SNSは、プライベートで知人とコミュニケーションを取るという本来の目的から進化を遂げ、現在では多くの企業にとって欠かせないプロモーションツールとなっています。その中でも、国内で4,500万人のユーザーを抱え、若年層ユーザーが多いTwitterは、広告出稿先の1つとして人気を集めています。
Twitter広告の出稿を迷っている担当者の方が気になるのは、「どんな効果があるのか」「他社はどのように活用して成功しているのか」という点ではないでしょうか。そこで今回は、Twitter広告の活用事例や実際の成果に加えて、基礎知識や効果的に広告運用を行うポイントも説明します。
Twitter広告への理解を深めながら、効果的に活用するヒントを得てください。
Twitter広告の基礎ガイド
Twitter広告のポイントを押さえて宣伝効果を高めましょう。
- Twitter広告の基礎
- Twitter広告出稿手順
- ターゲティング設定のポイント
- Twitter広告の成功事例
今すぐダウンロードする
全てのフィールドが必須です。
Twitter広告の特徴・効果
Twitter広告とは、Twitter内に表示される広告のことです。主にタイムラインや検索結果などに表示され、国内ユーザー4,500万人以上に広告を届けることができます。多くのユーザーにリーチできるTwitter広告ですが、具体的にはどのような特徴があるのでしょうか。
以下で解説します。
10〜30代へのリーチに強い
Twitterは他SNSと比較して若年層に支持される傾向にあり、10〜30代前半に集中しています。この層にアプローチするには最適な広告プラットフォームだといえるでしょう。
また、他のSNSと比べて30代以上の利用率も高いという特長もあるため、10代、20代の若年層に加えて30代もターゲットにしている企業の方には特におすすめです。
参考:【2021年最新|SNSの動向調査】“ググる”から“タグる”が主流に?年代別のSNSユーザーの動向が判明!
詳細にターゲティングできる
Twitterでは詳細なプロフィールを登録する必要がないため、「詳細なユーザー情報がない=広告のターゲティング設定は細かくできないのではないか」とイメージしている方が多いかもしれません。しかし実際には、詳細なターゲティングが可能です。
年齢や性別(データに基づいて推測)、居住地だけでなく、フォローやツイート内容に基づいた興味関心ベースのターゲティングができるのです。
拡散による副次的な効果が期待できる
Twitter最大の特徴が、リツイート(RT)による拡散です。広告ツイートがリツイートで拡散された場合、リツート先での「いいね」やリツイートといったエンゲージメントに対しては課金されないというルールがあります。そのため、情報が拡散されればされるほど、広告の費用対効果が高まります。
ユーザーの関心を捉え、シェアしたくなるような設計ができれば効率的な運用が可能です。
Twitter広告の種類
Twitter広告の効果を知るために、まずは掲載可能な広告の種類と概要を把握しましょう。
プロモ広告(プロモツイート)
プロモ広告(プロモツイート)とは、ツイート形式の広告のことです。タイムライン上やツイートの検索結果画面・プロフィール画面に、通常のツイートに混ざって表示されます。右下に「プロモーション」と表記されること以外は通常のツイートと同じ見た目なので広告感が薄く、自然な形でユーザーに受け入れられるというメリットがあります。
また、通常のツイートと同様に、プロモツイートに対しても「いいね」やリツイート、リプライといったアクションが可能です。また、先ほど説明したとおり、二次拡散されたツイートに対しては費用がかかりません。
ユーザーの興味・関心を引く設計ができれば二次拡散が増え、費用対効果が高い広告運用を期待できるでしょう。
フォロワー獲得広告(プロモアカウント)
フォロワー獲得広告(プロモアカウント)とは、Twitterのプロフィール画面をツイート形式で表示できる広告のことです。通常のツイートのような見た目をしているという点ではプロモ広告(プロモツイート)と似ていますが、プロモ広告(プロモツイート)は、商品やサービスを宣伝するためのTwitter広告のことを指します。
