営業という仕事は、市場や顧客の変化に大きな影響を受けます。社会の新しい価値観に直面し、自分の信念を疑ったり、考え方をアップデートしたりする必要に迫られるのです。
たとえば、自分が強引であると考えている営業担当者は17%しかいないのに対し、営業担当者が強引だと考えているプロスペクト(見込み客)の割合は50%にも上るといいます。
そんな厳しい現実もありますが、幸いなことに、営業に関するデータはがっかりするようなものばかりではありません。この記事でご紹介する統計データには、Eメールの件名で避けた方がよい言葉から、プロスペクトに初めて電話をかけるときの最適な質問数まで、営業活動のあらゆる場面に役立つヒントが詰まっています。
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営業にまつわる統計データ[2023年版]
新規案件獲得に関する統計
1. 新規案件獲得のための活動は、毎日欠かさず行いましょう。月や四半期の最終日だけでなく、初日にも変わらず行うべきです。米国とイスラエルに拠点を構える営業プラットフォーム企業Gongのデータ サイエンス チームが15か月分のデータを分析したところ、平均的な営業担当者は、四半期の最終月に、その前の2か月よりはるかに多くのセールスコールをかけていることがわかりました。しかも、このような「駆け込み」のセールスコールの成功率は、他の月に比べて低迷していることが多かったのです。
2. プロスペクトの6割近くが、最初の電話で価格について聞きたいと考えています。
3. プロスペクトの半数以上が、最初の電話で製品の使用感を確かめたいと考えています。
4. 営業担当者は通常、プロスペクトが有望かどうかに最も関心がありますが、それは買う側にとっては重要なことではありません。予算や購入決定権、購入スケジュールについて話をしたいと考えているプロスペクトは4人に1人しかいません。
5. プロスペクトの19%は、バイヤージャーニーの認識ステージ(製品について初めて知る段階)から営業担当者とやり取りしたいと考えています。
6. プロスペクトの60%は、検討ステージで営業担当者とやり取りする前に、自分で選択肢を調査して、ある程度絞り込みたいと考えています。
7. プロスペクトの20%は、どの製品を購入するかを決めてから、決定ステージで営業担当者と話したいと考えています。
8. プロスペクトと実際に話をするまでには、平均して18回の電話をかける必要があります。
10. プロスペクトについての情報を集めるために複数のリード エンリッチメント ツールを使用している企業の割合は9割に達します。
11. B2B企業のプロスペクトの7割は、バイヤージャーニーのどこかの段階で動画を観ています。プロスペクトに合わせてカスタマイズした動画を送ると効果的です。
12. プロスペクトに最も好評なのは製品機能について説明した動画です。続いて評判が良いのがハウツーものや専門家によるレビューの動画です。
13. 少なくともプロスペクトの50%は、自社で販売している製品に適していません。
14. 営業戦略の専門家であるMarc Wayshak氏らが実施した調査では、回答者の77.3%が、リードの4分の1は会社から提供されると答えています。
フォローアップに関する統計
15. 米国企業2,200社以上を対象に調査を実施した結果、リードからの問い合わせに対して60分以内に返信しようとした場合、返信が60分後になった場合と比べ、意思決定者と有意義な会話ができる確率が約7倍に及ぶことが判明しました。
16. Drift社は、433社の企業を対象に、問い合わせへの対応にかかる時間を実際にテストしてみました。フォームを送信してから5分以内に連絡があったのは7%だけで、5営業日のうちに連絡のなかった企業は半数を超えました。
営業Eメールに関する統計
17. 平均的な人は、毎日受信したEメールの48%を削除しています。削除にかかる時間はわずか5分です。
18. プロスペクトの大半は朝の5時から6時の間にEメールを読みたいと考えています(想像以上に早起きの人が多いようです)。そこで、Eメールの予約送信ツールを使用して、最適な時間にメッセージを送信してください。HubSpot Sales HubでもEメールの予約送信機能をご利用いただけます。
19. 次のような言葉をEメールの件名に含めると効果的です。
- デモ
- 連絡
- キャンセル
- 適用
- チャンス
- イベント
- 支払い
20. また、次のような言葉はEメールの件名に含めても効果がありません。
- 支援
- 講演者
- プレス
- ソーシャル
- 招待
- 参加
- 確認
