ディスプレイ広告はWebサイトの広告枠に出てくる広告です。ニュースサイトや個人のブログなどのWebページに表示されている広告バナーは、マーケティング担当者でなくても馴染みがあるのではないでしょうか?
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全てのフィールドが必須です。
表示されている広告の内容も閲覧しているユーザーの興味関心にマッチするように配信されています。
例えば、北海道旅行を計画して気になるエリアを検索した経験のあるユーザーに対しては、格安航空券や旅行ツアーなどが表示されるといった具合です。
ユーザーのニーズに合わせて的確な広告を配信できるのがディスプレイ広告の大きな強みです。
広告運用側にとっては広告効果が測定できるという大きなメリットもあります。一度配信して終わりではなく、クリック率やコンバージョン率を測定しながらPDCAを回せます。
本稿ではディスプレイ広告がターゲットユーザーに合わせた広告配信ができる仕組みについて、またディスプレイ広告のメリットや注意点について基礎から徹底解説していきます。
ディスプレイ広告とは?
Webサイトに画像やテキストを用いて表示されるディスプレイ広告は、多くのユーザーの目に触れる広告です。ターゲットとするユーザーをWebサイトに集客するために、ディスプレイ広告について基礎的な内容を押さえておきましょう。
Webページの広告枠に掲載される
ディスプレイ広告はWebページの広告枠に表示されるオンライン広告です。ユーザーが広告をクリックすれば商品/サービスを提供する企業のWebサイトに遷移して、詳しい情報を得られたり、商品/サービスを購入したりできます。
画像や動画、テキストと画像を組み合わせた広告を「バナー広告」と呼ぶこともありますが、バナー広告とはディスプレイ広告のもっとも一般的な形式です。
配信先(ターゲット)を設定することができる
オフラインの広告が一律に届けられるのに対し、ディスプレイ広告はユーザーごとに個人の好みや属性・購入履歴を反映した広告(パーソナライズド広告)となっています。
Webサイトへの訪問履歴をもとにユーザーにとって最適な広告を表示するリマーケティング(リターゲティング)機能や、特定のコンテンツに広告が配信できるコンテンツターゲティングの機能などを利用して、広告主は商品やサービスに興味を持つユーザーにピンポイントで届くように、細やかに設定することができます。
商品の認知やブランディングに効果を発揮する
画像や動画を使って目に留まりやすいディスプレイ広告を使えば、商品やサービスを知らないユーザーに知ってもらう上で大きな効果を発揮します。
今までなかった商品やサービスを市場に浸透させるには時間がかかります。しかし、ユーザーが広告をクリックするまでは料金の発生しない「クリック課金型(PPC)」を選択すれば、お金をかけずに認知を広めることができ、潜在的なニーズを生み出すことができます。
自社サイトへ集客するために行う
ディスプレイ広告はレスポンス広告としてWebサイトへの集客に活用することもできます。
ユーザーの「もっと知りたい」という気持ちを喚起し、ディスプレイ広告をクリックしてもらいます。クリック後に移動するWebサイトでは、ユーザーに詳しい情報を提供し、さらにユーザーの関心や興味を高めます。そこでニュースレターや資料請求、ホワイトペーパーなどに登録してもらいます。ディスプレイ広告を通じてユーザーを見込み客へと育成するという役割を果たします。
ディスプレイ広告と検索連動型広告はWeb広告界の2強の存在
Web広告費は2012年~2016年の5年間、毎年2桁の伸びを示しており、2017年にはオンライン・オフラインを問わずに全広告費の26.9%をWeb広告費が占めています。そのWeb広告の中でもディスプレイ広告と検索連動型広告が全体の8割を占めています。
ディスプレイ広告がWebページの広告枠に表示される広告であるのに対し、検索連動型広告」は検索ページの上部にテキストで表示される広告のことです。
検索連動型広告は、問題の解決策を探しているユーザーに広告を通してソリューションを提案します。それに対して、ディスプレイ広告は問題に気づいていないユーザーに広告を通して問題を知らせます。
多くの広告主は、広告を運用する目的やターゲットに合わせてディスプレイ広告と検索連動型広告を使い分けています。
ディスプレイ広告の仕組み
ディスプレイ広告を運用する上で理解しておきたい仕組みや料金について説明します。
