CTAとは「Call-To-Action」の略で、日本語に訳すと行動喚起という意味です。

ランディングページやブログ記事、SNS・広告、ニュースレター、CTAが用いられる場面は多種多様に存在します。「無料でダウンロード」「今すぐ電話で問い合わせを」「最新カタログ無料進呈」などのように、ユーザーにとって魅力的なサービスをインセンティブ(誘引)に、ユーザーにクリックするよう呼びかけます。
CTAのクリックスルー率が向上しなければ、リードのコンバージョン率は上がりません。その結果、Webサイトのトラフィック数は増えていったとしても売上になかなか繋がらないという状態に陥ってしまいがちです。
本記事では、実際のCTAコピー14例をご紹介します。訪問者をクリックやコンバージョンに力強く促すような、質の高いCTAコピーを作成するために、これらの実例が参考になると思います。是非とも、自社のCTAを改善する参考にして下さい。
CTAとは?
CTAとは、Web広告やコンテンツ、メールなどを見た人に、次のステップに進むよう促す「行動喚起」です。BtoC企業は主に消費者を販売プロセスに導くために、BtoB企業は主にリード(見込み客)獲得のために、CTAを要所要所に設置します。
具体的には、以下のようなものがCTAとして使われます。
- カートに入れる:購入を促す
- 資料請求:製品やサービスの説明を紹介する記事の最後に設置される
- 会員登録:ブログ記事の途中で、会員専用に切り替わり、続きを読みたい人向けに表示される
- メルマガ登録:関連情報が届くことを知らせる
- シェアボタン:SNSでシェアすることを促す
CTAはユーザーがわかりやすいようにボタンを利用することが多いため、ボタンのデザインが重要です。しかし、CTAを作成する際は、デザインにこだわるばかりではなく、コンテンツを読んでいるユーザーが思わずクリックしたくなるようなキャッチコピーを考える事が重要です。
また、コピーライターであるDean Rieckは、Eyetrack IIIの調査結果を分析して、「情報を求めている人は、写真ではなくテキストに注目する」と述べています。
CTAの構成
CTAは、主に以下のような構成で出来上がっています。

