業務マニュアルは社内に必要?具体的な作り方やポイント、作成例を紹介

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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業務内容や具体的な作業手順をまとめた業務マニュアルは、請求書作成やデータ入力、給与計算といった正確性が求められる業務に欠かせません。業務マニュアルがあることで、属人化による業務品質のばらつきが少なくなり、担当者以外も業務を担当できるため、フローが停滞するリスクが低くなります。

業務マニュアルは社内に必要?具体的な作り方やポイント、作成例を紹介

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時短実現のためのヒント!業務効率化チェックシートとツール選定のコツ

マニュアルによる業務の効率化・均質化は、顧客体験の向上に直結するため、取り組む重要性が高いといえるでしょう。

本記事では、業務マニュアルの基礎知識から具体的な作成方法について詳しく解説します。作成時のポイントも解説していますので、業務マニュアルを使って属人化の解消や業務効率化を実現したい方は、ぜひ参考にしてください。

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業務マニュアルとは

業務マニュアルとは

マニュアル(manual)とは、「手動で行うこと」を意味する言葉です。日本において、マニュアルは「手順書、手引書」と同義で使われることが多く、業務の流れや作業内容を具体的にまとめた資料を指します。

業務マニュアルは、企業内のあらゆる領域で活用されています。システムの操作方法をまとめたオペレーションマニュアルや、カスタマーサポートの対応マニュアル、品質チェックマニュアルなど、その種類はさまざまです。

業務マニュアルは手順書にとどまらず、経営方針や業務上のルール、トラブル時の判断方法など、組織の指針を踏まえて作成することが多いため、単なる取扱説明書とは異なります。企業姿勢が反映された業務マニュアルを活用することで、従業員が同じ目標を持ちながら、より最適化されたフローで業務を遂行できるようになります。

ただし、企業のなかにはマニュアル化に向いている業務・向いていない業務があり、すべての領域に業務マニュアルが適用できるわけではありません。業務マニュアルの向き・不向きについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

 

業務マニュアルが必要な理由

業務マニュアルは、何のために存在するのでしょうか。ここで、目的をあらためて確認しておきましょう。
 

業務の属人化を防ぐため

組織内で業務の属人化が発生している場合、業務マニュアルの作成によって課題を解消できます。

属人化とは、特定の業務内容や作業手順を一部の従業員しか把握しておらず、情報共有に支障をきたしている状態を指します。担当者が不在になると、ほかのメンバーが業務を代行できず、フローが停滞します。顧客への対応が遅くなり、状況によっては社内の管理体制に不安を抱かれてしまう可能性があります。

このような組織では、特定の人物が持つノウハウや技術などを業務マニュアルに整理し、円滑な情報共有を実現する「業務標準化」の取り組みが不可欠です。特定の人物にしかできない業務を極力排除することで、誰が作業を行っても一定の業務品質を保てます

 

組織の円滑な業務遂行を実現するため

業務マニュアルは、人材育成にも効果を発揮します。マニュアルがあれば、業務内容に疑問が生じた場合に、不明点を自己解決できる可能性が高まります。マニュアルを見て、本当にわからない部分だけを上司や先輩に質問すれば良いため、質問する側とされる側が使う時間を最小限に抑えることが可能です。

質問する側の従業員が回答者に気を遣い、問題をそのまま抱え込んでしまうリスクも減らせるでしょう。繰り返し業務マニュアルを見返すことで知識も定着しやすくなり、効率的な人材育成につながります。
 

組織の業務内容を見つめ直すため

業務マニュアルの作成は、現在の業務を棚卸しするところから始まります。既存の業務内容や作業手順を見直すことで、ムリ・ムダ・ムラのある業務や、ボトルネックとなる工程を発見しやすくなります

現状の業務プロセスの課題が明確になれば、改善に向けた具体的な施策の立案が可能です。業務マニュアルの作成は、組織の業務内容を見つめ直す良い機会といえます。
 

業務マニュアルを作成する6つの手順

業務マニュアルを作成する6つの手順

業務マニュアルは、次のような流れで作成します。適切なステップを踏むことで、より質の高い業務マニュアルが作成できるでしょう。

  1. 利用目的や活用シーンを定める
  2. プロジェクトメンバーやスケジュールを決める
  3. 担当者へのヒアリングをもとに業務を棚卸しする
  4. 業務マニュアルの構成を考える
  5. 業務マニュアルの本文を作る
  6. 業務マニュアルを導入し定期的な評価を行う
     

