MA(マーケティングオートメーション)とは?基礎知識&活用のコツを解説

執筆者 室橋 健(むろはし けん)
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MA(マーケティングオートメーション)とは?基礎知識&活用のコツを解説

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MA(マーケティングオートメーション)とは、マーケティング活動を自動化する「ツール」や「仕組み」を指します。

MA導入を成功させるためのノウハウが詰まったガイド

MAツールを選定するポイントは3つ「導入しやすいこと」「連携しやすいこと」「変化に適応しやすいこと」。

本ガイドでは、HubSpotのフライホイールチームがオートメーションを活用して顧客体験を向上させる方法を詳しく解説しています。ビジネスが拡大しても、高品質なマーケティング、営業、カスタマーサービスを提供できる方法を学び、実践してみましょう。

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MAで実現できることは、大きくは以下の5つに分類できます。

1.見込み客(リード)を増やすためのアクションの効率化
→SEOに配慮したコンテンツや広告向けのランディングページ作成の効率化など

2.見込み客(リード)の購買意欲を醸成するためのアクションの効率化
見込み客の属性別にシナリオを設定し、見込み客に合わせた内容のメールを自動配信する(ステップメール)など

3.商談につながる見込み客(リード)の選別・絞り込み
→見込み客の購買意欲をスコアリングし、営業や商談の対象となる見込み客を選べる

4.見込み客(リード)の情報の管理と、他のツールとの連携
→見込み客の情報を整理したリストの作成、SFAやCRMといった各種ツールとの連携など

5.各種レポートの作成
→マーケティング活動の効果検証で用いるレポート作成を効率化

MAを使えば、見込み客(リード)の属性や行動などの情報を管理し、見込み客の興味・関心に合わせてアプローチできます。

ただ、見込み客一人ひとりに合わせた個別のアプローチをとるのは大変ですよね。
そこで意識したいのが、見込み客へのアプローチの効率化です。
見込み客とのコミュニケーションのフローを「シナリオ」という形で設計(仕組み化)し、メールの送信や資料の送付といったアクションを自動化する、そのために生まれたのがMAです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みをきっかけとして、オンラインでのマーケティングに力を入れる企業が増えている昨今、MAの導入も広がりを見せています。
ただし、一般的なMAは高機能なものが多く、導入したものの使いこなせていないと嘆く企業も少なくありません。

本記事では、MA導入を成功させるためのノウハウを解説します。
MAの主な機能の紹介や活用のコツ、さらには自社に合ったMAの選び方も取り上げます。

MAの導入に興味がある方も、すでにMAを導入している方も、ぜひ参考にしてください。

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1.MA(マーケティングオートメーション)とは?

MA(マーケティングオートメーション)とは、マーケティング活動を効率化する「ツール」や、その「仕組み」を指します。
(以後、「MA」はツールを指す言葉として用います)

MAを使えば、見込み客の属性情報(名前、会社名、メールアドレス、役職など)を一元管理できるだけでなく、見込み客の行動を記録し、マーケティング活動に活かせます。

また、見込み客がいつWebサイトを訪れ、どの資料をダウンロードし、どんな問い合わせをしたのか、といった行動を記録できるだけでなく、その行動に割当てた見込み客の購買意欲の高さを数値化(スコアリング)できます。

たとえば、資料をダウンロードしたら3点、問い合わせをしたら7点、セミナーに参加したら12点というように、行動に重み付けをします。
その後、目標点以上のスコアを記録した見込み客は購買意欲が高いと判断し、成約につながるようなキャンペーン情報をメールで送信。
一方、スコアが目標点に満たない見込み客には、まずは商品やサービスに興味をもってもらうよう、業界レポートや製品活用事例といったコンテンツをメールで送ります。

マーケティングにおいて大切なのは、見込み客の購買意欲のステージに合わせたコミュニケーションです。
MAを使えば、見込み客を購買意欲に合わせて分類(セグメント)できるため、どの見込み客にどのようなコミュニケーションをとればよいかがわかりやすくなります。この分類(セグメンテーション)を活用することで、見込み客一人ひとりに合わせた精度の高いマーケティング、さらには丁寧なフォローが実現できるのです。

昨今、インターネットやモバイルデバイスの普及により、私たちは必要とする情報を自ら取りに行けるようになりました。
そのため、電話営業や飛び込み営業のような、企業側から積極的にアプローチする手法ではなく、見込み客が必要とする情報を発信し、見込み客自らその情報を見つけてもらうようアプローチする手法が主流となりつつあります。

だから今こそ、見込み客一人ひとりが「知りたい情報を最適なタイミングで得られる」ような仕組みづくりが大切なのです。

2.MAが力を発揮する領域

あらためて、MAがマーケティング活動の各ステップにおいてどのような力を発揮するのかを見ていきましょう。ここでは、MAが活用される機会が多いBtoBマーケティングを例に解説します。

一般的に、BtoBマーケティングは以下の9ステップに分けられます。マーケティング活動においてMAが力を発揮する領域を表した図

上記の図で示したステップのうち、MAは「1.集客」から「5.リードの絞り込み」までの範囲をカバーします。

「リード」とは見込み客を表す言葉です。
マーケティングでは、まず、見込み客(リード)となりうる「潜在顧客」を、SEOに配慮したコンテンツやセミナーの開催などを通じて集客します。
そして、集客した潜在顧客へ向けて、製品に関するさらに詳しい情報などを提供するために、メールマガジンへの登録や、SNSのアカウントのフォローを呼びかけます。
そうすれば、その潜在顧客とコミュニケーションがとれる状態が生まれ、潜在顧客が「見込み客(リード)」となります。
その後、見込み客に向けて、メールマガジンや各種資料の提供を通じて、自社商品に関する知識を高めてもらいます。
それらのメールマガジンの開封状況や資料のダウンロード状況といった「行動データ」をもとに見込み客の購買意欲を確認、意欲の高い見込み客がいれば、営業に情報を共有し商談へつなげてもらいます。