- マイクロコピー:CTAボタンの近くに配置するテキストで、CTAボタンへ視線を誘導する役割を持っています。
- CTAボタン:クリック/タップできる部分を指します。図形や色を駆使してユーザーの目につくようにします。
- ラベリング:CTAボタンの中に配置するテキストで、ユーザーにやって欲しい行動を促します。
CTAの種類
CTAには主に以下のような種類があり、それぞれに効果的な役割があります。
ボタンタイプ
ボタンのような形をしているCTAです。ボタンのように見せるデザインをしており、上図のようにボタンの中にラベリングがあります。
バナータイプ
バナー全体がCTAボタンになっているタイプです。バナー内に画像を入れて、その画像に関連するページに遷移させたい場合などに使われます。
テキストリンクタイプ
テキストにリンクを張ったタイプのCTAです。画像のようには目立ちませんが、ブログの文中に設置することで自然な流れで誘導するなどの役割があります。
CTAのデザインと配置のコツ
効果的なCTAとするには、以下のようにデザインや配置を工夫すると良いでしょう。
コピーはクリック後のアクションが分かるように
CTAに設置するコピーは、マイクロコピー・ラベリングともに「クリックした後に何が得られるか」がひと目で分かるようにしましょう。
コントラストの強い色を使う
CTAボタンやバナーの色にはコントラストの強い色合いを使い、目を引きやすくします。また、コーポレートカラーを使うことも有効です。
サイズや位置は視線の流れを意識する
CTAボタンは目立つためにある程度の大きさが必要ですが、大きすぎてもクリックできるものと気づかれずにコンバージョン率が下がる可能性もあります。
マイクロコピーを駆使する、バナーのデザインを工夫するなどして、上手く視線を誘導できるようにしましょう。
CTAの具体的なデザイン手法について知りたい場合は、以下のコラムをご覧ください。
CTAの発展形
以下のようなテクニックを駆使することで、コンバージョン率を上げられる可能性があります。
セカンダリCTA
セカンダリCTAとは、メインとなるプライマリCTAにユーザーが興味を示さなかった場合に備えて、もう1つ設置しておくCTAのことを指します。
例えば、資料請求をプライマリCTAとしていた場合、ユーザーは資料請求までは興味がない、または会社情報まで細かくフォームへ入力する手間を惜しんだかもしれません。そこにメールアドレスの入力だけで購読できるコンテンツがあれば、そちらには興味を示す可能性があります。
セカンダリCTAは多くのコンバージョンを得るためには有効ですが、設置のしすぎは禁物です。
セカンダリCTAについて詳しくは、以下のコラムをご覧ください。
スライドインCTA
スライドインCTAとは、ページをスクロールする際に右下などに現れるCTAボタンを指します。
CTAは通常、ブログ記事などの終盤に配置します。しかし、そこまで読んでくれて、かつCTAに気づいてくれるユーザーは多くはないかもしれません。
コンテンツを邪魔しない位置にスライドインCTAを設置することで、CTR(クリック率)を向上できる可能性があります。
スライドインCTAについては、以下のコラムにて詳しく解説しています。
CTA事例に見る、クリックを誘うテクニック
目を引くCTAを見ていると、使い方にはいくつかのパターンがあることに気づきます。ここではそれを5つのパターンにまとめました。
- 強力なコピーと連動するCTA
効果的なコピーでユーザーの興味を刺激し、CTRを上げる目的のCTAです。数字を上手く使う、バナーのコントラストを強くするなどで行動を喚起します。
- 何が得られるかが明確なCTA
クリックすれば何が得られるかが明確に分かれば、その課題を抱えているユーザーは素直にクリックしてくれると考えられます。
- ボタンだけで伝わるCTA
マイクロコピーも重要ですが、ユーザーはページの隅々まで見ることはないかもしれません。CTAボタンとラベリングだけで内容が伝わるようにすることで、CTRを向上できる可能性があります。
- 統一感のあるCTA
ページのデザインと統一感があることで、自然と認識しやすいCTAとなることもあります。色のコントラストを強くすることで逆にCTRが下がるようであれば、統一感を重視すると良いでしょう。
- 異なるコンテクストのCTA
それまでのコンテンツの流れ(コンテクスト)と異なる内容のCTAを設置するケースもあります。一見すると異質でも、ユーザーの目を引くために効果的である場合もあります。
ではこの5つのパターン別に、実例を見ていきましょう。
1. 強力なコピーと連動するCTA
CTAボタンに書かれたコピーは多くの人の目に触れ、たとえすぐクリックされなくても、潜在的な効果につながります。うまくコピーを活かしたCTAを紹介します。
Akismet
Akismetはスパムを防御するサービスを提供しており、そのことを訪問者にコピーで確実に伝えています。
Akismetを利用することでスパムを防御できるというポイントを、「Let Akismet handle it. You'll be protected within minutes(Akismetにお任せください。すぐに防御を開始します)」というコピーで強調し、そのコピーをすぐ下のCTAボタン「Get started(始めましょう)」が引き取っています。
訪問者はこのコピーを見て、CTAをクリックすればコメントスパムの心配からすぐに解放されると感じるでしょう。

Amazon
この例のCTAは、本の画像のクリックを読者に「Look inside(日本語サイトでは「試し読み」)」というコピーで実に力強く促しています。
コピーと矢印の組み合わせが絶妙なので、ページ内で必ずそこに目が行きます。クリックすると、購入を検討している本の一部を、ページをめくりながらプレビューすることができます。

