやDropboxなど、クラウド上でファイルを管理できるツールをあわせて活用するのがおすすめです。
組織の規模が大きくなると、シートやセルの数が増えてきます。データが増えると管理が煩雑になるため、定期的にシートやセルの見直しを行い、管理しやすくなるような工夫をしましょう。
CRMツール・SFA
CRM(顧客関係管理)ツールとは、顧客に関する情報を一元管理できるツールのことです。また、SFA(営業支援システム)は、営業活動に特化した情報管理ツールです。
CRMやSFAは、予算の達成状況をリアルタイムで把握できるのが特徴で、定期的なミーティングを待たずに必要な情報を適宜確認できます。
また、SFAで予算や実績を管理することで、データをもとにした売上予測も可能です。現状のデータや状況に応じた最適な対策の検討に役立ち、営業部門の目標をより効率的に達成できるようになるでしょう。
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予実管理システム・予算管理システム
予実管理システムや予算管理システムは、予算の編成から予実管理、収集したデータの分析、実績分析などの予算管理プロセス全体を効率化できるツールです。
ユーザーごとに権限を設定し、部門や拠点を越えた情報の管理ができるだけでなく、予算や売上に関する帳票・資料を自動で作成する機能もあります。
予実管理システムや予算管理システムは、会計管理を適正化することで、自社の経営状況を的確に把握することを目的としたものです。営業活動の効率化や顧客体験の向上といった目的で予実管理を行う場合は、CRMやSFAを検討すると良いでしょう。
予実管理の手順
予実管理の主な手順は、次の通りです。
- 予算目標を立てる
- 具体的な数値目標を設定する
- 数値をチェックする
- 対策を考える
それぞれのステップで行うことを解説します。
1. 予算目標を立てる
予実管理は、予算と実績を比較することで目標達成を目指すための管理会計業務です。そのため、まずは予算目標を立てることが重要となります。
努力次第で達成可能な目標を設定して、組織全体の方向性を統一することは、目標設定の重要な役割です。
2. 具体的な数値目標を設定する
予算目標を設定したら、具体的な数値目標を設定します。
すでに事業を展開している場合は、過去の実績をベースに予算を立てます。過去の実績をそのまま用いるのではなく、将来的に予想される売上や仕入れ、費用の増加、設備投資の見込みを考慮することが必要です。
これから事業を展開する場合は、見込み額を予想して目標を設定しましょう。
3. 数値をチェックする
予算と実績は、月次でチェックすることが重要です。年次で予算を立てている場合でも、月単位で分割して、なるべくこまめに振り返るようにしましょう。予算と実績の差分をできるだけ早く発見しなければ、対策が取れず損失が拡大する可能性があるためです。
また、短期間で頻繁に進捗を確認することで、より詳細な分析が可能となります。
分析する際は売上高だけでなく、販管費(販売費及び一般管理費)を差し引いた営業利益にも着目して乖離をチェックしましょう。広告宣伝費や人件費などを合わせた販管費が高くなると、利益が減ってしまうためです。
4. 対策を考える
予算と実績に乖離がある場合は、戦略を再考します。
例えば、予算をかけて販路を拡大させたものの売上高が想定通りに伸びなかった場合、原因を究明し詳しく分析します。同時に、売上が好調な商品についてはプロモーションを強化するなどの施策で、さらなる売上拡大を目指します。
顧客のニーズに合ったアップセルやクロスセルの提案で、売上を増やす方法も有効です。
予実管理を実施する際のポイント
予実管理を実施する際のポイントは、次の通りです。
- 適切な予算を設定する
- タイムリーに数値を集める
- ツールを活用する
それぞれのポイントを詳しく解説します。
適切な予算を設定する
予実管理を行う際は、適切な予算を設定することが重要です。適切な予算とは、努力次第で達成可能な目標を指します。目標が高すぎても低すぎても従業員のモチベーションは高まらないため、目標設定のラインをしっかりと見極めましょう。
予実管理は、データに基づいて予算と実績を照らし合わせ、経営目標を達成するために実施するものです。適度にプレッシャーをかけつつ現実的な数値を設定し、従業員のモチベーションを高めて成果につなげるのがポイントです。
タイムリーに数値を集める
予実管理で目標達成を目指すためには、なるべく短いスパンで予算と現状の差を確認し、分析することが大切です。そのためには、現状を把握するための数字をなるべくリアルタイムで集計する必要があります。
経営状態は刻々と変わっていきます。数か月前の数値を分析し、改善策を提案しても、すでに手遅れということがあります。少なくとも1週間ごとにデータを更新し、週次・月次の分析を行いましょう。
ツールを活用する
予実管理の精度を高めるためには、リアルタイムの情報を現場から収集することが不可欠です。データの入力や管理に手間がかかると現場の負担が増えてしまうため、デジタルツールを活用して効率的にデータを入力する環境を整えましょう。
ツールを選ぶ際は、自社の課題の解決につながるものを選ぶことが大切です。必要以上の機能が搭載されていると操作が複雑になり、使いこなせるようになるまでに時間がかかります。ツールを導入・維持するためのコストも高くなるでしょう。
目的を明確にしたうえで、候補となるツールを選ぶことをおすすめします。
予実管理によって可視化された問題はしっかり深掘りする
予実管理で自社の課題が把握できたら、さらに課題を深掘りして原因を追及しましょう。
例えば、ある商品の売上が伸び悩んでいる場合、いくつかの要因が考えられます。広告チャネルがターゲットに合っていないことがわかったら、マーケティング戦略の見直しが必要です。商品を取り扱っている店舗が少ない場合は、販売チャネルの拡大が必要になります。現場の販売スタッフの接客スキルが足りないことが、売上が伸びない原因かもしれません。
このように、予実管理によって得られたヒントから仮説を立案すると、ボトルネックを発見しやすくなります。
PDCAサイクルを回して常に改善する
予実管理で成果を上げるには、次のようにPDCAサイクルを回して、改善を続けることが必要です。
- Plan(計画):事業計画や経営目標に基づき、現実的で挑戦的な予算を設定する。
- 実行(Do):設定された予算に基づき、事業や業務を進める。後のステップで必要となるデータも収集する。
- 評価(Check):予算と収集した実績データの乖離を分析する。具体的な数値で示し、適宜グラフやチャートで視覚化する。
- 改善(Act):分析結果に基づき、具体的な改善案や対策を考案する。分析だけでは改善効果は得られないので、行動に移すことが重要。
特に重要なのは、次のサイクルにつながる評価(Check)と改善(Act)のプロセスです。フィードバックの仕組みは整っているか、原因を究明できる報告プロセスは確立されているかどうかも確認しましょう。
予実管理を行い、経営状態を常にチェックしよう
予実管理は、目標達成や予算管理、費用対効果の確認に欠かせない考え方です。
CRMやSFA、予実管理システムといったデジタルツールを活用することで、リアルタイムの情報をもとにした効率的な予実管理が可能になります。営業活動のボトルネックを改善したい場合や、顧客と良好な関係を構築したい場合は、CRMやSFAを導入すると、より効果的です。
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