📋 この記事の要点
- CRMの機能は、どのツールにも共通する基本機能と、課題に応じて選ぶ特化機能に分かれる
- 基本機能は顧客情報管理・取引管理・行動履歴管理など9つで、データを蓄積する土台となる
- 特化機能は営業支援(SFA)、マーケティング支援(MA)、カスタマーサービス支援、業務自動化の4領域
- AI機能は記録の自動化・受注確度の予測・文面生成を担うが、精度はデータの蓄積量と質に左右される
- 機能選定は、現場の課題を具体的な場面まで分解し、必要な機能を対応づけることから始まる
- 全機能を一度に使わず、必須機能に絞って始め、定着後に広げると運用の形骸化を防げる
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CRMを導入すると、これまでスプレッドシートや個人のファイルに分散していた顧客情報や案件の状況を、一か所に集約できます。チーム全体が同じ情報を見ながら動ける状態です。一方で、市場のCRMは多機能化が進んでおり、どこまでが標準的な機能で、どこからが自社の課題を解決するための機能なのか、見分けにくくなっているのが現状です。
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本記事では、CRMの機能を「基本機能9つ」と「特化機能4つ」に分けて整理しました。それぞれで何ができるのかに加えて、AI機能が担う役割と、自社に必要な機能を見極めるための手順も紹介します。
CRMの機能は基本機能と特化機能に分かれる
CRMの機能は、どのツールにも共通して備わる「基本機能」と、特定の業務課題を解決するために選ぶ「特化機能」の2つに分かれます。
- 基本機能:顧客情報や取引、行動履歴を記録し、必要なときに取り出せる状態を保つ機能。顧客データを蓄積する土台にあたるため、多くのCRMに標準搭載されている。
- 特化機能:サービスを提供する会社ごとに搭載しているものが異なる。営業やマーケティングなど、強化したい領域に応じて選ぶ。
この組み合わせによって、サービスの性格が分かれます。基本機能だけを備えたシンプルなCRM、営業部門の支援を厚くしたCRM、見込み客の創出に強いCRMなど、同じCRMでも得意な領域はさまざまです。
CRMの基本機能9つ
CRMの基本機能は、顧客に関する情報を記録し、必要なときに取り出せる状態を保つための9つに整理できます。いずれも多くのCRMに標準搭載されており、日々の運用を支える土台となる部分です。
| 基本機能 | できること | 解決できる課題 |
|---|---|---|
|
顧客情報管理 |
企業・担当者の情報の一元管理 |
部門ごとに分散した顧客情報を集約できる |
|
取引・案件管理 |
商談の段階ごとの登録・可視化 |
案件の進捗状況をチーム全体で可視化できる |
|
行動履歴管理 |
顧客との接点の時系列記録 |
顧客との対応経緯をスムーズに引き継げる |
|
問い合わせ・対応履歴管理 |
問い合わせ内容と対応状況の記録 |
対応漏れや二重対応を未然に防げる |
|
メール配信 |
個別・一斉メールの送信と記録 |
宛先の確認や一斉送信の手間を削減できる |
|
顧客のセグメンテーション |
顧客の抽出とリスト化 |
条件に合う相手にだけ情報を届けられる |
|
分析・レポート作成 |
蓄積データの集計と可視化 |
集計業務を削減し、数字をもとに判断できる |
|
タスク・スケジュール管理 |
次のアクションと期日の管理 |
次にやるべきことを期日どおりに実行できる |
|
外部サービス連携 |
既存ツールとデータのやり取り |
二重入力を減らし、既存システムと情報を同期できる |
顧客情報管理

CRMの土台となる機能が顧客情報管理です。下記のような項目を入力し、プラットフォーム上で一元管理できます。
- 会社名
- 顧客の氏名
- 住所
- 年齢
- 性別
- 電話番号
- メールアドレス
- 金融情報(銀行口座など)
- 家族構成
- 対応可能曜日や時間帯
- 営業担当者情報 など
名刺データを直接読み込めるCRMもあります。これまでファイルや紙資料で個別に管理していた情報も、一か所への集約が可能です。
担当者ごとに顧客情報を管理している場合、探している情報にたどり着くまでに時間がかかりがちですが、一元管理したうえで検索や絞り込みを使えば、条件に合う顧客をすぐに呼び出せます。
蓄積されるのは営業部門の情報だけではありません。マーケティングやカスタマーサービスが集めた情報も同じ場所に集まるため、部門を越えて活用できる土台が広がっていきます。
取引・案件管理

取引・案件管理は、顧客ごとの取引内容を記録し、商談の進捗を可視化する機能です。