フォロワー獲得広告(プロモアカウント)は、フォロワーを増やすことを目的として出稿するTwitter広告です。
テイクオーバー広告(プロモトレンド)
テイクオーバー広告(プロモトレンド)とは、Twitter検索画面の「おすすめ」や「トレンド」の上部に表示できる広告のことです。国内のTwitterユーザー全員に広告が表示されます。
1日1社限定で、広告枠を24時間独占できる点が特徴です。掲載費用は1日800万円以上だと言われていますが、タイミングによって上下します。
テレビCMのように、商品・サービスやイベントの大々的な宣伝が可能です。
Twitter広告の効果を事例6つで紹介
Twitter広告の特長や種類が理解できたら、今度は実際の活用事例を見ながらTwitter広告の効果を見ていきましょう。以下で、Twitter公式が発表している事例を6つご紹介します。
にんにくや岡崎商店 - フォロワー数増加とCV数向上
にんにく・黒にんにくの岡崎屋【公式】さん (@InfoOkazakiya) / Twitter
「食の安全・安心を通じ人々の健康作りに貢献する」を理念に掲げ、青森県田子町から産地直送にんにくの製造販売を行う「にんにくや岡崎商店」(@InfoOkazakiya)の事例です。にんにくや岡崎商店では「黒にんにく」の販売に力を入れています。
メインターゲット層である中高年以上に加え、より若い層にも商材認知を広めるべくTwitter広告を導入しました。広告ツイートでは、黒にんにくにまつわる豆知識や効果を訴求しています。
インフルエンザ流行時期に「インフルエンザ予防には、体内の免疫細胞の働きを活発にする黒にんにくがおすすめ」という内容など、季節に合わせたオーガニックツイートやプロモツイートを発信した結果、2か月で約650人のフォロワー増を達成しました。
さらにフォロワー数の増加に伴い、スポンサードサーチやYDN(Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)経由のコンバージョン数も上昇。リツイートは課金対象にならないことから、費用対効果の高いブランド認知を広めることができた事例といえます。
Roland - ブランドの認知度向上とCPCの低減
Roland | ローランド公式さん (@MyRoland) / Twitter
電子ドラムや電子ピアノの製造・販売等を手掛ける大手電子楽器メーカーのローランド株式会社(@MyRoland)を紹介します。「ブランドの認知拡大」「ブランド想起機会の創出」「ブランドエンゲージメントの増大」を目的に、2011年4月よりTwitterアカウントを運用中です。
担当者1名を起点に各製品カテゴリのプロモーション担当者と連携しながら、ユーザーと積極的にコミュニケーションを取るように工夫しています。そこから新たなユーザー層にアプローチするべく、Twitter広告の利用を開始しました。
同社電子ドラムを幼少期から使用し続けるプロドラマー親子のストーリーをオウンドメディアで配信し、ドラムに関する情報を発信するアカウントでフォロワーターゲティングを実施。演奏動画とともに配信したところ、クリック単価を約10円に抑え、多くのユーザーへのアプローチを実現しました。
オウンドメディアとうまく連携することで、エンゲージメントの高いユーザー層へのアプローチを効率的に実施できることがわかる事例です。
博多久松 - リツイート獲得による売上向上
博多久松【有限会社 久松】さん (@hakatahisamatsu) / Twitter
福岡を拠点におせち料理や本格和食、お惣菜などを製造販売する博多久松(@hakatahisamatsu)はネット通販事業に注力しています。ブランドの認知向上を目指すべく、2016年4月よりTwitterアカウント運用を開始。「Twitter開設キャンペーン」を運用開始当初から行うなど、Twitter広告を活用しています。
2017年末には、フォロー&リツイートでおせち料理が当選する「#おせちは博多久松 キャンペーン」を実施し、4,000件近いリツイートを獲得しました。2016年秋にオープンしたECサイトの売り上げが2期連続で前年比45%アップし、販売を促進する1つの手段になったとのことです。
ツイートで商品をチェックし、気に入ればそのままカジュアルに購入するというTwitterならではのユーザー体験を活かした事例です。
