CRMと聞いた際に、「CRM=顧客管理を行うシステム」という認識を持っている方も多いのではないでしょうか?

しかしCRMとは本来顧客満足度や顧客ロイヤリティ向上を通して、企業の収益や売上をアップさせる経営手法を指し、ソフトウェアやシステムはこれを実行するためのツールです。

本稿では、CRMの本質である「顧客や見込み客との関係を可視化して顧客ロイヤリティを高めていく」という考え方を解き明かしながら、CRMをシステムとして具体的に活用をしていくためのポイントや手法をご紹介していきます。

1. CRMとは、顧客情報を管理して顧客ロイヤリティを高める基盤を作ること

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CRMは「Customer Relationship Management」の頭文字を取った言葉で、日本語では「顧客関係管理」「顧客関係性マネジメント」などと訳されます。

顧客や見込み客が持つさまざまな情報を適切に管理・利用することにより、顧客ロイヤリティを高めていくための基盤を作っている、とイメージしてみてください。

具体的には、CRMの導入によって見込み客→商談→顧客など、一連のカスタマージャーニー上における顧客接点での、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。

例えば、皆さんが携帯電話のプランを変更したくて携帯電話会社のカスタマーサポートに電話したとしましょう。自分の名前や生年月日以外に、住所、現状のプラン、契約日、などの情報を洗いざらい自分で話さなくてはいけないとなったら、きっと面倒だと感じるでしょう。

電話をかけた見知らぬ相手が、名前や生年月日を伝えただけですべての情報を把握してくれているのは、企業側がCRMを用いているおかげです。

一度登録された顧客情報を社内の担当者がいつでもアクセスができる状態を作っておけば、誰が対応をしても一定品質の顧客対応を提供できます。

CRMを導入しただけで顧客ロイヤリティが高まる訳ではありませんが、CRMの導入が顧客体験を向上させるインフラになると考えられるでしょう。

2. CRMが必要とされる背景

CRMの基本は、「顧客を中心にして経営を考える」というものです。

時代の変化とともに人々の消費行動が多様化し、情報技術が発達したことによって人々の手元に多くの情報が集まるようになりました。

その結果起こったのが、テレビCMや交通広告といった不特定多数に向けたマーケティング効果の低下です。人々はこうした一方的な宣伝をそのまま受け取るのではなく、一度情報として手元に置いた後、自分の意思によって取捨選択するようになりました。

加えてスマートフォンの普及に伴い、人々はマスメディアに頼ることなく、自分に必要な情報を、自分に必要なときに探すことができるようになったのです。そうして求められるようになったのが、「誰にでも喜ばれる製品・サービス」ではなく「顧客が喜ぶ製品・サービス」です。

近年は、顧客中心という考え方がより顕著になり、商品を作る段階はもちろん、届ける段階(販売方法)に至っても、顧客一人ひとりのニーズをとらえなければいけなくなっています。

こうした背景の中で、CRMはその必要性を高めることになりました。

以下の記事は、HubSpot CEOブライアン・ハリガンが語った近年急激に市場を拡大している「Disruptor(創造的破壊者)」と呼ばれる企業に見られる、5つの共通点をまとめたレポートです。

“顧客体験の創造的破壊者”たち――彼らはなぜ勝者となれたのか【INBOUD2019レポート】 (1/3):MarkeZine(マーケジン)

本記事では、米国で急成長している企業が、顧客体験をどのように創造的に破壊しているのか?というポイントが語られているので、是非とも参考にしてみてください。

3. CRMツールの基本機能とは?

では、顧客管理システムとしてはのCRMは、どのような基本機能を備えておくべきなのでしょうか?

以下の1~5のキーワードは、すべての顧客接点における顧客体験を向上させるという目的に沿った機能であるという点を意識して読み進めていただけると幸いです。

1. 顧客情報管理機能

CRMの基礎となるのは、見込み客を含めた顧客情報の管理です。

社名や担当部署、担当者名、電話番号、メールアドレスなどの属性情報を集約し、一元管理を実現します。

近年では、AIを活用したCRMの名寄せ機能などの登場により、ExcelやGoogleスプレッドシートでは実現できないような利便性も高まっています。

2. マーケティング支援機能

『CRM = 顧客管理』というイメージをもたれている方が多いと思いますが、CRMでは見込み客の管理や育成も実施していきます。

具体的な機能群としては、フォーム作成、名刺情報の読み込み、Eメールの送信などです。

マーケティングオートメーション(MA)の機能と混同されがちですが、CRMの機能内に見込み客リストの作成やEメール配信機能などが含まれるサービスもあるので、見込み客の情報を管理しながらマーケティングオートメーションのような機能を実行しているかどうかを確認するのもCRM選びにおけるポイントの1つです。

