システム開発の依頼先を選定するにあたってRFPを作成することになったものの、どのように作成すればよいのか迷っていませんか。のちのち追加の要望が発生するのを防ぐためにも、抜け漏れのないRFPを作成することは非常に重要なポイントです。
提案依頼書(RFP)テンプレート
マーケティングオートメーション用ソフトウェアベンダー選定のために必要な確認事項が整理されたテンプレート
- リード管理ソリューション選定時の検討質問項目を確認
- マーケティング自動化効果の要因を検討
- 自社の課題を理解して解決策を提供してくれるベンダーを選ぶ
今すぐダウンロードする
全てのフィールドが必須です。
今回は、RFPの書き方を項目ごとに具体例を挙げて紹介します。記載例を参考に、RFPの作成を不備なく進めましょう。
1. 概要
RFPの「概要」は、プロジェクトの全体像を伝えるためのパートです。主に下記の9項目を記載します。
- 本書の目的
- プロジェクトの背景
- 現状の課題
- システム開発の目的
- プロジェクトの目標・ゴール
- プロジェクトの範囲
- 会社情報
- 現行システムの構成・機器情報
在庫管理システムの提案書を依頼する場合を想定して、各項目の書き方を見ていきましょう。
本書の目的
【記載例】
在庫管理システムの新規導入に向けたプロジェクトに関する提案依頼書です。
【記載のポイント】
RFPそのものの位置づけと、記載内容の要旨を簡潔に記載しましょう。
プロジェクトの背景
【記載例】
現在、在庫管理はエクセルの一覧表にて行われており、在庫の登録や状況確認が煩雑になっています。在庫管理システムの導入により、在庫管理の効率化・合理化を実現したいと考えています。
【記載のポイント】
プロジェクトの発足に至った経緯を簡潔に記載しましょう。
現状の課題
【記載例】
- エクセルの検索機能を用いて該当する製品を特定しているため、管理が煩雑になっている。
- 売上管理システムと連携されていないことから、入力ミスやデータ重複の原因になっている。
【記載のポイント】
自社が現在抱えている具体的な課題を箇条書きなどで記載します。
システム開発の目的
【記載例】
在庫データの自動集計や売上管理システムとの連携による業務効率化
【記載のポイント】
課題に対応する開発の目的を端的に記載しましょう。「何がしたいのか」が適切に伝わることによって、開発会社は目的に合ったシステムを提案しやすくなります。
プロジェクトの目標・ゴール
【記載例】
- 在庫管理が容易に行えるシステムの導入
- 売上管理システムとの連携による業務効率化
【記載のポイント】
プロジェクトで達成したい目標やゴールを具体的に記載します。複数ある場合は、記載例のように箇条書きで示すとよいでしょう。
プロジェクトの範囲
【記載例】
システム開発、保守運用ならびに導入に際して操作研修の実施を希望します。
【記載のポイント】
提案を依頼する範囲を明記します。導入時のユーザー研修や管理者向け研修を希望する場合には、その旨を記載しましょう。
会社情報
【記載例】
- 会社名:株式会社〇〇
- 代表者:〇〇〇〇
- 所在地:〇〇〇〇
- 設立:〇年〇月
- 資本金:〇〇千万円
- 従業員数:〇〇名
- 事業内容:〇〇の製造、販売
- 組織図:添付資料を参照
【記載のポイント】
発注企業の基本情報を記載します。対象となるユーザーが全従業員ではなく、特定の部門やチームで利用する場合には、システム利用者情報も併記するとよいでしょう。
現行システムの構成・機器情報
【記載例】
社内サーバー上に在庫管理用の共有フォルダを設置し、共有フォルダ内にエクセルファイルを保存・上書きして運用しています。
【記載のポイント】
既存システムのうち、新たに導入するシステムの影響を受ける可能性のある機器や設備の情報を記載します。リプレースの場合は、現行システムの内容と運用方法を記載しましょう。
2. 提案依頼内容
「提案依頼内容」は、RFPの本題にあたるパートです。提案書に記載してほしい情報について、開発会社に抜け漏れなく伝える必要があります。
開発会社の基本情報
【記載例】
貴社ならびにプロジェクトに携わるすべての企業について、基本情報と組織体制をお知らせください。再委託の予定がある場合には、委託先の情報についても明示をお願いします。
【記載のポイント】
開発会社の基本情報・開発実績・提供可能なサービスなど、提案書に記載してほしい事項を明確に示します。
提案システムの概要
【記載例】
- システムの機能一覧を示してください。
- 主要機能については画面キャプチャを添えてください。
- 他社製品に対する優位性のうち、当社に適合する点があれば補足してください。
【記載のポイント】
提案を受けるシステムについて、提示してほしい情報を具体的に記載します。記載例にあるように、画面キャプチャが必要な範囲などを明確に伝えることが大切です。
