「デジタル」は、パソコンやスマートフォンなどのコンピューターで処理されるデータを指す言葉です。近年は、デジタル技術が飛躍的に進歩し、AI(人工知能)やloT(モノのインターネット)、VR(仮想現実)なども身近になっています。
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デジタル技術を活用したマーケティングのことを「デジタルマーケティング」と呼びますが、「Webマーケティング」という言葉もあり、意味の違いがわかりづらい部分もあるでしょう。
本記事では、デジタルマーケティングとWebマーケティングの違いを、目的・チャネル・活動内容の3つの要素に分けて解説します。2つのマーケティング活動の違いを正しく理解することで、より効果的な施策立案が可能になります。
デジタルマーケティングとWebマーケティングの違い
まずは、デジタルマーケティングとWebマーケティングについて、それぞれの概要を解説します。
デジタルマーケティング:デジタル技術を活用したマーケティング活動全般
デジタルマーケティングとは、あらゆるデジタル技術を駆使するマーケティング活動です。検索エンジンやWebサイト、SNS、モバイルアプリ、デジタルサイネージなどのチャネルに加えて、近年はVR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった、幅広いチャネルが含まれています。
単にデジタルツールを導入してマーケティング活動の効率化を図ることだけが、デジタルマーケティングの役割ではありません。
戦略やマーケティングプロセス、自動化を含むオペレーションなど、デジタルマーケティングは、マーケティング活動の最適化やビジネスモデルの創出までもを含む幅広い概念を指します。
Webマーケティング:Web上に限定したマーケティング活動
デジタルリソースを活用するという点においては、デジタルマーケティングとWebマーケティングとの間に違いはありません。しかし、Webマーケティングは、領域がWeb上に限定されているのが特徴です。
代表的な施策にはWebサイト制作・運用、SEO(検索エンジン最適化)、WEB広告、SNSマーケティングなどがあります。複数のデジタルチャネルを活用することが多いものの、見込み客との接点はすべてWeb上で形成されます。
Webマーケティングの言葉が誕生したのは、SEOやリスティング広告などの施策が主流だった2000年代です。
それから約20年が経過した現代では、Webサイト周辺以外にもSNSやモバイルアプリ、動画配信プラットフォームなどが普及しつつあります。チャネルの多様化やIT技術の発展により、より広い視点でマーケティング活動の最適化を図るデジタルマーケティングの重要性が高まっています。
デジタルマーケティングとWebマーケティングの違いを3つの比較要素から考察
デジタルマーケティングとWebマーケティングの概要を理解したところで、今度はそれぞれの比較要素を見てみましょう。目的やチャネル、活動内容に分けて両者を比較すると、それぞれの違いを把握しやすくなります。
1. 目的
対応領域の広いデジタルマーケティングは、多種多様な目的で活用されます。基本的には、さまざまなデジタル技術を駆使してマーケティング活動の効率性を高め、売上や利益を向上させることが目的です。活用できるデジタルツールの種類も多いため、デジタル技術やそこから取得できるビッグデータを用い、業務変革によって競争優位性を確保する「マーケティングDX」が目的となることもあります。
Webマーケティングは、リードジェネレーション(見込み客創出)やリードナーチャリング(購買意欲の醸成)の要素が強い傾向にあります。
BtoBとBtoCのいずれの場合でも、まずはWeb広告やSEOによってWebサイトのアクセス数を増やし、そこから問い合わせや資料請求などで見込み客を創出するのが一般的です。見込み客に対してさまざまなコンテンツを提供し、良好な関係を構築してから成約につなげようとする企業も少なくありません。
ただし、商材や単価によっては広告から即座に購入へとつながるケースもあり、自社に合ったカスタマージャーニーを設計してから実施すべきでしょう。
2. チャネル
デジタルマーケティングは、あらゆる顧客接点を網羅しています。
Web上の顧客接点に加え、モバイルアプリやデジタルサイネージ、VRなど、その種類は多岐にわたります。オンラインだけでなく、オフラインも含めたチャネル連携により、さらなる体験価値の向上につながるのが特徴です。
一方のWebマーケティングは、Web上に限定したチャネルで構成されます。企業によっても異なりますが、主に次のような流れで導線を設計するのが一般的です。
- Web広告やSEOで集客を行う
- WebサイトやLP(ランディングページ)にアクセスを促す
