採用フローとは?メリットや設計方法、パターンを解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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採用フローとは、求人から入社にいたるまでの採用活動の各フェーズをまとめたものです。適切な採用フローを設計し採用計画とあわせて運用できれば、採用活動の効率化や費用対効果の向上、ミスマッチの予防が見込めます。

採用フローとは?メリットや設計方法、パターンを解説

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本記事では、採用フローとはなにか、そのメリットや設計方法を解説します。新卒採用、中途採用のそれぞれに適した採用フローのパターンもご紹介しますので、ぜひ役立ててください。

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    採用フローとは

    採用フローとは、求人から入社にいたるまでの採用活動の各フェーズをまとめたものです。具体的には、求人掲載から書類選考を経て内定、入社にいたるまでの施策を時系列に並べた一連の流れを指します。

    採用フローは企業規模や態様によって異なります。さらに、求職者の属性(新卒採用・中途採用)や選考の方法、タイミングによっても変わる点に留意しておきましょう。

    採用フローと混同されやすい言葉に「採用計画」があります。採用計画とは、自社に必要な人材を採用するための計画です。定義からもわかるように、採用フローの上位概念にあたります。

    採用計画に関する詳細は、こちらの記事を参考にしてください。

     

    採用フローを作るメリット

    採用フローの設計により得られるメリットには、次の3つが挙げられます。

    • 採用活動に関わる関係者全員が進捗状況を共有できる
    • 採用における問題点を見つけやすくなる
    • 採用におけるKPIを設定しやすくなる
       

    採用活動に関わる関係者全員が進捗状況を共有できる

    採用は人事部門や経営部門、事業部門など企業全体を横断して多くの人が関わるプロジェクトです。そのため、部門間での連携が必須です。

    採用フローをフロー図(フローチャート)に起こして流れを可視化すれば流れを理解しやすくなるので、社内で進捗状況を共有しやすくなります。

    その結果、部門を横断しても円滑に採用活動を進められるでしょう。
     

    採用における問題点を見つけやすくなる

    採用活動を進めるなかでは、予期せぬ問題が起きる可能性があります。例えば、想定よりも応募が集まらない、内定辞退者が多いなどです。また、当初予定していた施策を1つ変更するだけで全体の予定調整が必要になることもあるでしょう。

    採用フローを設計し流れを可視化しておけば、どのフェーズで問題が起こったのかを把握しやすくなります。具体的な問題点を把握できれば、それに対する改善策も立てやすくなるメリットがあります
     

    採用におけるKPIを設定しやすくなる

    採用の過程では数多くの施策が実施されます。実施した採用活動の結果を次回以降に活かすためにも、各施策を振り返り、評価を行いましょう。適宜KPI(重要業績評価指標)を設定し計測しておくと、評価の際の数値分析に役立てられます

    すべての施策が時系列で表示されている採用フローは、KPIを設定するポイントの決定や他のKPIと比較に有用です。

    採用計画や採用フローの策定には、部門横断のプロジェクトをスムーズに進め、求職者とのコミュニケーションを最適化する採用業務効率を改善させるATSテンプレートが便利です。
     

    採用フローの設計方法

    適切な採用活動の手段・方法は企業によって異なるため、採用フローは自社にあったものを作成する必要があります

    その前提を踏まえたうえで、ここでは採用を大きく「母集団形成」「面談・選考」「リテンション」の3つのフェーズに分けてそれぞれの基本的な採用フローを解説します。

    採用フローの設計方法<

    • 母集団形成:自社が求める人材像を明確化し、求める人材像に向けてメッセージを届け、応募を促す活動全般を指します。
    • 面談・選考:説明会や面談を通じて求職者に自社の業務や組織、カルチャーを深く知ってもらい、選考を受けてもらうまでの活動です。
    • リテンション:内定後のフォローを指します。特に新卒者採用の場合はこの段階で内定辞退を出さないことに重点が置かれます。

