ペルソナ分析とは?分析方法や活用事例を紹介

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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ペルソナ分析とは、自社にとっての理想の顧客像であるペルソナを作成するために、顧客データやアンケート調査、顧客インタビューを元に理想の顧客像を分析する手法です。

ペルソナ分析とは?分析方法や活用事例を紹介

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顧客の興味・関心や行動が多様化している現代の場合、「40代男性」といった属性だけでは顧客像をイメージできません。

「職業」「職場での役割」「家族構成」「目標」などのあらゆる軸で分析することで、より具体的な人となりが浮かび上がります。

本記事ではペルソナ分析のメリットや方法を紹介します。

ペルソナとは?

ペルソナ分析は、自社にとっての理想の顧客像を知り、ニーズや課題、目標を分析する方法です。まず、ペルソナについて整理しておきましょう。
 

ペルソナとは「製品やサービスを使用する人物像」であり、理想の顧客像を意味します。

ペルソナ設定では、「40代男性」といった属性だけではなく、その人物のパーソナリティ(性格、悩み)、ライフスタイル(よく閲覧するメディア、休日の過ごし方)、人間関係(所属しているコミュニティ、友人の数)などを顧客データや顧客インタビューを元に、実在しているとイメージできるレベルにまで具体的な人物像に落とし込んでいきます。 

ペルソナ分析とは?

ペルソナ設定では、顧客データや顧客インタビューから共通項を抽出して重要な特性に焦点を当て、ペルソナを1人の実在する人間のように作成していきます。このプロセスで行う分析を「ペルソナ分析」と呼びます。

ペルソナ分析を経て作成されたペルソナは、マーケティング戦略や製品開発に活用されたり、ペルソナを元にカスタマージャーニーマップが作成されたりします。
 

カスタマージャーニーとは

カスタマージャーニーとは、ペルソナの感情や思考や行動の変化を時間軸に沿って表したものです。ペルソナが製品やサービスを認知し、購入までのプロセスを見える化することで、適切な場所やタイミングで適切なコミュニケーションが行えるようになります。

カスタマージャーニーについては以下の記事で詳しく説明しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。

ペルソナ分析のメリットと注意点

ペルソナ分析のメリットとデメリット

なぜペルソナ分析が必要なのかを理解するために、ペルソナ分析のメリットを整理しましょう。
 

ペルソナ分析のメリット

ペルソナ分析によるメリットとして、大きく以下の2点が得られます。

  • 関係者で共通認識を持てる
  • 潜在ニーズや課題を発見できる
     

関係者で共通認識を持てる

ペルソナ分析は、マーケティング部門だけでなく、開発や営業、カスタマーサービスなどの部門間連携によって進められます。

ペルソナは、さまざまなステークホルダーで、部門横断的に進める際の共通目的として機能します。これにより、一貫した顧客価値の提供が実現します。
 

潜在ニーズや課題を発見できる

ペルソナ分析では、実在する1人の人物としてイメージできるまで、ペルソナの内面を深掘りし、悩みや解決策を検討します。 価値観やライフスタイル、環境のとらえ方や今後の行動を1人の視点から深く考えることを通して、顧客自身がまだ気付いていない課題を発見し、解決策を提供できます。
 

ペルソナ分析の注意点

ペルソナ分析を行う際は注意点も押さえておきましょう。

  • 時間と人手、コストがかかる
  • ペルソナの検証・改善を繰り返す必要がある
     

自社本位のペルソナを作成・分析してしまう可能性に留意する

理想的な顧客像は、自社にとって都合の良い顧客というわけではありません。「このような人に買ってほしい」と理想を洗い出すのではなく、実際どのような方に対して自社商品は価値を発揮できるのかを考えるべきです。机上の空論で作成されたペルソナはどのような施策においても活用は難しいでしょう。
 

ペルソナの検証・改善を繰り返す必要がある

ペルソナは一度作成して終わりではなく、作成したペルソナが実態に沿っているのか、定期的に検証しなければなりません。また、環境が変化した場合は、ペルソナもそれに合わせて変更も必要です。
 

ペルソナ分析の進め方

ペルソナ分析の進め方1

ペルソナ分析は以下のステップで進めます。

  1. 自社分析する
  2. ペルソナ分析のための情報を集める
  3. ペルソナ設定項目を決めてペルソナをまとめる
  4. ペルソナを元にシナリオを作る
  5. 定期的にペルソナを見直す
     

1. 自社の顧客を理解する

既に一定数の顧客に利用されているのであれば、まずは自社の顧客を理解するところから始めましょう。顧客層の調査や購買行動の分析など、自社で保有している顧客情報をもとにペルソナの属性を抽出していきます。


