O2O(Online to Offline)とは?代表的な手段や施策、国内事例を紹介

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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インターネットを使ったオンラインサービスを用いて、店舗などオフラインへ顧客を誘導する O2O(Online to Offline)の活用事例が増えています。街中でみかける「LINE@はじめました」や「公式アプリ登録」などの販促活動はO2O施策の1つです。

O2Oとは?代表的な手段や施策、国内成功事例を紹介

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自社における O2Oによる販促活動の導入及び成功には、オンライン上での情報提供による認知や興味喚起、顧客によるスムーズな購買体験の実現が求められます。

本記事では、O2Oの特徴、具体的な施策、成功事例、成功のポイントなど、O2Oによるマーケティング活動をお考えの担当者に役立つ情報を解説します。

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O2O(Online to Offline)とは?

O2O(Online to Offline)とは?

O2O(Online to Offline)とは、Webサイトやアプリなど、インターネット上でのユーザー行動を起点にして、実店舗などに誘導して購入につなげる施策を指します。 「インターネット上でのユーザー行動」がオンライン、「実店舗への来店」がオフラインに対応し、「Online to Offline」の略称として「O2O」と呼ばれています。

オフラインへの誘導する際はTwitterやInstagramなどのSNSやアプリ、Webサイトなどを活用します。また、スマートフォンの位置情報機能(GPS)を活用した施策も行われています。例えば下記の活用事例があげられます。

  • 実店舗で使用できる割引クーポンを公式サイトで配布
  • 実店舗の近くにいるユーザーのスマートフォンに広告配信

オンライン・オフラインをつなげる施策で言うと、「オムニチャネル」も注目されています。実店舗やECサイトなど複数の販売チャネルを融合し、顧客にチャネルを意識させない手法です。オムニチャネルはO2Oをさらに進化させたマーケティングと言えますが、O2Oの方が予算や運用面で導入しやすい傾向にあります。実店舗を軸に、オンラインを用いた施策を検討しているのであればまずはO2Oでしっかりとノウハウを蓄積しましょう。

なお、オムニチャネルについて詳しくは、HubSpotの別ページ「 OMOとは?オムニチャネルやO2Oとの違いや成功事例を解説 」で紹介しているので参考にしてください。
 

O2Oの市場規模

実店舗をはじめとするオフラインへの誘導、及び来店後の購買促進を目的に配信されるネット広告、SNSによるクーポンの配信などを「店舗集客型デジタル広告」「O2O広告」と呼びます。

株式会社サイバーエージェントと株式会社デジタルインファクトが共同で行った「 店舗集客型デジタル広告(O2O広告)の市場規模調査 」によると、2019年の店舗集客型デジタル広告(O2O広告)の市場規模は405億円で、2018年の205億円から約2倍に拡大しています。2024年には2,586億円への成長が予想されています。

O2Oの市場規模

出典:「店舗集客型デジタル広告(O2O広告)」の市場規模調査を実施 | 株式会社サイバーエージェント 
 

O2Oマーケティングの目的

経済産業省が2020年7月に公表した「 国内電子商取引市場規模(BtoC及びBtoB)」によると、2019年の国内BtoCのEC市場規模は19.4兆円(前年は18.0兆円、前年比では7.65%の増加)です。このうち、全ての商取引金額(商取引市場規模)に対する、電子商取引市場規模の割合であるEC化率は6.76%です。 BtoCのEC市場規模は拡大傾向であるとは言え、まだまだ実店舗での購入が多いことが分かります。

一方、商品購入前にインターネットで情報を収集する消費者も増加しています。このような現実を見ると、O2Oマーケティングの目的とは、オンラインからオフラインへの誘導を促進し、実店舗での商品購入によって有益な顧客体験を提供することが狙いとなります。

なお、近年、消費者行動は多様化しており、各ユーザーの性質に応じたアプローチが求められます。例えば、価格にこだわる方には「クーポンなどの割引サービスをタイミングよく提供する」、満足度重視の方には「良質な顧客体験を紹介する」などのアプローチが挙げられます。一般的に前者は短期的な販売効果、後者は長期的な関係構築につながります。
 

