デジタルマーケティングとは電子デバイスやインターネットを利用するマーケティングのことです。デジタルマーケティングのすべてが把握できるよう、本記事では基礎から実践まで説明しています。基礎的用語がわからない人、これから導入を検討している人、何をどのように始めたら良いかわからない人はぜひ参考にしてください。

「デジタルマーケティング」とは?
デジタルマーケティングとは、検索エンジンやWebサイト、SNS、メール、モバイルアプリなど、あらゆるデジタルテクノロジーを活用したマーケティングを指しています。
同様にオンラインを通じて行うWebマーケティングとの違いを確認しながら、デジタルマーケティングの理解を深めましょう。
デジタルマーケティングとWebマーケティングの違い
Webマーケティングとは、Webサイトを通じて行われるマーケティングです。Webマーケティングの取り組みとして行われる主なものに、以下のものがあります。
- Webサイトの作成
- SEO(検索エンジン最適化)
- Web広告
- SNSマーケティング
デジタルマーケティングはWebマーケティングよりも包括的な概念です。上記のWebマーケティングだけでなく、ユーザーがデジタルを通じて行動するあらゆる面を網羅しています。
- スマホやタブレットを通じてのユーザーの行動履歴
- 地図アプリなど、アプリを通じての行動履歴
- IoT商品の利用履歴などの包括的なデータ
デジタルマーケティングを活用することで、多様なチャネルを通じて顧客と接触することが可能になります。
デジタルマーケティングが重視されるようになった背景
令和元年通信利用動向調査によると、平成30年から令和元年にかけて、インターネット利用者の割合が10%増加し、89.8%になったことがわかりました。
アクセスする手段も、スマホ経由の割合が増え、13~59歳の年齢層では7割を超えています。インターネットの利用目的は前年同様eメールの送受信であったものの、SNSが前年比9.0%の伸びを見せ、その差は縮まりつつあります。さらにSNSの利用目的について調べた統計が以下のグラフです。

令和元年通信利用動向調査 p.19
SNSというと「人々がつながる場」という印象がありますが、従来のコミュニケーション目的のユーザーがわずかに減っているのに対し、情報収集目的が増加傾向にあります。
統計を通じて、手元にあるスマホを活用して、24時間、望むときはいつでもインターネットにアクセスする人々の姿が浮かび上がります。情報収集の手段も、検索エンジンだけでなくSNSの活用が増えています。
増え続けるインターネットユーザーに情報を提供する手段として、また既存顧客と継続的につながる手段として、今まで以上に包括的なアプローチが求められています。デジタルマーケティングの台頭は、そのような状況の変化を受けてのことでした。
デジタルマーケティングの目的
デジタルマーケティングの目的は、おもに以下の3点にまとめることがができます。
- オーディエンスとの接触機会をふやす
- オーディエンスデータの蓄積
- 1人1人のニーズに合った情報を提供
オーディエンスとの接触機会をふやす
昔も今も、マーケティングが目指しているのは「最適な場所、最適なタイミングでオーディエンスとつながること」です。これを現代に当てはめると、オーディエンスが集まっているオンライン上の多種多様なチャネルで出会う必要があるということになります。
オーディエンスデータの蓄積
デジタルマーケティングはユーザーに情報や解決策を提供するだけではありません。ユーザーの行動をデータとして収集し、活用することもまたデジタルマーケティングの目的です。デジタルデータを蓄積することで、従来のアンケートなどでは把握しきれなかったユーザーの本音やインサイトも把握できるようになりました。
1人ひとりのニーズに合った情報を提供
デジタルデータの活用によって、ユーザーひとりひとりの問題認識や顕在ニーズ、潜在ニーズがより細かく把握できます。データの分析を通じて、ユーザーの抱える問題を特定し、ニーズに沿った情報の提供が可能です。
IoTを活用したマーケティングについてのさらにくわしい情報は「マーケティング担当者必見! IoTの事例とそれを成功に導くポイントについて」を参考にしてください。