Eventbrite
Eventbriteはオンラインチケットサービスですが、販売するのはユーザーが企画したイベントです。
ユーザーに企画を促し、SNSでの宣伝を手伝います。CTAボタンには「イベントを企画しよう」というコピーがあり、CTAボタンの隣にあるテキスト「(It's free)」(無料)には、動機付けの効果があります。イベントを「無料」で作成できるのだから、これを利用してイベントを作成しない理由はない、と思わせる説得力があります。
またこのテキストが括弧に入っているため、後から付け足したようで押しつけがましさがなく、ソフトセルな感じで良いと思います。

2. 何が得られるかが明確なCTA
CTAの先に何があるか、テキスト全体を見なくても、CTAボタンだけを見ればひと目で分かるCTAを集めました。シンプルなCTAボタンですが、コピーや見せ方の工夫がなされています。
Bob Phibbs
Retail Doctor(小売り博士)を名乗るコンサルタントでありスピーカーでもあるBoB PhibbsのWebサイトです。
このCTAの「See How Bob Can Optimize Your Business(Bobによるビジネス最適化の方法をご覧ください)」というコピーには、訪問者がその上の3項目を読み飛ばしたとしても、このコピーからコンテキストを伝えることができるという狙いがあります。
具体的で、アクションを重視した効果的なコピーです。

Codebase
Codebaseはチームでソフト開発を行うためのコードホスティングプラットフォームを提供する会社です。
このランディングページでは、訪問者はCTAの上に表示された「15 day free trial(15日間無料トライアル)」というイタリック体のテキストによって、CTAをクリックした後のアクションについて非常に具体的に知ることができます。
「Try Codebase for free(Codebaseを無料で試す)」を実践するための方法と、その期間(15日間)も明確に示されています。コンバージョンの前に、その見返りとして何が得られるのかを、訪問者に明確に説明している素晴らしい例だと思います。

Get Satisfaction
Get Satisfactionはテクニカルサポートを受けるユーザーによるオンラインコミュニティです。ユーザーが出した質問に、他のユーザーが回答したりアドバイスしたりするという、Yahoo!知恵袋などのテクニカルバージョンです。
このCTAのコピー「Read the Case Sturday(ケーススタディを読む)」はかなり具体的に書かれているため、訪問者はその周りのテキストを読まなくても何が得られるかを理解することができます。
これほど率直なCTAなら、クリックして受け取るものが確実に伝わりますが、このことがコンバージョン率を大きく左右する場合がありますので、覚えておいてください。

Go To Webinar
GoToWebinarは、オンライン専用のソフトウェアを提供する会社です。
GoToWebinarのトップページでは、2つのCTAボタンの下にハイパーリンクテキストを表示し、無料トライアルまたはオンライン購入のいずれかを選択できることを訪問者にわかりやすく伝えています。また、セールス担当者と話すという3番目のオプションも示されています。
この例から学ぶべきことは、CTAのサイズが小さく、ボタンのテキストではわかりづらい場合の対処法です。ボタンのテキストでは十分に伝えられなくてもコピーを利用して明確に示すことで、訪問者により効果的にクリックを促すことができます。

Brightcove
Brightcoveは動画配信プラットフォームです。
ここまで見てきたCTAの例で、CTAにはできるだけ具体的な情報を表示するのが効果的であることが理解できたと思います。このBrightcoveの例もその1つです。
CTAの上部に無料のウェビナーとイベントが開催されることを述べ、ユーザーが登録する必要があることを明確に説明します。そしてCTAボタンでSign up today(今日、登録しよう)と促します。

APPSTEMPLATES.com
iPhoneアプリ用のテンプレートを販売するCTAです。
コピー本文で手に入れられるものがチェックボタンと共に示され、CTAをクリックすることで得られるものを明確に示します。
それに続くCTAでは、ボタンをクリックするとウェブテンプレートへの「unlimited access(無制限アクセス)」を入手できると伝えます。さらに、$149から$50ドルへのディスカウントについても言及し、効果的にアピールしています。

