調査で裏付けられた5つの製品拡散手法と拡散力を手に入れた6社の事例

ダウンロード: SaaS事業のKPIを設定できるスプレッドシート
Sophia Bernazzani Barron
Sophia Bernazzani Barron

最終更新日:

公開日:

「拡散」と聞いてまず何を思い浮かべますか? インターネット上のトレンドでしょうか、それとも恐ろしいウイルスによる感染症でしょうか。

調査で裏付けられた5つの製品拡散手法と拡散力を手に入れた6社の事例

>>無料ダウンロード: SaaS事業のKPIを設定できる「特製スプレッドシート」

いずれにしても「拡散」という言葉からはあっという間に何かが広まる様子が連想されますが、マーケティングやプロダクトデザインに関して望ましいとされる「拡散力」は共通しており、1種類しかありません。

拡散力とは流行する勢いのことです。たとえば、冬場に間仕切りのない開放型のオフィスで風邪がまたたく間に流行する、あるいは、新しい製品、アプリ、ツール、コンテンツなどがインターネットで人気に火がつき膨大な数の人々に普及するといった現象があります。

ただし、こうした拡散は偶然に起こるものではありません。拡散は数理モデルに基づく成長戦略であり、訪問者やユーザー、ひいては顧客を増やすためにマーケティング担当者やプロダクトデザイナーが試行錯誤を重ねて実現するものです。

この記事では、マーケティングに役立つ拡散を実現するための方法と、それを実現している企業の事例をご紹介します。

SaaS事業を成長!KPIテンプレートとSaaS用語解説集

SaaSはKPIの設定と観測によってPDCAを回すことで収益効果に直結しやすい特徴があります。このテンプレートを利用しプランや施策を改善しましょう!

  • KPIの自動算出
  • SaaS KPI設計の作成と確認
  • 直近のサマリーの把握
  • 実績進捗の視覚的な把握
詳しく見る

    今すぐダウンロードする

    全てのフィールドが必須です。

    ダウンロードの準備ができました

    下記のボタンよりダウンロードいただけます。

    拡散力とは?

    「拡散力」とは、あるものがインターネット上のさまざまなユーザー、読者、顧客の間で共有され、大きく広がる可能性のことを指します。拡散されるものとしては、ブログ記事、ウェブサイト、アプリ、ゲーム、製品などがあります。

    このブログ記事では主に製品の拡散を取り上げます。製品の拡散とは、製品のユーザーや顧客を通じてさらに新しいユーザーや顧客を生み出すことを指します。実現するには、自分のネットワークに招待することで製品から得られる価値を拡大したり、製品を共有し、その良さを訴えてネットワーク内での認知度を高めたりするなどの方法があります。

    拡散力を測定する計算式

    C(0)×k=期間終わりの顧客数

    製品の拡散力は、特定の期間を設定し、期間始めの顧客数に拡散係数kをかけて算出することができます。この係数は、既存顧客の招待により製品を使い始めた新規顧客のコンバージョン率を測定したものです。

    拡散による成長を計算する式で最も重要なのは拡散係数(k係数)で、これは既存顧客1人につき何人の新しい顧客やユーザーを獲得したかを算出したものです。

    このkという係数は、ウイルス性疾患の拡散に関する係数に由来しています。ウイルス性疾患におけるk係数は、合理的に考えて1人の患者が何人にウイルスを拡散するかを算出したものです。

    C(0)=測定期間始めの顧客数

    i=1人の顧客が共有した招待の数

    c=1つの招待によるコンバージョン率(%)

    k=1人の既存顧客が生み出した新規顧客の数(i×c)

    本当の意味で「拡散」されていると言えるのは、k係数が1より大きい値の場合です。

    このように、特定の期間に製品がどの程度拡散するかを判断するには、期間始めの顧客数にk係数をかけて期間終わりの顧客数を算出します。

    それでは、製品を拡散させるための方法を見ていきましょう。拡散力の測定について詳しく知りたい場合はDavid Skok氏が優れたスプレッドシートを公開していますので、そちらをダウンロードし、値を入力して、自社のk係数を求めてみましょう。

    製品を拡散させる5つの方法

    製品を拡散させる方法はいくつかありますが、プッシュ型とプル型の2種類に大別できます。

    プッシュ型の製品拡散

    ユーザーや顧客が自身のネットワークを活かして製品を広めるという拡散方法です。その例としてInstagramが挙げられます。画像をFacebookやTwitterにも同時に投稿できる機能により、画像の共有が盛んになりました。こうした画像を見るだけならInstagramユーザーになる必要はありませんでしたが、それでも写真の編集やフィルター加工ができるこのアプリの存在は広く知れ渡りました。