例えば、以下のような情報を顧客情報と関連づけて入力することができます。
- 購入履歴(取引内容や取引額など)
- 過去の商談内容や履歴
- 過去の問い合わせ情報
- リアルタイムの問い合わせ対応状況
- 見積書や請求書などの作成状況
停滞している案件や、次のアクションが設定されていない案件を早い段階で見つけられます。また、顧客との取引状況や取引結果などを入力していくことで、顧客ニーズを洗い出すために必要なパーソナライズされた情報を蓄積できます。

取引・案件情報は、営業だけでなくマーケティングやカスタマーサービスなど、部署間での共有も可能です。詳細情報や取引状況を入力しておくことで「お客様から問い合わせがあったが、営業担当者不在なのでCRMで対応状況を確認する」というように、臨機応変に対応できます。
なお、受注確度や売上予測などのより営業に特化した機能は、後述するSFAが担う領域です。
行動履歴管理
行動履歴管理は、顧客がどのような行動をとっているかを記録し、そのデータを営業やマーケティングに活用する機能です。
- 商談・電話・メールでのやり取り
- Webサイトの閲覧履歴
- 商談会への参加履歴
- セミナーの参加履歴
- キャンペーンへの応募状況
- 顧客に関するさまざまな行動履歴 など
例えば、まだ取引実績がない見込み客の場合でも、行動情報を集めておけば最適なタイミングで営業活動やマーケティングのアプローチを行えます。
【参考例】
- 商談会への参加履歴から、求めている商品やニーズの見当をつける
- セミナーなどの学びの場への参加履歴から、改善したい課題を探し、アプローチ方法を工夫する
- キャンペーンへの応募状況などから、相手に響くアプローチ方法を洗い出す
このように、顧客がどのような行動をとっているのかのデータを入力しておけば、他部署でも最大限に活用できます。
問い合わせ・対応履歴管理

問い合わせ・対応履歴管理は、顧客からの問い合わせ内容を保存し、蓄積していく機能です。過去にどのような問い合わせがあったのかを、履歴から調べられます。
記録されるのは、例えば下記のような情報です。
- 問い合わせ内容
- 問い合わせの返答内容や方法
- 問い合わせをしてきた顧客情報
- 対応日時や時間
CRMを見れば、いつ・誰が・どのような問い合わせをしてきて、社内でどう対応したのかが可視化されます。その結果、社内の誰が対応しても二重対応や回答漏れを回避できるようになるでしょう。
メール配信

メール配信は、一元管理している顧客情報から、直接顧客へメールを送信する機能です。顧客ごとのメールアドレスが登録されているため、CRM経由でそのまま送れます。
主な使い方は次の通りです。
- 各顧客情報のページからメールを作成して送信する
- 顧客情報の一覧から、条件に合う相手へ一斉送信する
- 事前に作成しておいたテンプレートを使って送信する
宛先を探して送信するという手間が減り、やり取りの履歴も顧客情報に紐づいて残ります。また、配信後の開封率などを記録できるCRMもあります。
なお、シナリオに沿った自動配信やスコアリングといったマーケティングに特化した機能は、後述するMA(マーケティングオートメーション)が担う領域です。
顧客のセグメンテーション
顧客のセグメンテーションは、条件を指定して該当する顧客を抽出し、リスト化する機能です。
セグメントの抽出条件の例は下記の通りです。
- 顧客属性:業種・企業規模・地域
- 購買・契約履歴:購入商品・契約プラン・購入回数・購入金額
- 行動履歴:Webサイト閲覧・資料ダウンロード・フォーム送信 など
抽出条件を保存しておけば、条件を満たす顧客が自動でリストに追加・除外されるため、都度リストを作り直す作業は発生しません。
また、対象を絞った働きかけができるため、関心と合わない連絡を減らせるのがメリットです。必要な情報を必要な相手に届けやすくなり、受け手の負担も軽くなるでしょう。
分析・レポート作成

分析・レポート作成は、蓄積した顧客・案件・行動のデータなどを集計し、グラフやダッシュボードとして可視化する機能です。
確認できる指標の例は下記の通りです。
- 電話・訪問件数
- メール送信数
- 見込み客創出数
- 商談・取引件数
- 受注率・成約率
- 売上・成約金額
- 営業目標の達成率
- 問い合わせ・チケット件数 など
多くのCRMは、作成したレポートやグラフをCSVやPDFで出力でき、社内での共有や他システムへの入力にも活用可能です。会議資料を作るための集計時間が減れば、その分を議論に充てられるでしょう。
タスク・スケジュール管理

