Instagramは、商品・サービスを宣伝するために役立つツールですが、自社の影響力だけではなかなか認知が広がらないこともあります。このような場合に活用できるのが、インフルエンサーと協力して作る「ブランドコンテンツ」です。
本記事では、Instagramマーケティングの中でも宣伝効果の高いブランドコンテンツについて、作成のコツや注意点まで詳しく解説します。
【無料ガイド】Instagram広告で成果を出したい方
Instagram広告設定の手順、指標の確認や管理の方法など基礎をまとまったガイドを無料ダウンロードいただけます。出稿時に使えるチェックリスト付き!
Instagramのブランドコンテンツとは
Instagramはブランドコンテンツについて、「クリエイターやパブリッシャーが何らかの対価と引き換えに、ビジネスパートナーの商品やブランドを直接的または間接的に取り上げたコンテンツ」と定義しています。
通常の広告であれば、自社で広告を作成して投稿することが基本です。一方でInstagramのブランドコンテンツは、協業関係のあるクリエイターが作成した投稿を企業の広告として使用します。
Instagramのブランドコンテンツには2つのフォーマットがある
ブランドコンテンツには、大きく分けて2つのフォーマットがあります。それぞれの違いを見ていきましょう。
1.「広告」と表示されるブランドコンテンツ
投稿に「広告」と表示されるブランドコンテンツは、企業がインフルエンサーの投稿を利用して宣伝する方法です。そのため、発信者は企業となります。インフルエンサーのフォロワー以外にも魅力的なコンテンツを幅広く届けられることが強みです。
商材との親和性が高い人物に依頼すれば、紹介したい商品をより魅力的に伝えられるでしょう。あくまで「自社の広告」として配信したい場合は、こちらのスタイルを検討しましょう。
2.「タイアップ投稿」と表示されるタイアップ投稿ラベル
投稿に「タイアップ投稿」と表示されるタイプは、インフルエンサーが自身のアカウントで商品やブランドの宣伝を行う方法です。投稿画面の上側に契約している企業名が記載されます(タイアップ投稿ラベル)。
基本的には、企業側が「自社の広告」として扱いません。当該PRはインフルエンサーのアカウントのフォロワーに届きます。
タイアップ投稿のメリットは、エンゲージメントを獲得しやすいことです。エンゲージメントとは、「いいね!」や「コメント」の数を指します。インフルエンサーのフォロワーに宣伝が届くため、人気の高い方に作成を依頼すればエンゲージメントは自然と多くなります。
なお、正式名称は「ブランドコンテンツツール」ですが、一般的には「タイアップ投稿」と呼ばれています。
投稿に企業名を表示する「ブランドパートナー設定」とは?
タイアップ投稿には、「ブランドパートナー設定」の方法を採る選択肢もあります。「〇〇(企業名)とのタイアップ投稿」という具合に、契約先の名称を反映させる機能です。表示される場合は以下の画像のようにアカウント名の直下に配置されます。
画像引用元:Meta社
なお、投稿している写真や動画に映っているアカウント名を表示させる「タグ付け」とは異なる機能です。
タイアップ投稿ラベルを設置すれば、ブランドパートナー設定をしなくても良い?