3.営業支援機能

営業支援機能は主にSFAがカバーをする領域ですが、CRMも営業をサポートする機能を多く搭載しています。

ここで、CRMの営業支援機能を見る非常に大切なポイントを一つご紹介します。

それは、現場の営業担当者にとって『直感的に使え、かつ自分の業務を助けてくれるものか?』という点です。

CRMを導入する際は、その性質上、営業部の責任者や営業企画部などが導入を進めることが多いため、どうしても営業マネジメント目線で作られた機能にばかり着目しがちです。例えば、難解なレポートを作れる機能やカスタマイズできる部分が非常に多い、などです。

しかし、実際に導入した後にツールを利用する大多数は責任者ではなく現場担当の人間です。つまり現場担当者に使いやすい機能を搭載されたツールでなければ、現場には浸透しません。

なので、スケジュール管理機能や営業チーム全体に共有管理可能なTo Do機能など、営業担当者の業務支援をするような機能が搭載されているか確認することをおすすめします。

4.カスタマーサポート機能

近年では、製品やサービスを購買する前だけではなく、実際に購買した後の顧客体験の質が、顧客が継続的にその製品やサービスを使い続けるかに大きく左右します。

例えば、皆さんがオンラインで購入した製品に欠陥があって交換して欲しい、という状況を考えてみましょう。

「カスタマーサポートにメールで連絡をしたのに、返信は3日間経っても返ってこない」「平日のランチタイムを潰してサポート窓口に電話をかけたが、保留ばかりで繋がらない上、やっと繋がった対応者が何も分かっていない」、こんな経験をしたことはありませんか?

このような顧客体験をしてしまうと、例え製品やサービスの質は素晴らしくても、友達や知人に口コミして紹介したいと思えるようにはなりません。そのため、カスタマーサポートでは、対応のスピードと質を向上させる必要があります。

スピードを向上させるためには、カスタマーサポート担当者自身もCRM上に蓄積された顧客情報にアクセスできる必要があります。

さらに、カスタマーサポートの質を向上させるためにはサポートの対応履歴を蓄積することも必要です。CRMとカスタマーサポート機能は切っても切り離せない関係と言えるでしょう。

5.他クラウドツールとの連携

Google カレンダーやGoogle ドライブ、オンラインチャットサービスなど、世の中にはビジネスをより円滑にするためのクラウドツールが数多くありますが、これらと連携をすることができるのも、CRMの利点です。

CRMの顧客情報から直接カレンダーに予定を入れたり、そこから直接ネット電話をかけることができたりと、CRMを基点にそれぞれのクラウドツールが持つ機能を利用していくことで、作業効率を大きく向上させることができます。

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4. CRM導入のメリット・デメリットについて

次は、CRM導入によるメリットを、企業側と顧客側それぞれの視点から確認し、さらにはデメリットについてもみていってみましょう。

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CRM導入による企業側のメリット

・効率的な顧客情報管理ができる

CRMを導入していないと、Excelなどの表計算ソフトで顧客情報を管理するケースが多くなると思いますが、それでは担当者間で同じ情報を追加してしまったり、最新のファイルがどれになるのかわからなくなったりするなど、混乱が起きることもあるでしょう。

CRM導入によって、顧客情報が一元管理できるため、部署間での迅速な情報共有をすることができるようになります。

 

・顧客および見込み客への対応の質が上がる

CRMを導入していないと、管理する人によって情報量にも差が出てしまい、営業活動やサポートが属人化されてしまうこともあります。

CRM導入によって顧客および見込み客の状況が可視化されますので、特定の担当者が不在だったとしても、企業として一貫した対応をすることが可能になります。

CRM導入による顧客側のメリット

・興味のある情報のみを入手することができる

CRM導入によって、顧客情報が一元管理されるようになります。

顧客としては興味のあるジャンルの情報のみを受け取ることになるため、余計な情報に惑わされずに済むようになります。

・スムーズに対応してもらうことができる

CRM導入によって、企業側の部署間でもしっかりと情報が共有されている状態になり、顧客側のどんな問い合わせに対してもスムーズに対応してもらえます。

顧客にとって、的確なタイミングで必要な提案を受けることができるのも大きなメリットです。また担当者が変更となっても情報共有はスムーズなため、顧客側が何度も説明するという手間が発生しません。

