デジタルマーケティングのすべてが把握できるよう、本記事では基礎から実践まで説明しています。
基礎的用語がわからない人、これから導入を検討している人、何をどのように始めたら良いかわからない人はぜひ参考にしてください。
顧客を惹き付けるためのデジタルマーケティング戦略ガイド
「デジタルマーケティング」とは?
デジタルマーケティングとは、検索エンジンやWebサイト、SNS、メール、モバイルアプリなど、あらゆるデジタルテクノロジーを活用したマーケティングを指しています。
同様にオンライン上で実施するWebマーケティングとの違いを確認しながら、デジタルマーケティングの理解を深めましょう。
デジタルマーケティングとWebマーケティングの違い
Webマーケティングとは、Webを通じて行われるマーケティングです。Webマーケティングの取り組みとして行われる主なものに、以下のものがあります。
- Webサイトの作成
- SEO(検索エンジン最適化)
- Web広告
- SNSマーケティング
デジタルマーケティングはWebマーケティングよりも包括的な概念です。上記のWebマーケティングだけでなく、ユーザーがデジタルを通じて行動するあらゆる面を網羅しています。
- スマホやタブレットを通じてのユーザーの行動履歴
- 地図アプリなど、アプリを通じての行動履歴
- IoT商品の利用履歴などの包括的なデータ
デジタルマーケティングを活用することで、多様なチャネルを通じて顧客と接触することが可能になります。
デジタルマーケティングが重視されるようになった背景
令和4年通信利用動向調査によると、令和4年は84.9%の人がインターネットを利用しており、令和に入ってから1度も80%を割っていない状況です。
特に13~59歳の年代は90%以上の利用率となっており、インターネットを活用したアプローチであるデジタルマーケティングが必須となってきています。
年々増加傾向にあるインターネットユーザーに情報を提供する、もしくは既存顧客と継続的につながる手段として、今まで以上に包括的なアプローチが求められています。
WEB広告やSEOを活用した集客、メール配信を主としたCRMなどさまざまな手段を取り入れて見込み客や顧客に接触していくようにしましょう。
デジタルマーケティングの目的
デジタルマーケティングの目的は、おもに以下の3点にまとめることができます。
- ユーザーとの接触機会をふやす
- ユーザーデータの蓄積
- 1人1人のニーズに合った情報を提供
ユーザーとの接触機会をふやす
昔も今も、マーケティングが目指しているのは「最適な場所、最適なタイミングでユーザーとつながること」です。
デジタルマーケティングでは、オンラインを含めた多種多様なチャネルがあり、必要なチャネルを見極めて接触を増やしていきます。
ユーザーデータの蓄積
デジタルマーケティングはユーザーに情報や解決策を提供するだけではありません。ユーザーの行動をデータとして収集し、活用することもまたデジタルマーケティングの目的です。
デジタルデータを蓄積することで、従来のアンケートなどでは把握しきれなかったユーザーの本音やインサイトも把握できるようになりました。
1人ひとりのニーズに合った情報を提供
デジタルデータの活用によって、ユーザーひとりひとりの問題認識や顕在ニーズ、潜在ニーズがより細かく把握できます。
データの分析を通じて、ユーザーの抱える問題を特定し、ニーズに沿った情報の提供が可能です。
デジタルマーケティングとインバウンドマーケティングの違い
マーケティングを分類しようとしたとき、チラシ配布などのリアルでのマーケティングに対してデジタルテクノロジーを駆使して行われるのがデジタルマーケティングです。
一方、ユーザーとの関わり方においてプッシュかプルかという観点に立ったとき、プル型のマーケティングをインバウンドマーケティングと呼びます。
インバウンドマーケティングでは、こちらから情報を無理に押し付けるのではなく、価値あるコンテンツと顧客それぞれに合わせた体験を創出し、相手を惹きつけていきます。