21. 米国の生産性ソフトウェア企業であるBoomerang社が30万件のEメールを分析した結果、件名をすべて大文字にすると、返信率が約30%低下することがわかりました。
22. 返信率が最も高くなるEメールの件名は3~4単語で、これより長くても短くても返信率は下がります。
23. また、Boomerang社のチームは、小学3年生レベルの読解力に合わせてメッセージを書くと、大学生レベルの読解力に合わせた場合よりも、返信率が36%高くなることを発見しました。
24. Eメールの文字数が多くなるほど、返信率は下がります。単語数が2,500を越えると、返信が戻ってくるのは3通に1通だけになります。ただし、短すぎても良くありません。単語数が25のEメールの効果は、2,000語のEメールと同等です。最適な単語数は50~125、つまりこのパラグラフとほぼ同じくらいの長さです。
25. Eメールでは、情報を提供するだけでなく、相手への質問もしましょう。1~3件の質問が書かれていれば、質問がまったく書かれていない場合に比べて、返信率が50%高くなります。
セールスコールに関する統計
26. Gong社がプロスペクトに最初にかけたセールスコール51万9000件を分析したところ、たずねた質問の数とセールスコールの成功率の間に明確な相関が認められました。ときどき相手に質問をすることが最初のセールスコールを成功させる秘訣です。
27. Gong社の調査によると、最初のセールスコールの途中で15~18件の質問をしても、質問数が7~10件だった場合と比較して、効果はそれほど変わりません。質問数は11~14件を目指しましょう。
28. 何を質問すればよいのか迷ったときは、プロスペクトがビジネスに関して抱えている課題や目標について質問すると、取引成約に結びつきやすくなります。
29. では、質問をするタイミングはいつが良いのでしょうか? 平均的な営業担当者は、電話をかけた直後にほとんどの質問をしています。これは主にチェックリストに沿って会話をしていることが原因です。しかし、優秀な営業担当者は、会話全体を通じて質問を均等に散りばめています。これによって自然なやり取りができ、面接のような印象を与えることがなくなります。
30. 営業担当者の41.2%は、自分が使用する営業ツールの中で最も役に立つのは電話だと思っています。
31. Gong社の調査によると、コンバージョン率の低下を招く言葉には次のようなものがあるそうです。
- 「やり方をお見せします」:1回の電話で4回以上使用すると、取引の成約率が13%低下します。
- 「割引」:成約率が17%低下します。
- 「契約」:成約率が7%低下します。
- 「無料トライアル」:次の段階に進む確率が5%低下します。
- 自社名:1回の電話で4回以上使用すると、成約率が14%低下します。
- 「競合他社」:次の段階に進む確率や成約率が低下します。
- 「百万」、「億」、「兆」:数が大きくなりすぎると、具体的にイメージしにくくなるため、成約率が低下します。
32. Gong社が、受話された顧客開拓のセールスコール100,000件を分析したところ、通話時間のうち優秀な営業担当者が話していた時間は54%、そうでない営業担当者が話していたのは42%という結果が出ました。
33. セールスコール中に「私」よりも「私たち」などの相手を巻き込んだ言い回しを使用すると、成功率が35%上昇します。
34. 「今お時間よろしいでしょうか?」とたずねると、打ち合わせの約束を取り付けられる確率が40%下がりますが、「いつもお世話になっております」など通常のあいさつから始めると、打ち合わせを設定できる確率は3.4倍に跳ね上がります。
ソーシャルセリングに関する統計
35. 営業担当者の4割が、ソーシャルメディアを直接のきっかけとして、2~5件の契約を成約させた経験を持っています。
36. コンピューターソフトウェア、ヘルスケア、広告・マーケティングなど、14の一般的な業界では、収益の半分にソーシャルセリングが関係しています。
37. ソーシャル セリング ツールを使用すると、取引の成約率が5%、取引の規模が35%向上します。
営業の生産性に関する統計
38. HubSpot Researchが営業担当者を対象にアンケート調査を実施したところ、回答者の半数以上が同僚から営業手法を改善するためのヒントを得ていました。そのうち、マネージャーからヒントを得ていたのは44%、チームのトレーニング資料から得ていたのは35%、メディアから得ていたのは24%でした。
39. 営業担当者の約6割は、自分に合う手法を見つけたら、そのやり方を変えようとは思いません。