    これらの3つのフェーズを詳しくご紹介します。
     

    採用フロー|母集団形成の場合

    採用フロー|母集団形成の場合

    「母集団形成」のフェーズでは、自社が求める人材を明確にすることを起点として、自社の求める人材に自社に興味を持ってもらい、エントリーしてもらうことがゴールです。
     

    ペルソナ作成

    採用活動を行うためには、最初に自社に欲しい人材を明確化し、具体化しなければなりません。「リーダーシップのある粘り強い人」といった抽象的な言葉ではなく、誰もがその人をいきいきと思い描けるようなペルソナの作成を心がけましょう。

    ペルソナを作成することで、求める人材はどのような夢や希望を持ち、就職によって何を実現しようとしているのか、何に不安を抱き、痛みを感じているかが明確になります。その結果、こちらが提供すべき情報や価値が具体化され、より良い人材へとつながります

    ペルソナの詳しい作成方法は、「バイヤーペルソナの作り方と無料テンプレート」を参考にしてください。本テンプレートでのペルソナ作成は「バイヤー(購入者)ペルソナ」となっていますが、「求める人物像」という観点では共通しており、採用活動でも助けになります。
     

    採用コンセプトの作成

    続いて、ペルソナに伝えるべき採用コンセプトを作成します。ペルソナが魅力的な企業だと感じるポイントに沿って、自社の理念や市場でのポジション、社内文化などをまとめましょう。
     

    コミュニケーションチャネルの設計

    ペルソナにメッセージを伝えるために、コミュニケーションチャネルを設計します。自社の状況に応じて、ペルソナとの接触を期待できるチャネルを選択しましょう

    コミュニケーションチャネルの代用例は次の通りです。

    • 自社コーポレートサイト(採用サイト)
    • 求人サイト
    • 求人広告
    • SNS
    • 説明会などリアルでの接点
       

    採用フロー|選考の場合

    採用フロー|選考の場合

    「面談・選考」フェーズでは、自社が求める人材を見極めることはもちろん、自社が求める人材に「自社で働きたい」と思ってもらうことが重要です。そのためには、次のようなフローで進めましょう。
     

    情報提供

    まずは、自社採用サイトや求人サイト、説明会などを通して、ターゲット層に自社のコンテンツを発信します。自社のビジョンやカルチャーなど、共感を呼びやすい部分を紹介し、興味を持ってもらいましょう。
     

    求職者との接触

    求人サイト上での自社のブックマークや会社資料のダウンロード、説明会への応募など、自社に興味を持った求職者から何らかのアクションがあったとします。

    その場合は無理に選考に進めるのではなく、まずはメールや電話、カジュアル面談などを通じて求職者とコミュニケーションを取ります。自社が提供する価値を伝え理解を深めたうえで選考に進むかどうかを求職者に判断してもらいましょう。
     

    選考

    選考は、自社の宣伝、PRの場や候補者を振るい落とすための場ではありません。業務内容や必要なスキルの確認だけでなく、自社のビジョンやカルチャーを伝え、候補者に共感してもらえるかどうかを確認する場として位置づけましょう。

    選考には人事、現場担当者、マネージャーなど複数の社員が関わってきます。候補者に「ぜひこの会社で働きたい」という気持ちを持ってもらえるよう、誰をどの順番で面談に当てるべきか、それぞれの面談で何について話すべきかをしっかり設計しましょう。
     

    採用フロー|リテンションフェーズの場合

    採用フロー|リテンションフェーズの場合

    「リテンション」フェーズでは、内定後のフォローを行います。特に新卒採用時は、学生の方達の社会に対する不安を払拭できる取り組みを行うと良いでしょう。
     

    内定候補者との面談

    内定候補者と採用担当者で、互いに求めるものがマッチしているかどうかを確認します。

    ここで意識したいのは情報の透明性です。採用担当者は良い点だけでなく自社が抱える課題も含めて社内の状況をオープンにしましょう。包み隠さず伝えられれば、候補者が抱く就職前の不安を軽減できるはずです。
     