デジタルマーケティングの手法とチャネル
デジタルマーケティングは、顧客が多くの時間を過ごす場所、すなわちオンライン上で顧客とつながることを目的として、以下のチャネルを活用します。
これらのチャネル上でのデジタルマーケティングの手法を見ていきます。
デジタルマーケティングの手法と例
理想的なデジタルマーケティングとは、全体的な目標の達成に向けて個々のデジタルマーケティングキャンペーンが明確に組織化されている活動です。マーケティング戦略の目的や必要性によっては、無料および有料のチャネルを組み合わせることで大規模なキャンペーンを展開することも可能です。
たとえば、コンテンツマーケターは自社が最近出したeBookからの見込み客獲得に役立つブログ記事をシリーズで制作します。さらに、ソーシャルメディアマーケターがブログ記事を宣伝する情報をSNSの有料投稿や自社アカウントでの自然な投稿の形でアップします。そして、EメールマーケターがeBookをダウンロードした人たちに自社のさらに詳しい情報を届けるEメールキャンペーンを作成します。それぞれのデジタルマーケターについての詳しい説明は後述します。
デジタルマーケティングの最も一般的な手法と、それぞれに関係するチャネルの概要は次の通りです。
検索エンジン最適化(SEO)
自社のウェブサイトを検索エンジンの結果ページで上位に表示させ、オーガニック検索トラフィック(またはフリートラフィック)を向上させるためのウェブサイト最適化プロセス (SEO)。SEOによるメリットがあるチャネルには、次のようなものがあります。
SEOについて詳しく解説したガイドはこちら
基礎と実践ノウハウを凝縮! SEO基礎完全攻略キット
コンテンツマーケティング
ブランド認知度やトラフィックの向上、リードジェネレーション(見込み客の獲得)、顧客獲得を目的としたコンテンツの制作およびプロモーション。コンテンツマーケティング戦略に活用できるチャネルには、次のようなものがあります。
- ブログ記事
- eBookおよびホワイトペーパー
- インフォグラフィック
- オンラインカタログおよびルックブック
コンテンツマーケティングを学んで自社のビジネスに活用するには、HubSpotアカデミーのコンテンツマーケティングのトレーニングリソース(英語)をご覧ください。
コンテンツマーケティングについて詳しく解説したガイドはこちら
入門ガイド:コンテンツマーケティング
ソーシャルメディアマーケティング
ブランド認知度やトラフィックの向上、リードジェネレーションを目的としてSNS上でブランドやコンテンツをプロモーションすること。ソーシャルメディアマーケティングに活用できるチャネルには、次のようなものがあります。
- Facebook
- Twitter
- LinkedIn
- Instagram
- Snapchat
- Pinterest
ソーシャルメディアマーケティングについて詳しく解説したガイドはこちら
マーケティングファネルの各段階でSNSを適切に使用する方法
PPC(クリック課金)
オンライン広告のクリック数に応じた料金を掲載媒体に支払うことで、自社ウェブサイトへのトラフィックを増加させる方法。最も一般的なPPCであるGoogle広告は、自社のリンクをGoogleの検索結果の上位に表示させ、クリック数に応じた料金を支払うサービス。PPCが活用できるその他のチャネルには、次のようなものがあります。
- Facebookの有料広告
- Twitterのプロモツイート
- LinkedInのスポンサードメッセージ
Web広告について詳しく解説したガイドはこちら
Google 広告活用ガイド
Facebook広告完全ガイド 2020年版
アフィリエイトマーケティング
他社の製品やサービスを自分のウェブサイトでプロモーションすることで紹介料を受け取れる実績ベースの宣伝活動です。
アフィリエイトマーケティングには、主に2つのタイプがあります。
- 成果報酬型
サイトやブログを経由して商品が売れると、成約した件数に応じた報酬が支払われるタイプです。物販以外にも、情報系の教材や商材に価値を付けた商品も対象です。