ブランドコンテンツは、タイアップ投稿ラベルのみでの利用も可能です。必ずしも、ブランドパートナー設定をしなければならないわけではありません。
とはいえ、契約した両者の関係性がより明確になるため、設定を済ませることが推奨されています。
他にも、この機能には企業側に多くのメリットがあります。具体的な内容は、次の見出しで解説しましょう。
タイアップ投稿ラベル・ブランドパートナー設定をするメリット
タイアップ投稿ラベルやブランドパートナー設定をすると、マーケティングにも良い影響を与えます。
幅広い人々に魅力を伝えたい場合は、ぜひとも取り入れたい要素の1つです。具体的に挙げられるメリットを紹介します。
インフルエンサーの影響力を活用できる
タイアップ投稿ラベルおよびブランドパートナー設定のメリットは、インフルエンサーの影響力を活用できる点です。
ここで重要なのは、自社製品のターゲット層をフォロワーに抱えるインフルエンサーを選定することです。自社製品とマッチするインフルエンサーに、自身の言葉でフォロワー向けに製品を紹介してもらえれば、届けたい層にピンポイントでアプローチできます。
自社だけではリーチできない層に、早く、深くアプローチできる
自社アカウントのみで情報発信していても、リーチできる層には限界があります。リーチできたとしても、その先のエンゲージメント向上につなげるためにはさらに地道な施策を重ねる必要があります。
インフルエンサーとの協業により、自社ではリーチできない層にスピーディに露出できるうえ、インフルエンサーとフォロワー同士の信頼関係の度合いによっては高いエンゲージメントを期待できるでしょう。
透明性を上げて信頼を得る
タイアップ投稿やブランドパートナー設定により、その投稿が企業から依頼を受けて作成されたものだとインフルエンサーのオーディエンスに明確に示すことができます。
後に詳しく解説しますが、投稿に対価が発生しているのにそれを明示しなかった場合は「ステマ(ステルスマーケティング)」となり、景品表示法に触れるだけでなくユーザーからの信頼を大きく損なうことになります。
インフルエンサーと協力していることを示すことで、信頼を得られるようになるでしょう。
インフルエンサーの投稿を分析できる
ブランドパートナーの設定をした上でインフルエンサーが投稿を行うと、企業側でもそのインサイトを確認できるようになります。
どのような反応が得られたかを知れる意味でも、ブランドコンテンツの活用は有効だといえます。
企業側が主導権を握れる
インフルエンサーが自然と自社商品・サービスについて触れてくれることも、認知拡大や顧客の醸成に効果を発揮するでしょう。一方で自発的な投稿をコントロールすることはできないため、誤った情報が広まるリスクもあります。
ブランドパートナー設定をした上でインフルエンサーと協力して投稿内容を作成すれば、商品・サービスの情報をしっかり共有するなど、ある程度の主導権を握れるようになります。
なお、その際は企業が売り出したいことをインフルエンサーに押し付けすぎにならないよう注意が必要です。
タイアップ投稿を行う際の注意点
インフルエンサーとタイアップ投稿を行う際は、以下の注意点に留意してください。
投稿内容をコントロールする
タイアップ投稿でも基本的にはインフルエンサーの強みを活かした発信を期待したいところですが、完全に自由にやってもらうのではなく、ある程度はコントロールするようにしましょう。
投稿内容を事前に共有してもらい、発信を避けるべき情報が入っていないかどうかなどを確認します。
ステマに注意する
企業から対価が支払われているにも関わらず、そのことを明示することなくインフルエンサーに発信させる「ステマ」はご法度です。ステマはユーザーから忌避されるだけでなく、2023年10月から景品表示法が改正され、違反として取り締まられるようになっています。
タイアップ投稿を設定した時点でステマにはなりませんが、投稿の本文に「PR」を入れてもらうなど、わかりやすい発信を心がけるといいでしょう。
Instagramのブランドコンテンツの投稿・広告配信の流れを解説
ブランドコンテンツのつくり方と配信の流れを5つの手順で解説します。
- 契約
- 事前準備
- 設定
- 配信
- パフォーマンスの確認
各手順の内容をしっかりと確認し、自社でもブランドコンテンツを配信しましょう。
1.アカウントをビジネスアカウントに変更する
Instagramでブランドコンテンツを作成するには、アカウントがビジネスアカウントである必要があります。まだ変更していなければ、あらかじめ変更しておきましょう。
まずは、Instagramプロフィール画面の [設定]から[アカウント]を選びます。
下の方にスクロールすると[アカウントタイプを切り替え]があるため、タップしてから[ビジネスアカウントに切り替える]を選択しましょう。すでにFacebookページがあれば、連携したいものを選びます。あらかじめ用意していなくても、切り替えるだけで新たにFacebookページの作成が可能です。