これの反対がプッシュ型のアウトバウンドマーケティングであり、こちらから積極的に情報をユーザーへ届けていきますが、望まれないコンテンツで邪魔をしてしまう可能性もあります。
デジタルマーケティングの中にも、インバウンド的な施策とアウトバウンド的な施策があります。
インバウンド的な施策では、ブログが代表的です。アウトバウンド的な施策では、サイトをスクロールして閲覧しているときにいきなり現れるポップアップが挙げられます。
デジタルマーケティングの手法とチャネル
デジタルマーケティングでは、さまざまな手法を用いてチャネルに顧客を誘導し、接触を試みます。
ここでは、以下の手法をご紹介します。
- 検索エンジン最適化(SEO)
- マップエンジン最適化(MEO)
- コンテンツマーケティング
- ソーシャルメディアマーケティング
- デジタル広告
- マーケティングオートメーション
- Eメールマーケティング
- オンラインPR
- アプリマーケティング
検索エンジン最適化(SEO)
自社のウェブサイトを検索エンジンの結果ページで上位に表示させ、オーガニック検索トラフィックを向上させるための施策をSEOと呼びます。
SEOについては、基礎から対策までを以下の記事で詳しく解説しています。
SEOによって、以下のチャネルにユーザーを集めることができます。
- ウェブサイト
- ブログ
- インフォグラフィック
また、近年はiPhoneのSiriを始めとした音声アシスタントが普及してきており、音声を使った検索に対応するためのVSOも注目度を高めています。
SEOについて詳しく解説したガイドは、以下を参照してください。
マップエンジン最適化(MEO)
SEOと関連する手法として、マップエンジン最適化(MEO)というものもあります。
主にGoogle マップを対象に、検索において上位に入り、マップでのユーザーへの露出を目指します。
MEOによって、以下のチャネルにユーザーを集めることができます。
- マップにおける店舗・企業情報
- ウェブサイト
また、場所を検索するユーザーにはそこへ行きたいという意図があるため、マップ情報やウェブサイトを経由して店舗への集客につながります。
コンテンツマーケティング
ブランド認知度やトラフィックの向上、リードジェネレーション(見込み客の創出)、顧客の創出を目的としたコンテンツの制作およびプロモーションをコンテンツマーケティングと呼びます。
コンテンツマーケティング戦略に活用できるチャネルには、次のようなものがあります。
- ブログ記事(オウンドメディア )
- eBook およびホワイトペーパー
- インフォグラフィック
- オンラインカタログおよびルックブック
- YouTubeなどの動画サイト
コンテンツマーケティングを学んで自社のビジネスに活用するには、HubSpotアカデミーのコンテンツマーケティングのトレーニングリソース(英語)をご覧ください。
あわせて、コンテンツマーケティングについて詳しく解説したガイドも参考にしてください。
ソーシャルメディアマーケティング
ブランド認知度やトラフィックの向上、リードジェネレーションを目的としてSNS上でブランドやコンテンツをプロモーションすること。
ソーシャルメディアマーケティングに活用できるチャネルには、次のようなものがあります。
- Snapchat
ソーシャルメディアマーケティングについて詳しく解説したガイドはこちら
デジタル広告
主にオンライン上で出稿されるデジタル広告は、広告費を支払い顕在層から潜在層まで幅広くユーザーにリーチする手段として広く採用されています。
デジタル広告として、主に以下のようなものがあります。
- 運用型(状況に合わせて広告の内容を変更しながら配信)
リスティング広告:Google /Yahoo!検索広告など検索結果に対して出せるテキスト広告 - ディスプレイ広告:Facebook、GDN、YDAなど
画像とテキストを使った広告 - 動画広告:Youtube、TikTokなど
動画とテキストを使った広告 - 純広告(広告の内容は変更できない、決まった期間配信)
Yahoo!JAPANブランドパネルなど
アフィリエイトマーケティング
