モーダルウィンドウとは？ポップアップとの違いや活用例を解説

モーダルウィンドウとは、ユーザーに重要な情報やエラーメッセージを伝えるために表示される、Webサイトやアプリの画面に表示される別のウィンドウです。ウィンドウ内の指示に従うかキャンセルしない限り他の操作ができなくなるので、ユーザーに伝えたいメッセージがある場合に有用です。

メリットとデメリットを理解したうえでモーダルウィンドウを活用すれば、サイト訪問者の満足度を高めることができるでしょう。

この記事では、モーダルウィンドウの定義やポップアップウィンドウとの違い、活用例を解説します。代表的なメリット・デメリットや実装方法もご紹介しますので、参考にご活用ください。

モーダルウィンドウ（モーダル表示）とは、親ウィンドウの前面に表示され、ユーザーがウィンドウに表示される指示に従って操作やキャンセルをしない限り、他の操作ができなくなる仕組みのウィンドウです。常に前面に来るフローティングウィンドウの形式で表示されます。

モーダルウィンドウは、ユーザーに重要な情報や操作を伝えたりユーザーに注意や誘導を促したりする場合に有効なUIデザインです。モーダルウィンドウが表示されている間は他の操作ができないので強制力が高く、大切な情報を確実に伝えられる利点があります。しかし、ユーザーの操作を制限するため、むやみに使用するとユーザー体験を阻害する可能性があるので注意が必要です。

似た用語に、「ダイアログ（ボックス）」があります。ダイアログとは日本語で「対話」を意味し、ユーザーに情報を提示して応答してもらうウィンドウ全般を指します。モーダルウィンドウとの違いは、ダイアログは必ずしも操作を制限するものではない点です。

また、「モーダルダイアログ」という操作が制限されたダイアログを指す用語もあります。表示形式は異なるものの機能や、メリット・デメリットが類似しているため、モーダルウィンドウと似た使い方が可能です。
 

ポップアップウィンドウとは、親ウィンドウとは別に開く小さなウィンドウです。Webサイトやアプリケーションで、親ウィンドウの前面に表示される子画面という点では同じです。両者はユーザーエクスペリエンスの向上や特定のアクションを引き出す目的で使用されます。ただし、表示方法や用途には違いがあります。

モーダルウィンドウでは、ユーザーが何らかの操作や応答を行うまで親ウィンドウの操作を制限できます。重要な情報の確認や警告、エラーなどを伝えたりユーザーに注意や誘導をしたりする場合に有効なUIデザインです。

それに対して、ポップアップウィンドウは、親ウィンドウの操作を制限することはありません。広告や外部リンクなど、主コンテンツとは独立した情報を提供したり、特定のアクションを促進したりする場合に使用されます。

モーダルウィンドウの役割は、ユーザーの操作を制限してサイト運営者の意図する行動を、強制的に促すことです。そのため、主に次の3つの場面でモーダルウィンドウは活用されます。

• 重要な情報を伝えたい場合
• エラーを知らせたい場合
• ロード中に不要な操作をさせたくない場合
   

重要な情報やメッセージを伝えたい場合

モーダルウィンドウは他のウィンドウに干渉されないので、ユーザーの注意を確実に引きたい場合に有用です。例えば、利用規約やシステムメンテナンスなどユーザーに対して情報を確実に伝えたいケースが挙げられます。

他にも、クーポンやセール、新商品、おすすめ商品などの情報もモーダルウィンドウで告知すると効果的です。最適なタイミングで表示すれば、売上や成約率の向上が期待できるでしょう。
 

エラーを知らせたい場合

モーダルウィンドウは、誤った操作や危険な操作を防ぐための警告やエラーを伝える用途にも適しています。例えば、アカウント情報やファイルを削除するときに、「入力した情報は保存されず消えますが、本当に削除しますか？」というメッセージを表示して、ユーザーの意図しない操作を防ぐことが可能です。

このような警告の表示はユーザーの満足度につながるため、ユーザーが損をする可能性がある操作や間違えやすい操作に対しては、モーダルウィンドウを使うと良いでしょう。また、エラーに気づかずにサービスを使い続けることでユーザーが不利益になるケースも、モーダルウィンドウで知らせれば親切です。

ただし、モーダルウィンドウに表示される内容を確認せずに操作するユーザーもいます。警告メッセージを読んでもらうためにも、デザインで興味を引いたりモーダルウィンドウに慣れさせないために頻繁に使いすぎないようにしたりと、常に注意を引き付けられる工夫をしましょう。なお、エラー状態に気づいてもらうためにも、「OK」などを押さないと他の操作ができないようにするモーダルウィンドウを使うのも良いでしょう。
 