- クリック型
広告がクリックされるたびに、報酬が支払われるタイプです。成約率は報酬に影響しません。なお、クリック型と成功報酬型がひとつになったタイプのアフィリエイトもあります。
また、アフィリエイトマーケティングのチャネルには、次のようなものがあります。
YouTubeからの広告収益について詳しく解説したブログ記事はこちら
ネイティブ広告
ネイティブ広告とは、スポンサーを持たない通常のコンテンツに溶け込むようにプラットフォームに掲載される、コンテンツを中心にした広告のことを指します。BuzzFeedのスポンサー記事がよい例ですが、SNSでの広告(Facebookでの広告やInstagramでの広告)も「ネイティブ」に該当すると考える人も多くいます。
リターゲティング広告
ユーザーがサイトを離脱した後も追跡して表示する広告が「リターゲティング広告」です。
リターゲティング広告は、商品やサービスの購入を検討したが即決しなかったユーザーに再検討を促す効果があります。購入せずにサイトを離れたユーザーの心理は、「購入を迷っている」「気にはなっているが買うほどではない」という状態です。このようなユーザーに対して繰り返しアピールすることで、購買意欲を高めます。
マーケティングオートメーション
マーケティングにおける単純業務の自動化を目的とするソフトウェアです。マーケティング部門が手がける仕事には、次の例のように人手を省いて自動化できる反復的な作業が数多くあります。
- Eメールニュースレター
- SNS投稿のスケジューリング
- コンタクトリストの更新
- リードナーチャリング(有望な見込み客への育成)のワークフロー
- キャンペーンのトラッキングとレポート作成
マーケティングオートメーションは、このような反復作業の自動化を実現します。人的リソースが不足している企業ほど、導入する意義があるでしょう。
マーケティングオートメーションについて詳しく解説したガイドはこちら
マーケティングオートメーション実践ガイド
Eメールマーケティング
Eメールマーケティングは、オーディエンスとのコミュニケーション手段として使われます。コンテンツや割引、イベントのプロモーションのほか、自社サイトへの誘導手段としても活用されています。Eメールマーケティングキャンペーンで送信されるEメールのタイプには、次のようなものがあります。
- ブログ登録者向けニュースレター
- ウェブサイトでダウンロードを実行した訪問者へのフォローアップEメール
- 顧客へのウェルカムEメール
- ロイヤルティープログラム会員への歳末プロモーション
- 顧客ナーチャリングを目的とするEメールシリーズ(役立つ知識の紹介など)
Eメールマーケティングについて詳しく解説したガイドはこちら
入門編:Eメールマーケティング完全ガイド
完全ガイド:コンバージョンを獲得するEメールマーケティング最適化
オンラインPR
オンラインPRとは、デジタル出版物やブログなどのコンテンツベースのウェブサイトを活用して、アーンドメディアでの話題となることを目指す活動を指します。オンラインで展開されることを別にすれば、従来のPRとほぼ同じです。PR活動を効果的に展開できるチャネルには、次のようなものがあります。
- SNSを使った記者への情報発信
- 自社についてのオンラインレビューへのエンゲージメント
- 個人のウェブサイトやブログに寄せられるコメントへのエンゲージメント
オンラインPRについて詳しく解説したガイドはこちら
PRの基礎と必須ツールがわかるPR活動完全ガイド
インバウンドPR戦略
インバウンドマーケティング
インバウンドマーケティングとは、マーケティングファネル全体を通じて顧客を惹き付け、関係を育み、満足させるための、オンラインコンテンツ活用アプローチです。インバウンドマーケティング戦略では、前述したデジタルマーケティングの手法すべてが活用できます。
さらにデジタルマーケティングの戦略についてくわしく知りたい方は「効果的なデジタルマーケティング戦略を作成するための完全ガイド」を参考にしてください。
デジタルマーケティングを実施するメリットは?