他社の製品やサービスを自分のウェブサイトでプロモーションすることで、紹介料を受け取れる実績ベースの宣伝活動です。
また、YouTubeパートナープログラムによる動画広告のホスティングなどもアフィリエイトの一種です。
ネイティブ広告
ネイティブ広告とは、スポンサーを持たない通常のコンテンツに溶け込むようにプラットフォームに掲載される、コンテンツを中心にした広告のことを指します。
BuzzFeedのスポンサー記事がよい例ですが、SNSでの広告(Facebookでの広告やInstagramでの広告)も「ネイティブ」に該当すると考える人も多くいます。
リターゲティング広告
ユーザーがサイトを離脱した後、取得した情報を追跡して表示する広告が「リターゲティング広告」です。
リターゲティング広告は例えば、商品やサービスの購入を検討したが即決しなかったユーザーに再検討を促す効果があります。
マーケティングオートメーション
マーケティングにおける単純業務の自動化を目的とするソフトウェアです。マーケティング部門が手がける仕事には、次の例のように人手を省いて自動化できる反復的な作業が数多くあります。
- Eメールニュースレター
- SNS投稿のスケジューリング
- コンタクトリストの更新
- リードナーチャリング(見込み客の購買意欲醸成)のワークフロー
- キャンペーンのトラッキングとレポート作成
マーケティングオートメーションは、このような反復作業の自動化を実現します。人的リソースが不足している企業ほど、導入する意義があるでしょう。
Eメールマーケティング
Eメールマーケティングは、オーディエンスとのコミュニケーション手段として使われます。コンテンツや割引、イベントのプロモーションのほか、自社サイトへの誘導手段としても活用されています。
Eメールマーケティングキャンペーンで送信されるEメールのタイプには、次のようなものがあります。
- ブログ登録者向けニュースレター
- ウェブサイトでダウンロードを実行した訪問者へのフォローアップEメール
- 顧客へのウェルカムEメール
- ロイヤルティープログラム会員への歳末プロモーション
- 顧客ナーチャリングを目的とするEメールシリーズ(役立つ知識の紹介など)
Eメールマーケティングについて詳しく解説したガイドはこちら
オンラインPR
オンラインPRとは、デジタル出版物やブログなどのコンテンツベースのウェブサイトを活用して、アーンドメディアでの話題となることを目指す活動を指します。オンラインで展開されることを別にすれば、従来のPRとほぼ同じです。
PR活動を効果的に展開できるチャネルには、次のようなものがあります。
- SNSを使った記者への情報発信
- 自社についてのオンラインレビューへのエンゲージメント
- 個人のウェブサイトやブログに寄せられるコメントへのエンゲージメント
オンラインPRについて詳しく解説したガイドはこちら
アプリマーケティング
スマホやタブレットで利用できるアプリを活用し、ユーザーとの接触を行うマーケティング手法です。
アプリマーケティングでは、クーポンを配信することで店舗への誘導を行ったり、有益な情報を発信することでブランドへの好感度を上げたりします。
以下のチャネルを用いて、アプリダウンロードを促していきます。
- SNS
- デジタル広告
- ウェブサイト
IoTを活用したマーケティング
IoTは「Internet of Things」の略で、日本語では「モノのインターネット」と訳されます。モノがインターネットに接続している状態を指し、センサーによって周りの情報を取得してインターネットを通じて蓄積していく役割があります。
IoTによってこれまで収集が難しかったビッグデータの収集が可能になり、さまざまな分野の発展が期待されています。マーケティングについても同様で、見込み客の情報を収集することで新たなマーケティング施策へ活かせるようになっています。
例えば以下のような場所で情報の収集を行えます。
- 自動販売機
- 駐車場
IoTを活用したマーケティング施策については、以下コラムにて詳しく解説しています。
デジタルマーケティングを実施するメリットは?