この営業へのつなぎこみのための「1.集客」から「5.リードの絞り込み」までが、MAのカバーする範囲です。

この「1.集客」から「5.リードの絞り込み」をさらに整理すると、「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」「リードクオリフィケーション」という3つの取り組みに分けられます。

この3つの取組みについて詳しく見ていきましょう。

1.リードジェネレーション(見込み客の創出)

見込み客(リード)を創出するプロセス。
Webサイトの訪問者やセミナーの参加者から、メールマガジンなどを通じたコミュニケーションをとるために必要な情報を得る流れを指す。

▼アクションの例

  • Webサイトから資料請求や問い合わせをしてもらう(その際に見込み客の情報を入力してもらう)
  • セミナーや展示会を開催した際に、見込み客から名刺をもらう

 

2.リードナーチャリング(見込み客の購買意欲の醸成)

見込み客(リード)にさらなる情報を提供することで、商品やサービスに関する興味・関心を段階的に高め、購買意欲を醸成するプロセス。

▼アクションの例

  • メールマガジンなどを通じて、自社商品やサービスの活用方法を紹介する
  • メールマガジンなどを通じて、見込み客と近い属性の顧客事例を紹介する
  • メールマガジンなどを通じて、自社商品やサービスに関連した業界レポートを提供し、業界のトレンド情報や、自社商品の位置づけについて知ってもらう
  • 自社商品に興味をもってくれた見込み客向けに、商品説明会を開催する

 

3.リードクオリフィケーション(見込み客の選別・絞り込み)

見込み客(リード)の購買意欲の高さを確認し、営業や商談の提案対象となる見込み客を選ぶプロセス。
見込み客のさまざまな行動をもとに購買意欲の高さをスコアリングし、スコアが高い見込み客の情報を営業部門に渡し、商談を進めてもらう。

▼アクションの例

  • 「メールを開封したら2点」「資料請求をしたら3点」のように、見込み客の各行動にスコアを付ける
  • スコアが15点以上のリードを営業部門に渡す

続いて、この3つの取り組みに合わせたMAの具体的な機能を紹介します。

3.MAの主な機能

「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」「リードクオリフィケーション」それぞれの取り組みに応じたMAの主な機能は、以下のとおりです。

1.リードジェネレーション(見込み客の創出)向けの機能

  • SEO支援機能
  • 広告管理
  • 問い合わせフォーム作成
  • チャットボット、ライブチャット

2.リードナーチャリング(見込み客の購買意欲の醸成)向けの機能

  • メールマーケティング機能
  • 見込み客のアクションに応じた通知機能

3.リードクオリフィケーション(見込み客の選別・絞り込み)向けの機能

  • リードスコアリング
  • レポート作成、分析機能

4.リードマネジメント(見込み客のリスト管理)向けの機能

  • リード管理機能
  • API機能
  • アクセスログ取得
  • CRM連携
  • SFA連携

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.リードジェネレーション(見込み客の創出)向けの機能

集客のための機能

●Webページやランディングページの作成支援

多くのMAには、専門知識がなくてもWebページやランディングページを効率的に作成できる機能が実装されています。
たとえば、セミナーの開催が急遽決まったときなど、外部の制作会社に依頼せずともカンタンなページを作成できます。
また、複数パターンのページをつくりABテストをおこなうことで、成果が上がりやすいページの型を知ることもできます。 

●SEO支援機能

MAによっては、各WebページのSEO(検索エンジン最適化)をアシストする機能があります。
たとえば、どんなテーマの記事を書けば、どれくらいの検索集客が期待できるかを教えてくれたり、どんな内容のコンテンツをつくれば、検索結果でより上位表示しやすいかを教えてくれたりします。
検索エンジンから訪れるユーザーが、何らかの悩みや課題をもっている潜在顧客である場合、課題解決につながる提案をおこなうことで、見込み客になってもらえる確度が高くなります。
そのため、マーケティングにおいてSEOを意識しておくことはとても大切です。

なお、MA機能を備えた当社HubSpotが提供するHubSpot CRMでは、SEOの機能に力を入れています。
よろしければ以下のページをチェックしてみてください。

●広告連携機能

各種Web広告(リスティング広告やSNS広告など)と連携することで、各広告の効果を測定し、どの広告に力を入れればよいかの気付きを与えてくれる機能です。
また、MAによっては、見込み客のセグメントごとに広告配信を最適化できます。
たとえば、Webサイトに訪問しただけの潜在顧客と資料をダウンロードした見込み客とで広告を出し分けたり、商品を購入した顧客を広告配信リストから除外したりすることもできます。

広告運用の手間を減らし、広告の効果を最大限に高める上でも、MAは力を発揮します。

サイト訪問者にアプローチする機能

●問い合わせフォーム作成支援

MAには「資料請求」「イベントへの申し込み」「お問い合わせ」といったフォームを作成する機能があります。
潜在顧客にフォームから情報を入力してもらうことで、見込み客の創出につながります。

MAを使ったフォーム作成の最大のメリットは、フォームから送信されたデータがMAのデータベースにスムーズに記録されることです。
MA以外のツールでつくられたフォームの場合、MAに情報をつなぎこむ必要がありますが、MA付属のフォーム作成ツールを使えば、その手間はかかりません。

さらには、MAのAPI機能(外部ツールとの連携機能)を使えば、外部のフォームに入力されたデータであっても、MAと自動連携できます。

また、既存の顧客データとの照会を自動でおこなうようにすれば、フォームから見込み客の情報が送信されたタイミングで、過去に取引のある顧客かどうかが瞬時でわかるため、フォーム送信後のサンクスメッセージの出し分けも可能となります。

●チャットボット、ライブチャット

MAによっては、チャットボット(Chat bot)と呼ばれる、チャットを通じた自動応対機能があります。
一定時間Webサイトに滞在している見込み客に対して、画面端にチャットの小さなウインドウを表示し、いくつかの質問への回答を自動で返す仕組みを実現できます。
また、自動返信ではなく、有人対応のライブチャットに切り替えることもできます。