Jimdo Japan - 低予算での集客
ジンドゥーさん (@JimdoJapan) / Twitter
ドイツに本社を置くJimdo GmbH社が提供するクラウドCMS「Jimdo」は、本格的なホームページを簡単に作成することのできるサービスです。Jimdoの日本展開を担う株式会社KDDIウェブコミュニケーションズでは、2009年10月からTwitterアカウント(@JimdoJapan)を運用。
フォロワー数は1.4万人を超え、ホームページに関する情報や自社のサービスのみならず、業界知識などホームページ制作に関するノウハウもツイートするなど拡散への工夫を凝らしています。
同社では年に一度ユーザー向けイベントを開催しており、その告知・集客・誘導のためにTwitter広告を活用しています。A/Bテストでの測定のほか、開催地が東京であることを踏まえて東京近郊ユーザーにリーチするよう細かい地域設定を行い、「Jimdo」という文字列が含まれるツイートを行ったユーザーに対してもターゲティング設定を実施。
たった数日間の広告配信期間で、高額な費用をかけず通常の4倍以上のアクセスがイベントサイトに流入しました。 オフラインイベントなど、地域性のある取り組みへのプロモーションにもTwitter広告が効果的であることが分かる事例といえます。
モリサワ - サービスの利用者数向上
モリサワ【公式】さん (@Morisawa_JP) / Twitter
さまざまなフォントの企画開発・販売を行う株式会社モリサワでは、B2B向けの取引のみならずデザイナーの方々にも直接リーチするべく、2012年にTwitterアカウント(@Morisawa_JP)を開設。今では公式コーポレートアカウントを含め、製品やサービスを中心に5つのアカウントを運用しています。
同社では、約1,000にものぼる取り扱いフォントを1年間定額で利用できるライセンス製品「MORISAWA PASSPORT」を展開しています。ユーザーが新しいフォントをインストールして実際に使うという行動習慣を促進するべく、Twitter広告を導入しました。
デザイナーや印刷・出版関係の方々をターゲットに、特に目を引くフォント2つの特徴を端的に説明するアニメーションを作成して配信。Twitter以外にもさまざまなメディアで一斉に広告展開をしたことで、例年の倍のペースでフォントのインストールと利用が進みました。好意的なコメントなどの各種フィードバックがTwitter経由でくるという副次的効果もあったようです。
広告のクリエイティブを工夫し適切なターゲティングを設定することで、ユーザーとのダイレクトコミュニケーションが活性化するという良い事例です。
NVIDIA AI JAPAN - フォロワー数増加
NVIDIA AI Japanさん (@NVIDIAAIJP) / Twitter
コンピューターのグラフィックス処理や演算処理の高速化を実現するGPUの開発・販売を手掛ける米NVIDIA。その日本ブランチでは公式アカウント「NVIDIA AI Japan」(@NVIDIAAIJP)を運営しており、会社のテクノロジーや製品、ソリューションについてはもちろん、AI分野のリーダーとして世の中全体でのAI活用事例についても情報を発信しています。
Twitter広告も積極的に活用しています。はじめはフォロワー数の増加を目的に広告を配信。その後、会社としてプロモーションしたいトピックやイベントがある場合は、ウェブサイトへ自然に誘導するための広告を展開しています。
特に利用しているのが「クイックプロモート」というアプリから簡単に使うことができる広告プロモーション機能。スピーディに出稿できるので、拡散トレンドに乗りやすいことが特徴です。
活用の結果、フォロワー数の上昇につながっているというデータも出ているとのことです。
Twitter広告を効果的に活用するための5つのポイント
Twitterは国内ユーザー4,500万人以上という巨大なプラットフォームですが、広告を運用する上で大切なのは、リーチ数ではなくエンゲージメントです。正しいターゲットに正しい手法でアプローチすることによって、広告の効果を最大化することができます。
ここでは、Twitter広告を効果的に活用するために覚えておきたい5つのポイントを紹介します。
