ミニアプリは、特定の目的に特化したスマートフォンアプリを指します。すでに開発されたアプリをベースとして活用しながら、デジタル会員証の発行やオンライン予約といった細かなニーズに応えられるのがメリットです。
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この記事では、ミニアプリの概要や活用する際の注意点、メリット・デメリットから活用事例までを、わかりやすく解説します。
ミニアプリとは
ミニアプリは、スマートフォンアプリの一種であり、特定の目的に特化したアプリのことを指します。1つのアプリとして独立しておらず、スーパーアプリと呼ばれるプラットフォーム内で提供されるアプリです。
例えば、LINEやPayPayがスーパーアプリにあたり、その中でさまざまな企業が自社のミニアプリを提供しています。ユーザーは、LINEやPayPayのアプリ内で、順番待ち予約やポイントカード、再配達依頼などの機能を使うことができます。ミニアプリはスーパーアプリ内で動作するため、複数のアプリをインストールする手間が省けます。
ミニアプリでできること
ここでは、ミニアプリの実例をあげながら、ミニアプリでできることを解説します。
身近なミニアプリ
日本における代表的なミニアプリは、LINEとPayPayで提供されています。身近なミニアプリには、次のようなものがあります。
【LINE】
- LINE MUSIC:音楽視聴アプリ
- LINEマンガ:マンガアプリ
- LINEニュース:ニュースアプリ
- ポケオ:テイクアウトサービスアプリ
- LINE Pay:支払い・送金アプリ
【PayPay】
- PayPayフリマ:フリマアプリ
- PayPay銀行:銀行アプリ
- Uber Eats:テイクアウトサービスアプリ
- ふるさと納税(さとふる)
- スマホ充電(ChargeSPOT)
代表的なミニアプリの機能
ミニアプリで利用できる機能は多岐にわたりますが、なかでも代表的なのが次の4つです。
- 順番待ち予約
- デジタル会員証
- 来店予約
- テーブルオーダー
それぞれの機能を詳しく見ていきましょう。
順番待ち予約
順番待ち予約機能は、飲食店や美容院など混雑が予想される場所で、待ち時間を最小限にする機能です。利用者は待ち時間を効率的に活用することが可能になり、店舗側は顧客の満足度を高められるメリットがあります。
利用者はスマートフォン上で店舗の待ち状況を確認でき、順番待ちの最後に名前を登録します。登録後はスマートフォンに通知が届くため、店舗での待ち時間を短縮できます。時間指定予約ができるアプリもありますが、あくまでも順番待ち予約のため、その時間にサービスを受けられるとは限らない点に注意が必要です。
デジタル会員証
従来の会員カードやポイントカードをスマートフォン上で表示できる機能です。アプリ内の会員情報を読み取るため、スマホを提示するだけで会員特典を受けられます。会員カードを持ち歩く手間がなく便利で、ユーザーがリピーターとなりやすいのがメリットです。店舗側も、データ管理や利用履歴の把握が容易で、顧客の会員証忘れの対応も不要です。
来店予約
飲食店や美容院などで、事前に予約を受け付ける機能です。ユーザーはアプリを通じて予約日時や人数を指定し、空いている席や予約可能なサービスを手軽に確認できます。店舗側は予約状況を把握し、シフトなどの準備をしやすく、スムーズな接客サービスを提供できます。
モバイルオーダー
モバイルオーダー機能は、主に飲食店で使われます。利用者は自分のペースでメニューを選ぶことができ、店側はオーダーを聞く手間を省けます。
テーブルのQRコードを読み込むと、スマートフォンでメニューの閲覧やオーダーが可能です。席に着いたら、ユーザーはアプリ内でスマホからオーダーを送信するため、オーダーの聞き間違いなどのミスが起こりません。また、注文内容を即時に把握できるため、効率的にサービスを提供できます。
ミニアプリ活用のメリット
ミニアプリを活用するメリットは主に次の3つです。
- ユーザーに使い続けてもらいやすい
- 新規ユーザーやリピーターの創出につながる
- 開発コストを抑えられる
ユーザーに使い続けてもらいやすい
ミニアプリは、通常のアプリよりも軽量で、LINEやPayPayなどのスーパーアプリを入れていれば、新たなインストールが不要なため、利用者が手軽にアクセスできます。利用者は簡単にミニアプリの機能を使い始められ、アプリの容量を気にすることなく利用できるのも利点です。スマートフォンの容量を空けるためにアンインストールされる心配もないので、使い続けてもらいやすいでしょう。
新規ユーザーやリピーターの創出につながる
ミニアプリは、スーパーアプリ内で提供されるため、スーパーアプリの既存ユーザーが利用しやすく、自社の新たなユーザー創出にもつながります。スーパーアプリのユーザーは多く、アクセスされる可能性も高まるでしょう。また、スーパーアプリ内の検索機能や推薦機能により、ミニアプリの露出が高まるため、効果的な集客が期待できます。
開発コストを抑えられる
ミニアプリは、スマートフォンの通常のアプリと比べて開発コストを抑えられます。
従来のアプリでは、iOSとAndroid双方のプラットフォームに対応するために、それぞれのプラットフォーム向けに別々に開発する必要がありました。しかし、ミニアプリはスーパーアプリに対応するものを1つだけ開発すれば済むため、開発コストや開発期間を大幅に削減できます。
ミニアプリ活用のデメリット
メリットが多いミニアプリですが、次のようなデメリットもあるので注意が必要です。
- 審査を通過する必要がある
- 独自性を出しにくい
審査を通過する必要がある