    1. 口コミによる拡散

    「拡散する」と聞いて多くの人がまず思い浮かべるのは、口コミによる拡散でしょう。製品がとても優れている、使うのが楽しい、興味をそそるなどの理由で、友人や同僚に話さずにいられなくなり、話を聞いた人たちがつられて製品を使い始めることがあります。

    ずいぶん前の話ですが、Googleがその好例です。友人や同僚に何かをたずねられて、得意げに「ググって」と答えることが結果的にGoogleを広めることになったのです。

    2. デモによる拡散

    ユーザーや顧客が単に製品を気に入ったからという理由で宣伝してくれるおかげで、製品が拡散するという状況です。こうした人たちは製品について語るだけでなく、製品を使うところを実演してみせます。それを目にした相手は興味を引かれ、たいてい問い合わせをしたり、自分で試したりすることになります。

    デモによる拡散をうまく利用したのが、画像コレクションツールのPinterestです。ユーザーはPinterestのボードを友人に共有することができます。共有されたボードを見るのにPinterestのダウンロードは必要ありませんが、アプリ内の魅力的な画像の数々を目にすると、多くの人たちはアプリをダウンロードして自分のボードを作成したくなってしまうというわけです。

    3. 大流行による拡散

    大流行による拡散は、製品を使うことがあまりに楽しく、ユーザーがハマったり面白いと感じたりするような場合に起こり、気付けば誰もが使っているというような状況を指します。中毒性がある、楽しい、人気があるなど、製品やアプリのそもそもの魅力はさておいて、こうなると皆が使っているからという理由だけで勢いよく拡散していきます。

    大流行による拡散の例には、皆さんもご存じのPokémon GOがあります。2016年、数週間にわたってどこの街の路上でもだれもがこのゲームに熱中しているようでした。

    プル型の製品拡散

    このパターンの拡散は、ユーザーや顧客が自分のネットワークに人を招待して参加させることで、製品からさらに多くの価値が得られるという場合に起こります。その一例がFacebookです。より多くの人々とつながりたいと思った高校生や大学生が、あっという間にたくさんの友人をこのソーシャルネットワークに招待したことでユーザーが広がりました。

    4. 伝染/ネットワークによる拡散

    伝染による拡散(またはネットワークによる拡散)とは、顧客やユーザーが人を招待して製品を使うように勧めることです。こうした拡散は、ネットワークを通じて使用を促進することで、ユーザーに製品のメリットが得られる場合に生じます。つまり、その製品はネットワークが拡大するほど利便性が高まるということです。友人や同僚が製品を使用すると自分自身も価値を得られるため、ユーザーは積極的に人を招待してネットワークに引き込もうとします。

    ネットワークによる拡散の典型的な例がDropboxです。このクラウドベースのファイル共有アプリがリリースされた当初、ユーザーがDropboxを利用するには共有相手を招待する必要がありました。仕事でもプライベートでも、ファイルをすばやく簡単に共有したい相手を招待することで、アプリの付加価値を得られる仕組みとなっていました。ただそのためには相手にもDropboxに登録してもらう必要があったのです。

    5. インセンティブによる拡散

    インセンティブによる拡散は口コミによる拡散とよく似ていますが、決定的な違いが1つあります。文字どおりインセンティブが存在することです。

    インセンティブによる拡散とは、ユーザーや顧客にインセンティブを与えて友人を紹介してもらうというものです。インセンティブには、割引、ギフトカード、金銭、ストレージ容量など、さまざまなものがあり、それが他の人に製品やアプリを勧めて使用してもらおうとする大きな動機となります。インセンティブの対象が紹介した側とされた側の両方であることもあり、その場合には両者にメリットがもたらされます。

    配車サービスを提供しているLyftは、インセンティブによる拡散を利用して、友人を紹介してほしいと乗客に呼びかけています。乗客は自分専用に作成されたリンクを友人に共有することができ、それを使用した場合、紹介者と新規ユーザーの両方がLyftを1回無料で利用できます。

    拡散力を利用したこのようなマーケティングは「バイラルマーケティング」という名前で知られていますが、拡散力はマーケティングだけで生み出せるものではありません。

    拡散しやすくなるような工夫をあらかじめ製品に組み込んでおくことで、ユーザーは簡単に共有したり、魅力を伝えたりできるようになります。拡散によって成長できるように製品を構築する必要があるのです。このブログ記事では製品開発には触れませんが、Viral Loopsの秀逸な記事(英語)をご覧いただくと、設計やリリースを行う際の参考にしていただけるでしょう。