デジタルマーケティングでは、正確な実績をリアルタイムで確認し、マーケティングを構成するほぼすべての要素のROIを算定することができます。
以下にいくつか例をあげます。
ウェブサイトの成果(トラフィック・会員登録数など)
例えばウェブサイトの閲覧者数をリアルタイムで正確に知ることができます。また、訪問者が閲覧したページ数や使用デバイスの種類、訪問元となったサイトなど、さまざまなアナリティクスデータを確認することも可能です。
このような情報は、それぞれのマーケティングチャネルが創出しているウェブサイト訪問者数に基づいて、力を入れるべきチャネルを判断するのに役立ちます。
オフラインマーケティングでは、顧客が問い合わせや購入に至る前に自社のブランドとどのように関わりをもっているかがなかなか把握しにくいのが実状です。
デジタルマーケティングでは、カスタマージャーニーの最終ステージに到達するまでの行動傾向やパターンを把握できるため、マーケティングファネルの入口で自社サイトへの訪問を効果的に促す戦略を立てることができます。
無料配布資料の効果検証
製品カタログを印刷して郵送で配布する場合を考えてみましょう。オンラインではありませんが、このカタログもコンテンツの一種です。問題は、カタログを開いてくれた人が何人いて、そのままゴミ箱に捨ててしまった人が何人いるのかが全く分からないという点です。
では、今度は印刷物ではなくウェブサイト上にカタログを掲載したとしましょう。この場合、カタログがホスティングされているページを閲覧した人数が正確に測定できます。
さらにフォームを使えば、カタログをダウンロードした人の連絡先情報を収集することもできます。
掲載されたコンテンツに反応した人数が把握できるだけでなく、ダウンロードを通して見込み客を獲得することもできるのです。
アトリビューション(属性)分析
効果的なデジタルマーケティング戦略を適切なツールやテクノロジーと組み合わせれば、すべての売上記録からそのお客様が最初にブランドとコンタクトをとった瞬間までさかのぼることができます。
このプロセスはアトリビューション分析と呼ばれ、人々がそのブランドの製品について調べ、購入するプロセスに見られる傾向を特定することができます。マーケティング戦略において力を入れるべき分野やセールスサイクルで改善が必要な部分などを判断する際に有益な情報源となるでしょう。
マーケティングと営業との相関関係を明確にすることは、非常に重要です。
デジタルテクノロジーを使ってセールスサイクルにおけるカスタマージャーニーを改善することができれば、最終的な収益の向上につながるでしょう。
デジタルマーケティングのKPI
デジタルマーケティングでは、自社の目的を達成するために手法それぞれに合わせたKPI(重要業績評価指標)を設定します。
以下に手法ごとの例をご紹介するので、実績を把握し目標を設定するために参考にしてください。
SEOの主なKPI
KPIの例は、自社ウェブサイトのオーガニック検索順位です。検索における順位が上がれば、ユーザーのウェブサイトへの流入が増えると期待できます。
このKPIを達成するためには、SEOのためのさまざまなアプローチを駆使し、時にコンテンツの制作担当者とも協同していきます。
コンテンツマーケティングの主なKPI
KPIの例は、ユーザーのページ滞在時間、総合ブログアクセス数、YouTubeチャンネル登録数などです。これらの指標を見ることで、どれだけの人がサイトやブログにアクセスし、コンテンツをどれだけ閲覧しているかなどを把握できます。
ブログや動画など、自社にできる施策、商品・サービスに適した施策を選択し、コンテンツを作成していきます。
コンテンツマーケティングについて、さらにくわしく知りたい人は以下を参考にしてください。
SNSの主なKPI
KPIの例は、フォロー数、インプレッション数、シェア数、ウェブサイトへの遷移数などです。これらの数値を見ることで、ブランド認知やキャンペーンごとの反応などを知ることができます。
ユーザーとのコミュニケーションか、ウェブサイトへのアクセス数向上か、情報発信かなど、目的によってKPIを選択しましょう。
SNSでのプロモーションに興味がある方は、以下を参考にしてください。
マーケティングオートメーションの主なKPI
KPIの例は、メールマガジンへの登録などのコンバージョン率、メールマガジンの開封率、キャンペーンのクリックスルー率などです。
マーケティングオートメーションでは見込み客の情報を管理できるため、その行動を把握し、適切なタイミングで接触を行うことでこれらのKPIの数値を上げることができます。
デジタルマーケティングに役立つ9つのツールカテゴリ