MAのチャットボット機能のメリットとしては、見込み客のデータをもとにセグメントをつくり、それぞれのセグメントに合わせて複数のチャットボットを出し分けできることです。

また外部のチャットボットとの連携がしやすいMAもあります。

2.リードナーチャリング(見込み客の購買意欲の醸成)向けの機能

●メールマーケティング機能

MAで管理している見込み客のデータベースをもとに、見込み客をセグメント化し、それぞれのセグメントに合わせてメールを配信する機能です。

セグメントごとにメールの内容や配信頻度を変えることで、メールの開封率を高め、購買意欲の醸成を目指せます。

たとえば、メールマガジンを購読し始めたばかりの見込み客には、その2日後に業界動向を取り上げたメールを送る、資料を請求した見込み客には、その3日後に他社商品との比較記事を紹介したメールを送るといった、細かいシナリオ設計が可能です。

また、MAを通してメールを配信すれば、メールの到達率や開封率、メール内のリンクのクリック率(CTR)、解約率などの数値をウォッチできるため、メールのABテストを含め、メールマーケティング施策のPDCAを回しやすくなります。 

●見込み客のアクションに応じた通知機能

MAには外部サービスやアプリへの通知機能もあります。
特定の条件に合致した見込み客がいた場合、社内メールやSlackなどのチャットツールなどを通して、マーケティングの部署や営業担当に自動でお知らせできます。

たとえば、以前成約につながらなかった見込み客がサイトを再訪した、同じ事例ページを3回以上閲覧しているリピーターがいる、といった情報を各担当に共有できます。

それにより、見込み客の行動に合わせた迅速なフォローが可能となり、確度の高い見込み客をしっかりつかめるほか、機会損失の低減につながります。

3.リードクオリフィケーション(見込み客の選別・絞り込み)向けの機能

●リードスコアリング

見込み客の行動や反応のデータをもとに、商品やサービスに対する見込み客の興味・関心を数値化(スコアリング)し、さまざまなマーケティング施策に活用します。

たとえば、資料をダウンロードしたら3点、問い合わせをしたら7点、セミナーに参加したら12点というように行動に重み付けをします。
10点以上のスコアを記録した見込み客は購買意欲が高いと判断し、成約につながるようなキャンペーン情報をメールで送ったり、15点以上の見込み客は、営業担当につなげ商談をもちかけたりします。
スコアが5点以下の見込み客は、まだ商品やサービスへの興味・関心が低いと判断し、まずは興味を深めてもらうような、業界レポートや製品活用事例といったコンテンツをメールで送ります。

▼スコアリングの一例

●スコアが10点以上の見込み客
→購買意欲が高いと判断し、成約につながるようなキャンペーン情報をメールで送る

●スコアが15点以上の見込み客
→営業担当につなげ商談をもちかける

●スコアが5点以下の見込み客
→まだ商品やサービスへの興味・関心が低いと判断し、まずは興味を深めてもらうようなコンテンツ(業界レポートや製品活用事例など)をメールで送る

見込み客の意欲をスコアリングすることで、見込み客の購買意欲のステージに合わせたマーケティング、さらにはコミュニケーションが進めやすくなります。

●レポート作成、分析機能

MAで扱っている見込み客のデータをレポートとして出力できます。
MAにはさまざまなレポートのテンプレートが用意されているほか、レポートのカスタマイズも可能です。
たとえば、テンプレートの項目をカスタマイズすることで、マーケティング部や営業部、さらには制作部向けなど、それぞれの部署がチェックしたい情報だけを集めたレポートを作成できます。
さらには定期的にメール経由でレポートを配信し、効果測定のフローを効率化することもできます。

Google Analyticsなど外部サービスと連携できる場合もあります。
詳しくは各社のMAの機能を確認しましょう。

4.リードマネジメント(見込み客のリスト管理)向けの機能

●リード管理機能

MAではさまざまな見込み客の情報を一元管理できます。

また、各見込み客の情報に独自の属性名を割り当てることで、たとえば「問い合わせ経由の見込み客」や「セミナー複数参加の見込み客」といったカテゴリ分けも可能です。

ちなみに、Webサイトを訪問しただけの「匿名」の見込み客の情報も、トラッキング機能で管理できるツールもあります。
「匿名」の見込み客は、問い合わせや資料請求があったタイミングで、その情報と照らし合わせて「実名化」できます。

●API連携

API連携機能とは、API(Application Programming Interface)という仕組みを用いて、MAと別のソフトウェアやサービスを連携させることで、情報を共有できるようにする機能です。
この機能を用いれば、たとえばMAで検知した特定の見込み客のアクセス情報を、普段自社が使用しているチャットツール(Slackなど)にリアルタイムで通知できます。
また、別の問い合わせフォームからの送信された情報をMAにつなぎ込むこともできます。
さらには、MAで管理している情報をもとに、各種広告配信をおこなえます。

●アクセスログ取得

見込み客のWebサイト上での行動履歴を記録します。
行動履歴を属性情報と絡めれば、どんな見込み客が何のWebページを見たかがわかります。
それによって、見込み客がどんな情報に触れているのかがわかり、商談時に「伝えたほうがよさそうなこと」と「伝えなくてもよさそうなこと」の線引きがしやすくなり、効率的なコミュニケーションが可能となります。

●CRM連携

CRMとは「顧客関係管理ツール」のことで、商品を購入した「顧客」の情報を管理するためのツールを指します。
見込み客が成約後に顧客になったとしても、その顧客情報をもとにさらなる商品の訴求が可能となるほか、カスタマーサポートやカスタマーサクセスを実施する必要があるため、顧客情報の管理は必要です。
MAはCRMと連携することで、見込み客の情報だけでなく、その顧客情報をも管理することができるため、マーケティング活動を一気通貫で把握することもできます。

●SFA連携

SFAとは「営業支援システム」という意味で、営業活動を効率化するためのツールを指し、営業担当者がよく使うツールです。
MAとSFAを連携することで、購買意欲が高まった見込み客の情報を、営業担当者が使うSFAに自動で登録できます。