    製品の拡散を実現した6社の事例

    1. Loom

    「製品をヒットさせるには、すぐに満足感を味わえるようにすることがこれまで以上に重要になっています」と、Loom(ブラウザーや画面上の動画をキャプチャーするツールを提供)の創業者兼CEOであるJoe Thomas氏は語ります。「製品は、人為的であってもそうでなくても、何らかの価値を提供するものでなくてはなりません。使用するとドーパミンが放出されて高揚感を覚えるようなものです。製品を初めて使用した時点でそういう感覚を味わえなければなりません。すぐに満足感を得られないとユーザーは離れていってしまいます」

    「その後は製品のイメージに合った方法で共有できるようにすることが大切です。初期にはインセンティブを利用した紹介が効果的ですが、それだけでは限界があります」

    Loomで効果を上げているのは「共有する価値のあるコンテンツを[Loomの]プラットフォーム上でユーザーに作成、発見してもらう」という方法です。そこでLoomは「リンクをコピー」というCTAを用意して利便性を高め、ユーザーがすばやく簡単に動画をキャプチャーしてチームに共有できるようにしました。「使ってみれば、動画の共有に便利なプラットフォームはどれなのかがわかります」とThomas氏は説明します。「早い段階で必要以上の機能を実装することはお勧めしません。ユーザーが使う機能は極力シンプルにしましょう」

    職場環境において思うようにならず改善したい課題(ここでは効果的なコミュニケーションの実現)に着目した製品を開発することで、Loomは即座にユーザーに価値を提供することができました。そのツールを友人や同僚が試しているのを見て周りの人たちも使い始め、拡散によって短期間に大きな成長を遂げたのです。

    活用した製品拡散手法:大流行による拡散、伝染による拡散

    2. BounceX

    BounceXは、ページを離脱しそうな人に働きかけるExit-intentモジュールを初めて作成したマーケティングクラウド企業です。同社の共同設立者兼CEOであるRyan Urban氏は、拡散戦術には人為的な拡散と真の拡散の2種類があると述べています。

    最も効果の高い真の拡散戦術とは、どの競合他社よりも優れた製品を作り出すことであるとUrban氏は考えています。ひときわ優れた選択肢があれば、顧客はどの製品を利用するかを迷うまでもないからです。

    「BounceXはExit-intentモジュールを開発しました。市場にはたいした製品がなかったので、優れた製品を自ら作ろうと考えたのです。当社はB2B企業なので、クライアントとなりそうな会社が数百社しかないことはわかっていました。しかし、それらは膨大なトラフィックを期待できる会社でした。当社の製品が競合他社とは異なる、はるかに優れた製品であることを私たちは確信していました」

    BounceXではさまざまな拡散戦術を試しました。うまくいったものも、そうでないものもありました。Urban氏によると、HotmailやGmailといった絶大な拡散力を持つ製品から着想を得て大きな成功を収めたのだと言います。

    BounceXは、クライアントのウェブサイトで表示されるExit-intentモジュールの左下に「Powered by BounceX」というシンプルなメッセージを置きました。「このメッセージはただのテキストで、当社のロゴもなく当社サイトへのリンクにもなっていませんでした。CTAにするつもりはなく、必要ならそれを表示しないよう設定することもできました。しかし一方で、このメッセージは同じようなモジュールを自社サイトでも使いたい企業にとって有益だったようで、その人たちはGoogleで当社ブランドを検索して詳しい情報を調べてくれたのです」

    「拡散力を高めるために私たちが取ったのは、スマートでオーガニックな方法でした」とUrban氏は言います。「クリックスルー率は求めませんでした。この試みにより、新しいユーザーがオーガニックに当社のことを検索してくれたのです」

    活用した製品拡散手法:大流行による拡散、デモによる拡散

    3. Wordable

    Wordable(Google ドキュメントを即座にWordPressにエクスポートするツールを提供)のCEOであるGregg Greenberg氏に話を聞いたところ、製品を拡散するのに露骨なやり方に頼りすぎるのはやめた方がよいとアドバイスされました。

    「当社のお客様は著述業の方が中心なので、お客様やその読者の力を借りて拡散することで成長が見込めることは明らかでした」

    「しかし、『Wordableを使ってこの記事をGoogle ドキュメントからWordPressへエクスポートしたら何時間も節約できました』のようなリンクをすべての記事の末尾に配置しようとは思いませんでした。それよりも、ユーザー自身の判断で無料のWordableプログラムを利用する方法を選択してほしかったのです」

