SaaS業界とは | 日本国内における業界の特徴や将来性について解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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クラウド上でソフトウェアやアプリケーションを提供するSaaSビジネスは参入企業が増えつつあり、ここ数年で大きく成長を見せている業界です。このような市場状況を背景に、自社の成長のきっかけとして、SaaSビジネスへの参入を検討されている事業者もいらっしゃるのではないでしょうか。

SaaS業界とは?日本国内における業界の特徴や将来性について解説

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SaaS事業を成長!KPIテンプレートとSaaS用語解説集

本記事では、SaaS業界の国内における現況や、自社でSaaSビジネスを展開する場合に必要な人材、業界の将来性などを解説します。SaaSビジネスへの展開をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

SaaS事業を成長!
KPIテンプレートとSaaS用語解説集

SaaS業界とは?

SaaS業界とは?

SaaS業界とは、クラウド上でソフトウェアやアプリケーションなどを提供するサービスを開発・展開するビジネス業界のことです。従来のようなパッケージ型ではなく、サービスの利用期間に応じた料金を支払う仕組みであるサブスクリプションモデルを取り入れています。

そもそもSaaSとは、インターネットを通じてソフトウェアやアプリケーションを提供するサービスのことです。従来のオンプレミスのように、ソフトウェアをダウンロードしたり、インストールしたりすることなく、インターネット上でサービスを利用できます。
 

SaaS業界の特徴

SaaS業界の主な特徴は、次の3点です。

  1. 顧客の課題解決に貢献するサブスクリプションサービスを提供
  2. 市場が成長を続けている
  3. 投資家からも注目を集める業界

 

顧客の課題解決に貢献するサブスクリプションサービスを提供

オンプレミスでは、「いかに購入してもらえるか」が、売上を決定づける要素でした。一方で、SaaSでは、サービス導入後、「いかに長く継続してもらえるか」が重要になります。そのため、顧客のニーズをとらえて課題を解決していく取り組みが欠かせません。

顧客の事業を効果的に促進できるように話し合いを重ねてフィードバックを得ながら、サービスの改善を繰り返します。そして、顧客の声を反映してサービスをより良くする好循環を生み出すのです。

SaaSでは、提供企業がサーバやソフトウェアを管理・運用・提供するのに対し、ユーザーは必要な期間・範囲においてサービスを利用できます。つまり、従来のオンプレミスとは異なり顧客本位で利用でき、導入・運用・管理コストも抑えることができるメリットがあります。
 

市場が成長を続けている

スマートキャンプ株式会社の「SaaS業界レポート2022」によると、国内におけるSaaS市場のCAGR(年平均成長率)は、約12.5%と高い成長率を維持しています。また、株式会社富士キメラ総研の「ソフトウェアビジネス新市場 2022年版」では、SaaSの市場規模は、2026年には2021年度の1.5倍以上である1兆7,000億円規模まで成長するとの予測もされています。

テレワークの浸透による影響もあり、SaaS企業の需要と必要性が大幅にアップしたことが、成長の後押しになったと考えられるでしょう。

また、政府はデジタル技術の開発・提供をするDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進していることからも、SaaS業界は今後も成長を続けると考えられます。
 

投資家からも注目を集める業界

SaaS業界は特に現在の日本では成長が著しく、投資家から資金が集まりやすい業界です。成長の余地があると期待されるスタートアップでは、数十億円単位での資金調達が実現しています。

例えば、クラウド人事労務ソフトを提供する株式会社SmartHRでは、約156億円の資金調達が実現しました。

現在、日本では高齢化や人口減少が課題となっており、労働者減少による生産性向上のニーズが高まっています。今後も、業務効率化などのサービスにおいて成長が期待できるでしょう。

 

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SaaS業界における必要な人材

SaaS業界における必要な人材

SaaS業界では、エンジニアやマーケティング、カスタマーサクセスなどの領域でさまざまな人材が活躍しています。ここからは、SaaS業界に欠かせない職種と業務内容について解説します。
 

エンジニア

SaaSにおいてエンジニアはサービス開発だけでなく、カスタマーサクセスなどからのフィードバックを反映させて、継続的にサービスを改善していく役割も担います。

エンジニアは業務内容によって、さらに次のように分類されます。
 

フロントエンドエンジニア

フロントエンドエンジニアは、Webサイトやアプリケーションのフロントエンドの設計・構築を行います。フロントエンドとは、Webサイトやアプリケーションなどでユーザーがボタンクリックをしたり文字入力をしたりする部分です。

これらのUI(ユーザーが触れる部分)・UX(サービス通して得られる体験)の設計をHTML・CSS・JavaScriptなどのプログラミング言語を用いて開発します。SEO対策を考慮したWebサイトの構築などもフロントエンジニアの仕事です。
 