デジタルマーケティングで効率よく成果を上げるには、目的に合わせたツールの活用が欠かせません。ここでは、9つのカテゴリのツールについてご紹介します。
マーケティングオートメーション
マーケティング手法としてもご紹介しましたが、マーケティングオートメーションは見込み客を顧客へ醸成するまでの過程を自動化するためのツールです。
コンタクトリストの管理やメール配信管理などを通し、マーケターの負担を軽減して注力するべき業務に集中できるメリットがあります。
SNS管理ツール
SNSはそれぞれのプラットフォームのダッシュボードで管理することもできますが、マーケティングに特化したツールを使うことで見込み客や顧客にアプローチするためのヒントをより効率よく得られるようになります。
CMS
CMS(Contents Management System)とは、Webサイトのコンテンツ(記事、テキスト、画像、レイアウト、デザイン)を一括で管理するシステムのことです。代表的なものにはWordPressがあり、Webサイトの構築やブログなどの更新には欠かせないツールとなっています。
SEOツール
SEOにおいて重要なのはターゲットに向けた良質なコンテンツを更新し続けることですが、どのようなキーワードで施策を打つのがいいかなど、マーケティングのヒントを得るにはSEOツールが欠かせません。
SEOを意識したコンテンツ作成をサポートするツール、掲載順位をチェックするツールなど、目的別にさまざまなSEOツールがあります。
デジタル広告管理ツール
複数の広告プラットフォームに出稿する場合は、デジタル広告管理ツールを使用するのが便利です。
広告配信やレポートの作成などを一元管理することができ、作業時間を大きく削減できるでしょう。
LP作成ツール
商品やサービスの購買を目的としたLPは、デザイン・コーディングのスキルがなければ作れませんが、LP作成ツールを使えば専門的な知識がなくてもLPの作成が可能になります。
Web接客ツール
ECサイトや問い合わせページにおいて、ユーザーに合わせて最適な体験を提供することを目指したのがWeb接客ツールです。
属性に合わせて適切なポップアップを表示する機能、簡単な疑問を解決できるチャットボット機能などがあります。
アクセス解析ツール
Webサイトを運用する上で、アクセス解析は欠かせません。
ユーザーがどのページにアクセスし、サイト上でどのような行動を取っているかを知ることで、Webサイトの改善やマーケティング施策へ活かせるようになります。
動画マーケティング支援ツール
動画を用いたマーケティングを行うなら、その支援ツールの導入を検討しましょう。動画制作をアシストするツール、配信・分析ツールなどがあります。
これらのツールの詳細については、以下コラムにて解説しています。
デジタルマーケティングにおけるよくある疑問
ここでは、デジタルマーケティングにおいて多くの担当者が抱く疑問をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
デジタルマーケティングはあらゆるビジネスに効果的?
デジタルマーケティングは、どんな業界のどんなビジネスにも効果的です。
商材の種類に関わらず、オーディエンスのニーズを特定し、価値のあるオンラインコンテンツを作ることがデジタルマーケティングの本質だからです。
BtoBデジタルマーケティングとは?
BtoBビジネスの場合は、オンラインでのリードジェネレーションを中心としたマーケティング活動を行うことが一般的です。
ここでの目標は営業部への問い合わせを増やすことにあります。したがって、ウェブサイトや二次的なデジタルチャネルからできる限り質の高い潜在顧客を惹き付け、有望見込み客(リード)に転換するマーケティング戦略が求められます。
ウェブサイト以外では、ターゲット層がオンラインでよく利用しているLinkedInのようなビジネス向けチャネルに的を絞る企業が多いでしょう。
BtoCデジタルマーケティングとは?
製品の価格帯にもよりますが、BtoCビジネスの場合は、消費者をウェブサイトに惹き付け、営業担当者を介さずにそのまま購入を成立させることがデジタルマーケティングの目標となっていることが一般的です。
そのため、消費者が自社サイトにアクセスしてから購入に至るまでのプロセスを短時間で完了させるために、カスタマージャーニーの構築に力を入れることになります。
また、BtoBビジネスよりも積極的なCTA(Call-To-Action)が必要となります。BtoC企業の場合は、InstagramやPinterestのようなチャネルが有効なツールとなることがしばしばあります。
成果が出るまでにかかる時間は?