デジタルマーケティングでは、正確な実績をリアルタイムで確認することができます。新聞に広告を出した経験がある方なら、実際にそのページを開き、広告に注目した読者の数を推定することがどれほど難しいかをご存じでしょう。その広告が多少なりとも売上に貢献しているのかどうかさえ確実に知ることはできません。
一方デジタルマーケティングでは、マーケティングを構成するほぼすべての要素のROIを算定することができます。
以下にいくつか例をあげます。
ウェブサイトの成果(トラフィック・会員登録数など)
例えばウェブサイトの閲覧者数をリアルタイムで正確に知ることができます。
また、訪問者が閲覧したページ数や使用デバイスの種類、訪問元となったサイトなど、さまざまなアナリティクスデータを確認することも可能です。
このような情報は、それぞれのマーケティングチャネルが創出しているウェブサイト訪問者数に基づいて、力を入れるべきチャネルを判断するのに役立ちます。オフラインマーケティングでは、顧客が問い合わせや購入に至る前に自社のブランドとどのように関わりをもっているかがなかなか把握しにくいのが実状です。デジタルマーケティングでは、カスタマージャーニーの最終ステージに到達するまでの行動傾向やパターンを把握できるため、マーケティングファネルの入口で自社サイトへの訪問を効果的に促す戦略を立てることができます。
無料配布資料の効果検証
製品カタログを印刷して郵送で配布する場合を考えてみましょう。オンラインではありませんが、このカタログもコンテンツの一種です。問題は、カタログを開いてくれた人が何人いて、そのままゴミ箱に捨ててしまった人が何人いるのかが全く分からないという点です。
では、今度は印刷物ではなくウェブサイト上にカタログを掲載したとしましょう。この場合、カタログがホスティングされているページを閲覧した人数が正確に測定できます。さらにフォームを使えば、カタログをダウンロードした人の連絡先情報を収集することもできます。掲載されたコンテンツに反応した人数が把握できるだけでなく、ダウンロードを通して見込み客を獲得することもできるのです。
アトリビューション(属性)分析
効果的なデジタルマーケティング戦略を適切なツールやテクノロジーと組み合わせれば、すべての売上記録からそのお客様が最初にブランドとコンタクトをとった瞬間までさかのぼることができます。
このプロセスはアトリビューション分析と呼ばれ、人々がそのブランドの製品について調べ、購入するプロセスに見られる傾向を特定することができます。マーケティング戦略において力を入れるべき分野やセールスサイクルで改善が必要な部分などを判断する際に有益な情報源となるでしょう。
マーケティングと営業との相関関係を明確にすることは非常に重要です。Aberdeen Groupによれば、マーケティングと営業の連携を強化した企業では年間当たり20%収益がアップするのに対し、連携が弱い企業では4%の減少が見られると報告されています。デジタルテクノロジーを使ってセールスサイクルにおけるカスタマージャーニーを改善することができれば、最終的な収益の向上につながるでしょう。
デジタルマーケティングのKPI
デジタルマーケティングでは、無料と有料のチャネルを自社の方針に応じて組み合わせながら、ブランド認知とリード創出を図ります。利用するチャネルには、SNS、自社ウェブサイト、検索結果の表示順位、Eメール、ディスプレイ広告、自社ブログなどがあります。
通常、チャネルごとに自社の実績を正しく把握できるよう、さまざまなKPI(重要業績評価指標)に注目しています。以下に、いくつかこうしたKPIの例をあげます。
SEOのKPI主なKPI:オーガニックトラフィック
SEOの目的は検索結果の上位に自社が表示されるようにすることです。検索エンジン最適化のためのさまざまなアプローチを駆使し、時にコンテンツの制作担当者とも協同しながら、自社の検索順位を高める取り組みを行います。これは、SNS上に投稿されるコンテンツに関しても同様です。この目標が達成されたかどうかは、自社Webサイトのオーガニック検索順位をKPIとします。