上記の「CRM連携」と「SFM連携」に関する説明の補足です。
最近の「MA」「CRM」「SFA」は、それぞれが各ツールの領域を超えた広い範囲をカバーするようになったため、線引きがあいまいになっています。
そのため、「MA」「CRM」「SFA」の使い分けについては、本記事の「10.MA・CRM・SFAの違い」であらためて解説します。



MAの活用が、マーケティングにおいていかに便利かを知っていただけたかと思います。

次章では、MAを導入するメリットを4つに分けて解説します。

4.MAを導入する4つのメリット

MAを導入する主なメリットは、以下の4つです。

  1. 見込み客のニーズに合わせて効率的にアプローチできる
  2. 営業生産性を高められる
  3. マーケティングの機会損失を減らせる
  4. 人力でおこなうべきことに注力できる

【メリット1】見込み客のニーズに合わせて効率的にアプローチできる

MAを使い続ければ、見込み客のニーズやウォンツをより精度高く把握できるようになります。
たとえば、「資料請求」をしたAさんは「活用事例をもっと見たい」と思っていて、Bさんは「他社との比較をしたい」と思っていた、というようなデータを蓄積できます。
その結果、見込み客のステージや要望に合わせてどんなアプローチをとればいいかがわかるようになります。
また、商談から成約までのプロセスがスムーズであれば、顧客は「この会社は自分のことをよく理解してくれている」と感じ、その後のアプローチも好意的に受け止めてくれるでしょう。
そうなれば、その後のクロスセルやアップセルにもつなげられます。

つまり、MAを導入することで、顧客とのエンゲージメントを築くことができ、顧客一人ひとりとの取引から得られる利益(LTV)の向上、さらには事業全体の利益向上が期待できるのです。

【メリット2】営業生産性を高められる

見込み客の購買意欲が高いのか低いのかがわからないまま、やみくもに営業をおこなうことは非効率です。
商談を受けてもいいと思っている見込み客には、より丁寧なアプローチを、また、商談を希望していない見込み客には長い目で見て、自社商品の魅力をじっくり伝えるべきです。

その点、MAを使えば、購買意欲が高まった見込み客を絞り込んでアプローチできます。
MAに集まった情報を営業担当に共有すれば、商談成功の一助となるでしょう。
また、どんな見込み客にどうアプローチすればいいかも見えてきます。
その結果、営業担当の属人的なスキルに左右されることなく、商談成功率を全社的に高められます。

【メリット3】マーケティングの機会損失を減らせる

見込み客がオンラインで情報収集し、購買行動をおこなうタイミングは、24時間どのタイミングでもありえます。
よって、オンライン上で常にコンテンツを提供しておくことは大切です。
多くの見込み客が共通して求める情報はコンテンツ化し、SEOに配慮したWebページとしてどんどん公開しましょう。
そうすれば、検索エンジン経由でそれらの情報を見つけてもらえます。
また、自動返信のチャットボットを用いれば、24時間ずっと開かれているサポート窓口を設けることもできます。

またMAには、オンラインで得られた見込み客の情報だけでなく、オフラインのイベントや営業活動で得られた情報も登録しましょう。
そうすれば、見込み客の情報が重複していた際、「同じメールを同じ見込み客に複数回送ってしまう」といったトラブルを防げます。

見込み客の情報を一括して管理することで、アプローチができていなかった見込み客の漏れもなくなり、機会損失のリスクを減らせます。

【メリット4】人力でおこなうべきことに注力できる

見込み客の属性別やステージ別に配信するメールの設定や、広告のキャンペーンごとの効果検証、よくある問い合わせに対する返信など、ある種ルーチンとなっている作業があれば、MAを使って自動化しましょう。

日々繰り返している業務を自動化すれば、余裕が出た人的リソースをほかの領域に当てられます。
また、メールの誤配信といったヒューマンエラーを防ぐ上でも、MAを用いた自動化はオススメです。


このように、MAの活用には大きなメリットがあります。
ただ、そんな便利なMAも、その恩恵を最大限受けるには、上手に業務に導入する必要があります。
そのためには、導入の準備を丁寧に進めることが大切です。

続いて、MAの導入前に準備しておきたいことをお伝えします。

5.MA導入前に準備しておきたい4つのこと

MA導入の準備の様子を表したイラスト

MAは、導入するだけでマーケティング活動が勝手にうまく進む、という都合がよいツールではありません。
導入前にいくつかの準備をしておかないと、せっかくの高機能なMAも宝の持ち腐れです。

ここからは、MAを最大限活用するために、導入前に準備しておくべきことを4つ紹介します。

  1. MA導入の目的を明確にしておく
  2. MAに登録する見込み客の情報やデータを準備しておく
  3. 社内で保有している見込み客(リード)の情報を把握しておく
  4. MAを利用したマーケティングを実行できるスキルとリソースを確保しておく

【事前準備1】MA導入の目的を明確にしておく

MAの導入を検討する際は、自社がMAを導入することで、何の課題を解決し、どんな目的を達成したいのかを明確にしましょう。

たとえば、「社内に見込み客のリストがあるが、どうも商談につながりにくい」という課題があったとします。
そこで、現在のリードナーチャリングの方法を確認すると、創出した見込み客(リード)に対してやみくもにテレアポ営業やメール配信をおこなっており、見込み客が求めていないアクションを繰り返していることがわかりました。

この課題を解決するためには、見込み客の購買意欲の高さに合わせたアプローチが必要です。
よって、MAのスコアリング機能を用いて購買意欲を可視化することで、見込み客ごとに最適なアプローチを実施することにしました。

このように自社の課題と目的がはっきりしていると、MAの活用場面が明確になります。

【事前準備2】MAに登録する見込み客の情報やデータを準備しておく

MAの導入後にすぐすべきことは、MAのデータベースに、過去に取得した名刺や、メルマガの購読者や問い合わせがあった見込み客の情報の登録です。

そのため、見込み客に関する情報をできるだけ集めておきます。
とくに各営業担当が保有している見込み客の情報などは、ブラックボックスになっていることが多いため、営業担当にも協力してもらいながら、見込み客の情報をすぐにMAに登録できるよう整理しておきましょう。