タスク・スケジュール管理は、顧客ごとに次のアクションと期日を登録し、実行状況を管理する機能です。期日が近づくと通知されるため、フォローの抜け漏れを防げます。訪問後の見積提出や、検討中の見込み客への再連絡も、記憶に頼らず進められるでしょう。
登録したタスクは案件や顧客情報と紐づくため、何のためのタスクかを確認しながら着手でき、内容を思い出す時間もいりません。
チーム全体のタスク量が可視化されるため、業務量の偏りに気づきやすくなり、負荷の調整にもつながるでしょう。
外部サービス連携
外部サービス連携は、CRMと既存のツールとの間でデータをやり取りする機能です。一般的なCRMは、顧客情報の一元管理を主な役割としています。そのため、それ以外の機能は追加オプション、もしくは外部サービスとの連携で補います。
連携できる外部サービスの例としては、次のようなものが挙げられます。
- 基幹システム
- 名刺管理ソフト
- オンライン会議ツール
- アクセス解析ツール
- チャットツール
- メール・カレンダー
- 会計ソフト
- SNS運用ツール
- 電話・CTI
- AIツール
- CMS
- EC・決済システム
例えば、社内で導入している基幹システムとCRMを連携できれば、顧客情報管理と経理業務などを一括で管理できます。また、オンライン会議ツールやチャットツールと連携することで、顧客情報管理だけではなく、社内の情報共有基盤としても役立ちます。
連携できる外部サービスはベンダーによって異なるため、CRMツール選びの際は「利用したい外部サービスと連携できるか」も比較基準に入れておきましょう。
CRMの特化機能4つ
特化機能は、すべてのCRMに備わっているわけではなく、強化したい業務領域に応じて選ぶ機能です。代表的な4つの領域を、解決できる課題とあわせて整理します。
| 特化機能 | 主に強化する領域 | 検討したいケース |
|---|---|---|
|
営業活動支援(SFA) |
商談から受注までのプロセス |
営業活動が属人化している |
|
マーケティング支援(MA) |
見込み客の創出から醸成まで |
商談化する見込み客が少ない |
|
カスタマーサービス支援 |
購入後の顧客対応 |
問い合わせ対応が追いつかない |
|
ワークフロー・業務自動化 |
部門をまたぐ定型業務 |
手作業の転記や通知が多い |
営業活動支援(SFA)
営業活動支援(SFA:Sales Force Automation)は、営業活動における業務効率化や生産性向上、売上拡大などを支援するツールです。
具体的には、下記のような機能があります。
- 営業パイプラインの可視化と進捗管理
- 売上予測と達成率のリアルタイム把握
- 受注確度(フォーキャスト)の算出
- 営業担当者別の活動量(架電・訪問・提案数)分析
- 商談のネクストアクション管理
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基本機能の「取引・案件管理」との違いは、対象とする範囲の広さです。取引・案件管理が案件情報の記録と可視化にとどまるのに対し、SFAは訪問件数や提案数といった活動量の記録、着地見込みの算出まで含みます。
CRMに蓄積された顧客情報と組み合わせれば、営業活動をより効率的に支援できます。顧客情報の管理だけでなく、営業部門の業務改善にも取り組みたい場合に検討したい領域です。
マーケティング支援(MA)
マーケティング支援(MA:Marketing Automation)は、蓄積した顧客情報をもとに、精度の高いマーケティングを行うためのツールです。
含まれる主な機能は次の通りです。
- メールマガジンの配信
- 開封率やURLクリック率の集計
- ステップメールの配信
- Web上での行動履歴の把握
- 見込み客情報の管理
- 見込み客のスコアリング
- 広告連携
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マーケティング支援の機能を活用することで、基本機能で一元管理していた顧客情報をもとに、新たな見込み客への最適なアプローチ方法を設計できます。
見込み客の数は増えたものの商談につながらない、引き継ぎの基準が担当者の感覚に委ねられている、といった課題を抱えている場合に向いた領域です。
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カスタマーサービス支援
カスタマーサービス支援は、購入後の顧客対応を支える機能群です。問い合わせを担当者へ割り当て、対応状況をチーム全体で共有できます。
主な機能は以下の通りです。
- ヘルプデスク
- チケット管理
- ナレッジベース
- コールトラッキング
- 顧客満足度調査 など