バックエンドエンジニア

フロントエンドエンジニアとは反対に、ユーザーに見えない部分を担当するのがバックエンドエンジニアです。

バックエンドエンジニアの担当領域は次のように多岐にわたります。

  • サーバ構築:WebサーバやDBサーバ(データベース)を設計・構築する
  • プログラム開発:PHP・ Python・Rubyなどのプログラミング言語を利用してシステム開発を行う
  • 保守・運用:構築したサーバやシステムに不具合が生じた際に、システムの追加や変更を行う

フロントエンジニアとバックエンドエンジニアは、互いに連携してWebサイトやアプリケーションを構築します。
 

インフラエンジニア

インフラエンジニアとは、インターネット利用の基盤となる、サーバやネットワークの設計・構築・運用・保守などを行うエンジニアのことです。

インフラエンジニアは、業務内容によってさらに分類されます。

  • ネットワークエンジニア:システム構築に必要なネットワーク機器の選定・設定を行う
  • サーバエンジニア:サーバ機器の選定や調達、システムを稼働させるための設定を行う
  • セキュリティエンジニア:サイバー攻撃などの外部攻撃からネットワークやシステムを守る

各エンジニアは各システムを統合的に把握し、連携して業務を行います。
 

マーケティング

マーケティングは、自社のサービスを周知させるための集客戦略や企画立案を行います。集客方法には、広告運用やSNS集客など、さまざまな方法があります。

SaaSでは、類似サービスが多数存在するため、競合調査や業界市場のニーズを分析して、他の企業と差異化させることもマーケティングの役割です。

SaaS業界では、2018年に行われたAdobeによるMarketoの買収のように、マーケティング事業を行う企業を買収し、マーケティング部門を強化させる事例も存在します。
 

インサイドセールス

インサイドセールスとは、電話やメールで見込み顧客にアプローチをする内勤営業のことです。マーケティングで創出した見込み顧客を商談までつなげるリードナーチャリングの役割を担っています。

定期的な電話やメールなどで時間をかけて顧客と関係を築くインサイドセールスは、SaaS業界との相性が非常に良いとされています。SaaSの特徴として、契約に至るまでの期間が長く、営業力に乏しいことが懸念されているためです。

また、インサイドセールスは、集客を担うマーケティングと対面で営業を行うフィールドセールスをつなげる橋渡し的な役割も担います。
 

フィールドセールス

フィールドセールスとは、実際に顔合わせをして営業活動を行う訪問型営業のことです。サービスを使ってみたいと興味を示した見込み顧客に、実際のデモ画面を見せて商談するなどして、受注につなげます。

フィールドセールスは、突発的な質問に対する臨機応変な対応力や、見込み顧客の抱える課題に対する提案力が求められます。

SaaS業界におけるフィールドセールスでは、「どのサービスのどのような機能が課題解決につながるか」といった、見込み顧客へピンポイントに響く提案が必要となるでしょう。
 

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスは、自社サービスを通じて顧客を成功へと導く職種です。

サブスクリプションモデルを採用するSaaS業界では、継続率向上やLTV(顧客生涯価値)最大化のための施策が求められます。カスタマーサクセスはサービス導入後のフォローを担うため、重要な役割を果たします。

導入後も継続してもらえるように、顧客とともに課題解決に取り組みながら、顧客の意見や要望をサービスに反映させていくことが大切です。営業やマーケティングなど他部門とも連携をとり、より良いサービスを実現させていきましょう。

 

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SaaS業界の将来性と展望

SaaS業界は、成長基調にあると予測されています。

先述の通り、国内SaaS市場のCAGRは約12.5%で、拡大傾向にあります。株式会社富士キメラ総研のソフトウェアビジネス新市場の調査資料を参考にすると、予測される日本のSaaS市場規模推移は次の通りです。

ソフトウェアビジネス新市場の調査資料

参考:プレスリリース:『ソフトウェアビジネス新市場 2022年版』まとまる(2022/8/16発表 第22087号)

富士キメラ総研、ソフトウェア53品目の国内市場の調査結果を発表: 日本経済新聞

このように、2026年度には約1兆7,000億円の規模まで成長する見通しがされています。

DX化やテレワークなど、働き方の多様化に加えて、生産性向上や業務効率化が求められる今、SaaSの市場規模はさらに伸びていくと予測でき、将来性のある業界だと判断できるでしょう。
 

SaaS業界の全体を理解して自社事業を向上させよう

SaaSには、自社の生産性向上や業務効率化などに役立つツールが多数あります。ただし、サービスの提供側は顧客に長く使い続けてもらうために、顧客が抱える課題解決のための取り組みやサービスの改善を繰り返す必要があります。

SaaS業界で事業を展開するには、顧客のビジネスが発展できるように日々サービスをアップデートしていくことが重要です。サービス提供を通じて顧客の成功を支援し、継続率を向上させられるように、SaaS業界への理解を深めましょう。

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