属人化とは?原因とリスクをもとに4つの解消方法を解説

執筆者 水落 絵理香(みずおち えりか)
時短実現のためのヒント!業務効率化チェックシートとツール選定のコツ

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属人化とは?原因とリスクをもとに4つの解消方法を解説

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企業規模が大きくなると、縦割り組織が形成されて分業化が進みます。日本では特にその傾向が強いと考えられており、分業化によって業務効率化や生産性の向上が可能です。しかし一方で、特定の業務を限られた人員でこなすことになり、仕事の「属人化」が発生しやすくなります。

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時短実現のためのヒント!業務効率化チェックシートとツール選定のコツ

属人化による一番の問題は、組織内で情報が適切に共有されなくなることです。企業の成長を阻む原因となり、場合によっては顧客体験を損なって顧客の離脱を招くため、できるだけ業務が属人化した状態を解消することが望ましいでしょう。本記事では、属人化の具体的なリスクや原因、防止策などをわかりやすく解説します。

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    属人化とは

    属人化とは

    属人化とは、一部の業務を特定の担当者、もしくは限られた人員のみで対応している状態を指します。また、業務の内容やフローに関する情報が共有されず、担当者以外が内容を把握できていない状態も、同様に「属人化」と呼ばれます。

    特定の業務が属人化すると、担当者が不在になった途端に業務が滞ってしまいます。ほかのメンバーによる代行が可能であったとしても、具体的な業務フローがわからず、適切に対応できないことが多いでしょう。顧客を待たせてしまうなど、組織の外部にも影響が及ぶ可能性があります。
     

    属人化の対義語は「標準化」

    属人化の対義語は「標準化」

    属人化とは対照的な言葉に「標準化」があります。

    標準化とは、担当者以外も業務に対応できる環境が整っている状況を指します。これは、業務内容が明確で、一定のルールに従って業務フローを実行できる仕組みが整っており、業務の見える化ができている状態です。業務マニュアルの作成や業務フローの共有によって、標準化に近づきます。

     

    「属人化」と「スペシャリスト」の違いは?

    属人化と混同されがちな定義に、「スペシャリスト」があります。

    スペシャリストとは、専門性の高い業務を得意とする特殊なスキルを持った人材を指します。スペシャリストには特定の業務が集中しますが、必ずしもその業務が属人化しているとは限りません。

    属人化とスペシャリストの違いは、「情報が見える化されているかどうか」といえるでしょう。

    属人化した業務は、担当者以外には共有されにくいという性質があります。しかし、スペシャリストが自身の業務について手順やフローを周囲に公開していれば、属人化していることにはなりません。

     

    業務が属人化する6つの原因

    属人化の問題を解消するには、まず原因を突き止めることが重要です。ここでは、業務が属人化する6つの原因を解説します。
     

    1. 業務過多により属人化解消を実行に移せない

    業務過多が常態化している組織では、たとえ属人化解消のための取り組みが重要だとわかっていても、実行に移すための時間が確保できません。マニュアル作成や情報共有の仕組みづくりが後回しになり、結果的にさらなる属人化を招いてしまいます
     

    2. 専門的な業務を取り扱っている

    業務遂行に高度なスキルが必要な場合、特定の部門や部署で属人化が発生しやすい傾向にあります。専門的な業務はマニュアル化が難しいほか、マニュアルにはない柔軟な対応が求められることもあり、社員教育に大きな手間やコストがかかります。結果的に、属人化解消のための取り組みが後回しになりがちです。
     

    3. 個々のスキルが評価されやすい

    個々のスキルが評価される風潮がある組織では、情報共有に対して各従業員が消極的になりやすい傾向があります。自身の評価にかかわる貴重なノウハウを、他者に知られたくないという感情が働くためです。結果として業務が属人化し、高度なナレッジが組織に共有されなくなってしまいます

    特に、成果主義の評価制度を採用している場合、成約金額や受注件数などのわかりやすい成功指標に捉われ、そもそも属人化の問題に気付いていないことがあります

    また、組織内で特定の役割があることにメリットを感じる社員にとって、属人化は自身のステータスを証明するものです。このようなケースでは、保身のためにあえて属人化解消のための取り組みを進めようとしないことも考えられるでしょう。
     

    4. 取り組みに対する評価制度がない

    属人化解消に向けた取り組みは、企業の売上や利益に直結するわけではありません。効果を実感しづらく、インセンティブも明確ではないことから、解決のための具体的なアクションにつながらないことも多いでしょう。

    また、標準化の施策を進めようにも、「何をもって属人化解消を達成したとするか」という明確な成功指標を定義するのは難しいものです。適正な評価制度が構築できないと、属人化が慢性的に続いてしまいます。
     