コンテンツマーケティングのKPI主なKPI:ページ滞在時間、総合ブログアクセス数、YouTubeチャンネル登録数
コンテンツマーケティングはユーザーにとって有益な情報を発信し、コンバージョンを促し、リード獲得を目的としています。ブログだけでなく動画も含めたコンテンツ戦略を立案し、デジタルコンテンツを作成します。また、自社の新製品発売やキャンペーンの開始に際しては、他部門とも連携してデジタルコンテンツでサポートします。コンテンツマーケティングの効果は、ユーザーのページ滞在時間、総合ブログアクセス数、YouTubeチャンネル登録数などで測定します。
コンテンツマーケティングについて、さらにくわしく知りたい人は「コンテンツマーケティングとは? 定義から実践方法までを徹底解説」を参考にしてください。
SNSのKPI主なKPI:フォロー数、インプレッション数、シェア数
SNSを運用する目的は、ブランド認知やユーザーとのインタラクティブなコミュニケーション、自社Webサイトのアクセス向上、商品やサービスの情報提供など企業によって異なり、SNSチャネルによっても異なります。
基本となるKPIはフォロー数、インプレッション数、シェア数ですが、目的に応じて、例えば自社Webサイトへのアクセス数などをKPIとする場合もあります。(注:ここでのKPIに含まれる「インプレッション数」は、自社の投稿がユーザーのニュースフィードに表示される回数を意味します)
SNSでのプロモーションに興味がある方は「SNSを使ったマーケティングプロモーションで必須の4大SNSとその特徴」を参考にしてください。
マーケティングオートメーションのKPI主なKPI:Eメール開封率、キャンペーンのクリックスルー率、リードジェネレーション率(コンバージョン率)
マーケティングオートメーションとは、簡単にいうと「マーケティング活動の自動化を目標とするソフトウェア」のことです。獲得した見込み客の情報を管理し、行動を理解し、優良な見込み客を営業部門に引き渡すところまでを担当します。
個別に実施されることの多いEメールの開封率やコンバージョン率の計測を、ひとつに統合するという役割を担うものです。マーケティングオートメーションのKPIとしては、メールマガジンへの登録などのコンバージョン率やメールマガジンの開封率、キャンペーンのクリックスルー率などがあります。
デジタルマーケティングとインバウンドマーケティングの違い
一見すると、どちらも主にオンラインで行われ、デジタルコンテンツを作成して人々に見せることを狙いとしているという点でこの2つはよく似ています。では、両者の違いはどこにあるのでしょうか?
「デジタルマーケティング」という言葉は、マーケティングにおけるプッシュ戦略とプル戦略(現在で言うアウトバウンドとインバウンド)の区別をしません。どちらもデジタルマーケティングのカテゴリーに含まれます。
「アウトバウンド」のデジタル戦略は、オンライン空間でできる限り多くの人にマーケティングメッセージを見てもらうことが目標です。このとき、見る人にとって関心のある内容であるか、歓迎されるかどうかは重要ではありません。たとえば、多くのウェブサイトで上部に表示される派手なバナー広告は製品やキャンペーンを押しつける(プッシュする)もので、歓迎されない場合もあります。
一方、「インバウンド」のデジタル戦略では、ターゲット層に有益な資産をオンラインコンテンツ上で提供することによってウェブサイトに惹き付けます。最もシンプルで効果的なインバウンドデジタルマーケティング資産とは、ターゲット層の検索するキーワードを生かした記事作りが可能なブログです。
このように、インバウンドマーケティングとは、デジタルマーケティング資産を使ってオンラインの顧客を惹き付け、関係を育み、満足させるための手法です。一方、デジタルマーケティングとはインバウンドかアウトバウンドかに関わらずあらゆる種類のオンラインマーケティングを指す総称です。
デジタルマーケティングはあらゆるビジネスに効果的?
