非対面の営業手法であるインサイドセールスでは、メールやチャットとともに電話やビデオ通話もよく活用されます。見込み客との会話を通じて「BANT-CH情報」を効果的に引き出せるかどうかが、営業活動の成否を分けるといっても過言ではありません。
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今回はBANT-CH情報の概要と、インサイドセールスにおけるトークスクリプトの役割についてわかりやすく解説します。インサイドセールスに役立つトークスクリプトの作成方法とあわせて見ていきましょう。
BANT-CH情報が重要な理由
インサイドセールスにおいてスクリプトを作成する最大の目的は、BANT-CH情報を的確に聞き取ることにあります。はじめに、インサイドセールスの役割とBANT-CH情報の概要を押さえておきましょう。
インサイドセールスの役割
インサイドセールスの基本的な役割は、以下のようにまとめられます。
- マーケティング部門が開拓した見込み客(リード)にコンタクトを取る
- リードとのやり取りを通じて信頼関係を築き、購買意欲を高めていく
- 購買意欲が高まったリードに対して商談を設定し、フィールドセールスに引き継ぐ
上記2の工程では、メールやチャットのほか電話やビデオ通話が活用されるケースも少なくありません。担当者によって対応の質にムラが生じることなく、均一な対応をするにはトークスクリプトを用意しておく必要があります。
BANT-CH情報とは
トークスクリプトを作成する際には、BANT-CH情報を抜け漏れなく聞き取れる流れにすることが重要です。BANT-CH情報は下表の要素から構成されています。
Budget(予算) |
見込み客が想定している予算感 |
Authority(決裁権) |
決裁権を誰が握っているか、どのような承認フローか |
Needs(ニーズ) |
見込み客がどのような課題や悩みを抱えているか |
Timeframe(検討期間) |
導入予定時期や現在利用中のサービスの更新時期 |
Competitor(競合) |
検討中の他社商品・サービス |
Human resources(人員体制) |
見込み客の部門や人員の構成はどうなっているか |
これらの情報を聞き取っておくことによって、見込み客をフィールドセールスに引き継いだ際に商談をスムーズに進められます。結果として成約率が向上し、売上伸長にも貢献できるでしょう。
テレアポにおけるトークスクリプトとの違い
トークスクリプトと聞くと、テレアポを連想する方も多いのではないでしょうか。テレアポとインサイドセールスで用いられるトークスクリプトの違いを理解するには、両施策の目的の違いを押さえておく必要があります。
テレアポを実施する主な目的は、アポイントの取得です。見込み客の検討段階や購買意欲を問わず、訪問日時を決めることに専念している点に特徴があります。アポイントを設定したからといって、商談になるかどうかは不透明といわざるをえません。
一方、インサイドセールスでは見込み客との関係構築を重視しています。中長期的に見込み客と連絡を取り合い、購買意欲が高まった段階でアポイントを取得する点が大きな特徴です。このように、インサイドセールスにおけるトークスクリプトは、見込み客との信頼関係の構築や購買意欲の向上に重きが置かれています。
トークスクリプトを作成する目的
インサイドセールスにおいてトークスクリプトを作成した方がよい主な目的として、下記の3点が挙げられます。
トークの属人化を回避する
1つめの目的は、トークの属人化を回避することです。インサイドセールスでは、同じ見込み客を複数の担当者が対応するケースが少なくありません。担当者ごとに独自のトークを展開した場合、話の流れや用いるフレーズが属人化しやすく、結果として成果も各人でまちまちになりがちです。
トークスクリプトを用意し、どの担当者もスクリプトに沿ってトークを展開することにより、対応の質を一定以上に保ちやすくなります。見込み客としても対応に一貫性が感じられ、安心感や信頼感を抱きやすくなるでしょう。
PDCAサイクルを回す