カスタマーサービス支援の機能を活用することで、誰がどこまで対応したのかが見えるため、対応の重複も防げるでしょう。また、利用状況や問い合わせの傾向を把握できる点も特徴です。支援が必要な顧客を早めに見つけ、契約更新に向けた働きかけにつなげられます。
既存顧客からの問い合わせが増えている、対応品質が担当者によって異なる、といった状況が見られる場合に検討したい領域です。
ワークフロー・業務自動化
ワークフロー・業務自動化は、「特定の条件(トリガー)を満たした際に、あらかじめ設定した処理(アクション)を自動実行する」仕組みです。CRMにおけるワークフロー自動化は、部門をまたぐ定型業務(タスク作成・ステータス更新・メール送信など)をシステムが代行することで、手作業による工数とミスを削減します。
主な機能は以下の通りです。
- タスク・通知の自動作成
- データ・ステータスの自動更新
- メールの自動送信
例えば、顧客が資料をダウンロードしたという行動をトリガーに、お礼メールの自動送信と担当営業への商談打診タスクの作成を即座に実行する、といった運用が可能です。手動で行っていた初期対応をシステムが代行することで、担当者は提案準備や商談に注力できるようになり、対応スピードの向上と属人化の解消を両立させることができます。
AI搭載型のCRMでできること
近年、多くのCRMには、蓄積したデータを活用するAI機能が搭載されています。どちらも、参照できるデータの範囲と正確さに精度が左右されるのは共通の特徴です。ここでは、実務で使われる場面の多い3つの機能を整理します。
入力・記録の自動化と要約
AIは、商談メモや通話内容を要約し、CRMのレコードに記録できます。手作業での入力が減るため、記録そのものが残りやすくなるのが利点です。記録が残れば、やり取りの経緯を短時間で把握できるため、引き継ぎの際に前任者へ確認する時間も短くなるでしょう。
もう一つの効果は、記録の粒度が揃うことです。担当者ごとに書き方が異なると分析に使いにくくなりますが、AIが要約を担えば形式が安定します。結果として、後の分析に使えるデータが整っていきます。
受注確度・解約予兆の予測
過去の商談や利用状況のデータをAIが分析し、案件の受注確度や解約予兆などをスコアリングします。
- 受注確度のスコアリング:受注につながりやすい案件を数値で可視化
- 解約予兆の早期発見:利用状況や問い合わせ傾向から、支援が必要な顧客を特定
これにより対応すべき顧客の優先順位が明確になり、限られたリソースでも効率的にアプローチができます。
メール文面や回答候補の生成
生成AI機能の活用によって、顧客情報や過去のやり取りを踏まえて、メールの下書きや問い合わせへの回答候補の生成が可能です。ゼロから書き起こす時間が減り、担当者は内容の確認と調整に集中できるでしょう。
伝え方の質が担当者ごとにばらつきにくくなる点も効果の一つです。経験の浅いメンバーでも、一定の水準を保った文面を用意できます。
生成されたメール文は、送信前に必ず確認する運用ルールを設計しましょう。本当に顧客の状況に合っているかどうかを見極めるのは、担当者の役割です。
HubSpotのCRMはAI機能を搭載しており、マーケティング・営業・カスタマーサービスと部門を横断して、顧客とのやり取りや状況(コンテキスト)をAIが参照できる設計になっています。
自社に合ったCRMの機能の見極め方
機能の多さは、そのまま導入効果につながるわけではありません。自社の課題に必要な機能を見極め、使える範囲から広げていくための手順を4つのステップで整理します。
現状の課題と導入目的を整理する
最初に取り組みたいのは、CRMを導入する目的を明確にすることです。目的が曖昧なまま導入すると、必要だった機能が足りない、あるいは大半の機能を使いきれないという状態になりやすくなります。
下記のように、現在の業務で何が滞っているのか、何を果たしたいのか、具体的な場面まで分解して書き出しましょう。
- 案件の進捗が担当者に聞かないとわからず確認に時間が取られている
- 膨大になった既存顧客の情報を整理して活用したい
- 複数の基幹システムがあるため、顧客情報だけを管理・連携したい
- 引き継ぎ時、経緯がわからずお客様へ同じ説明をさせてしまう
- 営業担当者ごとに受注率が大きく異なるため、要因を分析してパフォーマンスを最大化したい
- マーケティング施策が頭打ちになっているため、CRMを活用したい
書き出したら、課題に優先順位をつけます。すべてを一度に解決しようとせず、最初に解決する対象を決めておくと、次の機能選びが進めやすくなります。
自社に最適なCRM機能を洗い出す
導入目的が明確になったら、その目的を達成するために必要な機能を選んでいきます。目的によって、必要になる機能の組み合わせは変わります。