デジタルマーケティングは、どんな業界のどんなビジネスにも効果的です。商材の種類に関わらず、バイヤーペルソナを確立してオーディエンスのニーズを特定し、価値のあるオンラインコンテンツを作ることがデジタルマーケティングの本質だからです。しかし、すべてのビジネスで同じようなデジタルマーケティング戦略が通用するというわけではありません。
B2Bデジタルマーケティング
B2Bビジネスの場合は、オンラインでのリードジェネレーションを中心としたマーケティング活動を行うことが一般的です。ここでの目標は営業部への問い合わせを増やすことにあります。したがって、ウェブサイトや二次的なデジタルチャネルからできる限り質の高い潜在顧客を惹き付け、有望見込み客(リード)に転換するマーケティング戦略が求められます。
ウェブサイト以外では、ターゲット層がオンラインでよく利用しているLinkedInのようなビジネス向けチャネルに的を絞る企業が多いでしょう。
B2Cデジタルマーケティング
製品の価格帯にもよりますが、B2Cビジネスの場合は、消費者をウェブサイトに惹き付け、営業担当者を介さずにそのまま購入を成立させることがデジタルマーケティングの目標となっていることが一般的です。
そのため、B2Bビジネスでいうリードジェネレーションより、消費者が自社サイトにアクセスしてから購入に至るまでのプロセスが短時間で完了するカスタマージャーニーの構築に力を入れることになります。このような場合、製品を紹介するコンテンツはマーケティングファネルの最上層近くに配置することが一般的です。また、B2Bビジネスよりも積極的なCTA(Call-To-Action)が必要となります。
B2C企業の場合は、LinkedInのようなビジネス重視のプラットフォームよりもInstagramやPinterestのようなチャネルの方が有効なツールとなることがしばしばあります。
カスタマージャーニーに基づいたデジタルコンテンツを
制作するコンテンツの種類は、カスタマージャーニーのそれぞれのステージでオーディエンスが必要とするものによって異なります。まずはバイヤーペルソナを作成し(こちらの無料テンプレートをお試しください)、ご自身のビジネスに関連するオーディエンスの目標と課題を特定してください。基本的には、これらの目標の達成と課題の克服を支援できるようなオンラインコンテンツを目指します。
デジタルコンテンツの指針となるカスタマージャーニーとは
ここで改めてカスタマージャーニーについて、基本的なことを押さえておきましょう。カスタマージャーニーを簡単に説明すると「顧客の行動や思考、感情の変化を時間軸に添って記載し、商品やサービス購入のプロセスと意思決定までのストーリーを「見える化」する手法」ということになります。
見込み客の感情や思考・行動を「見える化」することによって、適切なポイントで、過不足のない情報を提供し、信頼関係を積み重ねていけるようになります。
見込み客のステージに合わせたコンテンツとして、以下のものがあります。
認識ステージ
- ブログ記事:SEOやキーワード戦略を効果的に組み合わせることで、オーガニックトラフィックの増加に大きく寄与します。ユーザーの悩みを解消する質の高い記事を量産すれば検索エンジンの評価が上がり、オーガニック検索からの流入がさらに増えるでしょう。
- インフォグラフィック:簡単にシェアできるインフォグラフィックは、SNSでのコンテンツのシェアによって新しいオーディエンスの目に留まるチャンスを高めてくれます。(はじめての方はぜひこちらのインフォグラフィック無料テンプレートをご利用ください)
- 短い動画:シェアしやすく、YouTubeなどのプラットフォームに投稿することで新しいオーディエンスの目に留まるきっかけになります。たくさんの人に見てもらってファンになってもらうためには、「面白い」「役に立つ」「感動する」など、企業に関心のないユーザーにも響く内容にしなければいけません。
検討ステージ
- eBook:ブログ記事やインフォグラフィックよりも包括的なeBookは、ダウンロードの対価として連絡先情報を登録してもらいやすく、リードジェネレーションに効果的です。
- 調査レポート:同じくリードジェネレーションに効果的な重要なコンテンツです。業界に特化した調査レポートや最新データはメディアや業界誌に取り上げられることも多く、認識ステージでも効果を発揮します。
- ウェビナー:より詳しくインタラクティブなコンテンツを提供するウェビナーは、ブログ記事や短い動画よりも包括的なコンテンツを提供することができるため、検討ステージ向けのコンテンツとして最適です。
意思決定ステージ
- 導入事例(ケーススタディー):ウェブサイトに詳細な導入事例が掲載されていると、新たな見込み客の導入決定を後押しする効果的なコンテンツとなります。
- お客様の声:導入事例が不向きなビジネスの場合も、簡単な「お客様の声」を掲載すると効果的です。B2Cブランドの場合は、さらに多様な形式が考えられます。たとえばアパレルなら、購入された方々に自社ブランドのハッシュタグを使ったコーディネート写真の投稿を呼びかけ、サイトで紹介するといったスタイルも可能です。
成果が出るまでにかかる時間は?