- ページ内に設置されたフォームから見込み客の情報を収集する
Webマーケティングのチャネルのなかでも、検索連動型広告やSEOは、ユーザーニーズに応じたコンテンツの出し分けが可能です。潜在層・顕在層を問わずアプローチできるため、リードナーチャリングにも効果を発揮します。
3. 活動内容
マーケティング活動のなかでも、より広い領域に該当するデジタルマーケティングは、活動内容も多岐にわたります。そのなかには集客強化や接点増加に加え、データ分析やオペレーションなどの領域も含まれています。
近年は、ビッグデータ解析やCDP(顧客情報のデータプラットフォーム)のようなデータベース統合技術の発展により、データマーケティングの活用機会が拡大しています。さらにAI技術が発展したことで、マーケティングプロセスの自動化やデータ品質管理などを駆使し、さらなる業務効率化を果たすことも可能です。
Webサイト中心のチャネル構成となるWebマーケティングは、メディア運営やコンテンツ制作・発信が活動内容の中心となります。デジタルマーケティングに比べて対応領域こそ狭くなるものの、集客強化やコンバージョン率の改善などを通じて、効率良く売上や利益の改善を目指せます。
デジタルマーケティングとWebマーケティングの使い分け方
デジタルマーケティングとWebマーケティングは、目的に合わせて使い分けることが重要です。ここでは、活用例を具体的に紹介します。
Webマーケティングでデジタル施策の基盤を築く
企業でデジタル化を推進する場合、まずはデジタルマーケティング戦略を策定し、その一部であるWebマーケティングの施策に落とし込む流れが理想です。
しかし、デジタルマーケティングは組織全体の抜本的な改革が必要になり、人員や予算がかさんでしまうケースもあります。人員・予算が限られている場合や、デジタル化を推進し始めたばかりの企業は、将来的な目標としてデジタルマーケティング戦略を捉え、まずは少ない労力で済むWebマーケティングからスタートしてみるのも一案です。
例えば、最初はWeb広告やオウンドメディア運用といったスモールスタートを意識し、徐々にチャネルを拡充していく方法が考えられます。このような施策はデジタルマーケティングの一環でもありますが、見込み客の創出や関係構築にかかわる施策だけあり、デジタルマーケティングでも重要な位置づけです。
いずれ段階的にデジタルマーケティングへと発展させていく場合でも、まずはWebマーケティングの施策だけに特化することで、さまざまなデジタル施策の基盤を構築できるでしょう。
段階的な施策拡充によりデジタルマーケティングへの転換を図る
デジタル技術の発達によって、消費者は数多くのデジタルプラットフォームを駆使して商品やサービスを比較検討するようになりました。そのため、Webサイト上の施策やWeb広告運用といったWebマーケティングの領域だけではなく、あらゆるチャネルを網羅的にカバーする必要があります。スモールスタートしたWebマーケティングを皮切りに、徐々に対応チャネルを拡充し、デジタルマーケティングへと転換を図ることが重要です。
なかでも重要なのがデータの扱い方です。デジタルマーケティングでは、より多角的なデータ分析へと進化が求められます。
例えば、見込み客や顧客の情報を集約できるMAツール・CRMツールに加え、DMP(データマネジメントプラットフォーム)を活用するのも方法のひとつです。
MAツールやCRMツールのみでは、Webサイトなどに流入する前の行動データを取得するのが難しい傾向にあります。DMPを組み合わせて活用すると、より詳細な見込み客の情報を取得できるため、データの活用範囲が広がると同時に、多様化する顧客ニーズを捉えやすくなります。
あらゆる顧客接点で最高の体験を提供する
Webマーケティングが普及し始めたのは2010年代のことですが、現代のマーケティングでは、オンライン・オフラインを問わずに顧客との接点を網羅的に最適化する必要があります。Webマーケティング戦略だけでは、購買行動における一部のデータしか取得できず、見込み客が抱えている課題やニーズを深掘りするのは困難です。
また、感情分析やリアルタイム分析など、分析技術が高度化しているのも昨今のビジネス環境を大きく変化させました。見込み客が置かれている状況や思考の傾向をリアルタイムに把握し、素早く適切なコミュニケーションを図ることが、現状におけるマーケティングの完成形だといえるでしょう。
ただし、デジタルマーケティングの実現には全社を巻き込んだDXの視点が必要になるため、まずはスモールスタートで部分最適化から取り組み始めることをおすすめします。最終的には、デジタル技術を用いて多角的なデータ分析を行い、オンライン・オフラインを問わず、一人ひとりの見込み客に最高の体験を提供することが理想です。