ターゲットに広告が配信される仕組み
従来のTVや紙媒体の広告とWeb広告の最大の違いは、TVなどのマス広告がより多くのターゲットが集まるであろう媒体や時間を狙って広告を投下するものであったのに対し、Web広告はユーザーを識別し、特定のターゲットに無駄なく効率的に広告を届けようとする点にあります。
では、どうやってターゲットを識別しているのでしょうか。それはユーザーがインターネットを使うことによって主に以下の3種類のデータを取得できるからです。
- ユーザーの接続IPアドレスから居住エリアを識別
- ユーザーが登録した情報を利用して、年齢や性別など、さまざまな属性を識別
- Webサイトの閲覧履歴によって、ユーザーの行動データを直接取得
GoogleやYahoo!などのアドネットワークは、このようなデータをもとにユーザーを識別し、ターゲットごとに最適な広告が配信される仕組みを作っています。
ディスプレイ広告の2大ネットワークのGDNとYDN
Web広告を運用しようと考える広告主が出稿を依頼する先が「アドネットワーク」です。
アドネットワークは、無数にあるWebページの広告枠を束ねてネットワーク化し、広告配信を一元管理しています。そしてアドネットワークは広告主が出したい広告と、掲載可能な広告枠が自動的にマッチングされる仕組みを管理・運営しているのです。
アドネットワークではそれぞれ独自のターゲティング方法を取っています。ここからは代表的なアドネットワークである以下の2つについて説明します。
- Google ディスプレイネットワーク(GDN)
- Yahoo! ディスプレイネットワーク(YDN)
Google ディスプレイネットワークとは?
Google ディスプレイネットワークに出稿すれば、Webページを閲覧するユーザーや、YouTubeで動画を視聴するユーザー、Gmailでメールをチェックするユーザーに、GDNから広告が配信されます。
適切なユーザーに配信されるためには、ターゲティングの方法を選ぶ必要があります。GDNのターゲティングは、大きく分けると以下の2つがあります。
- ユーザー層のターゲティング(広告を閲覧するユーザーに向けたターゲティング)
- 状況に基づくターゲティング(広告を配信するWebサイトに向けたターゲティング)
上記のターゲティングはさらに以下のターゲティングにそれぞれ分けられます。
ターゲティング(大) | ターゲティング(詳細) | |
---|---|---|
ユーザー層のターゲティング | リマーケティング | |
オーディエンスターゲティング | アフィニティカテゴリ | |
購買意向の強いユーザー層 | ||
ユーザー属性 | ||
カスタマーマッチ | ||
状況に基づくターゲティング | コンテンツターゲット | |
手動プレースメント |
「ユーザー層のターゲティング」の詳細
- リマーケティング
リマーケティングは、これまでWebサイトを閲覧したことのあるユーザーをターゲットとして広告を配信する方法です。
ユーザーに継続購入してもらいたいとき、またはBtoB向けの商品やサービスなど高額で検討期間を要するものについて、頻繁に広告配信することで購買を促すことができます。
- オーディエンスターゲティング(アフィニティカテゴリ)
ユーザーは興味・関心・これまでの履歴を基にGoogleが用意した100種類以上のカテゴリに分類されます。
このカテゴリは「アフィニティカテゴリ」と呼ばれて「ビジネスのプロフェッショナル」や「ソーシャルメディアファン」「健康、フィットネスマニア」など、仕事から生活、趣味まで幅広く網羅されています。これだけで、ユーザーのターゲティングはかなり細かいところまで設定できるようになっています。
- オーディエンスターゲティング(購買意向の強いユーザー層)
Googleが設定した「購買意向の強いユーザー層」カテゴリーの中から、特定の商品やサービスの購入を検討している人を検索履歴を基にターゲットに設定します。
このカテゴリには「ビジネスサービス」「金融サービス」「雇用」など18の上位カテゴリとさらに詳細な下位カテゴリがあり、例えば「求人」というカテゴリーの中から「経営・マネジメント系の求人情報」を設定することができるように、具体的でピンポイントの対象に配信できます。
- ユーザー属性
性別、年齢、子供の有無、世帯収入などのユーザーの属性に基づいたターゲティングが可能です。たとえば幼児から小学生をターゲットとした英語学習アプリの広告を打ちたい場合は「35~44歳」「子供のいる」「女性」に向けた広告の配信を設定することができます。