デジタルマーケティングではROIを評価しやすいため、オフラインマーケティングよりも短期間で成果が出るように思ってしまいがちですが、実際のところは戦略のスケールや有効性によって、成果が出るまでの期間もまちまちです。
基本的には、ユーザーのニーズを特定し、惹き付け、有望見込み客に転換することができる質の高いオンラインコンテンツの制作に力を入れることが重要で、成果を待つことになります。
デジタル戦略の一部に有料広告を活用している場合は、さらに短期間で効果を実感できるでしょう。
ですが、長期的で持続可能な成功を手にするには、コンテンツやSEO、SNSを使ってオーガニック(フリー)トラフィックを増やすことに力を入れることをおすすめします。
デジタルマーケティングには多額の予算が必要?
必要な予算はデジタルマーケティング戦略にどんな手法を活用したいかによって異なります。
ウェブサイトがすでにあり、SEO、SNS、コンテンツ制作などのインバウンドテクニックに的を絞るつもりなら、予算はあまり必要ありません。
インバウンドマーケティングの主な焦点は、ユーザーの求める質の高いコンテンツの制作にあります。外部に委託する場合を除けば、必要な投資は担当者の時間だけとなります。
HubSpotのCMS(コンテンツ管理システム)を利用したウェブサイトのホスティングやコンテンツの制作も可能です。
予算が限られている場合は、StudioPress(英語)のシンプルなテーマを利用して、WP Engine(英語)でホスティングされるWordPressを使う方法があります。
オンライン広告やEメールアドレスリストの購入のようなアウトバウンドのマーケティング手法には、それなりの予算が必要であることは言うまでもありません。予算規模は、そのメッセージをどこまで目立たせたいかによって決まります。
Google 広告のPPCを例にとると、自社のビジネスに関わるキーワードで上位に表示されるためには、同業他社と入札金額を競わなければなりません。キーワードの競争率によっては、比較的安価で済むことも非常に高額になることもあります。
デジタルマーケティングの勉強法は?
動画やWEB記事、書籍の活用がおすすめです。
- 動画やWEB記事
わかりやすいだけでなく最新のトレンドを把握可能
マーケティングの基礎よりもテクニックによってしまう - 書籍
マーケティングの基礎的な内容をインプットできる
最新情報の反映は動画やWEB記事の方が早い
マーケティングについて勉強できる学習サービスもあるため、ぜひご活用ください。
デジタルマーケティングの実践に必要なスキルは?
デジタルマーケティングの領域で、成果を出すために必要なスキルは以下3つとなります。
- 仮説思考:数字で出た結果に対して仮説を立てて検証し、改善していくこと
仮説例:広告配信した結果コンバージョン率が低下した理由の仮説は、LPのファーストビューを変更したため
改善施策例:前のLPに戻すか、変更後のLPのブラッシュアップをする - スピード:変化の速度が早いため、スピードが求められる
例:新しい知識のインプット力を鍛える
例:施策展開スピード向上のための工夫 - 周囲との協力:社内外の人との連携
例:他部署との連携や、外注先のディレクション
上記の観点で日頃の業務を振り返り、足りない点を補うようにしましょう。
成果を出せるデジタルマーケターに成長していけるはずです。
デジタルマーケティングで覚えておきたい代表的な用語
どの分野でもそうですが、デジタルマーケティングでも多くの専門用語があります。用語を知ることでマーケティングの理解にもつながるため、知らない用語が多いという場合は以下コラムをぜひご覧ください。
以下では、いくつかの用語について、ピックアップしてご紹介します。
- 【指標】CV(コンバージョン)
マーケティングにおけるユーザーの態度変容を指します。態度変容の例としては、資料請求、セミナー応募、商品購入、サブスクリプション登録などが挙げられます。 - 【指標】ROI(Return on investment)
投資に対して得られた利益を指します。マーケティングにおいては、広告費などを合算した費用で利益を除することで求めます。 - 【アドテク】アドネットワーク