MAへの情報の取り込み方法として、主にExcel形式のファイルやCSVファイルなどによる一括取り込みがあります。
そのため、まずはExcelで見込み客の情報整理をしておくのがよいかもしれません。
そのほか、「SanSan」などの名刺スキャンサービスを通して、名刺のアナログ情報をデータ化しつつ取り込む方法もあります。

【事前準備3】社内で保有している見込み客(リード)の情報を把握しておく

先の【事前準備2】と被りますが、MAの導入時には、社内にどのような見込み客(リード)の情報があるのかを把握しておきましょう。
ここで気を付けるべきは、社内で把握した見込み客の購買意欲が低いケースです。
購買意欲が低い見込み客の情報がたくさんあったとしても、すぐには成約につながりません。
よって、過度な期待をもってMAを使い始めないようにしてください。
MAは見込み客(リード)の創出のためのツールでもあります。
購買意欲が低い見込み客の情報ばかりの場合は、その見込み客の購買意欲が高まるようなアプローチを検討するか、新規での見込み客の創出に力を傾けるべきでしょう。

見込み客の購買意欲を把握する上で「MQL」「SQL」という言葉が用いられることもあります。
このふたつの言葉をぜひ覚えていただき、「MQL」→「SQL」という順に、購買意欲の高い見込み客を増やせるようアプローチを考えていきましょう。

MQL(Marketing Qualified Lead)
リードナーチャリングによって、商品やサービスへの興味関心が一定以上高まった見込み客

SQL(Sales Qualified Lead)
購買意欲が明確で成約の可能性が高く、営業がフォローすべきと判断した見込み客

【事前準備4】MAを利用したマーケティングを実行できるスキルとリソースを確保しておく

MAは、あくまでもマーケティング活動を効率化するツールであり、社内のWebマーケティングの知識を補填してくれるツールではありません。
そのため、MAを運用するためには、ある程度のマーケティングの知識が必要となります。

たとえば、SEOやSNSマーケティング、広告運用といったマーケティングの知識だけでなく、システム構築や業務フローの設計についても、ある程度の知識は必要となります。

スターティアホールディングス株式会社の調査によると、現在MAを導入している・または過去にMAを導入したことがある企業のうち8割以上が、「もし改めてMAを導入・運用するとしたら、外部の専門家にコンサルティングを依頼したい」と回答しています。
これはつまり、MAを導入したものの、マーケティングや業務フロー設計の知識が追いついておらず、MA活用のための外部支援を求めている企業が多いことを表しています。

よって、社内に知見が不足している場合は、外部の専門家にコンサルティングを依頼したり、社内のマーケ人材の採用や育成を視野に入れることをオススメします。

なお、導入したMAのベンダー(ツール提供企業)が、MAの導入支援やサポートを提供してくれている場合があります。
そういった、MAのベンダー主導の支援サービスの有無は事前に確認しておくとよいでしょう。

また、MAは導入してからがスタート。
実際の成果を見ながらPDCAを回し続ける必要があります。

よって、MAを活用し、マーケティングを推進する人材の確保だけでなく、営業部門や制作部門を巻き込んだ全社を横断するマーケティング組織の確立が必要です。

そういった人的リソースや調整リソースを確保できるかどうかも、事前に確認しておきましょう。

ちなみに、HubSpotでは「HubSpotアカデミー」というマーケティングやMAの知識が無料で学べるセミナーを開講しています。
こちらもぜひチェックしてみてください。

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HubSpotアカデミー


MAの導入にあたっては、上記のような準備と、自社に合ったMAを選ぶことが重要です。

6.代表的なMA6選

ここからは、国内の代表的なMAについて紹介します。
各ツールともに、国内でのシェアが多く、それぞれに特徴や強みがあります。

各社のMAの特徴を端的にまとめていますが、より詳しい情報を知りたい場合は、各社のサイトをチェックするようにしてください。

1.HubSpot

HubSpotのサービス画面のキャプチャ画像

世界でNo.1のシェアをもち、多くの企業で採用されているMAツールが当社の「HubSpot」です。
HubSpotは、顧客にとって価値の高い情報を提供し、長続きする関係を築くという「インバウンドマーケティング」を世界に先駆けて実践してきました。
実際に「HubSpot」のツールは、読者に有益な情報を提供していた、創業者のブログが話題を呼んだことがきっかけとなり、誕生しています。
このような背景から、コンテンツを軸としたリードジェネレーション、リードナーチャリングを得意としています。

たとえばHubSpotに備わっているCMSの機能を使えば、専門知識がなくてもWebサイトを作成できます。
また、SEOに役立つアドバイスを確認しながらコンテンツを作成できる「SEO機能」も備わっています。
そのため、リードジェネレーションやリードナーチャリングに必要なコンテンツ制作を内製化でき、コンテンツ制作や改善のPDCAを素早くまわせます。

また「HubSpot」には、MAの基本機能以外にも、CRM(顧客関係管理)、SFA(営業支援ツール)、カスタマーサポートの機能が無料で備わっています。
そのため、予算面から複数ツールの導入が難しい企業や、顧客情報管理のためのツール導入していない企業でも、マーケティングからカスタマーサポートまで一気通貫してHubSpotひとつで施策を進められます。

無料でも十分活用できますが、「Marketing Hub」の各種プラン(5,400円~/月)を利用すると、自社に合った機能の追加や登録できるリードの情報数を増やせます。

また、社内のマーケティングの知見が不十分な場合も、マーケティングを無料で学べるオンライン学習コース「HubSpot Academyを利用すれば、社内メンバーが自力で学習を進められます。

