CRM/SFAの導入で実現する、営業プロセスの改善

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向井 拓真(Takuma Mukai)
向井 拓真(Takuma Mukai)

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企業は成長するにつれて接触する顧客も増えて、営業業務も複雑化してきます。

CRM/SFAの導入で実現する、営業プロセスの改善

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業務拡大に伴い採用した新入社員が即戦力とは限りません。顧客情報や商談内容が営業担当者の頭の中にしかない状態では、日常業務にすら支障が起こってきます。営業効率を落とすことなく、営業の活動記録や顧客情報を組織内に蓄積し、同時に新入社員のトレーニングを行うことが可能なのでしょうか?その答えがCRM/SFAの導入です。

本稿では、特にBtoB営業に焦点を当て、CRM/SFAの導入によって営業プロセスがいかに改善されるか、事例をあげつつご紹介します。

CRM・MA導入の事前準備チェックリスト

CRMやMAを導入する際にマーケティング施策別に準備するべきことをチェックリストにしてまとめました。

  • CRM導入の事前準備チェックリスト
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    営業プロセスの改革と標準化で評価アップ

    今日のBtoB営業で求められているのは、1人の「スーパー営業マン」が、長年培われてきた勘と経験で営業プロセスのすべてをカバーすることではありません。

    ウェブサイトを通じて収集された見込み客のデータを営業部全体で共有し、分析し、セグメントごとに最適なアプローチを行うプロセスを、厳密なルールに従って実行することが何よりも重要になっています。

    扱う製品の専門性が高く、工程も複雑なBtoBでは、営業担当者が自分のスキルや経験を営業活動に活かすことは重要です。しかし、それも営業プロセスの標準化が前提です。高い個人スキルや経験は、チームメンバーのスキルと生産性の開発に活かされ、組織全体の評価アップにつなげていかなければなりません。

    ここからは、営業組織のマネジメントに求められるものを、企業の成長段階にあわせて説明します。

    スタートアップの営業組織のマネジメント

    スタートアップ企業にとって、営業組織のマネジメントは現実的な課題とはいえません。まだ創業も浅く、社内の体制作りよりも「とにかく売らなければ」という要請が優先されるからです。

    この時期は、数少ない創業メンバーがあらゆる知恵を絞りながら受注を獲得しようと奔走します。営業先の数も限られているため、CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)などのデータベースに頼らなくても商談の成り行きがわからなくなることはありません。

    案件管理、顧客管理は、企業成長と共に複雑化

    しかし、ビジネスが順調に発展していくと、顧客管理や案件管理は徐々に複雑になっていきます。社員が増え、新規開拓先が広がると、それらをすべて把握しておくのは困難になり、うっかり連絡しそびれた顧客の存在に後から気づき、失注につながることもあります。

    どの営業マンがどの顧客の担当で、それぞれの見込み客への商談ステータスがどこまで進んでいるかもわからないという会社もあれば、営業の進め方が属人的で、担当者によって商品購入までのフローがバラバラといった会社もあります。

    顧客管理や案件管理に支障が出てきた会社や、体制作りを後回しにしてきた会社への効果的な処方箋は、社員の研修やコーチングよりも、自社に最適なCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)を導入することです。

    CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)は、営業活動の構造を明確に規定することで、一貫した営業ポリシーと営業プロセスの運用を支援します。

    各要素を図解で見える化

    1件の受注を獲得するまでのプロセスは多岐に渡ります。リードの新規開拓からインサイドセールス、提案、交渉、受注へと引き継がれていく各プロセスが、きちんと回っていることを確認するためには、各要素を図解して見える化することが重要です。

    各部門・部署の業務内容や部署間のつながりを見える化する図がタートル図です。

    プロセスの図解イメージ

    タートル図はプロセスの特性を視覚化するための優れたツールで、カメの体のように見えるところから名づけられました。頭部に当たるのが、前の部門からこの部門へと「入ってきた」文書やスケジュール、要件などの「インプット」です。胴体に当たるのが、自部門が管理する「プロセス」です。しっぽに当たるのが、自部門から次部門へ引き継がれる「アウトプット」です。

    亀の4本の手足にはプロセスに関わる人、プロセスを遂行する方法、プロセスを活用するための設備、プロセスの評価がそれぞれ相当します。

    タートル図を利用することによってプロセスが明確化されるばかりでなく、組織構造のギャップを特定し、改革にむけた対策を行うことができます。

    CRMやSFAによる9つの改善効果

    CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)の導入によって実現する営業プロセスの改善効果は、次の9つのポイントにまとめられます。

    営業プロセスの明確化

    創業当初は担当者だけがわかっていれば事足りる営業の進め方も、事業拡大にともなって、口頭説明やメモでは間に合わなくなります。

    顧客管理や案件管理において、最も効果的なのは営業プロセスをステージに分け、必要な対応と実施のタイミングを明示したシステムを確立し、あらゆる情報をその中に統合する方法です。

    CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)を導入して、ステージ単位で営業プロセスを明確化することは、現在社内で働いている担当者だけでなく、将来採用する社員にも大きな力となります。

    営業プロセスについての予備知識を持たない新人も、ステージごとに営業の進捗や必要な対応がひと目でわかるCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)があれば、即戦力となることができます。

    下の例は、HubSpot CRMの一覧画面です。

    HubSpot CRMの取引パイプライン画面

    均一で、一貫した営業活動

    営業担当者が独自の進め方で顧客にアプローチする会社では、営業プロセスが担当者の数だけ存在します。対してCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)は、担当者の違いに左右されない顧客への一貫した対応を保証し、効率的で質の高い営業活動を可能にします。

    ベテランから新人まで安定的な営業活動を支援するCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)は、それぞれの段階で取るべき対応への迷いをなくし、業務をスピードアップします。

    データ入力の自動化、省力化

    CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)を導入していない会社によく見られるのが、ExcelやGoogleスプレッドシートによる顧客管理です。数式やマクロを駆使して集計の効率化を図っているところもありますが、日々のデータ入力は手作業で行う必要があります。毎日のようにExcelへのデータ追加やコピー&ペーストに時間を取られる担当者は、本来ならじっくり時間をかけたい顧客への対応が十分に行えません。

    CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)は、日々の入力作業を最小限にするデータ同期やオートフィルなどの機能を備えています。本来の営業活動に使える時間が増えることで、担当者はさらに多くの顧客を獲得することができます。さらに、CRMを他のシステムと統合することで、より多くのデータ入力を自動化することも可能です(英語:統合可能なシステムの例)。

    正確な業績予測

    数式エラー、データの誤記、計算ミスなど、ExcelやGoogleスプレッドシートには誤りやすいポイントも多くあります。「スプレッドシートの9割には何らかのエラーが含まれている」という分析もあるほどです。

    不正確な情報をいくら積み重ねても、正しい経営判断はできません。自社に最適なCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)を導入すると、分析や業績予測の精度は大幅に向上します。電卓を叩いたりExcelに数式を組み込んだりしなくても、システムがさまざまな商談のステージに応じた予測値を自動ではじき出します。下は、HubSpot CRMの取引予測画面です。

    HubSpot CRMの取引予測画面

    人の手によらない正確な分析と予測が行われることで、月・決算期ごとの正しい業績見通しに基づく経営管理が可能になります。

    目標管理も確実に

    担当者からの自発的な報告の有無によらず、営業マネージャーがチームの目標達成度を正しく把握することは非常に重要です。達成状況を管理する決まった仕組みがないと、結果に応じた効果的なフィードバックを与えることもできないため、担当者の自信や意欲が失われる恐れもあります。

    CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)で営業プロセスが自動化されると、営業マネージャーには目標の達成状況を確実に把握できる余裕が生まれ、それぞれの担当者に適切な評価や指導を行えるようになります。データを双方向で共有できるため、スムーズな意思の疎通も図れます。

    情報ソースの一元化

    複数の保管場所に情報が分散されているために知りたいことがすぐに確認できないという状況は、業務効率上大きなマイナスです。

    質問が社内のあちこちをたらい回しにされたあげく、矛盾する回答が複数出てきたという話もよくあります。顧客と製品に関する一元的なデータソースとしてCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)を活用すれば、確認に要する時間と手間は格段に少なくなります。

    リアルタイムの進捗確認

    CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)を導入していない会社では、マネージャーが営業活動の進捗状況を知りたい場合、担当者本人に直接聞くしか方法がありません。CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)システムがあれば、部下の仕事を邪魔することなく、いつでもリアルタイムの動向を確認できます。

    属人化リスクの解消

    営業部門で共通に使用するスプレッドシートの管理を特定の社員が担当している会社では、その社員がいる限り業務はスムーズに回ります。しかし、ひとたび退職ということになれば、長年培われたノウハウが一度に失われるリスクに直面します。

    営業マネージャーや担当者に代わって営業プロセスを記録し、共有ナレッジシステムとして機能するCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)を導入すれば、特定の個人に依存しない安定した営業管理が可能になります。

    顧客情報の幅広い共有

    CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)は主に営業部門での利用を念頭に開発されたシステムですが、顧客情報は社内の他の部門にも関連しています。社内で保有する顧客データを共通のシステムに統合することで、営業以外の業務にも幅広く活用できる可能性が広がります。

    例えばマーケティングやサポートといった部門は、詳細なデータをリアルタイムに参照することで、顧客のニーズをより適切に反映する活動やサービスを展開することができます。CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)を軸としたシステムを活用して、これまで以上に顧客本位の視点で社内のさまざまな活動を見直すことは、より良い関係の構築と維持、さらには企業の安定した収益と成長につながります。

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