複数のメディア(Web・SNSなど)を集約してネットワークを作り、ネットワーク内にまとめて広告を配信できるようにした仕組みのことを指します。 - 【アドテク】DSP/SSP
DSP(Demand-Side Platform)とは、広告主側が広告出稿の費用対効果を高めるために利用するアドネットワークのプラットフォームです。一方でSSP(Supply Side Platform)とは、広告枠を提供するメディア側のプラットフォームです。 - 【デジタル広告】ディスプレイ広告
Webサイト上の広告スペースに出稿される広告を指します。代表的なものにはバナー広告があり、テキストや動画を配信することもあります。 - 【デジタル広告】検索連動型広告
Google などの検索エンジンにおいて、ユーザーが検索したキーワードに応じて配信される広告を指します。 - 【SEO】オーガニック検索
検索エンジンの検索結果画面のうち、広告枠を省き、純粋に検索結果として表示されるエリアを指します。SEOではオーガニック検索からの流入が増えることを目指します。 - 【SEO】Google アルゴリズム
Google が掲載順位を決める際に定めているルールを指します。具体的に公開されているわけではありませんが、ユーザーの課題解決につながるコンテンツであること、良質な被リンクを受けていることなどが評価につながるとされています。 - 【アクセス解析】PV(Page View)
Webサイトの特定のページが表示された回数を指します。アクセス解析ツールの代表例であるGoogle アナリティクスでは、アプリの解析も同時に行うことから、ページビューではなく「表示回数」としてカウントしています。 - 【アクセス解析】セッション
あるユーザーがWebサイトを訪問し、一定の行動を行ったのちに離脱するまでを1セッションとしてカウントします。 - 【SNS】エンゲージメント
ユーザーからの好意的な反応を指します。どのような反応がエンゲージメントとしてカウントされるかはSNSによって変わりますが、「いいね」や画像タップ、シェアなどが該当します。 - 【SNS】ハッシュタグ
「#」を頭につけた単語・フレーズを指し、SNSにおいてはハッシュタグで検索が行えます。 - 【その他】ペルソナ
マーケティングにおいて、ターゲットとなる1人のユーザー像を具体的に設定したものを指します。 - 【その他】LTV(Life Time Value)
ある顧客と初めて取引を行ってから取引が終了するまで、どの程度の収益がもたらされるかを示すものです。
AIで変わるデジタルマーケティング
近年はAI技術が急速に進歩し、ニュースでAIについて聞くことも珍しくなくなりました。AIはさまざまな分野で革新的な活用が期待されており、デジタルマーケティングにおいても大きな変化をもたらすと考えられています。
例えば、収集した膨大なデータからマーケティングに活かせるヒントを抽出するのにAIは役立ちます。AIはデータからパターンや傾向を抽出することが得意であり、人間には難しい判断も瞬時に行えます。
一方で、顧客1人ひとりに寄り添うような応対はAIにはまだ難しく、人間の領分だと言えるでしょう。AIの得意な部分をAIに任せ、人はAIが整理したデータやヒントを用いてクリエイティブな業務を行うといった棲み分けが可能です。これにより、より効率化されたデジタルマーケティングの実現が期待できるでしょう。
デジタルマーケティングのトレンド
デジタルマーケティングの世界は流動的で、トレンドがあるため取り組むべき施策は変化し続けます。
トレンドとなっている施策は自社のマーケティング効果を向上させる可能性があるため、是非おさえておくようにしましょう。
デジタルマーケティング戦略におけるモバイルマーケティングの位置づけ
デジタルマーケティングにおけるもうひとつの重要な要素が、モバイルマーケティングです。
スマートフォンの利用はかなり広く浸透しており、デジタル広告やウェブページ、SNSの画像といったデジタル資産をモバイルデバイス向けに最適化することが必要不可欠となります。