- カスタマーマッチ
広告主が保有している顧客データをGoogleと共有することで、既存顧客と既存顧客に類似したユーザーに広告を配信できます。
「状況に基づくターゲティング」の詳細
- コンテンツターゲット
広告を掲載するコンテンツにターゲティングする方法です。キーワードやトピックを設定することで適切なコンテンツに広告を配信できます。
Google広告の管理画面の「ディスプレイネットワークのキーワード」でキーワードを設定します。たとえば業務用の空気清浄機のレンタルの広告を出したいときに、キーワードに「部屋 二酸化炭素濃度」を設定したとします。すると、室内の二酸化炭素濃度に関連する記事に空気清浄機の広告を配信できます。
さらに、このキーワードターゲティングに加えて「オーディエンス」にもチェックを入れれば、そのキーワードに関連するWebページに広告が配信されるだけでなく、関心を持つ可能性の高いユーザーに向けて広告が配信されます。
- 手動プレースメント
通常はキーワードやトピックを設定するとGoogleがWebページのテーマに一致すると判断した場所が掲載候補となりますが、掲載される場所を広告主が指定することもできます。それが手動プレースメントです。
「手動プレースメント」で事前にURLを登録しておくことによって、そのWebページを閲覧したユーザーに広告を配信することができます。たとえば税務関連の記事が掲載されているWebページの広告枠に会計ソフトの広告が配信されるように設定するなど、商品と関連の深い記事があればその記事をターゲットに設定することができます。
Yahoo! ディスプレイネットワークとは?
Yahoo! ディスプレイネットワーク(YDN)は、Yahoo!関連サービス(Yahoo!ニュースやYahooメールなど)やYahoo!と提携する毎日新聞やAll About、Ameba、ニコニコ動画などにディスプレイ広告を配信できるサービスです。YDNに出稿するためにはビジネス用のアカウントが必要で、アカウント取得には事前に審査が行われます。
GDNと同じくYDNも広告の配信先をターゲティングする機能を備えています。性別・年齢・地域といった属性でターゲティングできる他、GDNでいうリマーケティング機能も、YDNでは「リターゲティング」として過去に自社Webサイトを訪問したユーザーに広告を配信することもできます。一方で、YDNにはGDNにはないターゲティングの機能やGDNと異なっている機能もあります。
- YDNサーチターゲティング
登録したキーワードで検索したユーザーに広告を表示する機能で、GDNにはないものです。例えば「名刺管理ソフト」をキーワードに設定しておくと、過去(1日から30日の間で変更可能)にそのキーワードで検索したユーザーに広告を配信できる機能です。
サーチターゲティングを設定する際には、最初にサーチキーワードリストを作成します。そこに「名刺管理ソフト」を設定すると検索ユーザー数が表示されます。この時、1か月前に検索した人はすでに名刺管理ソフトを手に入れているかもしれません。そのような場合は過去1日、3日、7日など期間を短くしたり、短い期間で何度も検索している人に配信するなど設定を変更することができます。
- YDNインタレストカテゴリーターゲティング
あらかじめ配信する広告にマッチするカテゴリーを800以上ある「インタレストカテゴリー」の中から選択しておきます。例えば「BtoB」から「クラウドサービス」を登録しておくとします。すると、特にキーワードを設定していなくても、これまでの検索や閲覧の履歴からBtoBのクラウドサービスに潜在的に興味や関心があると判断されたユーザーに広告が配信されます。
- YDNサイトカテゴリーターゲティング
サイトカテゴリーも事前にカテゴリーを登録しておきますが、カテゴリーの内容は「インタレストカテゴリー」とは異なり「専門サイト(サービス)」や「専門サイト(物販)」または「ニュース、情報系」といった分類になっています。
サイトカテゴリー「ニュース、情報系」から「コンピューター、ITテクノロジー」を登録しておくと「コンピューター、ITテクノロジー」関連のニュースを閲覧しているユーザーに広告が配信されます。
ユーザーにとってインタレストカテゴリーが潜在的に興味・関心のあるカテゴリーであるのに対し、サイトカテゴリーは今そのカテゴリーのWebページを閲覧しているユーザーにリアルタイムで配信されるという違いがあります。
出稿するならどちらのネットワーク?