2.Pardot

Pardotのサービス画面のキャプチャ画像

SFA(営業支援システム)の世界シェアNo.1のセールスフォース・ドットコム社が提供する、BtoB向けのMAです。
SFAで実績をもつだけあり、他ツールとの連携も可能ではあるものの、とくにSFAとスムーズに連携できるのが特徴です。
そのため、マーケティング活動で創出したリードやリードの情報をスムーズに営業担当者に共有でき、マーケティング活動の売上に対する貢献度を高められます。

また、自社が保有する見込み客がステージ別にファネル型のグラフにまとまっているため、各ステージのリード数が一目でわかり、リード全体の状態をすぐに把握できます。
そのため、マーケティング活動における課題やどのプロセスを強化すべきかといった仮説を立てやすく、素速くPDCAを回せるようになります。

オンライン学習コンテンツ「Trailhead」が用意されているため、ツールの操作方法をMAの運用担当者が自ら学べます。

料金は、最も安い「Growthプラン」で月額150,000円から利用可能です。

なお、BtoC向けのMAとして「Marketing Cloud」も提供されているため、自社の導入目的に合わせて検討するとよいでしょう。

3.BowNow

BowNowのサービス画面のキャプチャ画像

「無料で“使える”」というキャッチコピー通り、Webサイトを訪問した企業のトラッキングや、リストの絞り込み、メルマガの配信など、MAの基本機能を一通り無料で使えるBtoB向けのツールです。
無料で最低限必要な機能が備わっているため、初めてMAを利用する人も簡単に導入できます。
また、機能が限られているがゆえに、見込み客情報の管理・見込み客に合った情報提供・営業部門との連携と、MAでまず取り組むべきことをしっかり進められます。

ページのPV数が50,000以下、登録できるリードの数が1,000件以下の場合は無料のまま使えます。
サイトのPV数や保有するリード数が増えた場合は、追加料金を支払うか、有料プランへの変更でサービスを継続して利用できます。

有料プランでは、ツールの操作などについて相談可能なサポートセンターを利用できます。
無料プランを利用する場合は、全ユーザー向けに公開されているマニュアルサイトを利用しましょう。

4.Adobe Marketo Engage

Adobe Marketo Engageのサービス画面のキャプチャ画像

2014年に日本法人が設立され、国内でも急速にシェアを拡大しています。
リードナーチャリングとスコアリングを重視した設計になっており、見込み客に応じた情報を最適なタイミングで発信できます。

操作のしやすさに定評があり、ドラッグアンドドロップで見込み客のセグメント条件の設定などを簡単におこなえます。
外部ツールとも連携しやすく、BtoB、BtoCを問わず幅広く対応可能です。

サポート体制が充実しており、導入時の支援だけでなく、マーケティング戦略の立案やメール配信支援などMA導入後の活用方法についてのコンサルティングも受けられます。
また、「Marketo University」というオンライン学習コンテンツに加え、ユーザーどうしが相談し合えるオンラインコミュニティも用意されているなど、学習環境が整っています。
そのため、社内にMAの知見が少なかったり、運用担当者が一人しかいない場合も安心して運用できます。

5.SATORI

SATORIのサービス画面のキャプチャ画像

SATORI株式会社が提供する、純国産MAツールです。
お問い合わせフォームなどから情報を得た見込み客だけでなく、見込み客に転換する前の匿名の訪問者の行動データも蓄積し、パーソナライズしたコンテンツを出し分けたり、スコアリングできる機能が最大の特徴です。

Webサイトを訪問し個人情報を入力せずに離脱してしまう大多数の匿名見込み客に対してコンテンツを出し分けられるため、匿名のままリードナーチャリングを進め購買意欲を高められます。
そのため、最終的に個人情報を得られる率を高められる他、自社に関心がありWebサイトを訪問した見込み客がそのまま離脱するといった機会損失を防げます。
匿名の見込み客にアプローチできることで打ち手の幅を広げられるため、十分なリード数を保有していない、オウンドメディアの運用などの集客の仕組みを構築できていないという企業でも活用できるツールです。

6.List Finder(リストファインダー)

List Finderのサービス画面のキャプチャ画像

上場企業で導入されている国産ツールのうち、もっとも導入数が多いMAです。
月額39,800円からの低価格設定で必要な機能を備えているため、中小企業を中心に国内で導入されています。
自社サイト上で「だれが」「どのページを」「何秒閲覧したか」という見込み客の情報が得られるため、そのデータを新規顧客開拓に役立ちます。

導入時に無料のコンサルティングも受けられるなど、サポート体制も充実しています。


有料のMAツールの費用は各社で異なり、月額6,000円~500,000円とさまざまです。
また、ツールによっては、初期費用がかかる場合や、プランがひとつのみの場合があります。
本格的に導入する際は、申し込もうとしている料金プラン内で自社がやりたいことをできるかを、事前に確認しておきましょう。

上記で紹介した6つのMAツール以外のツールを知りたい方は、ぜひ以下の記事もチェックしてください。
以下の記事では、さらに4つのMAツールを追加し、計10選のMAツールを徹底比較しています。

7.MAの運用フロー

ここからは、MAを導入した後の運用フローについて解説します。
MAは導入したあとの運用が肝心です。
運用の主な流れを9つのプロセスに分け、それぞれのプロセスについて掘り下げていきます。

  1. メンバーのアサイン
  2. 他部署との連携方法の確認
  3. マーケティングの目標(KPI・KGI)設定
  4. マーケティング戦略の立案
  5. ペルソナの設計
  6. カスタマージャーニーマップの作成
  7. コンテンツ企画
  8. 配信シナリオの作成・設定
  9. 運用内容の振り返り

MAの運用で発生する9つのステップを示した図

1.メンバーのアサイン

まずは、MAを運用するメンバーを確保しましょう。
MA導入を推進する人材には、学習意欲が高く、他部署とのコミュニケーションに抵抗がない人が適しています。
なぜなら、MA導入時には各種マーケティング用語の違いやツールの使い方、設定手順などを学ぶ必要があるからです。
新しいことを学んだり、挑戦したりすることに関心がない人をアサインすると、プロジェクト自体が失敗する可能性もあるため、注意しましょう。

