部下を指導する適切な方法とは?手順やポイント、注意点を解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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部下が抱えている問題は自力での解決が難しく、上司からの助けを必要とするケースも少なくありません。部下のスキルやモチベーションの向上につながる指導には適切な手順があり、部下のタイプ別に指導方法を分けるなどの工夫も大切です

部下を指導する適切な方法とは?手順やポイント、注意点を解説

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  • スキル習熟と行動変容の5つの段階
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    本記事では、適切な部下指導を行うための考え方や指導手順、効果的に実施するためのポイントなどを解説します。

    適切な部下指導を行うための考え方

    具体的な方法論の前に、まずは部下指導の根本的な考え方を解説します。「指導」と「育成」の違いも理解しておきましょう。
     

    部下指導が重要な理由

    部下指導が重要な理由は、指導によって部下が成長すると、チーム全体の生産性やマネジメント効率が向上するためです。

    ただし、指導する側も部下育成の知識やスキルを持ち合わせていなければなりません。不適切な指導によって部下が成長する機会が失われると、仕事の能率が下がり、チーム内の生産性も上がりません。

    上司が正しい知識をもとに部下育成を行うことで、部下の成長につながるとともに生産性の向上にも寄与します。部下の成長に伴って指導時間も徐々に短縮されていくため、それまで指導にあてていた時間をコア業務に割けることもメリットです。
     

    指導と育成の違い

    「指導」と「育成」では、アプローチを行う時間軸や手法が異なります。

    指導の場合は、部下が抱えている目前の課題を解決するために指示を与えたり、好ましくない行動に対して注意をしたりと、短期的な視点でアクションを行います。一方の育成とは、部下が組織のなかで立派に成長できるよう、中長期的な観点から教育や訓練を実施することです。

    部下の立場になると、指導では仕事力(業務遂行に必須の考え方や行動力)を、育成では人間力(社会人として求められる能力)を身に付けられます。人材の成長には仕事力と人間力の両方が必要になるため、指導と育成をバランス良く実施すると良いでしょう。

     

    部下指導を行う際の手順

    部下指導を行う際の手順は次の通りです。

    1. 業務プロセスを定義する
    2. 部下の置かれている状況を把握する
    3. 課題に対する目標を設定する
    4. スケジュールを設定する
    5. 指導後にフィードバックを行う

    それぞれの手順に沿って具体的な進め方を解説します。
     

    1. 業務プロセスを定義する

    部下一人ひとりが普段実施している業務プロセスをあらためて整理しましょう。業務プロセスを明確に定義することで、それぞれの部下がどのステップで課題を抱えているかが明らかになります。

    例えば、営業の場合は、見込み客の創出から購買意欲の醸成、商談化、受注といった一連のプロセスがあります。この流れを可視化し、ステップ別の活動実績データを参照する方法がおすすめです。

    部下へのヒアリング前に業務プロセスを定義すると、ボトルネックが明確になるため、より適切な指導方法を導き出せます
     

    2. 部下の置かれている状況を把握する

    次に、一人ひとりの部下に対して、現在の状況や特定の課題をヒアリングしましょう。意見を聞き出すなかで明確な課題がわかれば、課題解決に向けて効率良く指導を行えます

    部下が置かれている状況を把握する方法はヒアリングに限りません。仕事を行う様子をじっくりと観察するほか、部下自身に現状の問題点を見つめ直してもらうのも効果的です。

    また、単純にヒアリングや観察をするだけではなく、成果状況を可視化できる環境づくりも重要です。管理ツールを用いるなど、稼働状況をデータで把握できる仕組みを作り、適切にリソース配分ができているか、顧客への対応内容に問題はないかを常にチェックできるようにしましょう。
     

    3. 課題に対する目標を設定する

    部下の課題を発見したあとは、それを解決するための目標を設定しましょう。

    管理者と部下の双方にとってわかりやすい目標があれば、何らかの問題が生じた際でも容易に軌道修正を行えます。また、目指すべき方向が明確になるため、いつの間にか行動を止めてしまうような事態を防げるのも利点です。

