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CRMとは「顧客との関係性を管理するツール(もしくはシステム)」という意味で使われることが多い言葉です。
しかし本来、CRMとはツールそのものを指す言葉ではなく、概念を指します。

CRMとは「Customer Relationship Management」の頭文字をとった言葉であり、直訳すると「顧客関係管理」です。
もう少し詳しくいえば「顧客とのやりとりの情報を集約して管理する」という概念を指します。

→【ダウンロード】CRMの導入イメージがわかる「特製スプレッドシート」

CRMとは

このCRMの概念を採り入れることで、顧客を中心に考えたビジネスを展開できます。
そして、顧客や見込み客から選ばれ続ける企業を目指すことができます。

そこでこの記事では、全世界で95,000社に導入されているCRMツールを提供する当社HubSpotが、CRMを成功させるためのノウハウや、CRMツール(CRMシステム)を導入するコツについてわかりやすく解説します。

CRMを導入して成功した事例や、CRMという概念が生まれた背景についても取り上げます。

「CRMについて詳しく知りたい」「CRMツールの導入を検討したい」と考えている方はもちろん、すでにCRMに詳しいマーケティングや営業担当者の方にもお役立ていただける内容です。

ぜひ最後までお読みください。

この記事で取り上げる内容

無料テンプレート

営業チームを成功に導くためのCRMテンプレート

〜CRMを活用してスムーズな営業活動を実現するヒントとは?〜

1.CRMとは?

1-1.CRMの意味と目的

ここであらためて、CRMという言葉を定義しておきましょう。

冒頭でお伝えしたとおり、CRMとは「Customer Relationship Management」という英語の頭文字をとった言葉であり、「顧客とのやりとりの情報を集約して管理する」という概念を表す言葉です。

CRMとは、顧客とのやりとり情報を集約して管理する、という概念たとえば、あなたが前任の営業担当者から、古くからの「お得意さま」を引き継いだとします。そのとき、そのお得意さまに関する情報があるのとないのとでは、コミュニケーションのしやすさが大きく変わってきます。

前任の担当者がそのお得意さまと重ねてきたやりとりの情報が残されている場合、あなたはその情報を参考にしてコミュニケーションできるでしょう。

相手の価値観はどういうものなのか、相手は自社商品のどんな点を気に入ってくれているのか、そういった情報がわかっていれば、お得意さまと以前と変わらぬやりとりが実現できます。
CRMの意味と目的
しかし、もしその情報が残されていなければ、お得意さまとのコミュニケーションを手探りでおこなうことになるかもしれません。
また、不用意な行動によっては、長年の縁がそこで終わってしまう可能性があります。

この話はお得意さまだけに限りません。
受注につながりそうな見込み客がいたとして、その見込み客とのコミュニケーションを全社で共有していない場合、誤って何度も営業をかけてしまうかもしれません。

その結果、相手に悪い印象を与えてしまい、失注につながるどころか、「あそこの営業は顧客のことを考えていない」とクチコミにも悪い影響が出る可能性があるのです。

そんな事態を防ぐためには、顧客とのコミュニケーションに関する情報を全社的に一元管理すべきです。そうしてCRMの概念が生まれました。

顧客とのコミュニケーションの履歴を記録し続ければ、一人ひとりの顧客に最適な対応をとれます。その結果、顧客や見込み客からの印象は良くなり、長期的な関係が生まれるのです。

「顧客や見込み客との良好な関係をつくり、育ててゆく」、それこそがCRMの目的なのです。

顧客とのやりとりの履歴を記録し続けて、一人ひとりの顧客に最適な対応をとり、顧客や見込み客との良好な関係をつくり、育てていく

1-2.属人的になりやすい顧客情報を、全社共有の「情報資産」に変える

顧客とコミュニケーションをとるすべてのメンバーが、そのやりとりの記録を同じ場所に集約すれば、その情報は企業の「情報資産」となります。
その情報資産があれば、一人ひとりの顧客に合わせた対応を全社的に実現でき、顧客に好印象を与えるコミュニケーションが実現できます。

ここで、ある営業の現場で実際にあった事例を紹介しましょう。

あるとき、クラウド型のSNSマーケティングツールを販売する会社に、「御社のツールを導入したい」という問い合わせがありました。
営業担当者が対応し、30分間の商談をおこなったものの、そのときは残念ながら相手のニーズに合致せず、受注につながりませんでした。