またMA運用時には、複数の部署を巻き込んで戦略を考えたり、他部署に協力を依頼したりする場面も多く発生します。
そのため、コミュニケーションスキルが高い人が適しています。

2.他部署との連携方法の確認

MAを運用するメンバーが決まったら、他部署と自部署が連携する際の流れや、既存ツールとMAとの連携が必要かどうかを確認しましょう。

MAを活用してリードを創出し、最終的に売上につなげるためには、他部署との連携が必須です。
もし他部署がすでに別のツールで顧客情報を管理している場合は、そのツールにMA内の情報をシームレスに共有できるよう、連携しておく必要があります。
他部署の協力が必要な作業がある場合には、MA導入前に情報共有しておくと、導入後の混乱を防げます。

最近は、MAと他のツールを併用してマーケティングを進めている企業も多々あります。
とくにCRMやSFAと連携すると、マーケティング部署で集めた見込み客が、その後成約につながったかどうかを可視化できます。
使用中の既存ツールがある場合は、新たに導入するMAと既存ツールが簡単に連携できそうか、難しそうな場合は外部に依頼するのか、などを事前に確認しておきましょう。

3.マーケティングの目標(KPI・KGI)設定

次に、マーケティングの定量的な目標を設定しましょう。
定量的な目標を設定しないと、マーケティング施策の効果や優先度の高い施策がわからない上に、改善のためのPDCAも回せません。
そのため、自社の課題に合わせて、定量的に測定でき、かつ現実的な期間で達成できる目標を必ず設定しましょう。

なお、目標設定の際は、KGI(目指すべきゴール)とKPI(目標達成までの進捗度を測るための指標)の2つを決めましょう。
目標達成の度合いを測る指標が明確になることで、施策の進捗状況が可視化され、施策の精度が高まります。

MA導入時のKGIとKPIには、おもに以下のような指標が用いられます。

▼MA導入時のおもなKGI

  • マーケティング活動によって創出された売上が、全体の売上に占める比率
  • マーケティング活動によって創出された売上金額
  • マーケティング活動によって創出された商談の件数
  • マーケティング担当から営業担当に提出された商談数・受注数

▼MA導入時のおもなKPI

  • メールなど定期的な情報発信に同意しており、Eメールのみ特定できているユーザーの数
  • 見込み客の数(会社名、個人名、電話番号など、自社からアプローチするための情報が特定できているユーザーの数)
  • 営業への問い合わせやデモリクエストなど、 マーケティング活動によって創出された見込み客(MQL)の数
  • Webサイト全体のトラフィック数
  • トラフィックから見込み客への転換率
  • 見込み客からMQLへの転換率
  • マーケティング部署から創出した受注の平均単価
  • 見込み客の顧客化率
  • 顧客獲得単価(CAC)と顧客生涯価値(LTV)

設定した目標や指標を確認する際は、担当分野ごとにチェックする指標を分担するなど、役割分担をすると効率よく進められます。
マーケティングの各担当者が確認すべき指標については、以下記事で紹介しています。

4.マーケティング戦略の立案

目標と担当者が決まったら、目標達成のためのマーケティング戦略を考えます。
ただし、自社が保有する顧客データやリソース、ノウハウなどを考慮せずに戦略を考えると、実行不可能な戦略となり、せっかく考えた戦略案を実行できないことになりかねません。
そこで大切なのは、顧客情報や自社の強みを分析した上で、戦略を立てることです。

たとえば、自社のSaaSサービスの「法人の契約数」を増やしたいケースを考えてみましょう。
現在の法人顧客の主な認知経路が、広告経由だったことがわかったとします。
すると、広告経由の見込み客へのアプローチを強化すれば、より多くの成約を得られるという仮説を立てられます。
それを踏まえると、キャンペーンの告知広告からWebサイトを訪れた見込み客のうち、資料請するなど確度が高い見込み客に対して、キャンペーン詳細のメールを送るといったアプローチを考えられます。

上記は非常に単純な例ですが、このように顧客や自社の強みについて分析しておくと、実行可能かつ効果的な戦略を考えられるのです。

ちなみに、顧客の特性や自社の強みを知る際には、3C分析やSWOT分析、4P分析などのフレームワークが使えます。

目的に合わせて、これらのフレームワークも使いながら、戦略を立てましょう。

それぞれのフレームワークについては、以下記事で詳しく解説しています。

5.ペルソナの設計

目標に対する戦略を立てられたら、アプローチする見込み客像を明確にするために「ペルソナ」をつくりましょう。
「ペルソナ」とは、製品やサービスにとっての理想的な顧客像です。
ペルソナをつくると、見込み客のニーズが明確になるため、ニーズと合致したコンテンツを作成できます。

ペルソナは、たとえば「35歳、IT企業勤務、チームリーダー、休日は息子の参加するサッカーチームでコーチ・・・」というように、ある特定の人物を鮮明にイメージできるレベルで設定します。

ペルソナの設計方法については、以下記事で詳しく解説しています。

6.カスタマージャーニーマップの作成

ペルソナ設計後は、「カスタマージャーニーマップ」をつくります。
「カスタマージャーニーマップ」とは、ペルソナが商品やサービスを認知してから購入決定に至るまでの一連の行動と思考を表した、以下のような図です。

MA導入を検討する見込み客を例にしたカスタマージャーニーマップ

商品やサービスを認知する前のペルソナと、サービスをすでに認知し各種サービスを比較検討しているペルソナでは、関心をもつ内容が異なります。
「カスタマージャーニーマップ」を作成することで、それぞれの段階にあるペルソナがどのような情報に関心をもち、どのような行動を取るのかを予測できるため、リードナーチャリングを適切に進められます。