1. 利用目的や活用シーンを定める

あらかじめ利用目的を決めておくと、マニュアル化が必要な業務の選定や優先順位付けを行いやすくなります。業務マニュアルに掲載すべき情報を絞り込めるため、作業効率を高めることが可能です。

同時に、5W1Hの法則に則り、活用シーンを想定しておくと良いでしょう。こちらも情報を簡潔にまとめるのに効果的です。

  • When(いつ):業務プロセスのどの段階でマニュアル化を適用させるのか
  • Where(どこで):マニュアル化を適用させる部門や部署
  • Who(誰が):業務マニュアルを活用する現場担当者
  • What(何を):業務マニュアルに落とし込む業務の種類
  • Why(なぜ):マニュアル化を進める目的やゴール
  • How(どのように):具体的な運用方法
     

2. プロジェクトメンバーやスケジュールを決める

利用目的の明確化と並行する形で、プロジェクトに参加するメンバーや具体的なスケジュールを決めましょう。

旗振り役となる人物には、マニュアル化を進める領域の業務に詳しく、影響力の強いリーダーが適任です。また、チームメンバーには新入社員とベテラン社員をバランス良く参画させることで、誰にとっても不明点が少なくわかりやすい業務マニュアルに仕上がります。

マニュアル作成は緊急度が低い場合が多く、後回しになりがちです。そのため、あらかじめスケジュールを設定しないと、いつまで経っても完成に結びつかないでしょう。完成日の目安に加え、「誰が・いつまでに・何をすべきか」など、完成までの細かなスケジュール設定が必要です。
 

3. 担当者へのヒアリングをもとに業務を棚卸しする

現在の業務フローや作業内容を、担当者へ個別にヒアリングします。フローチャートに業務の進め方とタスクを記載しつつ、全体の業務を棚卸しして細分化を行うと良いでしょう。

その際に、業務フロー全体に手を加えようとすると、かえって組織内が混乱してしまう可能性があります。まずは優先順位の高いものから業務マニュアルに組み入れ、成果を確認しながら徐々にフロー全体を改善しましょう。

過去のクレーム内容やトラブルシューティングをもとに、各業務にどのような課題が発生しているのかを特定することも大切です。特に、組織の生産性を著しく低下させている業務ほど、マニュアル化する重要度・優先度が高いといえます。また、企業の業績に直結するような業務も優先して取り組むことが必要です。
 

4. 業務マニュアルの構成を考える

マニュアル化を進める際は、いきなり本文を作成するのではなく、先に構成を作成しましょう。最初に枠組みを構築し、その後に細部を埋めていくことで、全体的にまとまりのある業務マニュアルが完成します

業務マニュアルの構成を考えるには、まずテーマ別の見出しを設定すると良いでしょう。業務マニュアルの内容が多岐にわたる場合、利用者が即座に必要な情報を見つけ出せるよう、細かく見出しを分類します。構成を作成している段階であれば、全体の流れを見ながら容易に見出し順序の入れ替えが可能です。
 

5. 業務マニュアルの本文を作る

構成で作成した各見出しに沿って本文を作ります。それぞれの見出しでは、作業の名称や目的を書き出したうえで、時系列順に必要な手順を記述します。マニュアルを見るだけで迷わず作業できるよう、作業内容はできる限り具体的にまとめるのがポイントです。

また、業務マニュアルには、社内規則やコンプライアンスなどを加味したポリシーを記載しましょう。判断基準を明確にしたうえで、特に重要な注意点については、簡易マニュアルとしてチェックリストを作成します。チェックリストの回収フローも事前に検討しておくと良いでしょう。
 

6. 業務マニュアルを導入し定期的な評価を行う

業務マニュアルの運用開始後は、現場へのヒアリングによって状況を確認します。定量評価も用いながら、定期的に資料の内容を見直して改善・更新することが大切です。

運用開始直後は細かな修正作業が発生しやすいものです。どの程度の頻度やサイクルで更新するのか、事前にスケジュールを立てておくと良いでしょう。
 

わかりやすい業務マニュアルを作成するためのポイント

業務マニュアルを社内に浸透させるには、誰にとってもわかりやすく、ストレスなく使用できる内容にすることが大切です。そのためのポイントをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
 

文章の表現方法を考慮する

文章はなるべくシンプルに、平易な言葉で表現することを心がけましょう。ベテラン社員の間では当たり前になっている専門用語や隠語など、一部の人にしか伝わらない言葉はなるべく避けるのが無難です。どうしても専門用語を使用する場合は、注釈や牽引をつけておくと良いでしょう。
 