広告の目的を明確にする
目的 |
種類 |
課金方式 |
ブランド認知度の向上 |
プロモツイート |
CPM |
エンゲージメント数増加 |
プロモツイート |
CPE |
プロモビデオ再生数増加 |
プロモツイート |
CPV |
ウェブサイトへの誘導数またはCV数増加 |
プロモツイート |
CPC |
アプリの起動数増加 |
プロモツイート |
CPI/CPAC |
インストリーム動画の再生数増加 |
プロモツイート |
CPV |
フォロワー数増加 |
フォロワー獲得広告 |
CPF |
大規模な宣伝 |
テイクオーバー広告 |
1日1社の買い切り制 |
Twitter広告の運用を始める際は、広告の目的を明確にしましょう。目的によって、最適なTwitter広告の種類や課金方式が変わるからです。目的がはっきりしないまま運用すると、十分な効果を得られず、結果的に広告費を無駄にしてしまう可能性もあります。
他社の導入事例などを参考に、あらかじめKPIも設定しておきましょう。
ターゲティングを明確にする
Twitter広告を効果的に活用するためには、ターゲティングを明確にしましょう。Twitter広告では、以下の項目群を組み合わせて細かくターゲティングを設定できます。
- テイラードオーディエンスターゲティング
- 言語ターゲティング
- 地域ターゲティング
- 性別と年齢ターゲティング
- テクノロジーターゲティング
- キーワードターゲティング
- 興味関心ターゲティング
- フォロワーターゲティング
- 行動ターゲティング
Twitter広告のターゲティングの設定方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
また、詳細なターゲティング設定を活かすためには、自社のターゲットユーザーをできる限り明確にしましょう。その手段としてTwitter広告向けのペルソナを設定するのも1つのやり方です。
もしペルソナ設計に自信がない場合は、HubSpotが無料で提供しているペルソナ作成テンプレートを使ってみてください。
ユーザー目線のコンテンツ作りを意識する
先述した通り、Twitter広告は、リツイート先でのエンゲージメント(いいねや再RTなど)には課金が発生せず、情報が拡散されればされるほど広告の費用対効果が高くなります。そのため、費用対効果を上げるためには、広めたいと思ってもらえるコンテンツ作りが必要です。
先ほどの事例でご紹介した、モリサワの独創性が溢れるクリエイティブ事例は、自社リソースを使った「広まるコンテンツ」制作の良い事例でした。ただ発信・出稿するのではなく、きちんと「広めてもらえるコンテンツか」というユーザー目線を意識して運用しましょう。
クリエイティブを複数用意する
クリエイティブ(動画・画像・ツイート文)を複数用意することで、広告の最適化を図れます。クリエイティブごとのクリック率やフォロー率などの反応を比較できるからです。
反応が悪かったものは配信を停止し、良かったものはより良くするための修正を加えながら再び効果検証を行いましょう。
オーガニックの投稿も組み合わせて運用する
Twitterは本来、ユーザー同士でコミュニケーションを取るためのツールです。そのため、日々オーガニックツイートを重ねてファンを増やし、フォロワー属性の明確化を進めることが大切です。それを積み重ねることによって、広告出稿時の副次的拡散力も上がっていきます。
オーガニックツイートが想定以上に伸びた場合、それを元に広告を打ってさらに拡散させる方法も有効です。最後のNVIDIA事例にもあった「クイックプロモート機能」は、まさにそのための機能ともいえるでしょう。
Twitter広告運用は、オーガニック投稿と組み合わせて考えるのが鉄則です。
成功事例を参考にTwitter広告の効果を引き出そう
今回は、Twitter広告の効果と事例、効果的な運用のためのポイントを解説しました。Twitter広告は、売上向上・認知度向上・Webサイトへの誘導向上など、さまざまな目的で活用することができます。今回ご紹介した事例を参考に、効果的なTwitter広告運用を目指しましょう。
広告の運用開始後は、データを参考にしながらユーザー目線でコンテンツのブラッシュアップを続けていくことが成功の秘訣です。