カスタマージャーニーマップの作成方法については、以下記事で詳しく解説しています。

7.コンテンツ企画

ペルソナとカスタマージャーニーマップの作成後は、カスタマージャーニーマップの各プロセスにいる見込み客に提供するコンテンツの内容や形式を考えます。
たとえば、ダウンロード資料の場合、業界の最近の動向をまとめた「業界レポート」や、見込み客のマーケティング活動を助ける「テンプレート」といった種類のコンテンツがあります。
また、セミナーや商品のデモンストレーションといった体験・参加型のコンテンツも考えられます。

商品への関心が低い見込み客には、すぐに役立ててもらえる「テンプレート」などが受け入れてもらいやすいでしょう。
一方、すでに問い合わせをしてきているなど、購買意欲が高い見込み客に対しては、商品を無料で一定期間試してもらえるようなコンテンツが有効だと考えられます。

このように、見込み客の購買意欲に合わせて、提供するコンテンツの内容を企画します。
また、用意するコンテンツの内容が決まったら、どのコンテンツをいつ作るかまで計画を立てましょう。

8.配信シナリオの作成・設定

作成したカスタマージャーニーマップをもとに、どんなアクションを起こした見込み客に対して、どのコンテンツをいつどのチャネルから配信するのか、という配信シナリオを決めましょう。
その後、決めたシナリオを実行するためのコンテンツの配信条件を、MAで設定しましょう。

なお、コンテンツを届ける見込み客の条件を細かく設定すればするほど、条件設定に時間がかかり、コンテンツの配信が遅れる可能性があります。
また、条件を細かく設定しコンテンツを届ける見込み客を絞り過ぎると、得られるデータ数が限られてしまい、施策の効果検証ができません。
リードナーチャリングを進められるリードの母数も少なくなるため、営業に渡せるリードの数や成約数も減ります。

そのため、MAの運用に慣れていない場合は、まずは簡単なシナリオを作成し、慣れてきたら細かいシナリオを作成するとよいでしょう。

9.運用内容の振り返り

事前に決めていた各KGI・KPIが目標値に届いているかを、MAのレポート機能などで確認し、各施策の効果を振り返りましょう。
MAの機能を使いこなせていない、設定がうまくできないなど、MAを使いこなす上での課題も合わせて振り返り、必要に応じてサポートを受けましょう。

8.MA・CRM・SFAの違い

MAとよく連携して使われるツールに、CRM(顧客情報管理)とSFA(営業支援システム)があります。
MAの役割をより明確に理解していただくためにも、この3者の違いを簡単に紹介します。

MA、CRM、SFAの共通点は「顧客あるいは見込み客の情報を管理する」という点です。
しかし、主な役割と、マーケティングプロセスにおける得意領域が異なります。

CRM・SFAとは

CRM(Customer Relationship Management)は「顧客関係管理」という意味です。
具体的には、資料のダウンロード履歴や商談内容、過去の問い合わせ内容や購買履歴といった顧客情報の一元管理、またはその専用ツールを指します。

顧客のニーズを把握し、各顧客に合った対応をすることで、顧客と良好な関係を築き、リピーターや自社のファンになってもらうのが目的です。

SFA(Sales Force Automation)は「営業支援システム」という意味で、各案件の進捗の見える化や日報作成などの業務を効率化する機能が備わっているツールを指します。
社内の商談案件を一元管理することで、全ての案件の進捗を漏れなく確認できます。
たとえば、予定より進捗が遅れている案件に早めに気づいて営業担当者に確認したり、案件の管理漏れを防いだりできます。
また、日々の日報作成や請求書発行といった業務を効率化し、営業担当者の業務負荷の軽減も可能です。

このように、SFAを活用すると、営業活動の効率化や成約率の向上などを実現できます。

CRM、SFAについてはそれぞれ以下の記事で詳しく解説しているため、興味のある方はご覧ください。

 

各ツールの役割

MA、SFA、CRMの各ツールの役割と、備えている主な機能を以下の表にまとめました。

 
  MA SFA CRM
役割 マーケティング業務の効率化 営業業務の効率化 顧客情報の管理
主な機能
  • 条件に合わせたメール配信の自動化
  • トラッキング
  • スコアリング
  • データ分析やレポート作成
  • 案件管理
  • スケジュール管理
  • 日報管理
  • 予実管理
  • 帳票作成
  • 顧客データベース作成
  • 顧客のセグメント(リスト作成)

CRMの主な役割は、成約前〜成約後まで一貫して顧客情報を管理することです。
一方MAの主な役割は、成約前の見込み客の情報を管理し、その情報を用いたマーケティング活動を効率化することです。
また、SFAは営業業務の効率化を主な役割としています。

MAの先には「人」がいて、MAを使うのも活かすのも「人」であることを覚えておこう

本記事で説明してきたように、MAを活用すると、より多くの潜在顧客や見込み客のニーズやウォンツを把握できるようになります。
その結果、見込み客に合った個別のアプローチが可能となり、見込み客との良好な関係が生まれた結果、成約率の向上につながります。

また、MAを組織に導入することで、組織全体のマーケティングに取り組む姿勢も変わってゆくでしょう。
MAの導入が、組織内に優秀なマーケターを育てるきっかけにもなるのです。

MAはマーケティング活動を自動化するツールですが、このツールをどのように使うかの設計は「人」がおこないます。
また、ツールの先にも潜在顧客や見込み客という「人」がいます。

MAを上手に活用できる企業は、その本質をけっして見失いません。
どれだけ便利なデジタルツールが出てきたとしても、それを使うのも活かすのも「人」であるということを心に置きつつ、MAを業務に採り入れていただければと思います。

そして、業務にMAを採り入れる際は、まずは小さい規模で導入しましょう。
小さく始め、自社にフィットするMAと出会えたタイミングで、徐々に社内に浸透させていく流れがオススメです。
どんなツールも、実際に使わないことには、自社のビジネスに本当にフィットするかはわかりません。

よろしければ、まずはHubSpotの無料ツールをお使いいただき、実際の使用感を試してみてください。
HubSpotにはMAとしてのさまざまな機能が用意されています。

▼HubSpotの無料ツール
https://www.hubspot.jp/pricing/crm

HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

 

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