    5. 情報共有の仕組みが整っていない

    組織内で情報が適切に共有される仕組みが整っていない状況が続くと、業務の属人化を招きます。特定の部門や部署のなかで情報がブラックボックス化すると、社内にあるデータを有効活用できず、機会損失やノウハウの喪失につながることもあるでしょう
     

    6. テレワーク独特の問題が生じている

    テレワークも、属人化が発生しやすくなる要因の一つです。地理的に離れた場所で仕事をすると業務連絡が滞りやすく、マネージャーが各メンバーの状況を十分に把握することが困難になります。また、勤怠管理や情報管理が行いづらいため、オフィス勤務に比べて業務の割り振りや業務支援の難易度も高まるといえるでしょう。
     

    業務の属人化によって発生するリスク

    業務の属人化によって発生するリスク

    ここでは、業務の属人化によって発生するリスクについて解説します。属人化によって発生するリスクを理解し、大きなトラブルを未然に防ぐことが大切です。
     

    1. 業務品質が安定しない

    業務が属人化すると、担当者が病気で休んだり、一時的に不在になったりした場合に、業務が滞ってしまいます。代行者がいたとしても、重要なチェックポイントや判断材料が共有されていないケースが多いでしょう。結果的に、代行者は非効率な方法で業務を進めることになり、ミスや抜け漏れが発生しやすくなります。

    属人化した業務は担当者以外が再現できず、業務品質が安定しないという大きなリスクになります。担当者が十分な引き継ぎを行わずに離職した場合は、その後の業務品質が一時的に大きく低下することにもなりかねません。
     

    2. 業務効率が低下する

    属人化した業務が急激に増えた場合、担当者一人では対応しきれず、効率が著しく低下する可能性があります。作業スピードが不安定になり、企業全体の生産性が低下する原因にもなり得ます。

    業務効率を高めるはずの分業化が、かえって生産性の低下を招くこともあるでしょう。そのことに担当者や周囲のメンバーが気付いていなければ、業務改善に取り組むことは難しくなります。
     

    3. 顧客体験が低下する原因になる

    属人化には、顧客体験を損ねてしまうリスクもあります。例えば、営業部門では、顧客対応の遅れや情報共有の不足によって、顧客がストレスを感じる可能性があるでしょう。

    また、バックオフィス業務でも、請求書の処理が属人化していると、担当者の不在時に処理が遅れ、顧客への入金が滞ることも考えられます。こうした顧客体験の低下の積み重ねは、機会損失や顧客の離脱を引き起こします
     

    4. ナレッジや貴重なデータを失う可能性がある

    属人化が発生している組織で退職者が出た場合、その従業員が持っていた知識や技術が、誰にも継承されないまま失われてしまう可能性があります。また、情報が共有されないことで、退職者が出る度に同様のスキルを持った人材を採用・育成する必要が出てきます

    営業部門では、優秀な営業担当者が管理していたハウスリストや名刺データなどがほかのメンバーに共有されず、活用できない状態になってしまうことも考えられるでしょう。標準化による適切な情報共有やデータの一元管理ができていれば、このような問題は発生しません。

     

    5. 労働環境が悪化し人材流出のリスクが高まる

    属人化した業務は代行できる人員がいないため、担当者が休みを取りづらくなります。特に、属人化した業務が企業にとっての主要業務であれば、個人への作業負担や責任も重くなります。

    そうした状況が続けば、心身へのストレスが生じ、場合によっては、属人化による負担が原因で離職に至る可能性もあるでしょう。属人化は、労働環境の悪化だけでなく、人材の流出にもつながることを理解しなければなりません。
     

    属人化を防ぐための4つの解決策

    ここでは、属人化のよくある原因やリスクを踏まえて、4つの解決策をご紹介します。

    1. 業務内容やワークフローを明確にする
    2. 業務マニュアルを作成する
    3. 見直しと改善を繰り返し行う
    4. 標準化に役立つICTツールを活用する

     

    1. 業務内容やワークフローを明確にする

    属人化を解消するには、業務の棚卸しを行い、業務プロセスを俯瞰的に把握・整理することが大切です。関連する業務全体を細分化し、属人化が発生している箇所や現状の課題を特定しましょう。

    業務プロセスを整理するには、全体像を一目で把握できるワークフロー図の作成が効果的です。業務に関係する担当者全員にヒアリングを実施し、情報共有の機会を設けたうえでワークフロー図を作成すると良いでしょう。

    ただし、リソースの観点からすべての問題への対処が難しいことも考えられます。メインの業務に支障が出る可能性もあるため、業績に直結する業務や、すでにトラブルが発生している箇所などを特定し、属人化の解消が必要な業務に優先順位をつけることが大切です。
     

    2. 業務マニュアルを作成する

    属人化を解消するには、どの従業員が対応しても同じような成果が出る仕組みづくりが必要です。業務全体の一貫性を意識しながら最適なフローを構築し、マニュアル化を進めましょう。