    目標設定には、次のようなフレームワークを活用できます。

    • ベーシック法:
      「目標の内容・達成基準・期限・アクションプラン」の4要素をもとに目標を設定する手法
    • 三点セット法:
      「目標の概要を表すテーマ・達成基準・達成手段」の3要素をもとに目標を設定する手法
    • SMARTの法則:
      「Specific(具体的)・Measurable(計測可能)・Achievable(達成可能)・Relevant(関連性)・Time-bound(明確な期限)」の5要素をもとに目標を設定する手法
    • MORSの法則:
      「Measured(計測可能)・Observable(観察可能)・Reliable(信頼性)・Specify(明文化)」の4要素をもとに目標を設定する手法
    • PDCA:
      「Plan(計画立案)・Do(実行)・Check(結果確認)・Action(改善)」の順に、設定した目標を繰り返しブラッシュアップする手法
       

    4. スケジュールを設定する

    目標が決まったら、達成に向けて行動できるようにスケジュールを設定しましょう。

    スケジュールを設定する際は、現在部下が進行している1日の流れを先に把握しておきます。日常的な業務の流れのなかで、どのタスクで指導が必要か、どのような内容を盛り込むべきかといった点が見えてくるためです。

    指導すべき箇所が多い場合は、優先順位を決めることが大切です。優先順位は重要度と緊急性によって設定できます。

    • 重要度と緊急性のどちらも高い:最も優先順位が高い
    • 重要度は低いが緊急性は高い:2番目に優先順位が高い
    • 緊急性は低いが重要度は高い:3番目に優先順位が高い
    • 重要度と緊急性のどちらも低い:最も優先順位が低い
      スケジュールを設定する

     

    5. 指導後にフィードバックを行う

    指導後はフィードバックを行い、部下のモチベーションを高めます。

    フィードバックを行う際は、改善点や反省点だけでなく、ポジティブな側面にも言及しましょう。例えば、「○○の作業はとても良くできていた」、「○○はあなたに向いているから得意分野を伸ばしていこう」といった形でフィードバックを行うと、部下は前向きに業務へ取り組めます。

    また、聞きなれない言葉を多用したり、早口で話したりすることも避けたほうが良いでしょう。フィードバックを部下に正しく認識してもらうためにも、相手の理解度や知識レベルを踏まえて伝わりやすい言葉を選ぶことが大切です。
     

    部下指導の効果を高めるポイント

    部下指導で効果を高めるには、次のポイントを意識することが重要です。
     

    タイプ別に指導方法を分ける

    部下を特徴や傾向で複数のタイプに分けると、個別最適化された指導方法が実現します。指導方法を個性に合わせて柔軟に変化させられるため、全員に同じ指導を行うよりも高い効果が期待できるでしょう

    部下のタイプと指導方法の例は次の通りです。

    • 能力とモチベーションがどちらも高い部下:
      より柔軟な裁量や新たなチャレンジの場を与える
    • モチベーションは低いが能力は高い部下:
      1on1ミーティングで不満を聞き取る、明確な目標を設定する
    • 能力は低いがモチベーションは高い部下:
      タスクの範囲を決める、業務に対する理解を深められるよう質問の場を設ける
    • 能力とモチベーションがどちらも低い部下:
      進捗報告などでコミュニケーション頻度を増やす、自力解決を促す

    タイプ別の部下指導方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご参考ください。

     

    段階的な指導を意識する

    部下への指導は段階的に行うことが重要です。指導の順番を間違えれば、かえって部下のモチベーションを下げてしまうこともあります。

    例えば、先輩の指示に従わない部下に対して頭ごなしに叱りつけるのは、良い方法とはいえません。指示に従わない場合は、何らかの不満を抱えている可能性があります。まずは部下の意見を聞くことから始めてみると良いでしょう。そのうえで先輩と部下を交えて、より合理的かつ効率的に業務を進める方法を話し合うなど、段階を経て指導を行うのがポイントです。
     

    状況に応じて権限委譲も検討する

    ある程度仕事を任されるとモチベーションが高まる部下もいるため、場合によっては権限委譲も検討しましょう。特に、自身の業務に追われて指導に十分な時間を確保できないような場合は、部下の権限範囲を広げるのも一案です。その結果、部下の自発的・積極的な行動につながる可能性があります。