2つめの目的は、トークの効果を検証し、改善につなげていくことです。効果のあった話し方や改善点を随時トークスクリプトに反映させていくことにより、PDCAサイクルを効果的に回せます。このサイクルを繰り返すことによってトークスクリプトの精度が向上するだけでなく、インサイドセールスに必要なノウハウを組織の資産として蓄積できるでしょう。
このようにノウハウをチームや組織単位で体得していく上で、トークスクリプトという「型」を築いておくことは非常に重要なポイントといえます。
顧客体験の向上を実現する
3つめの目的は、顧客体験の向上を実現することです。どのタイミングで何を話すべきかが明確になっていれば、状況に応じて的確な対応をしやすいでしょう。担当者が変わっても均一の対応が可能になることにより、顧客体験の向上を図りやすくなります。
「前回の対応時と言っていることが違う」「担当者によっては話の進め方が強引に感じる」といったことがあると、見込み客に不信感を抱かせる原因となりかねません。企業として統一した対応を実現する上で、トークスクリプトはガイドラインの役割を果たしているのです。
トークスクリプトの作成方法
インサイドセールスで活用するトークスクリプトを作成するには、スクリプトに求められる要件を満たすよう順を追って作成していく必要があります。トークスクリプトの基本的な作成手順は次のとおりです。
1. ターゲットとゴールを設定する
トークスクリプトを作成する前に、ターゲットとゴールを明確にしておく必要があります。誰に向けたトークにするかを決めておくことで、話し方や伝えるべき内容が定まるからです。
ターゲットを明確にするには、実在する人物像を意味する「ペルソナ」を設定しておくのが望ましいでしょう。職種や年齢、役職のほか、ライフスタイルや興味関心、情報収集の方法などを想定することによって、相手が知りたい情報や抱えている課題をイメージしやすくなります。
2. 聞き取るべき項目を決める
次に、見込み客とのやり取りを通じて聞き取るべき項目を設定していきます。BANT-CH情報を漏れなく聞き取るために必要な項目をリストアップし、一覧にまとめていきましょう。
ヒアリング項目を設定する際には、フィールドセールス部門と協働で検討することをおすすめします。フィールドセールス担当者が商談時に把握しておきたい事項こそが、インサイドセールス部門が収集しておくべき情報だからです。BANT-CH情報を一律にリストアップするのではなく、フィールドセールス担当者の意見を取り入れて優先順位を決定することが重要です。
3. トークの骨組みをつくる
聞き取るべき項目を柱として、トークの骨組みをつくっていきます。はじめから細部をつくり込むのではなく、まずはトーク全体の大きな流れを決めておきましょう。フローチャートを用いて図式化するのもおすすめの方法です。
電話でヒアリングをするといっても、相手を質問攻めにするようでは快く答えてもらえません。自然な会話の流れになるよう会話のパターン別に分岐点を設定し、段階を踏んで必要な情報を収集できる仕組みにしていくのがポイントです。
4. トーク例を記載する
トークの骨組みが決まったら、各段階で話す内容を肉付けしていきます。トークスクリプトはあくまでも「台本」のため、会話調で記載するのがポイントです。
ただし、トークスクリプトを読み上げるだけでは生きたトークにはなりません。インサイドセールス担当者がトークスクリプトの意図を理解し、状況に応じて対応できるよう、重要なキーワードやトークの要点をマーカーや下線で目立つようにしておくことをおすすめします。トーク例を活用してロールプレイングを重ねながら、トークスキルの向上を図っていきましょう。
成約率を高め、顧客満足度の向上を実現するトークスクリプトを作成しよう
インサイドセールスにおけるトークスクリプトは、BANT-CH情報を抜け漏れなく聞き取るための必須ツールとなるだけでなく、一貫した対応により顧客満足度の向上を図るための重要なツールともいえます。電話やビデオ通話をインサイドセールスに取り入れるのであれば、トークスクリプトは必ず準備しておくべきでしょう。
今回紹介した作成目的や作成手順を参考に、ぜひインサイドセールスの質向上に寄与するトークスクリプトを作成してください。