3. ボタンだけで伝わるCTA
Indie Aisle
Indie AisleはeBookを自費出版するサービスを提供する企業です。
CTAボタンに「登録し、無料で本を出版しよう」と明確に述べられています。ボタンの上部にはサービスの内容が箇条書きで説明されていますが、ボタンのコピーが各項目を完璧に要約しているため、訪問者が読み飛ばしても問題ありません。

Mobile Web Design
ウェブ・デザイナーでありスピーカー、著述家でもあるキャメロン・モールが『Mobile Web Design』という本を出版した際のWebページです。
Webページ全体で本の紹介がしてあり、「購入すべき理由」が箇条書きで述べられていますが、注目すべきはCTAボタンです。「本を購入」と簡潔に書かれており、クリックするとどうなるかが明確にわかります
しかも訪問者はボタンをクリックする前に内容を具体的に知ることができるので、何も疑問に思う必要がありません。

OH! Media
OH! Mediaは企業Webサイトの設計・開発を行う企業です。このトップページでは、自社が手掛けたレジーナ交響楽団のWebサイトについての事例が紹介されています。
CTAには「ケーススタディを読む」と書かれているだけですが、訪問者が次のアクションに進むのにはこれだけで十分なで、それ以上の詳しい説明を追加する必要がありません。
実際、このCTAの上部に書かれた文章は、人々の関心を引き、クリックしてもっと読みたいという気持ちにさせるために、途中で消えてしまいます。

4. 統一感のあるCTA
CTAボタンは目立たせなければ意味がなく、同時にWebページの統一感を損なうものでは、ユーザーの気持ちがそがれてしまいます。統一感と注意を引くことを両立させているCTAを紹介します。
Revolutionary Art Magazine
「SUBSCRIBE(定期購読)」というCTAのコピーはごくシンプルですが、その周りのテキストによって、購読することの価値がわかりやすく説明されています。
目を引くCTAボタンの下に、なぜ購読するべきかが書かれていますが、「No fluff. No ads. Just great articles...(素晴らしい記事さえあれば、装飾も広告も必要ありません...)」とあるとおり、CTAもまさにそれを実践しています。

5. 異なるコンテクストのCTA
CTAの内容や条件によっては、コンテンツと一致しないCTAをWebページに埋め込む必要があります。そのような場合に参考になるWebサイトです。
XS International
XS Internationalはハードウェア保守サービスを行う企業です。
会社の業務を紹介するページの右側に、「大手サポートサービスの費用の高さにはうんざりしていませんか?」という強力なコピーで、コストを下げるためのヒントを掲載した「無料のホワイトペーパーをダウンロード」というCTAと、「メンテナンス費用の見積」というコピーの下に、「御社の設備をお知らせください」というCTAが掲載されています。
ウェブページのコンテキストが、CTAの内容とあまり結びつかないという場合は、CTAそのものがオファーの内容を力強く伝えるように、ビジュアルやコピーを作成する必要があります。この例にある2つのCTAは、2種類のオファーのコンテキストを説得力のあるコピーで表現しています。

CTAを工夫しCV率をアップさせよう
ここで紹介したCTAの実例は、それぞれに工夫がなされ、考え抜かれて設置されたものです。ユーザーのニーズに訴え、わかりやすい内容で、クリックするとどうなるかを伝えています。
さまざまなCTAがありますが、良いCTAに共通するのは、CTAをクリックしてくれるユーザーに対して「価値の提供をはっきりと伝える」ことにあります。
ほとんどのユーザーは、行動する前に、自分のニーズが満たされるかどうかを確認したいと思っています。だからこそ「行動すればこれが得られる」と伝える必要があります。
その提供する価値の中身を、コンテンツやコピーで誠実に伝え、そして実際にクリックによって価値を提供してください。
もっとCTAの事例を見たい方は、以下のコラムもあわせてご覧ください。