    ただし、権限委譲する人物や業務内容、業務量は慎重に検討しましょう。部下の意向も踏まえたうえで、徐々に権限の範囲を広げていくのがポイントです。
     

    データで可視化する

    部下指導の効果を高めるためには、稼働状況や成果状況の可視化が欠かせません。感覚や曖昧な評価に頼るのではなく、データを活用することで、指導内容の改善点や進捗状況を客観的に把握でき、適切な指導を行えます。

    例えば営業部なら、チームメンバーごとの架電件数・商談件数・受注数・受注金額などを可視化すると良いでしょう。具体的な数値で管理することで状況を理解しやすくなり、成果が振るわない部下へのフォローもしやすくなります。
     

    部下指導を行う際の注意点

    ここでは、部下指導によくある失敗例から学ぶ4つの注意点を解説します。
     

    人前で叱らない

    人前で部下を叱ると、プライドや自尊心を傷付ける可能性があります。部下によっては人前での注意をパワハラだと感じることもあるでしょう。

    ミスがあった場合に、再発防止を目的として部内で情報共有を行うこともありますが、問題点の指摘はプライベートな環境で行うことが大切です。会議室などの個室を利用する方法もありますが、相手によっては二人きりになると逆に不安を感じることもあります。その場合は、人目につきにくいフリースペースなども利用すると良いでしょう。

    また、人目を避けてチャットツールやSNSのメッセージ機能を利用すると、冷たい印象を与えることがあるため注意が必要です。
     

    すべての意見を否定しない

    部下からの意見をすべて否定するようでは、相手からの不信感を招き、互いの信頼関係を築きにくくなります。また、何度も否定された部下は自信を失ってしまう可能性も考えられます。

    ときには、部下の意見に対して「それは違う」といいたくなることもあるでしょう。しかし、その気持ちをこらえ、いったんは部下の意見を受け止めることが大切です。

    特に、普段から自分の意見を言えない人にとって、上司に意見を伝えるのは勇気がいる行為です。このような気持ちも汲み取りつつ、まずは相手の言葉に耳を傾け、どのような言葉を返すべきか慎重に考えましょう。
     

    主観と事実を明確に分ける

    指導の際に主観を挟むと、部下によって指導方法に誤差が生まれ、結果的に習熟度にも差が付きます。

    例えば、成果が出ていない部下に対し、「他のメンバーに比べて架電件数が少ない気がする」「商談まで進む案件の割合が少ない印象がある」など、主観で判断し、「もっと架電数を増やすべき」のように指示することもあるかもしれません。しかし、こうした主観的な判断による指導は正当とはいえません。

    あくまでも主観と事実を明確に分け、自身の判断が正しいかを見極める必要があります。事実ベースで指導を行うためには、先述したように稼働状況や成果状況の可視化が大事です。実際の家電件数や商談化率を書き出すなどして、事実に基づいた適切な指導を行いましょう。
     

    一度に指摘する箇所を絞り込む

    部下を指導するうえで数多くの問題点が見つかったとしても、一度にあれもこれもと指摘しては混乱を招いてしまいます。例えば、何度も同じミスを繰り返す部下に対して、「仕事の順序を決め、チェックリストを作り、間違い帳に記録し原因を探れば、おのずとミスは少なくなる」と指導しても、部下はすべての内容を即座に理解できないでしょう。

    指摘する箇所は1つに絞り、相手が次のステップへと成長するために最も相応しい問題点を取り上げるのが理想的です。また、実績データや指標を活用することで、問題の原因がより明確になります。
     

    部下への適切な指導でチーム全体の生産性向上を目指そう

    部下に対して適切な指導を実施することで、部下が抱えている問題の解消につながり、モチベーションやスキルの向上が可能です。チーム全体のスキルが底上げされることで、生産性の向上も期待できるでしょう。

    そのためにも、部下の現状を把握したり、部下とともに目標を設定したりといった取り組みが欠かせません。また、注意点や解決策を伝える際は、人前で叱らない、全面的に意見を否定しないといったポイントを意識することが大切です。

    このような取り組みを実施すると、部下とコミュニケーションを取る機会が増え、信頼関係が生まれます。常に相手の立場や感情に配慮し、適切な形で部下への指導を実践しましょう。

    また、部下指導のスキルを磨くことはもちろん大事ですが、なかには仕組みで解決できることもあります。その有効な手段の一つが、部下の状況を把握できるツールの導入です。

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