GDNとYDNではターゲティングの設定に違いがあるだけでなく、配信先や料金の面でも異なっています。
- 配信先の違い
YDNに出稿するとYahoo!関連サイトに広告が出稿できます。GDNはYahoo!関連サイトには配信できない代わりに、GmailやYouTube、その他、多種多様な規模とジャンルのWebサイトに配信できます。
- 料金の違い
GDN、YDNともに事前入金制で、広告がクリックされた場合にだけ広告料が発生します。広告が表示されるだけなら料金は発生しません。
1クリック当たりの料金は入札によって決まるため、人気のあるサイトや広告の表示場所、キーワードなどは価格が高くなります。
GDNでは「広告配信の設定」で「標準」と「集中化」のどちらを選ぶかによって予算の消費が変わってきます。「標準」を選択すると毎日、均等に配分され、その予算の上限に達した段階で広告の配信は停止します。一方、「集中化」を選択すると一時期に予算を集中させることができますが、こちらも上限に達した段階で広告は停止します。
YDNの場合は基本は均等配分ですが、表示回数が多い時は自動で配信を調節してくれます。
また、ディスプレイ広告と合わせて検索連動型広告も出稿を考えている場合には、GDNとYDNでは予算の管理の仕方が異なることに注意してください。
GDNの場合は予算枠が同じであるため、最初に全体の予算を入金した上で状況を見ながら配分を決めていくことができます。一方、YDNは最初から別々に予算を設定する必要があります。
広告の配信先や運用の仕方など、自社に合った広告の配信の仕方を検討してください。
ディスプレイ広告のサイズと特徴
実際にディスプレイ広告がどんなものなのか種類とサイズを見ていきましょう。ディスプレイ広告は大きさや表示される場所が決まっており、それぞれの広告には最適な広告内容があります。
1番人気は右端の四角の広告「レクタングル」(300×250)
広告の34%に300×250のレクタングルが使用されていると言います。Google 広告でもYahoo!のポータルサイトでも、一番目立つ位置に設置されているのがこのサイズの広告です。また、パソコンでもモバイルでも対応できる300×250のレクタングルは最初に作っておくべきサイズの広告です。
コンテンツの中に入れるなら「レクタングルの大サイズ」(336×280)
336×280のレクタングルの大サイズは、テキストコンテンツの中や記事の最後に配置するものです。広告のメッセージがコンテンツと一致した場合に効果を発揮します。モバイルでは使用できないのが欠点です。
トップで目立つビッグバナー(728×90)
横に長い四角形の広告です。スクロールせずに見ることのできる位置に配置すると効果的です。最上段の広告枠に配置すると非常に目立たせることができます。
大きなスカイスクレイパー(300×600)
大きなスカイスクレイパーはもっとも専有面積が大きい300×600の広告です。人間の視線は通常「Z」もしくは「F」の方向に動くと言われています。そのため、もっとも大きく画像やテキストで訴えることのできる300×600のサイズの広告を人間の視線が留まりやすい位置に置きます。上図では右側に置かれていますが、ページの構成によっては左側に置かれることもあります。
モバイルで使われるモバイルバナー(320×100)
モバイルでは広告密度が画面全体の30%未満であることが定められています。そのため、モバイルでもよく使われている300×250のサイズは今後Google Chromeではブロックされる可能性があります。
そのため、モバイルで使われるバナーは300×250のサイズが中心になっていくものと考えられています。通常、画面下部に現れますが、スクロールされてもずっと下部に現れつづけるオーバーレイタイプもあります。
ディスプレイ広告は画像とテキストを組み合わせて作成します。制作会社に発注してプロ仕様の広告を作成してもらうのも良いのですが、その場合であっても自社内で作成する時と同様にターゲットと訴求内容をしっかり練り上げた上で発注してください。
ディスプレイ広告のメリット
ディスプレイ広告にはほかの広告にはない3つの大きなメリットがあります。
- 潜在層と準顕在層に訴求できる
- ダイレクトレスポンス機能として活用できる
- クリック単価を安くできる
順を追って詳しく見ていきましょう。
ディスプレイ広告は潜在層と準顕在層に訴求できる