    内定通知・不採用通知

    採用・不採用の基準は言語化し、採用に関わった担当者全員で共有します。内定が決まったら、内定者、不採用者へ連絡します。

    ここで気をつけたいのは、不採用になった方への対応です。内定者以上に丁寧な対応を心掛け、自社とマッチしなかったポイントを説明し、今後も良い関係性でいられるようコミュニケーションを取りましょう。現段階ではマッチしなくても、いつか候補となるタイミングがくるかもしれません。
     

    内定者のフォロー

    内定通知し、承諾から就業までに期間が空く場合は、社員とのコミュニケーション促進や企業理解を深めるためのコンテンツ提供、内定者同士の結びつきが深まるようなイベントを計画してみましょう。

    勉強会やイベントの企画は決定した段階でフローの中に盛り込みます。

    採用フローを設計し運用にのせたあとは、定期的に振り返り、問題があれば対策を講じましょう。振り返りは設計時に設定したKPIをもとに行うほか、内定者に向けた定性的な調査(応募者体験は他社と比較してどうだったか、不安に思うポイントはなかったかなどをヒアリング)も行うのもおすすめです。
     

    【新卒】採用フローの5つのパターン

    新卒採用における採用フローの代表的なパターンは次の5つです。自社の求める人材を採用するためにも、各パターンの違いとメリットを押さえておきましょう。

    1. 標準型
    2. 説明会・選考一体型
    3. インターンシップ型
    4. 試験先行型
    5. 筆記試験・面接一体型

    なお、企業によって筆記試験・適性テストの有無や面接回数なども異なるため、あくまで一例としてご参考ください。
     

    1. 標準型

    標準型

    標準型は、新卒採用で一般的に導入されている採用フローです。企業説明会を経て、企業への理解が深まった状態で求職者は応募するため、就職後のミスマッチが少なくなります

    しかし、内定までの期間が長期に渡るため、すぐにでも内定を出したい場合には不向きです。早期に採用したい場合は、その他の採用フローを検討してください。

    1. 求人情報公開
    2. プレエントリー
    3. 会社説明会
    4. 本エントリー・書類提出
    5. 選考
    6. 筆記試験・適性テスト
    7. 面接(一次・二次・最終)
    8. 内定・入社
       

    2. 説明会・選考一体型

    説明会・選考一体型

    説明会・選考一体型とは、説明会と選考を同日に行う採用フローです。選考から内定までの一連の流れをスピーディーに行えるため、優秀な人材を早期に選出したい場合に向いています。また、コストと時間も削減できます

    求職者は1つの企業に割く時間と労力が減るため、スムーズに就職活動を進められます。一方で、拘束時間が長くなるので、企業側は休憩時間を設けるなどの配慮を行いましょう。

    1. 求人情報公開
    2. エントリー
    3. 会社説明会・筆記試験・適性テスト・選考
    4. 面接
    5. 内定・入社
       

    3. インターンシップ型

    インターンシップ型

    インターンシップ型は、採用とインターンシップを兼用する採用フローです。インターンシップを通して求職者の能力や意欲を測れる点がメリットです。求職者に自社のビジョンやカルチャーを知ってもらうきっかけにもなります

    インターン期間は企業によって異なり、1日?数か月とさまざまです。求職者の適性や能力を把握するためにも適度な期間を設けましょう。

    なお、インターンシップの場合、半数近い企業が選考を行っていません。とくに従業員規模が小さいほど少なく、300人未満の企業では約60%が選考無しでインターンシップを迎え入れています。反対に、従業員5,000人以上の大企業の場合は約75%が書類選考や適性検査、面接などによる選考を実施しています(『就職白書2023』データ集参考)。

    1. (選考)
    2. インターンシップ
    3. エントリー
    4. 面接
    5. 内定・入社
       

    4. 試験先行型

    試験先行型

    試験先行型は、会社説明会よりも前に書類選考や筆記試験を行う採用フローです。採用活動を効率的に進められるため、多数の応募が予想される人気の企業や業界で用いられています