ミニアプリを提供するためには、スーパーアプリの運営会社による審査を通過する必要があります。審査を通過するには、運営会社のポリシーやガイドラインに沿ったコンテンツの作成が必要です。スーパーアプリの運営会社のポリシーやガイドラインを読みこんだうえで、十分な準備と慎重な開発が求められます。
独自性を出しにくい
ミニアプリはスーパーアプリ内で提供されるため、ほかのミニアプリと差異化が難しい点がデメリットとしてあげられます。1つのプラットフォームに基づいているため、デザインや機能に一定の制約があり、競合他社が多いため、自社のミニアプリが埋もれてしまうかもしれません。そのため、制約のあるデザインや機能以外の部分で工夫が必要です。
オリジナリティを高めるために、利用者にとって魅力的な特典やサービスを提供するなどの戦略を練りましょう。
ミニアプリの活用事例
ここでは、ミニアプリを導入して成功した企業の事例を3つ紹介していきます。
- 株式会社あきんどスシロー
- 株式会社大創産業
- 株式会社アイセイ薬局
【順番待ち予約】スシロー
株式会社あきんどスシローでは、LINE上で順番待ち予約ができるミニアプリを導入しました。ユーザーはLINE上で受付を行い、順番が近づいたら通知が送られてくる仕組みです。
ネイティブアプリ(独自アプリ)でも同じ順番待ち予約機能がありましたが、LINEを使ったことにより、利用者数が前月比で1.4倍になる成果をあげたといいます。お気に入り登録も増え、リピーター創出につながりました。
【デジタルシール】ダイソー
ダイソー(株式会社大創産業)では、シールを使ったキャンペーンが行われており、決められた枚数を集めると商品を割引価格で購入できるサービスがあります。
従来は、レジでシールを渡し、顧客が自身でシール台紙に貼って集めていましたが、レジ業務や集計業務の負担がありました。これをLINE内でデジタルシールとして発行し、集める形式に変更し、業務負担軽減だけでなく、シールや台紙、印刷にかかる費用を削減できました。
【処方箋送信】おくすりPASS FAST
株式会社アイセイ薬局では、ネイティブアプリでも電子お薬手帳を提供していましたが、利用の多い高齢者にはダウンロードが難しく、あまり利用されていませんでした。そこでLINEミニアプリを導入したところ、サービス提供開始から約5か月で1万人以上が会員登録しました。
LINEミニアプリで処方箋を送信し、予約時間に薬を店舗まで取りに行くシステムを導入したことで、薬局の混雑緩和にもつながっています。
ミニアプリの開発方法
ミニアプリを開発する方法には、自社開発と、スーパーアプリを運営しているプラットフォームが提供しているパッケージを利用する方法があります。
自社開発
ここではLINEミニアプリを例にあげて、簡単に流れを紹介します。
- LINEミニアプリチャネルを作成:LINE Developersコンソールにて作成
- 審査依頼:書類が送られてくるので、項目を記入
- アプリ開発:ガイドラインやルールに従ったアプリを開発
- リリース審査:審査依頼を行い、審査期間1~2週間程度待つ
- 提供開始:審査通過後に提供開始
パッケージ利用
自社で開発する場合には、ある程度の専門知識が必要です。専門知識を持つ人材が社内にいない場合は、スーパーアプリを運営しているプラットフォームが提供しているパッケージを利用することになるでしょう。開発会社がすでに開発済みのモバイルオーダーや予約機能、ポイントカード機能を活用できるため、導入のハードルが下がります。導入時に初期費用や月額料金がかかりますが、開発期間なしですぐに導入できるのもメリットです。
ミニアプリを活用する上でのポイント
ここでは、ミニアプリを活用する上での注意点を紹介します。アプリの開発は、常にユーザーの視点に立って進めるのがポイントです。
プラットフォーム側にメリットがあるミニアプリを開発する
ミニアプリを導入するには、プラットフォーム運営会社に採用してもらうという高いハードルがあります。プラットフォーム側にもメリットをもたらすアプリ開発を心がけることで、採用される可能性が高まるでしょう。
プラットフォーム運営会社の目的の一つに、ユーザーのプラットフォーム利用時間を延ばすことがあります。ユーザーの視点に立ち、ミニアプリの利便性を向上させることで、利用時間を延ばす効果が期待できます。ユーザーの興味を引く魅力的なコンテンツの配信も有効です。
ほかのオンライン施策と組み合わせる
ミニアプリは、予約システムやデジタルポイントカードの発行など、部分最適化に向いている施策です。開発に制限があることから、独自性を出しづらいというデメリットもあるため、ほかのオンライン施策と組み合わせると良いでしょう。
例えば、LINEのミニアプリをLINEの公式アカウントと組み合わせることで、より多くの「友だち」を創出する効果が期待できます。また、PayPayでは、ミニアプリを利用すると、PayPayモールやPayPayフリマといった関連サービスの利用も可能になり、ユーザーの利便性が向上します。
ミニアプリ単体で施策を考えるのではなく、既存のマーケティング施策と関連付ける方法を検討してみましょう。
ミニアプリを活用して顧客との接点を増やそう
ミニアプリの開発・提供は、ユーザーと開発側の双方にとってメリットが多い施策です。
ユーザーは、ポイントカードを何枚も持ち歩く必要がなくなり、店舗での待ち時間も解消されます。利便性が高まることでロイヤルティの向上にもつながるでしょう。企業側は、コストを抑えながらアプリの開発が可能になり、新規顧客やリピーターを効率的に創出できます。
ミニアプリを導入して快適にサービス利用できる環境を整え、自社の認知度向上やリピーター創出につなげましょう。