    Wordableは、Google ドキュメントからWordPressへのエクスポート機能を無料で提供する条件として、ブログ記事で言及したり、ブログ記事の末尾にリンクを配置したり、ツールを宣伝するメールを一斉配信したりすることをユーザーに依頼しました。Greenberg氏は「依頼内容はごく自然なものでした。当社のお客様の多くはコンテンツマーケティングを行っているため、それとなく製品に言及する(そしてソフトウェアを無料で手に入れる)のはお手のものだったのです。この方法は当社にとっても効果的でした。お客様の読者は当社の潜在顧客だったからです」と語ります。

    活用した製品拡散手法:インセンティブによる拡散

    4. LawnStarter

    芝刈り予約アプリを提供するLawnstarterの共同設立者兼CMOであるRyan Farley氏は、他の会社が「真の拡散力」を持っているとしても、それとまったく同じ手法で製品の拡散をねらうのは賢明ではないと忠告します。

    「PayPalやLinkedIn、Dropboxの場合、ユーザーが他のユーザーを直接招待します。頻繁に招待が行われることで会社にとって有益となります。しかし、他の会社が同じような方法で拡散力を高められることはほとんどありません」とFarley氏は言います。「たとえば、データベースソフトウェアの会社がユーザーに友人を紹介してほしいと頼むことはできるでしょう。しかし、ただ紹介されたからという理由で30万ドルもするデータベースのライセンスを購入する人がいるでしょうか。

    芝生の手入れでも同じです。リンクをだれかに送信したからといって、その相手が都合よく芝刈りサービスを利用したいと考えているとは限りません」

    そのため、LawnStarterでは珍しいツールや独自性の高いツールの成功例をまねるのではなく、少しひねった戦術で認知度を向上しようとしたのです。

    「コンバージョンを直接ねらうだけでなく、一歩引いて、認知段階や検討段階において拡散力をどのように有効利用できるかを考えることが大切です。私は『プライベートな行動を公にする』というJonah Berger氏の拡散の原則を考慮すると有効だと思います。当社の戦術の1つは、人の家の芝生を写真に撮らせてもらい、Photoshopできれいに加工し、透かしを入れて、その人がSNSで共有できるようにしたことです。

    この画像がコンバージョンにつながったかというと、そんなことはありません。ただ、その人たちの友人に当社の存在が伝わりました」

    認知度を向上するためにLawnStarterが取ったもう1つの戦術は、芝生の手入れとはまったく無関係に思えるものです。

    「芝刈りサービスを提供している多くの会社は、家の前に看板を立てます。これは、プライベートな行動を公にするためのものです。しかし、私たちはそれを見るたびに悪趣味だと思っていました。そこで、一部のお客様の家の前にLittle Free Library(巣箱型の本箱で自由に本を借りられる)を設置したのです。これによって、ターゲットとする近所の人に当社のことを知ってもらえるうえ、話題を共有する中で当社のブランド名にも触れてもらえます」

    活用した製品拡散手法:口コミによる拡散、デモによる拡散

    5. BubbleIQ

    カスタマーサポート用連携ツールを提供するBubbleIQの共同設立者兼CEOであるFletcher Richman氏に、どのような製品拡散戦略を採用しているかをたずねました。

    BubbleIQは当初、ユーザー数を急速に拡大しようと単純でわかりやすいインセンティブを提供したと言います。「Typeformで単純なフォームを作成し、紹介された人が契約に至った場合にお客様にAirPodsを無料でプレゼントするようにしたところ、10%以上のお客様から紹介がありました。現在、製品自体にさらにインセンティブを組み込んでいます」

    しかし、同社はそれだけでなく拡散のためのバイラルループをBubbleIQ製品に組み込んでいます。「B2B企業がSlackチャネルをクライアントと共有している場合、クライアントもそのSlackチャネルでBubbleIQを使ってチケットを作成するわけです。あるお客様が20個のSlackチャネルを持っていた場合、チャネルごとに別の会社がBubbleIQの動作を目にすることになります。そして、そこから多くの新規顧客が生まれています」