自社が提供するオンライン体験は、モバイルかデスクトップかに関わらず快適なものであることが大切です。
ウェブサイトをモバイル対応にすることは必須であり、SNS上の画像もスマートフォンからの見え方を重視しましょう。
デジタルマーケティング戦略を推進するにあたっては、モバイルデバイス上でのユーザー体験をよく考慮し、良好なコミュニケーションにつなげていきましょう。
カスタマージャーニーに基づいたデジタルコンテンツを
デジタルマーケティングにおいて、どのタイミングでどのような施策を打つかを判断するには「カスタマージャーニー」の活用が重要となります。
カスタマージャーニーとは、見込み客が顧客となるまでの道のりを旅にたとえ、フェーズごとに感情的な変化や態度変容を想定したフレームワークです。カスタマージャーニーを作成する際には、用語解説で登場したペルソナを設定します。ペルソナは実際に生活していそうな人物像を設定するため、顧客接点ごとにどのような行動を取るのかを想定しやすくなります。
カスタマージャーニーでは、広告やSNS、店舗来店などの顧客接点ごとに行動・感情の変化を想定していくため、購買までの意思決定のストーリーをチーム全体で共有できます。
具体的には以下のようなフェーズがあり、それぞれのフェーズにて適切なコンテンツを作成して信頼関係を構築していきます。
認識ステージ
- ブログ記事:ユーザーの悩みを解消する質の高い記事を量産すれば検索エンジンの評価が上がり、オーガニック検索からの流入が増えるでしょう。
- インフォグラフィック:簡単にシェアできるインフォグラフィックは、SNSでのシェアによって新しいユーザーの目に留まるチャンスを高めてくれます。
(はじめての方はぜひこちらのインフォグラフィック無料テンプレートをご利用ください) - 短い動画:シェアしやすく、YouTubeなどのプラットフォームに投稿することで新しいユーザーの目に留まるきっかけになります。たくさんの人に見てもらってファンになってもらうためには、「面白い」「役に立つ」「感動する」のポイントを押さえましょう。
検討ステージ
- eBook:ブログ記事やインフォグラフィックよりも包括的なeBookは、ダウンロードの対価として連絡先情報を登録してもらいやすく、リードジェネレーションに効果的です。
- 調査レポート:同じくリードジェネレーションに効果的な重要なコンテンツです。業界に特化した調査レポートや最新データは、メディアや業界誌に取り上げられる可能性もあります。
- ウェビナー:より詳しくインタラクティブなコンテンツを提供できるため、検討ステージ向けのコンテンツとして最適です。
意思決定ステージ
- 導入事例(ケーススタディー):ウェブサイトに詳細な導入事例が掲載されていると、新たな見込み客の導入決定を後押しする効果的なコンテンツとなります。
- お客様の声:導入事例が不向きなビジネスの場合も、簡単な「お客様の声」を掲載すると効果的です。
B2Cブランドの場合は、さらに多様な形式が考えられます。たとえばアパレルなら、購入された方々に自社ブランドのハッシュタグを使ったコーディネート写真の投稿を呼びかけ、サイトで紹介するといったスタイルも可能です。
デジタルマーケティングの成功事例
デジタルマーケティングが成功した事例を紹介いたします。
どのように活用すれば成果に結びつくのかお悩みの方は是非こちらの記事を参考にしてみてください。
掲載している事例は以下となりますので、自社の課題に合わせてご覧ください。
- BtoB × 新規顧客開拓
- BtoC × 新規顧客開拓
- BtoB × 既存顧客強化
- BtoC向け既存顧客強化事例
《結論》これからデジタルマーケティングに取り組むには?
すでにデジタルマーケティングを実施している場合、これまでにもオンラインである程度のオーディエンスの目には留まっていることと思います。それでもまだ改善の余地がある点はいくつか思い当たるのではないでしょうか。
HubSpotでは、初めての方でも経験のある方でも手順に従うだけで効果的なデジタルマーケティング戦略を策定できる無料eBook「顧客を惹き付けるためのデジタルマーケティング戦略ガイド」をご用意しましたので、ぜひご活用ください。