ロード中に不要な操作をさせたくない場合

ロード中であることに気づかずに別の操作をするのを防ぐ目的でも、モーダルウィンドウは有効です。処理の内容によっては、ロードに時間がかかることもありますが、モーダルウィンドウを利用してロード中だと知らせることで、ユーザーがPCがフリーズしたと勘違いして、操作することを防げます。

他にも、二重読み込みや、ロード画面からの離脱を防止可能です。読み込み中のモーダルウィンドウには、ロードが終わるまで操作できないものと、ロード中にキャンセルが可能なものがあります。どちらにしても、モーダルウィンドウを表示させることでロード中の不要な操作を防ぐことに役立ちます。
 

モーダルウィンドウは、使い方次第でユーザーにとって不便なものになります。ユーザーが快適にサイトを利用できるようにするためにも、モーダルウィンドウの欠点を把握しておきましょう。
 

スマホでの表示が難しい

画面が大きいPCでは問題なく表示できるモーダルウィンドウも、スマホでは画面外にはみ出したり、操作がしにくくなったりする可能性があります。スマホからアクセスするユーザーにとって、不快な体験にならないよう注意しましょう。

また、一般的にスマホへのモーダルウィンドウの実装はPCよりも工数がかかります。画面サイズや解像度にあわせてレイアウトを調整したり、スクロールや閉じるボタンの動作を確認したりする必要があります。
 

ユーザーの操作を妨げる

モーダルウィンドウは他の画面を操作できなくして、ウィンドウ内の表示に興味を引きつけます。結果として、ユーザーの操作を妨げることにもつながるため注意が必要です。関係のない広告やメリットの少ない情報を表示すると、ユーザーの体験を阻害して不快感を与えてしまいます。表示内容は有益な情報にして、閉じ方を分かりやすくすることを意識しましょう。

モーダルウィンドウを閉じた後に、ユーザーがそれまで読んでいた場所を見失うケースもあります。使い方によっては、ユーザーの作業効率や満足度が下がってしまうため、モーダルウィンドウの活用は必要最低限にとどめ、本当に大切な情報を伝えたいときだけに効果的に用いるようにしましょう。
 

ユーザーが離脱するリスクがある

モーダルウィンドウが表示されると、ユーザーは何らかのアクションをしなければなりません。しかし、アクションの方法がわからなかったり面倒だったりすると、ユーザーはサイトから離れる可能性があります。

本当に必要な情報であれば効果的ですが、そうでなければ逆効果です。サイトや企業のイメージが悪くなるだけでなく、離脱率も高くなってしまうでしょう。使いどころは慎重に判断し、使用する際はアクションをできる限りわかりやすく伝えられるようにデザインやテキストを工夫しましょう。
 

モーダルウィンドウを実装する方法にはいくつものパターンがあります。一例として、次の方法をご紹介します。

• ０からコーディングする：CSS3の［:target］疑似クラスを使い、特定のHTMLにIDが付いた形式のときのみCSSを有効にしてモーダルウィンドウを表示させる方法です
• jQueryを使ってコーディングする：jQueryで、ボタンクリックにより背景と子ウィンドウを表示させるコードを作成して実装する方法です
• Javascriptを使ってコーディングする：Javascriptを用いて、HTMLの表示・非表示を切り替えるコードを実装する方法です
• WordPressのプラグインを使ってコーディングする：WordPressのプラグインによってモーダルウィンドウの表示中身と動きを設定する方法です

jQueryやWordPressのプラグインを使う場合でも、HTMLやCSSなどの知識が必要です。また、JSFiddleを活用すれば、世界中のユーザーが作成したHTML、CSS、JavaScriptなどのコードを引用できます。より高度な制御やデザイン性を追求する場合は、専門家に依頼することをおすすめします。
 

モーダルウィンドウを実装してユーザーの操作を制限することで、発信側の意図した行動をより強制的に促せます。「重要な情報を伝えたい場合」「誤った操作や危険な操作をエラーを知らせて防ぎたい場合」「ロード中に操作させたくない場合」などの場面での活用が適しています。

しかし、モーダルウィンドウは使い方次第でユーザーにとって不便なものになるので、使用頻度や使用場面には注意が必要です。あくまでサイトやアプリを使用する人の立場になり、ユーザー体験の向上を考えて実装することが重要になるでしょう。