2. 企業とインフルエンサーの間でPRに関する契約を結ぶ
企業が契約したいと思うインフルエンサーを探します。話を進める前に、こちらの意図が伝わるように要望を事前にまとめておきましょう。
なお、確認しておきたい事項は次のとおりです。
- 投稿を掲載する期間
- 報酬
- 内容
- コメントへの対応の可否
ブランドコンテンツを成功させるには、インフルエンサーとの協力関係の構築が必要不可欠です。自分たちの要望だけではなく、相手の話にも耳を傾けましょう。
企業名を表示させたい場合は、ブランドパートナーを設定する旨もあらかじめ伝えた方が賢明です。
3.【企業】ブランドコンテンツを作成する事前準備を行う
契約が完了したら、ビジネスパートナーの承認をします。設定画面に戻り、[ビジネス]を選んでください。[ブランドコンテンツ]から[コンテンツクリエイターを承認]の項目をタップします。
契約相手の名前を検索し、最後に[承認]ボタンを押せば完了です。
4.【インフルエンサー】タイアップ投稿ラベル・ブランドパートナーを設定してコンテンツを投稿
インフルエンサー側も、タイアップ投稿ラベルやブランドパートナーの設定が必要です。フィード投稿とストーリーズ投稿の2種類で方法が異なります。
フィード投稿の場合、手順は以下のとおりです。
- 投稿をつくる際に[タイアップ投稿ラベルを追加]を選ぶ
- ブランドパートナーを追加する
- [ブランドパートナーによる宣伝を許可]をオンにする
- なお、タイアップ投稿のみの場合は「2」と「3」の作業が不要です。
- ストーリーズの場合は以下のとおりです。
- タグ付けのマークから[タイアップ投稿ラベルを追加]をオンにする
- 企業アカウントを追加して宣伝も許可する
契約先を[ブランドパートナー]から選択します。その際には、相手に承認リクエストを送りましょう。企業が承認した段階で作業完了です。
5.【企業】投稿をブランドコンテンツ広告として配信する
投稿作業が終了すると、企業のFacebook広告マネージャー(Facebookが提供している無料の広告管理ツール)に表示されます。
ブランドコンテンツ広告として配信する際には、広告設定画面の[既存の投稿を使用]を選択しましょう。
6.【企業】パフォーマンス確認
タイアップ投稿が完了したら、パフォーマンスの確認をします。ブランドパートナー設定をしている場合は、インサイトが閲覧できます。
今後の戦略を立てる上でも役立ちますので分析しましょう。
ブランドコンテンツ広告|配信場所別の特徴とポイント
タイアップ投稿と似たような効果を期待できる機能として、「ブランドコンテンツ広告」があります。
ブランドコンテンツ広告は、インフルエンサーが作成した投稿をそのまま広告クリエイティブとして配信する機能です。タイアップ投稿はインフルエンサーが自身のアカウントで発信するものですが、ブランドコンテンツ広告では企業の名前でインフルエンサーのクリエイティブを配信します。
タイアップ投稿による拡散効果はインフルエンサーの影響力に依存しますが、ブランドコンテンツ広告は予算によってインプレッションを拡大することができます。
ブランドコンテンツ広告が配信される場所は大きく分けて3通りです。
- フィード
- ストーリーズ
- 発見タブ
場所の違いで期待できる効果も変わります。広告を配信する目的を明確にし、どの場所で配信するかを決めましょう。
フィード|多くのユーザーの目に触れる
フィードとは、Instagramアプリを開いて1番最初に表示されるページです。ユーザーの目に触れる機会が多いため、単純に認知度を伸ばしたいのであれば利用してみても良いでしょう。
写真や動画に加え、長文のテキストも入力できるため、商品やサービスの魅力を具体的に伝えられます。
ブログやSNSに強く、長文の文章を書き慣れているインフルエンサーに依頼してもいいでしょう。
ストーリーズ|訴求力が高い
ストーリーズは、フィードの上部に表示される機能です。並べられているアイコンをタップすれば、全画面の写真とテキストが表示されます。
ストーリーズは見えやすい位置に表示されるため、目に触れる機会が多くなります。投稿者のファンであれば、クリックするケースも自然と多くなるはずです。
発見タブ|潜在層にもリーチ可能
発見タブは、新たな情報やアカウントを探したいときに利用する機能です。Instagramアプリの下側にある「虫眼鏡」のマークから閲覧できます。企業やインフルエンサーのファンではない、いわゆる潜在層にもリーチ(接触)できる点が強みです。
なぜなら、発見タブは多くのアカウントが投稿した写真や動画が一覧で表示されるためです。何気なく発見タブを見ていたら、たまたま目に止まった投稿をつい見てしまうケースもあるはずです。
自社のターゲット層は拡大できる余地があるのかを検証したい場合は有効な手段でしょう。
2022年にルール厳格化?Instagramのブランドコンテンツルールについて