見込み客(プロスペクト)は3つの段階を経て顧客になります。
ほとんどのユーザーは自分の抱えている問題に気づいておらず、漠然とした不安感や物足りなさ、生きにくさを抱いています。その不安感や物足りなさ、生きにくい感覚が高じると、やがて問題として認識されるようになってきます。
自分に問題があると感じたユーザーは、問題をはっきりさせるために情報収集を始めます。これが上図の「認識ステージ」にある見込み客の状態です。
ディスプレイ広告は、この認識ステージの初期の段階からユーザーにアプローチし、漠然と不安を抱いている状態や、徐々に自分が問題を抱えていることに気づき始めた状態のユーザーに働きかけます。
例えば、日中の眠気に悩まされているユーザーがいるとします。日中の眠気を取る方法について探しているところに、「オフィス内の二酸化炭素の濃度が眠気に影響を与えている」という情報を伝える記事に空気清浄機の広告が配信されていたらどうでしょうか。
すぐに購入には至らないまでも、ユーザーはオフィス内の二酸化炭素濃度を測定し、原因を特定しようと考えるかもしれません。また、二酸化炭素が原因であることを特定し、具体的にオフィスに導入することを検討し始めるユーザーもいるかもしれません。
広告主は「日中 眠気」というキーワードにターゲティングすることで、同様の問題を抱えた非常に多くのユーザーにアプローチでき、「空気清浄機を利用する」という解決法があることを提案することができます。
このようにディスプレイ広告は、問題にはっきりと気づいていない潜在層や、問題があることには気づいていても具体的に対策を取ることはできない準顕在層に、問題の所在を知らせ、解決策があることを訴求できる広告です。
ディスプレイ広告はダイレクトレスポンス機能として活用できる
ダイレクトレスポンス広告とは広告を見たユーザーが行動を起こすような広告です。ダイレクトレスポンス広告の反対が、企業ブランドや商品のイメージを伝える「ブランディング広告」です。
ブランディング広告は、商品やブランドの認知度を高めたり、ユーザーに好感を抱いてもらうことはできますが、直接購入や問い合わせに向かわせるものではありません。ディスプレイ広告をブランディング広告として活用することもできますが、ユーザーにクリックを促す広告としても活用できます。
BtoBであれば、ユーザーに無料でeBookやホワイトペーパーを提供すると伝えることができます。また、BtoCであれば、商品のモニターになってもらったり、インセンティブを用意してアンケートに答えてもらうなど、ユーザーにとって価値ある提案を行うことで商品やサービスのメリットを直接体験してもらうことができます。
商品認知やブランド浸透だけでなく、ぜひダイレクトレスポンス広告としてもディスプレイ広告を活用してください。
ディスプレイ広告はクリック単価を安くできる
Web広告の効果を評価するためにはいくつかの指標がありますが、ここではクリック単価(CPC)に注目します。CPCの計算式は以下の通りです。
CPC = 出稿金額 ÷ クリック数
一般的にCPCの数値が低い方が広告効果は高いと言われています。
上図はアメリカのGoogleアドワーズに出稿しているさまざまな業界の平均CPCです。グラフの上向きが検索連動型広告のCPCで、下向きのグラフはGDNに出稿されたディスプレイ広告のCPCです。
左から3番目の黄色いグラフがBtoB、4番目のオレンジがBtoCです。上図を見るとBtoBであればCPCは0.79ドルで、ディスプレイ広告が安価な広告であることがわかります。
ディスプレイ広告の注意点
従来、Web広告と言えば検索連動型広告とディスプレイ広告を意味していました。しかし近年はSNS広告や動画広告などの新しい広告が登場し、着実な効果を上げているため、ディスプレイ広告は時代遅れと考える人もいます。
しかし、実際のところディスプレイ広告のメリットを十分に活かして運用している企業はさほど多くはありません。ここではディスプレイ広告を運用する上で気をつけなければならない点を見ていきます。
情報と解決策があることを知らせるディスプレイ広告を作成する
ディスプレイ広告は広告のクリック率(CTR)が非常に低い広告です。CTRの計算式は以下の通りです。
CTR = クリック数 ÷ インプレッション数(広告が表示された回数)
一般にCTRの数値が高いほど広告効果は高いとされています。