40. サービスやオファーの売り込みを行っている人の割合は、優秀な営業担当者では7%にとどまりますが、それ以外の担当者では19%に及びます。
41. 営業担当者が実際にプロスペクトと話をしている時間は、1日の3分の1にすぎません。1日の21%はEメール作成に、17%はデータ入力に、さらに17%はリードの新規獲得と調査に、12%は社内のミーティングに、そして12%は電話のスケジューリングに費やされています。
42. 企業の約4分の3は、営業担当者のトレーニングを主に講義形式で行っています。
43. 営業開発の担当者は平均で6つのツールを使用しています。
44. 一般的によく使われている営業ツールには、CRM、ソーシャルメディアでの新規案件獲得ツール、データ/リストサービス、Eメール エンゲージメント ツール、電話、営業の進捗管理ツールなどがあります。
45. 好印象を受ける営業のポイントについてプロスペクトに質問したところ、次の項目が上位に入りました。
- プロスペクトのニーズに耳を傾けること(69%)
- 押しつけがましくしないこと(61%)
- プロスペクトに当てはまる情報を提供すること(61%)
- すぐに対応すること(51%)
46. 現代の営業担当者が抱える最重要課題には次のようなものがあります。
- 危機感を持ってもらうこと(42%)
- プロスペクトと連絡を取ること(37%)
- 価格に対するクレームに対処すること(35%)
47. Googleの調査によると、B2B企業のプロスペクトのほぼ半数はミレニアル世代です。
48. 経営陣ばかりに電話をかけるのは、もはや効果的な戦略とは言えません。経営幹部の64%が最終的に契約書に署名する権限を握ってはいますが、経営幹部以外の従業員の81%が購入の意思決定に何らかの影響を与えています。
49.有望な営業のチャンスが立ち消えになる最大の理由は予算です。
50. 900社以上の営業開発部門を対象とした調査結果によると、平均的な営業開発の担当者は、ソーシャルメディア、電話、ボイスメール、Eメールでの連絡など、1日に94.4件の営業活動を行っています。
51. こうした営業活動によって平均23.1件の打ち合わせが設定され、その打ち合わせの72.3%が商談として営業部門に引き渡されます。
52. 毎月平均12.5件の商談が引き渡され、29.3%が成約に至ります。
紹介営業に関する統計
53. プロスペクトの84%は、紹介をきっかけにしてバイヤージャーニーに入ります。
54. 購入の意思決定の9割は、同僚からの推薦によって行われます。
55. プロスペクトの92%は、知人からの紹介を信用しています。
56. 製品購入までの過程で良い印象を受けると、顧客の83%は喜んで紹介営業に協力してくれるようになります。ただし、営業担当者が依頼しなければ、人を紹介してくれる顧客は29%にとどまります。
57. 優秀な営業担当者の約47%が紹介の依頼をコンスタントに行っているのに対し、そうではない担当者の場合は26%しかいません。
営業のキャリアに関する統計
58. 営業開発の担当者(SDR)の給与総額は平均で41,675ドルです。
59. 営業開発の担当者(SDR)の在職期間は平均2.8年で、独力で業務をこなせるようになるまでに必要な期間は4.1か月です。
60. 一般的なアカウントエグゼクティブ(AE)の在職期間は2.6年で、独力で業務をこなせるようになるまでに必要な期間は4.9か月です。
61. 営業担当者が大学で専攻していた分野の中で最も多いのはビジネスで、4人に1人です。次に多いのは大学に通ったことのない担当者で、その割合は17%です。
62. 自分から進んで営業の仕事に就いた担当者は39%しかいません。
日本の営業に関する意識・実態調査2023
HubSpotは、2023年2月に「日本の営業に関する意識・実態調査2023」を発表しました。この調査では、日本のビジネスシーンにおける「売り手」計1,545名、「買い手」計515名にアンケートを行い、日本の営業に関するさまざまなデータを算出しています。
例えば、「働く時間のうち無駄だと感じる時間の割合」を営業担当者に質問したところ、業務時間のうち22.37%が無駄だと感じられていることがわかりました。これは金額に換算すると年間約9,802億円にものぼり、前回調査時より約1,500億円の増加となっています。
他にもさまざまな調査結果を載せているので、ぜひ以下からご覧ください。
以上の統計データに皆さんも驚かれたのではないでしょうか?
数字がすべてというわけではありませんが、数字からさまざまな側面を見ることができます。新しいデータが出てきたらリストに追加していきますので、このページを定期的にチェックしてください。