デジタルマーケティングではROIを評価しやすいため、オフラインマーケティングよりも短期間で成果が出るように思ってしまいがちですが、実際のところ、デジタルマーケティング戦略のスケールや有効性によって、成果が出るまでの期間もまちまちです。
包括的なバイヤーペルソナを構築してオーディエンスのニーズを特定し、惹き付け、有望見込み客に転換することができる質の高いオンラインコンテンツの制作に力を入れれば、半年以内には大きな成果が得られるはずです。
デジタル戦略の一部に有料広告を活用している場合は、さらに短期間で効果を実感できるでしょう。ですが、長期的で持続可能な成功を手にするには、コンテンツやSEO、SNSを使ってオーガニック(フリー)トラフィックを増やすことに力を入れることをおすすめします。
デジタルマーケティングには多額の予算が必要?
これは何についても言えることですが、必要な予算はデジタルマーケティング戦略にどんな手法を活用したいかによって異なります。
ウェブサイトがすでにあり、SEO、SNS、コンテンツ制作などのインバウンドテクニックに的を絞るつもりなら、予算はあまり必要ありません。インバウンドマーケティングの主な焦点は、オーディエンスに見たいと思ってもらえる質の高いコンテンツの制作にあります。外部に委託する場合を除けば、必要な投資は担当者の時間だけとなります。
最初は、HubSpotのCMS(コンテンツ管理システム)を利用したウェブサイトのホスティングやコンテンツの制作も可能です。予算が限られている場合は、StudioPressのシンプルなテーマを利用して、WP EngineでホスティングされるWordPressを使う方法があります。
オンライン広告やEメールアドレスリストの購入のようなアウトバウンドのマーケティング手法には、それなりの予算が必要であることは言うまでもありません。予算規模は、そのメッセージをどこまで目立たせたいかによって決まります。
Google広告のPPCを例にとると、自社のビジネスに関わるキーワードを使ったGoogle検索の結果で上位に表示されるためには、同業他社と入札金額を競わなければなりません。キーワードの競争率によっては、比較的安価で済むことも非常に高額になることもあります。オーガニックトラフィックの獲得に力を入れることをおすすめしているのはこのためです。
デジタルマーケティング戦略におけるモバイルマーケティングの位置づけ
デジタルマーケティングにおけるもうひとつの重要な要素がモバイルマーケティングです。実際、諸外国に比べてモバイル人気がそれほど高くない米国でも、デジタルメディア利用時間の69%をスマートフォン利用が占めており、デスクトップベースのデジタルメディア利用は半分に満たないという調査データ(英語)があります。
つまり、デジタル広告やウェブページ、SNSの画像といったデジタル資産をモバイルデバイス向けに最適化することが必要不可欠となります。自社ブランドとユーザーとのコミュニケーションやショッピングに対応したモバイルアプリがある場合、これもデジタルマーケティングの一部として数えられます。
自社が提供するオンライン体験は、モバイルデバイスからであってもデスクトップからであっても同じように快適なものであることが大切です。ウェブサイトをモバイル対応またはレスポンシブデザインにして、モバイルデバイスからでも閲覧しやすくなるようにしましょう。コンテンツのダウンロードもモバイルからスムーズに行えるよう、入力フォームを短めにするなどの配慮も必要かもしれません。SNS上の画像については、モバイルデバイスでの表示領域が小さいためにテキストが途切れてしまうこともあります。常にモバイルユーザーからの見え方を考慮に入れて制作しましょう。
デジタルマーケティング資産をモバイルユーザー向けに最適化する方法は数多くあります。デジタルマーケティング戦略を推進するにあたっては、モバイルデバイス上でのユーザー体験も考慮することがとても重要です。このポイントを常に念頭においておけば、オーディエンス本位のデジタル体験を作り出し、ひいては目指す成果を上げることにつながります。
《結論》これからデジタルマーケティングに取り組むには?
すでにデジタルマーケティングを実施している場合、これまでにもオンラインである程度のオーディエンスの目には留まっていることと思います。それでもまだ改善の余地がある点はいくつか思い当たるのではないでしょうか。
そこでHubSpotでは、初めての方でも経験のある方でも手順に従うだけで効果的なデジタルマーケティング戦略を策定できる無料eBook「顧客を惹き付けるためのデジタルマーケティング戦略」をご用意しましたので、ぜひご活用ください。