    活用した製品拡散手法:インセンティブによる拡散、デモによる拡散

    6. HubSpot

    HubSpotのフリーミアムツールを構築したときの製品拡散戦略について、HubSpotの同僚や元同僚にたずねました。

    Sales

    HubSpot Sales(旧Sidekick)の成長を牽引してきたBrian Balfourに、どのようにして拡散力を高めたかをたずねました。

    「最初の2年間は、新規ユーザーの40%ほどが拡散によって得られたユーザーでした。拡散のためのバイラルループには大きく分けて2種類がありました。1つ目はインセンティブによるものです。無料版の製品では、いくつかの通知を受け取ることと、機能を利用することができます。上限に達したらアップグレードして有料ユーザーになる必要がありますが、だれかを招待すれば、その相手も自分も制限無しのプレミアム版製品を無料で数カ月利用できます。

    インセンティブによるループというと金銭を検討する人が多いですが、インセンティブにはいくつもの種類があります。当社ではこれを分類してReforgeの「The Growth Series」というプログラムで説明しており、具体的には、金銭、機能、コンテンツ、ソーシャルネットワークなどを取り上げています。当社のケースでは、インセンティブを「既によく知っていて、かつ望んでいるもの(通知とプレミアム機能)を引き続き利用できること」と位置付けました。

    もう1つのバイラルループは、口コミによる拡散です。

    「チームの中には、当社の製品が実は口コミに向かないのではないかという仮説がありました。主要ユーザーである営業担当者が、このツールを同僚との競争で優位に立つためのツールだと捉えていたためです」とBalfourは言います。「しかし、多くのユーザーに話を聞いてみると、この仮説は部分的にしか正しくないことがわかりました。ほとんどの営業担当者はチーム内に非常に仲の良いメンバーが数人いて、さまざまな情報を共有していたのです。

    ここから2つのことを学ぶことができます。まず、何かを拡散させるのに各ユーザーが知人全員に伝える必要はないということです。情報を伝えるのが少数であっても、その人たちのコンバージョン率が高ければバイラルループは成立します。

    もう1つは、「秘密兵器」による口コミをうまく利用することです。そして、営業担当者がツールを広めてくれるよう仕向けました。相容れないことを無理に納得させるよりも、本質的な行動に隠された心理に働きかける方が決まって良い効果が得られます」

    無料の製品

    同僚のDavid KhimはHubSpotのフリーミアム製品のビジネス成長のマーケティングを担当しており、拡散によって無料ユーザーを増やすときにはいくつかの原則に従っています。

    「当社はB2B企業なので、2種類のユーザーに目を向けなければなりません。まずは当社のお客様、つまり当社製品を使用してビジネスを拡大しようとしている人たちです。もう1つはそのお客様のクライアント、つまり当社のお客様がやり取りをする相手であり、当社製品を使ってお客様と結び付いている人たちです」とKhimは言います。

    製品の拡散力向上を図るときには、HubSpot自身の成功よりも必ずお客様の成功を優先して検討します。「たとえば、無料ユーザーが作成したフォームに優れたデザインのバイラルループを追加すると、ユーザー登録は増えてもお客様のフォームのコンバージョン率が低下するとします。その場合には追加はしません。まずテストを行い、成果を測定してから、製品にバイラルループを追加するようにしています」

    当社は「Powered by HubSpot」のリンクを製品のあちこちに貼り付けようとは思っていません。それよりも、「ブランドをどれだけ前面に出すかを慎重に検討し、拡散用のリンクが押しつけがましくならないよう気を配っています」

    具体的には、Khimはいくつかの戦略に基づいて製品拡散の実験を行っています。

    「HubSpotはプラットフォームなので、そもそも拡散力の高い機能がいくつも含まれています。たとえば、ミーティングツールや、フォーム作成ツールEメール機能などです。これらのどの機能にもバイラルループを自然に組み込める部分があります。

    また、他の数値を改善するよりも、登録完了率を改善した方がk係数への影響が大きいことにも気付きました。そこで、あれこれ実験するのをやめ、登録をスムーズに行ってもらうことに力を注ぐことにしました」

    また、Khimは数値にこだわりすぎないように気を付けています。

    「拡散力を高めるにはクリック率を向上させるだけでは不十分です。ユーザーにいかに快適に製品を使っていただくかを考えることも大切です。快適に利用できれば、拡散用リンクをクリックして製品の詳細を確認し、ユーザー登録する気になってもらえるでしょう。拡散は量と質の両面から検討する必要があります」

    活用した製品拡散手法:インセンティブによる拡散、口コミによる拡散、大流行による拡散

    さらに知識を深めたい場合は、拡散力のあるフリーミアム製品について詳しく説明したこちらの記事もご覧ください。

    HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

     

    SaaS事業を成長させるためのKPIテンプレート

    トピック: SaaS

    関連記事

    無料KPIテンプレートで効率的な予算計画を!