CRM導入のデメリット

・コストがかかる

さまざまなメリットがあるCRMですが、デメリットとなる部分もあることを忘れてはいけません。その最たるものがコストです。

まずはCRMツールを導入するにあたって費用が発生するケースもあります。

そして効果を高めていくためには、従業員に積極的に利用して運用する必要がありますので、これは人件費が発生していることになります。

こうしたコストが必要になってくることをあらかじめ想定しておかなければ、導入しただけで終わってしまうことも少なくありません。

・売り上げアップに直接的にはつながらない

CRMは導入しただけで何かしらの効果が得られるものではありませんから、目的を明確にする必要があります。

例えば、「売り上げが上がらないから」という理由でCRMをやめてしまうケースがあります。

CRMは顧客満足度を向上させることに適しているので、売り上げに直結するわけではありません。ただし、顧客満足度が上がることで、間接的に売り上げアップに貢献することはあります。

5. CRMの具体的な活用方法

ここからは、CRMの具体的な活用方法について解説していきます。

データの一元管理で情報共有がスムーズ

CRMは、顧客および見込み客のデータを一元管理できることが強みになります。

例えば、社内で活躍している営業担当がいたと想像してみてください。その人が突然退職してしまったとしましょう。取引先のデータや進行中の案件は、いったいどうなってしまうでしょうか。

もしもこれらのデータがExcelなどで属人的に管理されていた場合、後任がスムーズに引き継ぐことは不可能になり、顧客に迷惑をかけることになってしまいます。

しかしCRMでこうしたデータを管理・共有しておけば、万が一担当営業がいなくなってしまっても、スムーズに対応していくことができます。CRMは、個人プレーが主体の営業活動を、チームプレー主体へと進化させられます。

効果的な顧客とのコミュニケーションを実現

自動で顧客にメールを送信してくれるMAツールなど、営業の手間を省くことができるアイテムは数多く存在しますが、これらはパーソナライズした情報を基にした、密なコミュニケーションで利用しないと正しく機能しません。

男性顧客に向けて女性向け商品をPRしてしまうといった、無駄なアクションを起こす可能性もゼロではないのです。

こうした事態を防ぎ、効果的なコミュニケーションで適した人に適切な情報を届けるのも、CRMの活用方法のひとつといえるでしょう。

他部署間との連携

CRMによって情報を共有したいのは、営業部のメンバーだけとは限りません。他部署との連携も考えておきたいところです。

例えば、サービスの拡張を目指しているエンジニアにとっては、営業から口頭で伝えられる情報だけでは不十分と感じることもあるので、CRMによる網羅的な文字情報の共有は価値があるでしょう。

 

6. CRM導入の際の注意点

CRMを導入する際に気を付けておきたいポイントについて、いくつか解説します。

CRMによって活用したい情報があるか?

まずは、CRMによって活用したい情報が、社内にあるのかということです。

また、情報があるとして、それが名刺なのか、名刺管理ソフトなのか、紙なのか、Excelなのかといった具合に、情報がどのような形式で保管されているのかも確認しておきましょう。

その上で、現在自社が情報を保管している形式が、CRMへ一括でデータインポートが可能かを確かめ、情報を入力しやすいCRMを選ぶようにしなければなりません。

CRM運用に適切な人材がいるか確認する

CRMのデメリットの部分でもお伝えしましたが、活用していくにはそれなりのコストが必要になってきます。

そのため実際に使いやすいものなのか、社内のリテラシーは足りているのかを確認し、誰にとってもわかりやすいシンプルなものを選ぶようにしなくてはなりません。

同時に、CRM運用に適切な人材がいるかを確認しましょう。スキルやノウハウを持っている人材がいれば、CRM運用がスムーズに進む可能性が高まります。

カスタマーサポート体制をチェック

CRMの、カスタマーサポートの体制をチェックしておきましょう。

海外製のツールでは、国内にカスタマーサポートがなく、困ったときに助けてもらうことができないものもあります。

また、CRMは使いこなせてこそ意味があるので、そのためのトレーニング教材があるかなど、運用を手助けしてくれるところを選んだほうが無難です。

7. 代表的なCRMツール

海外および国内には、さまざまなCRMツールがあります。最後に、代表格なCRMツールをいくつかご紹介していきましょう。

<海外製のCRMツール>

・Salesforce Sales Cloud

SalesCloudは、営業管理、サポート状況、マーケティングデータを1ヵ所に集約できるCRMです。また、社内の基幹システムやその他ツールとの互換性が高く、企業ごとに幅広いカスタイマイズをすることが可能です。