O2Oの仕組み

O2Oマーケティングにおける最初の取り組みである「オンラインから実店舗への集客」段階での主な手段は次の通りです。

  • スマートフォンの位置情報を活用したターゲティング広告
  • スマートフォンに専用アプリをインストールした消費者へのプッシュ配信
  • ビーコンを利用して実店舗の近くにいる消費者へのプッシュ配信

実店舗への誘導が完了すれば、次の段階として、ECサイトなどのオンラインでは得られないオフラインならではの体験を提供します。例えば、次のような事例があります。

  • 顧客の知りたい情報を的確に把握して、必要な情報の提供及び提案
  • 商品やサービスを体感や五感で伝える

オフラインではオンラインで獲得できるリード情報より詳細な顧客情報を獲得できます。得られた顧客情報をデータベース化してマーケティングに活用する仕組みも検討しましょう。
 

O2Oを導入するメリット

O2Oマーケティングの導入により、オンライン、オフラインそれぞれの特徴が活かされた次のようなメリットが得られます。
 

新規顧客の獲得

多くのユーザーが利用するSNS、位置情報を利用したターゲティング広告など、オンラインならではの機能を活用して、新規顧客に商品情報やキャンペーンを配信できます。
 

効果測定の容易性

オンラインでの広告費用、及び実店舗でのクーポン利用実績などデータに基づく分析から、O2Oの効果検証が比較的容易に行えます。
 

顧客に合わせた販売促進

SNSでは、性別、年齢、誕生日などユーザーの属性を利用した広告配信が可能です。これらの情報を活用し、各ユーザーに合わせた配信を行うことで顧客満足度が向上し販売促進へと繋がります。
 

オムニチャネル構築へのノウハウ蓄積

一般的にオムニチャネル構築にはO2O導入より大きな予算が必要です。O2Oマーケティングの運用で自社独自のノウハウを蓄積して、より顧客の囲い込みが可能なオムニチャネル構築に活用できます。
 

O2Oの戦略はどう立てればいい?

O2Oの戦略を立案する際には、「オンラインからオフラインへの誘導」と「オフラインでの顧客体験」の連携を重視しましょう。言い換えれば、SNSやECサイトといったオンライン、実店舗などのオフラインのつながりを消費者という接点を通じて「線」として機能させます。このように、企業と消費者が「オンライン」と「オフライン」のそれぞれの接点でコミュニケーションを行うことにより、良好な関係構築が期待できます。

O2Oに関する多くの資料では、「オンラインからオフラインの誘導」について解説されています。しかしながら、本来的なO2Oマーケティングによる成果を望むのであれば、「オフラインでの顧客体験」の施策にも工夫が必要です。実店舗で消費者にどのような体験を提供して満足度を向上させられるのか、以下で紹介しているようなチャネルや事例を参考にしつつ、アイデア出しと改善を繰り返しましょう。
 

O2Oに活用できるの主要なオンラインチャネル

O2Oに活用できるの主要なオンラインチャネル

 

O2Oではオンライン上で顧客に関心をもってもらうことがスタートです。下記に主なO2O施策を解説します。それぞれの特徴を理解した上で活用しましょう。
 

Webサイト

自社Webサイトを運用すれば、商品紹介、キャンペーン、クーポンの発行など、顧客に役立つ情報を必要なタイミングで発信できます。運用時にはアクセス数を増やす施策として、SEO対策はもちろん、SNSによるコンテンツ紹介なども同時に実施します。
 

SNS

TwitterやInstagram、Facebookに代表される SNSのユーザー数の多さ及び情報拡散力は、今やマーケティングに欠かせない要素です。これらのSNSがもつユーザー属性を利用した詳細なターゲティングによる広告配信も可能であり、より効率的な営業活動を行えます。
 

ECサイト

実店舗と比べてECサイトのメリットは、営業時間や地理的制限がないことです。しかし、ECサイトによる販売では、実際に商品を確認できないなどの理由により、購入に至らない消費者もいます。ECサイトで実店舗を紹介すれば認知が進み顧客に複数の販売機会を提供できます。
 