レイアウトに工夫や装飾を凝らす

文章量や内容に応じて箇条書きや表を活用すると、文章全体にメリハリが生まれて内容が理解しやすくなります

重要な箇所には、太文字やハイライトの文字装飾を施す方法もおすすめです。ただし、過度な装飾はかえってポイントがわかりづらくなるため、ルールを決めて必要最小限に留めましょう。

また、誤字脱字や日本語表現の誤りが多いと、業務マニュアルとしての信頼性が低下します。WordやGoogleドキュメントに標準搭載されている校閲機能を使ったり、無料の文章校正ツールを用いたりといった工夫で、誤字脱字をなくしましょう。日本語表現の正誤性を確認するには、複数人によるダブルチェックが有効です。
 

テキストに画像や動画を組み合わせる

テキストのみで構成された業務マニュアルは、読み手を疲れさせます。内容に応じて画像や動画を取り入れると、見やすいマニュアルになるでしょう。

作業手順をフローチャートにまとめたり、専門的な用語の解説にインフォグラフィック(イラストや図で視覚的に情報を整理する方法)を用いたりと、工夫次第でさまざまな方法が模索できます。

システムや機械の操作方法、一連の作業手順などは、動画での説明が向いているでしょう
 

情報共有を意識して保管する場所や方法を決める

業務マニュアルを活用するには、保管する場所や方法に配慮することも大切です。

紙ベースのマニュアルは、カテゴリー別の台帳に分けて格納しましょう。また、マニュアルを印刷してすべての従業員に配布し、いつでも参照できるようにします。

デジタルデータとして保管する場合は、「管理番号+業務の名称」といった形でファイルタイトルを統一化することで、あとから検索しやすくなります。ファイルごとにフォルダを分ける際は、容易にアクセスできる共有フォルダを作成し、フォルダ階層を深くしすぎないよう構成すると良いでしょう。

 

ツールやテンプレートを活用する

業務マニュアルを作成する際は、資料の内容に合わせてツールを使い分けましょう。

  • テキスト量が多い場合:Word・Googleドキュメント
  • 表やリストを多用する場合:Excel・Googleスプレッドシート
  • 画像をメインに作成する場合:PowerPoint・Googleスライド

GoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートは無料で使用できるだけでなく、オンラインでスムーズに共有できる点もメリットです。共同編集や校正・校閲、コメント共有などの機能もマニュアル作成に役立ちます。

また、クラウドサービスの利用もおすすめです。豊富なテンプレートのなかから好みのものを選択し、デザイン性に優れた業務マニュアルを短時間で作成できます。こちらの記事で代表的なツールを紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

 

業務マニュアルの具体例

業務マニュアルの具体例

検索エンジンで業務マニュアル用のテンプレートを検索すれば、レイアウトを考える必要がなくなります。ここでは、おすすめのテンプレートをもとに、業務マニュアルの具体例をご紹介します。
 

新入社員教育マニュアル(電話対応)

新入社員教育マニュアル(電話対応)

出典:テンプレートBank

テンプレートBank」から無料でダウンロードできる、新入社員教育マニュアルです。大見出し・中見出し・小見出しが色分けされて綺麗にまとまっているため、可読性に優れています。テンプレートBankには、ほかにも契約書や領収書といった幅広いテンプレートがそろっており、無料会員登録の手続きで資料をダウンロードできます。
 

操作説明書

操作説明書

出典:SILAND.JP

SILAND.JP」から無料でダウンロードできる、操作説明書に関するテンプレートです。同サイトには、Excel・Word別に業務マニュアルや社内規定、勤怠表などのテンプレートが用意されています。すでにデザイン化されたものに必要な項目を入れ込むだけなので、作成も簡単です。

業務マニュアルのテンプレートについては、こちらの記事で種類を紹介しています。

 

業務マニュアルを活かして顧客体験の向上を実現しよう

業務マニュアルは業務の属人化の解消や均質化に役立つツールです。業務の均質化は顧客体験の向上につながるため、ロイヤルティを高めるうえでも業務マニュアルの作成は重要な施策といえるでしょう。

ただし、「マニュアルを作成しても活用されずに終わってしまう」という失敗もよくあるので注意しましょう。業務マニュアルの目的を明確にしたうえで、利用者や活用シーンに合わせて最適化されたマニュアル作成に取り組むことが大切です。

また、作成したマニュアルを定期的に更新する作業も欠かせません。作成後の運用方法やスケジュールについても、具体的に定めておく必要があります。

目的達成を意識しながら、効果的な業務マニュアルの作成を進めましょう。

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トピック: 属人化

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