    ただし、試験先行型は能力が重視される傾向にあり、求職者の企業理解が深まらないまま入社にいたるケースも少なくありません。ミスマッチを引き起こす可能性がある点には留意しましょう。

    1. 求人情報公開
    2. エントリー・選考
    3. 筆記試験・適性テスト
    4. 会社説明会
    5. 面接(一次・二次・最終)
    6. 内定・入社
       

    5. 筆記試験・面接一体型

    筆記試験・面接一体型

    筆記試験・面接一体型は、筆記試験と1次面接を同時に行う採用フローです。筆記試験と採用試験の結果を同時に照らし合わせ、合否を判断したい場合に有用です。内定までの流れを短期間で進めたいケースにも、適しています。

    ただし、筆記試験と面接を同日に行うため、説明会・選考一体型と同じく求職者の拘束時間が増えてしまいます。例えば「休憩時間を挟む」「余裕を持ったタイムスケジュールを組む」など、求職者の負担を軽減できる取り組みを適宜取り入れてください。

    1. 求人情報公開
    2. プレエントリー
    3. 会社説明会・選考
    4. 本エントリー
    5. 筆記試験・適性テスト・面接
    6. 内定・入社
       

    【中途】採用フローの2つのパターン

    ここからは、中途採用における採用フローとして代表的な標準型と面接重視型をご紹介します。
     

    1.標準型

    標準型

    標準型は、新卒採用だけでなく中途採用でも用いられる一般的な採用フローです。新卒の場合と異なり、会社説明会や集団面接は行わないケースがあります。

    求人するポジションの性質や応募者の経験/スキルに応じて筆記試験や適性検査を取り入れると、自社の求める人材かを判断しやすくなります。

    採用後のミスマッチを防ぐために、企業と求職者の双方の理解を深めるカジュアル面談を取り入れるのもおすすめです

    1. 求人情報公開
    2. 応募
    3. 選考
    4. 筆記試験・適性テスト
    5. 面接(一次・二次・最終)
    6. 内定・入社
       

    2.面接重視型

    面接重視型

    面接重視型は、書類選考や筆記試験を行わず、人柄を重視する採用フローです。求職への意欲の把握や社員との相性も判断できることから、入社後に良好な人間関係を構築しやすくなり定着率の向上も期待できます

    面接重視型では求職者が本来の自分を出せる雰囲気作りを意識しましょう。リラックスできる雰囲気によって応募者の緊張を和らげたうえで面接を実施しましょう。

    1. 求人情報公開
    2. 応募
    3. 選考
    4. カジュアル面接
    5. 面接
    6. 内定・入社
       

    採用フローを有効に活用するためのポイント

    採用フローを有効に活用するためのポイント

    採用フローを効果的に活用するためのポイントは、歩留まり(各フェーズに進んだ人数の割合)を算出することです。歩留まりを算出すれば、どのフェーズに問題があるのか、そして問題解決のためにどのような対策を取れば良いのかが明確になります。

    例えば、「会社説明会~応募~書類選考~一次面接~最終面接~内定~入社」というフローがあるとします。会社説明会から応募での歩留まりが低い場合、会社説明会に課題があると考えられるでしょう。

    また、内定後に辞退する割合が多ければ、フォロー不足が原因だと判断できます。

    このように、各フェーズの歩留まりを算出すると改善点を把握でき、次回以降の採用活動に活かせます。
     

    自社の条件に適した採用フローを選択しよう

    採用活動をより実りあるものにするには、採用フローの設計が欠かせません。採用フローを適切に設計できれば、進捗状況を社内で共有でき、振り返りのためのKPIも設定しやすくなるでしょう。

    企業規模や求職者の属性(新卒採用・中途採用)、選考の方法・タイミングによって選ぶべき採用フローは異なります。

    採用活動の効率化を図り費用対効果を向上させるためにも、本記事でご紹介したパターンを参考に、自社の状況や目的にマッチした採用フローを選択してください。

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    採用業務効率を改善する ATSテンプレート

    トピック: 採用管理

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