メルマガ

メルマガを活用すれば、キャンペーンなどの単発の情報に加えて、継続的な情報配信が可能です。消費者にとって魅力的なインセンティブを検討し、メルマガ登録者数、つまり自社のファンを増やしましょう。
 

アプリ

アプリはO2Oマーケティングにおいて強力なチャネルです。独自のアプリを作成して消費者に利用してもらえれば、位置情報を活用した広告やクーポン配信、支払い機能など消費者ニーズに即したサービスを提供できます。利用者を増やすためにもアプリをインストールしたくなるサービス設計を心がけましょう。
 

O2Oマーケティングの成功事例

アプリを活用したO2Oマーケティングの成功事例を紹介します。スマートフォンの普及にともない、アプリによる消費者への訴求力は大きくなっています。
 

ユニクロ

アプリをスマートフォンにインストールして会員登録を行うことにより、アプリ会員だけの特別価格やクーポンを入手でき、インストールへのインセンティブとなっています。また「アプリから店舗の在庫確認ができる」「オンラインサイトで購入した商品を店舗で受け取る場合は送料無料」など、実店舗に誘導するサービスを提供しています。さらにUNIQLO Payによる支払いで素早い会計が可能です。
 

マクドナルド

顧客毎に充実したサービスを提供する「未来型店舗体験」のコンセプトにもとづく公式アプリを提供しています。例えば、スマートフォンで事前注文してキャッシュレス決済を提供する「モバイルオーダー」により商品を注文すると、店舗ではレジに並ばずに商品を受け取れます。また、従来のカウンターでの注文、モバイルオーダーのどちらでも使えるクーポン発行を定期的に配信し、消費者との継続的なつながりを構築しています。
 

O2O施策を成功させるポイント

O2O施策を成功させるポイント

O2Oを実行する際は、オンライン上の施策であるアプリやSNSなど集客した顧客に「いかに満足のいく体験をしてもらえるか」が大切です。つまり、「関連する部門の連携」「消費者に飽きさせない継続的な体験の提供」が成功のポイントです。
 

社内組織の体制整備

顧客体験の提供は、実店舗だけの努力では実現しません。O2O戦略の立案と推進を担う専門の部門を設置した方がよいでしょう。専門の部門では、社内の関連部門と連携して施策を進めていきましょう。
 

実店舗での顧客体験の追求

顧客体験の中心は実店舗です。顧客と接するスタッフには、さらなるサービス向上のためのアイデア出しや継続的な改善活動が求められます。実店舗におけるより良い顧客体験の向上を図るため、スタッフに目的や役割を十分理解してもらい、必要な施策を行いましょう。
 

O2Oを実施する際の注意点

O2Oの導入事例では、「実店舗に来店された方にアプリのインストールを促してオンラインでの接点を確立」し、「新商品の入荷情報やクーポンをプッシュ通知で知らせて集客する」パターンが一般的です。しかし、これらのケースは既に多くの企業で活用されていいます。

競合他社との差異化を図るには、O2Oマーケティングの手法のように オンラインからオフラインの集客だけにこだわるのではなく、顧客にスムーズな購買体験を提供できる自社独自の導線を取り入れていてください。

良質な購買体験を提供できる自社独自の施策の導入後は、顧客の反応を見ながら、O2Oのサイクルを回し続け実践と改善を繰り返していきましょう。
 

O2O成功のカギは「顧客起点」の導線設計

O2O広告の市場規模は今後、右肩上がりの成長が予想されており、単にアプリを作成してクーポンを発行するだけでは、成功しにくくなっています。

競合他社に先んじたO2Oの施策を展開するには、 「顧客にスムーズな購買体験を提供する自社独自の導線の設計」及び「満足してもらえる顧客体験の提供」 が成功のカギです。さらには社内におけるO2Oマーケティング推進のための組織作りも必要です。

顧客のさらなる囲い込みを実現するためには、O2Oからオムニチャネルへ進化する方法があります。自社にマッチしたオムニチャネル実現のためにも、O2Oのノウハウを蓄積しましょう。

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