・HubSpot CRM

HubSpot CRMは、無料版でも顧客管理システムとして必要な要素が、すべてそろったCRMです。無料版の使用期間は無期限となっています。有料版に拡張することによって、目的に合わせた機能の拡張をしていくことが可能です。

・Zoho CRM

Zoho CRMは、中小企業やベンチャー企業を意識して作られたCRMツールです。効果測定機能が特徴的で、営業部隊の活動の効果測定や、予算や人員の配分なども可視化することが可能です。

・SugarCRM for Zendesk

SugarCRM for Zendeskは、売上拡大の支援を主たる目的としており、顧客管理だけでなく、営業支援システムやメールマガジン、ダイレクトメールなどの機能が一体化したCRMです。

<国内製のCRMツール>

・kintone

kintoneは、顧客管理ツールというよりは、顧客管理をするためのアプリを作れるツールです。「日報」や「見積書管理」などのアプリを、自由に作成することができます。

・Senses

Sensesは、UI/UXにこだわっており、入力のしやすさと使いやすさが魅力のCRMです。他のツールと連携することで、業務効率を劇的に改善することができます。

・Sansan

元々名刺管理サービスでしたが、その管理ノウハウを活用して、CRMに近い存在になりつつあるのがSansanです。

CRMの機能をいきなりすべて使いこなしていくのはハードルが高いと考えている人に向いています。

8. 部署横断型のCRM導入を検討すべき理由

 

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CRMは、「顧客関係管理」という訳が示すとおり、一般的には顧客に対してどのように活用するかという視点で、論理が展開されるケースが多く見受けられます。

また、使い方に関しても、あくまで企業側の顧客管理を効率化するという部分にフォーカスがあてられることが多いのが現状です。

しかし、実際に顧客側の立場に立ってみると、顧客がいかに様々な部署の担当者とコミュニケーションを取っているのか、という点にお気づきいただけると思います。

売り手(企業)として、顧客体験を向上させるためには、

・マーケティング活動における潜在顧客との接触

・営業活動における見込み客との接触

・カスタマーサポートにおける顧客との接触

すべての接点において、顧客一人ひとりにとって最適なコミュニケーションを実施していく必要性があります。

つまり、情報を一元化し、部署横断でデータを閲覧/更新できるようなプラットフォームが現代の顧客体験を向上させるために必要なソリューションであるのではないかと思います。

 

9. オールインワン成長プラットフォームHubSpotとは?

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HubSpotは、「インバウンドマーケティング」という手法を提唱し、マーケティングオートメーションとして米国で広く認知されてきたソフトウェア企業です。

そのため、日本においても「HubSpot = マーケティングオートメーション」という固定概念が、いまなお強いのが現状です。

しかし、HubSpot自身もビジネス領域を拡大してきており、2014年にCRM、2018年にService Hub(サービスデスク)をローンチしました。

また、「インバウンドマーケティング」という概念を重点に置きながらも、「インバウンド手法」という新たな概念を打ち出し、その思想に基づき新しいプロダクトの開発と機能アップデートに日々努めています。

先程ご紹介をした部署横断型のプラットフォーム構想が、現在の製品群では揃えられており、どの製品も同一のシステムで構築されているため、データがシームレスに連携可能になっています。

つまり、それぞれのシステムをデータ連携するような開発などをしなくても最初から部署横断型で利用をする事が可能という訳です。

【それぞれの製品と利用部署の関係】

マーケティング部:Marketing Hub 

営業部門:Sales Hub 

カスタマーサポート部門:Service Hub 

→CRMはすべての基盤となるため「永久無料(ユーザー無制限)」

それぞれの製品は、すべて無料で利用可能となっておりますので、ぜひ一度ご利用になられてみてはいかがでしょうか?

 

10. CRMのメリット・デメリットを十分理解し、効果的な導入を

CRMの概念やそのメリット・デメリット、また代表的なツールに関して解説してきました。

元々、CRMという考え方自体がアメリカを発端としていることもあり、海外製のCRMツールのほうが機能が充実している反面、使い方が複雑になってしまっていたり、サポートが英語のみになっていたりと、ハードルが高い印象を受けるかもしれません。

海外製のツールを選ぶ際は、正規代理店を日本に持っているベンダーや日本支社があるところを選ぶようにすると、安心して使用することができます。

また、CRMはさまざまなシステムと連携することで効果を最大化していけるものになります。そのため、標準でAPI連携ができるのか、もしくはAPIが開放されているのかなどを導入の判断材料としてもいいでしょう。

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元記事発行日: 2019年10月28日、最終更新日: 2019年10月30日

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