機能要件
【記載例】
- 在庫情報の入力
- 出庫・返品の入力ならびに履歴の記録
- 在庫僅少の製品についてはアラートを表示
- 管理者権限の設定
- 売上管理システムとの連携
【記載のポイント】
システムに必須の機能を具体的に記載します。必要な機能を事前に洗い出し、整理しておくことが大切です。
非機能要件
【記載例】
- UIは最小限の入力項目に絞り、直感的に操作できること
- データ保護のための自動バックアップが行えること
- 当社のセキュリティガイドラインに沿っていること
【記載のポイント】
機能要件以外の要望事項を記載します。セキュリティや操作感など、とくに優先度の高い事項に絞って記載しましょう。
スケジュール
【記載例】
システムの本稼働日は〇〇年〇月〇日を予定しています。
全体の開発スケジュールと週単位でのスケジュールを提示してください。
【記載のポイント】
システムの本稼働日や提示してほしいスケジュールの単位を記載します。
プロジェクト体制
【記載例】
プロジェクトに参画するメンバーと役割をご提示ください。
プロジェクトマネージャーの方のご経歴・ご実績につきましても、ご提示をお願いします。
【記載のポイント】
プロジェクトマネージャーの経歴・実績や、参画するメンバーの人数・役割など、提案書で示してほしい事項を記載します。
成果物
【記載例】
下記の成果物の納品を希望します。
- 要件定義書
- 基本設計書
- 詳細設計書
- 作業分解構造図(WBS)
- ソースコード一式
- リリース手順書
- 操作マニュアル
- 社内研修用資料
【記載のポイント】
必要な納品物一覧を記載します。操作マニュアルや社内研修用資料など、システム導入に伴い要望したい文書類についても記載しましょう。
サポート体制
【記載例】
システム導入後のサポート体制をご提示ください。
問い合わせ方法、受付時間、緊急連絡先につきましても記載をお願いします。
【記載のポイント】
システム導入後の運用やサポートについて、どのような体制を想定しているのかを具体的に記載してもらうよう要望します。記載例にあるように、受付時間や緊急連絡先についても具体的に記載してもらうとよいでしょう。
費用
【記載例】
システム開発の初期費用、ならびに月額/年額の費用をご提示ください。
システム開発の予算は2,500万円を予定しています(保守管理費用は含みません)。
【記載のポイント】
初期費用とランニングコストの概算を記載してもらうよう要望します。RFPにより詳細な見積もりを記載してもらうこともあれば、別途RFQ(見積依頼書)を発行するケースも少なくありません。
制約事項
【記載例】
同時アクセス数やデータベースの登録上限数など、現時点で判明している制約事項があれば記載してください。
【記載のポイント】
事前に判明しているシステム利用上の制約事項がある場合には、具体的に記載してもらうよう要望します。
契約事項
【記載例】
契約内容として、下記の事項をご提示ください。
- 知的財産権の取り扱い
- 検収・支払条件、支払方法
- 契約不適合責任
- 再委託の有無と予定している委託先
- 機密保持
【記載のポイント】
契約を締結するにあたり、提示を求める事項を記載します。トラブルが発生した際の責任の所在を明確にする意味においても、抜け漏れなく記載しておくことが重要です。
3. 選定の進め方
開発会社から提案書を受領した後、発注先の選定を進める際のスケジュールを提示するためのパートです。
選考スケジュール
【記載のポイント】
提案書を受領した後の流れについて、選定結果の通知やプロジェクト始動の予定日を明確に示します。期日を明確にすることにより、問い合わせの多発を未然に防ぎましょう。
提案書提出先
【記載例】
ご提案書につきましては、下記までご提出ください。
株式会社〇〇 □□部××課 課長 △△△△
メールアドレス:xxx@xxxxxxx.co.jp
【記載のポイント】
提案書を誰に宛てて提出すればよいのかを具体的に記載します。部署名・役職名・担当者氏名・連絡先を明記しましょう。
評価基準
【記載例】
ご提案書につきましては、下記の観点にて選定を進める予定です。
- 要件への適合性
- サポート体制の充実度
- ご料金
- ご実績、ご経験
【記載のポイント】
発注先の選定に際して重視するポイントを記載します。評価基準を開示することで、より良い提案を受けられる可能性が高まるでしょう。
例を参考に抜け漏れのないRFPを作成しよう
RFPは提案書に盛り込んでほしい事項を伝えるための文書であることから、プロジェクトの成否を決定づける要因となるケースも少なくありません。記載すべき項目に抜け漏れが生じないよう、あらかじめテンプレートを用意した上で作成することをおすすめします。今回紹介した項目と記載例を参考に、不備のないRFPの作成を実現してください。