    また、マニュアルを作成する際は、独自性の強い内容にならないよう、別の担当者によるチェックやフィードバックを行うのが理想です。作成したマニュアルを組織全体で共有し、ブラッシュアップをはかるとさらに良いでしょう。改善点が見つかったら、その都度マニュアルを更新し、社内ナレッジ化を目指します。情報の活用には、FAQ(よくある質問と回答をまとめたもの)の作成も効果的です。

    ただし、最初から完璧なマニュアルを作成することは困難であることも理解しておきましょう。実験的に業務を分散し、どの程度であれば標準化に対応できるのか、状況を把握する期間を設けることが大切です。

     

    3. 見直しと改善を繰り返し行う

    どのような施策でも、事前に策定した計画を継続的に見直し、改善を繰り返すことは不可欠です。属人化解消のための取り組みも、計画通りに進むとは限りません。課題が見つかったら速やかに軌道修正を行い、施策をブラッシュアップすることを心がけましょう。

    具体的には、定期的に現場を視察し、施策の効果や所感について担当者からヒアリングを行う方法が効果的です。また、業務の変更によって新しい課題が発生していないか、今後ボトルネックとなりそうな箇所がないかといった点をワークフロー図に沿って確認し、チーム全体で振り返ると良いでしょう。課題の具体的な解決に向けて仮説を立案し、ロードマップやアクションプランを練り直すことが可能です。
     

    4. 標準化に役立つICTツールを活用する

    部門間の連携を強化したい場合は、組織の情報共有を促進するICTツールの活用を検討するのも一案です。社内コミュニケーションが活性化され、業務の標準化に向けて大きく前進します。

    例えば、営業部門やマーケティング部門では、CRM(顧客関係管理)ツールやSFA(営業支援システム)などが属人化解消に効果的です。CRMでは主に顧客情報を、SFAでは営業案件情報や担当者別の進捗状況を一元管理できるほか、システム同士のデータ統合によって部門間連携にも効果を発揮します。営業部門やマーケティング部門で共有されたデータはビジネスチャンスの拡大につながり、売上や利益の向上が期待できます。

    当社HubSpotが提供するCRM/SFAツールは、成約件数や受注金額、目標達成率といった営業活動の指標をダッシュボードに一覧表示し、チーム全体での共有が可能です。また、案件ごとの商談履歴や失注情報をもとに、営業活動の成功・失敗パターンを分析できるため、ナレッジベースを構築する際にも役立ちます。
     

    属人化が必ずしも悪いといえないケース

    属人化が必ずしも悪いといえないケース

    業種や職種によっては、業務内容が標準化と相性が悪く、属人化が現実的に困難なケースもあります。属人化が必ずしも悪いといえないケースがあることも理解しておくと良いでしょう。

    例えば、次のようなケースが代表的です。

    • 属人的な業務が企業の価値につながっている
      職人が一つひとつの製品を手作りで仕上げているような事業。標準化してしまうと大量生産品と変わらなくなる。
    • 状況や場面によって業務内容が大きく異なる
      戦略立案やコンサルティングなど。ある程度個人の裁量に任せなければならず、標準化が難しいが、フォーマットを定義できる面だけは属人化を避けるのが良い。
    • 適切な手順や方法論が確立していない
      新規事業や新規案件を立ち上げる際は、業務がある程度確立しないと標準化が難しい。

    すべての面において標準化を進めるには、リソースの問題で困難なこともあり、ケースバイケースで対応するのが良いでしょう。まずは自社の業務内容やプロセスを洗い出し、本当に標準化が必要なのか、必要ならばどの部分が該当するのかを明確にすることが大切です。
     

    属人化解消は顧客体験の向上にもつながる

    職種や業務内容によって状況は異なりますが、属人化はさまざまなリスクを伴います。特に営業部門やマーケティング部門における業務の属人化は、顧客体験を損なうことがあるため、優先度を上げて標準化に取り組むことが重要です。

    営業・マーケティング業務の標準化には、ICTツールが役立ちます。当社HubSpotのCRM/SFAを導入すると、顧客情報や営業活動の進捗状況、顧客からの問い合わせ情報などを一元管理できます。営業・マーケティング・カスタマーサービスのスムーズな部門間連携が実現することでサービスの質が改善され、顧客体験が向上するでしょう。

    また、近年急速に普及しつつあるジェネレーティブ(生成系)AIの活用もおすすめです。HubSpotのコンテンツアシスタントツールでは、AIによるコンテンツ生成が可能で、メッセージやブログ記事、SNS投稿文といったテキストを短時間で作成できるなど、業務負担の軽減が可能です。属人化の解消にも役立つため、ぜひご活用ください。

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    トピック: 属人化

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