| 導入目的 | 必要になる機能の組み合わせ |
|---|---|
|
営業成績の向上 |
CRM基本機能+営業活動支援(SFA) |
|
マーケティングの強化 |
CRM基本機能+マーケティング支援(MA) |
|
業務全体の効率化 |
CRM基本機能+ワークフロー・業務自動化+AI機能 |
|
スモールスタート |
CRM基本機能(フェーズに応じて拡張できるもの) |
|
社内システムとの連携 |
CRM基本機能(外部サービス連携が豊富なもの) |
洗い出した機能は、「必須」「あると望ましい」「現時点では不要」の3段階に分類しておくと、実際に各サービスの機能を確認する際に判断しやすくなるでしょう。
特化機能は、本記事で紹介しきれないほど豊富に展開されています。機能名の目新しさではなく、自社が抱えている課題を根本から改善できるかどうかを基準に選ぶことが大事です。
なお、業界によっては上記以外に特有の要件が生じる場合もあります。自社の業務フローに固有の条件がある場合は、業界特化機能の有無もあわせてベンダーに確認しておきましょう。
現場の操作性を事前に確認する
必要な機能を洗い出せたら、本格的な導入の前に無料デモや無料プランで実際に触れ、使い勝手を確認しましょう。導入前に「必要だ」と思っていた機能でも、使い勝手が悪ければ現場担当者が利用しなくなるケースが多いためです。
確認したいのは、日常的に使う画面です。顧客登録、活動記録、案件更新といった操作が何ステップで完了するかを見ておきましょう。
多くのCRMには無料デモや無料プランが用意されています。実際に入力する担当者が試したうえで判断すると、導入後の定着度が変わってきます。
スモールスタートで段階的に広げる
はじめから全機能を使おうとせず、まずは必須と判断した機能に絞って運用を始めましょう。対象範囲も、一つのチーム、あるいは一つの製品ラインから始め、運用の型ができてから広げていくのが、失敗を防ぐ進め方です。
入力が定着してデータが溜まった段階で、特化機能やAI機能へ広げましょう。データが蓄積されていれば、分析機能もAI機能も本来の精度を発揮しやすくなります。
なお、拡張の際にツールを乗り換えずに済むよう、上位プランの内容と連携の幅は選定時に確認しておきましょう。
CRMは基本機能を軸に、自社の課題に合わせて広げよう
CRMの導入の成否を分けるのは機能の多さではなく、自社の課題と機能を正しく対応づけられているかどうかです。まず基本機能で顧客データが集まる状態をつくり、課題が明確な領域から特化機能を足していくことで、機能過多による形骸化を防げます。
ここで見落としたくないのが、特化機能やAI機能が力を発揮する条件です。いずれも、基本機能によって顧客データが一か所に集まっていることが前提になります。部門ごとにツールが分かれていれば、AIが参照できるのは顧客の状況の一部だけです。機能を単体で比較するのではなく、部門をまたいでデータが分断されない構造になっているかどうかが、選定における重要な評価軸といえるでしょう。
HubSpotは、CRMを基盤とした統合型プラットフォームです。営業活動支援(SFA)・マーケティング支援(MA)・カスタマーサービス支援といった特化機能が同じ顧客データベース上で動作するため、部門をまたいでも情報が途切れません。顧客の背景(コンテキスト)を部門をまたいで参照できるため、一貫性のある顧客対応を設計しやすい構造になっています。無料プランからスタートでき、運用フェーズに合わせて必要な機能だけを追加していく柔軟な使い方が可能です。
CRMの機能に関するよくある質問
CRMとSFAの機能はどう違いますか?
CRMは顧客との関係全体を管理する仕組み、SFAは営業活動の進捗と成果を管理する仕組みという違いがあります。対象とする範囲は、CRMが購入前から購入後まで、SFAが商談から受注までです。ただし、現在はSFA機能を内包したCRMも多く登場しています。
無料のCRMはどこまで使えますか?
製品によりますが、顧客情報管理・案件管理・タスク管理といった基本機能を無料で使えるものは多くあります。一方で、登録できる顧客数やユーザー数、自動化やカスタムレポートなどに制限が設けられるのが一般的です。HubSpotの場合は2人のユーザーまで料金はかかりません。
AI機能は導入時から必要ですか?
導入時点で必須ではなく、まずは基本機能でデータが蓄積される状態をつくることが先になります。AIの出力は参照できるデータに左右され、記録が少ない段階では効果を実感しにくいためです。ただし、後から拡張できるかどうかは選定時に確認しておきたい点です。なお、記録の自動化や要約など、入力の負担を下げるAI機能については、導入初期から効果を感じやすい領域といえます。