  • 現在、自社の商品はどのような方たちに利用されているのか
  • コアな顧客層は?
  • どのような購買行動をとっているのか
     

2. ペルソナ分析に必要な情報を整理する

ここではペルソナ分析に必要な情報をどのように整理するかを紹介します。
 

手順1:ペルソナの属性を絞り込む

まずは「30代既婚女性」や「都内在住 営業担当者」のように、ペルソナに設定する年齢や性別、職業や地域などの属性を絞り込んでいきます。
 

手順2:属性をさらに細かく絞り込む

定量データ(人口統計データや行動データ、地理情報、アンケート結果など)を元に、さらに細かく絞り込みます。

例:30代既婚女性 フルタイム勤務 管理職 子どもあり
 

手順3:顧客インタビューを行う

絞り込んだ属性に当てはまる顧客にインタビューを行います。

インタビューでは職業や所属など簡単で答えやすい質問から始め、相手との信頼関係を築きながら「負担に感じていること」「こうなったらいいと思っていること」など、質問内容を深めるのが理想です。なるべく相手から事実を引き出すようにします。
 

3. 設定項目を決めてペルソナを作成する

集まったインタビュー情報は以下の3つの手順でペルソナにまとめます。
 

手順1:ペルソナを構成する要素を抽出する

インタビュー情報からペルソナを構成する要素を抽出します。 インタビューした人を構成する重要な要素を付箋に書き出し、ホワイトボードに貼り付けていきます。
 

手順2:グループ化した要素をラベリングする

付箋の内容が近いものを集めてグループ化したり、類似する要素を統合したりしながら、グループの特徴を明確化させます。そしてグループ化した要素に「仕事環境」や「私生活」などのラベルをつけ、ラベルの下に各要素を整理します。

【クラスタリングの例】

ペルソナ分析の進め方2

 

手順3:ラベルと要素を羅列したスケルトンを作成する

スケルトン(骨組み)とは、ペルソナの重要な要素の一覧です。ペルソナ作成の目的と照らし合わせながら、スケルトンに組み込むクラスタの優先順位を決めていきます。

【スケルトンの例】

ペルソナ分析の進め方3

ペルソナのシナリオを作る

スケルトンの関連要素をつなげたり、イメージしやすいように装飾文を追加したりして文章化してシナリオを作成します。

最後に名前を付け、顔写真を添付します。

【ペルソナ例】

ペルソナ分析の進め方4

 

定期的にペルソナを見直す

ペルソナが完成したら、そのペルソナを評価しましょう。現実の顧客を反映しているか、データと照らし合わせながら評価してみてください。

現実の顧客と大きなズレがないと判断しても、やはり定期的な見直しは必要です。顧客の購買行動は年々変化のスピードが増しており、1〜2年で購買行動が大きく変化することも今では珍しくありません。常に現在の市場を観察し、アップデートし続けていきましょう。

 
 

 

ペルソナ分析の活用事例

ペルソナ分析を事業に活かした2社の例を紹介します。
 

富士通キッズサイト

富士通キッズサイトは、子どもたちに「技術のすばらしさ」を伝えるというコンセプトの下に立ち上げられたポータルサイトです。そこではITや環境、ユニバーサルデザインを学べるコンテンツが提供されました。

当初「小学校の高学年」「学校の先生」と漠然と想定されていたユーザーが、ペルソナ分析を経て明確化された結果、多くのユーザーを集めることに成功したのです。同時にペルソナ分析の実践は「富士通 キッズコンテンツ作成ハンドブック」として公開され、半年間で1万以上ダウンロードされました。
 

日立グローバリソリューションズ

業務用エアコンを手がける日立空調システム(現日立グローバリソリューションズ)は、「販売店の実態がつかめない」「販売店と顧客の結びつきをより深くするにはどうしたら良いか」という課題を抱えていました。

課題解決の決め手となったのが「旭立信彦」という販売店のペルソナです。ペルソナ分析を核として、実態に裏付けられた新しい販売シナリオが作成されました。この事例で特徴的なのは、エンドユーザーではなく販売店のペルソナを開発し、成功を収めた点です。ペルソナ分析がB2CだけでなくB2Bにも効果を上げたことが証明されています。
 

適切なペルソナ分析を実施し、一貫した顧客体験の提供に役立てよう

ペルソナ分析は、マーケティング部門だけでなく、開発や営業、カスタマーサービスなどの部門を超えて進められます。ペルソナは、さまざまなステークホルダーで部門横断的に進める際の共通目的として機能します。

ペルソナ分析は、アクセス解析などによる定量データと顧客インタビューなどの定性データの両方をかけ合わせて行います。時間と手間がかかりますが、自社にとっての理想の顧客像を正確に映し出すことにより、「誰のどのような課題を解決するための商品・サービスか」といったことが明確になり、一貫した顧客価値の提供が実現します。

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