ブランドコンテンツは、2022年にルールが厳しくなりました。代表的な例が「タイアップ投稿ラベルの義務化」です。
ルールが改正された背景なども把握し、社内でしっかりと共有しましょう。
ブランドコンテンツについてのタイアップ投稿ラベルの設置が義務化
ブランドコンテンツについて、2022年10月にタイアップ投稿ラベルの設置が義務付けられました。これにより、タイアップ投稿の一環としてコンテンツを作成していることをユーザーに明示しなければなりません。
この設定がなされていない投稿に対しては、自動的に認識できるよう仕組まれています。改めて設置をするように促されるため、あらかじめ完了させておきましょう。
ただし、ブランドパートナーの設定は必須ではありません。
PR投稿にタイアップ投稿ラベルの設置が義務付けられた背景
インフルエンサーのPR投稿にこのようなルールが義務付けられた背景は、ステマの増加です。ステマとは「ステルスマーケティング」の略称で、宣伝だと公表せず、ユーザー側に広告であると認識させない広告を指します。
宣伝の意図を隠す行為は、ユーザーを騙しているのと同じです。インフルエンサーの影響力が増している今、Instagramだけでなくあらゆる広告に透明性と健全性が重視されています。
そのような背景を受けてモラルの低い宣伝を阻止するため、投稿の目的(PRの意図があること)を明示するように定められました。
今までのPR投稿との違い
今までのPR投稿では、「#(ハッシュタグ)」が使われていました。「#PR」や「#プロモーション」と付け、Instagram内の検索で表示されやすくする手法です。もしくは、「タイアップ投稿です」と明記するインフルエンサーもいました。
タイアップ投稿ラベルの設置が義務付けられたことで、ハッシュタグよりも目の付きやすい位置に「タイアップ投稿」と表示されるようになります。
ただ、「#」でのPR記載を入れなくてもいいわけではありません。
Instagramで注目を集めるためのその他のコツ
Instagramで自社商品・サービスに注目を集める手法として、ブランドコンテンツについてご紹介しました。
Instagramでは、他にも注目を集めるコツがあるので、いくつかご紹介します。
コンセプトの設計
Instagram運用の土台となるのが、コンセプトの設計です。なんの目的でInstagramを運用するのかをはっきりさせておくことで、ユーザーにメッセージをわかりやすく伝えられるようになります。
また、ターゲットペルソナの設定も重要です。誰にコンテンツを届けたいのかを細かく設計することで、具体的な投稿内容の設計にも役立つでしょう。
プロフィールの最適化
フィード投稿やリールなどからプロフィールにアクセスしてもらえることがあるため、プロフィールを最適化しておきます。
会社・ブランドについてパッと伝わりやすいプロフィール画像やユーザーネームはもちろん、魅力的な自己紹介文、ハイライト機能の活用も重要です。ハイライト機能ではストーリーズをまとめ、店舗情報やキャンペーン情報などをわかりやすく伝えることができます。
ハッシュタグの活用
まだ自社のアカウントを知らないユーザーにも投稿を表示させるためには、ハッシュタグの活用が欠かせません。
自社に関連するハッシュタグはもちろん、一般的に使われるハッシュタグから投稿数が多すぎず少なすぎないものを選びます。
コミュニケーションをとる
Instagramでは、企業とユーザーが双方向でコミュニケーションを楽しめます。投稿にコメントをもらったときには返信をする、自社商品やサービスを取り上げてもらったらシェアするなど、積極的にコミュニケーションを取ってみましょう。
該当のユーザーのエンゲージメントを高められるだけでなく、他のユーザーからの印象もよくなると期待できます。
広告を活用する
ブランドコンテンツ広告についてご紹介しましたが、Instagramでは自社で用意する広告も配信できます。オーガニックな集客により知名度を高めるのには限界があるため、広告を活用してリーチを増やすことが重要です。
Instagram広告には、精度の高いターゲティングにより届けたい層へ配信できる、豊富な種類から選択できる、低予算からでも始められるというメリットがあります。
Instagram運用のその他のコツについては、以下コラムもあわせてご覧ください。
Instagramのブランドコンテンツを使って新たなユーザーとの接点を築こう
Instagramのブランドコンテンツを取り入れれば、企業のフォロワー以外にも商品やサービスを宣伝できます。さらに、インフルエンサーの強い影響力を生かせる点が大きなメリットです。認知度や訴求力が格段に高まる可能性もあります。
インサイトを分析すれば、どの程度の効果を発揮できたかが把握できます。そのため、長期的に利用するかどうかは、導入後の効果を分析した上で判断するのも1つです。自社でもブランドコンテンツを導入し、新たな層のファンを増やしていきましょう。