上図はGoogleに出稿する業界別のCTRの数値です。ディスプレイ広告のCTRは下向きのグラフです。
全業界の平均CTRは0.46%で、左から3番目のBtoBビジネスも平均と同じく0.46%です。ディスプレイ広告をWebサイトへユーザーを集客する目的として利用した場合、ディスプレイ広告は決して効率の良いものとは言えません。
しかし、ディスプレイ広告には他の広告にはない強みがあります。ディスプレイ広告内に表示されている文字や画像、動画などの情報を、ユーザーの目に触れさせることを通じて、問題にまだ気づいていない潜在層のユーザーに問題を気づかせることができます。
また、問題を認識はしていても、解決方法があることを知らない準顕在層のユーザーに対しては、解決方法があることを知らせることができます。
ディスプレイ広告は、単独で広告効果を評価するだけではなく、検索連動型広告につながっているかどうかも含めて評価していく必要があります。
ユーザーが価値を実感できるディスプレイ広告を作成する
Web広告をブロックするユーザーにとっては、広告は自分の生活に介入する邪魔なもの、避けたいものです。しかし、自分にとって必要な情報、価値ある情報であれば、ユーザーは邪魔には感じません。
広告が価値を提供するものであるためには、広告の配信先を選び、コンテンツが広告の内容とマッチしているものである必要があります。ユーザーが興味を持ったコンテンツの情報に対して広告がそのソリューションを提供するというスタイルになるよう、配信先の入念なターゲティングを行ってください。
また、ダイレクトレスポンス型のディスプレイ広告であれば、クリック先の自社のWebサイトで価値を提供することもできます。無料トライアルや、eBook、ホワイトペーパーの提供、あるいは割引クーポンコードの提供など、ユーザーに価値を与える広告を作成してください。
ディスプレイ広告にはCTAボタンを表示する
たとえブランディングや商品の認知が目的であったとしても、広告を見たユーザーに具体的な行動を提示してください。CTAとは「Call-to-Action」の略語で「ユーザーに行動を促すもの」という意味があります。
「商品の詳細はWebサイトへ」「無料ガイドのダウンロード」「クーポンコード配信」などのボタンを表示し、ユーザーに対して広告を見てから取るべき行動を提示してください。
ランディングページは広告と統一感を持たせる
ユーザーがクリック後にジャンプするランディングページ(LP)は、広告との違和感がないように色やロゴなど広告と統一感を持つものであることが大切です。
ランディングページでは、広告からWebサイトに移ってきたことがどれほどユーザーにとって利益をもたらすものなのかを伝えます。そこから「無料トライアル」にサインアップしてもらったり、インセンティブのついたアンケートモニターに登録してもらったり、わかりやすい指示を出してください。
ディスプレイ広告はもっと活用できる
アドテクノロジーの進歩によって、今日のディスプレイ広告は求めるターゲットにピンポイントで届けることが可能になりました。その結果、広告はユーザーの生活に介入してくるわずらわしいものから、問題の存在を認識させ、ソリューションを与えてくれるものに変わってきています。そのため、広告を出稿する側もその役割についてしっかりと認識する必要があります。
GDNやYDNを活用すれば配信先とターゲットを細かく設定できます。ユーザーの「誰に」「いつ」「どこで」配信するかを設定することができます。そのために「何のための広告か?」「広告を通じて何が達成したいのか?」をあらかじめ検討しておくことが大切です。
ディスプレイ広告を配信する際にもっとも気をつけなければならないことは、ブランディング広告だけに終わってしまわないことです。
たとえブランド認知や商品の認知が主な目的であったとしても、ディスプレイ広告の中で商品やサービスはユーザーの問題を解決することを訴え、Webサイトに集客します。ユーザーの利益を重視したインセンティブを用意することで、ユーザーはクリックして価値あるものを受け取ることができます。
結果が計測でき、テストも簡単にできるWeb広告だからこそ、ユーザーへの反応を定量的に確認しながら改善を実施できます。
ディスプレイ広告を実施する際は、まずは自社の見込み客にとって付加価値の高い情報は何なのか?という点を意識しながら実践してみてください。