通常なら、案件を失注した場合はそこで話が終わりがち。
しかしその営業担当者は、問い合わせの内容や経緯、問い合わせの前にどんな資料をダウンロードしていたかなど、その相手とのやりとりの内容をしっかり記録し、管理していました。

半年後、営業担当者は、同じ相手がまた資料をダウンロードしていることに気付きます。さらにはツールの紹介ページを何度も見てくださっているようです。

「うちのツールに再び関心をもってくださったのかな?」そう思った担当者は、相手にメールを送ることにしました。

「以前は当社ツールをご検討いただきありがとうございました。
もし今もSNSマーケティングでお困りでしたら、お力になれるかもしれません。
必要であれば、ご遠慮なく仰ってください」

すると、相手から返信が届きました。
その営業担当者が推測したとおり、相手はツールの導入を再度検討していたのです。

その後、あらためて商談を進めることになりました。
商談は別の営業担当者が対応することになりましたが、元の担当者が以前にヒアリングしていた情報を活用できたため、商談はスムーズに進みました。
そのスムーズさに相手は驚き、この会社なら信頼できると感じ、ツールを契約してくれたのでした。

この事例は、当社HubSpotの営業担当者と顧客の間で実際にあった出来事です。

一般的には、失注した案件の情報が社内に詳細に共有されることはほとんどありません。
それ以前に、営業担当者は、自分が対応した顧客の情報を、自分にしか確認できない状態で管理している場合も多くあります。

そうなってしまうと、もしかすると将来的に契約につながっていたかもしれない案件が、ブラックボックス化してしまうのです。

だからこそ、CRMの考え方を採り入れ、属人的になりやすい顧客情報を一か所に集約し、企業の「情報資産」として見える化しておくことが重要なのです。

顧客や見込み客の情報がブラックボックス化しないよう、顧客情報を一か所に集約し、情報資産として「見える化」する

1-3.CRMの概念を採り入れると、「お得意さま」が生まれる

CRMの概念を採り入れれば、ひとりの顧客情報を常にアップデートしていくことになります。

その顧客が何に興味を示したのか?
逆に、何に興味を示さなかったのか?

その情報がアップデートされ続けることで、顧客に最適化した提案やコミュニケーションが可能となります。一人ひとりの顧客に最適な対応をとり続ければ、顧客はあなたの会社を信頼し、いわゆる「お得意さま」になってくれるでしょう。

お得意さまとは、ロイヤリティの高い顧客のことを指します。
ロイヤリティとは、「忠誠心」を意味する英語「Loyalty」に由来した言葉。
顧客が企業やブランド・商品に対して感じている信頼や愛着のことを「顧客ロイヤリティ」とも呼びます。

このロイヤリティの高い顧客は、自分が支持する企業やブランドの商品を積極的に導入するだけでなく、周囲の人にそのブランドや商品を積極的に勧める傾向があります。
つまり、お得意さまの存在は、マーケティングにおいてもとても大切なのです。
お得意さまが増えることで、御社のビジネスは加速度的に成長するでしょう。

お得意さま(ロイヤリティの高い顧客)が増えると生まれるベネフィット

お得意さまを増やすことが大切、その考えを辿ると江戸時代にまで遡ります。

江戸時代、商人は、顧客の情報を「大福帳(だいふくちょう)」と呼ばれる帳簿に記録していました。

誰がどの商品をどれだけ購入してくれたのか、その購入履歴を大福帳に記録し続けることで、商人は誰がいつ何を買ってくれるかの当たりをつけていたのです。

 

大福帳

その当たりをつけることこそが、商人にとっては大切でした。
なぜなら、商人が行商に行くとき、肩に担げる商品の量は限られていたからです。
便利な運搬手段がない時代、毎回の行商に何を持参するかは商人にとっての重要な選択でした。

当然のことながら、買ってもらえる可能性の高い商品を選んで持参しなければなりません。そこで、大福帳に記録していた顧客情報が役に立ったのです。

「そういえば以前、あの御武家さまに果物を買っていただいたな。御武家様がとても喜んでらっしゃったから、今回もまた果物を持って行こう」

「あのご隠居様は漬物が好きだと言っていたな。よし、美味しい漬物も持参しよう」

大福帳に記録した顧客の購入履歴をもとに、顧客の願望や課題を想像しながら、商品を揃える。そうして揃えた商品を持参し、顧客に買ってもらう、その繰り返しで商人は生計を立てていたのです。

そうこうするうちに、やがて顧客の中に「あの行商人は自分の好みをよく理解してくれている。あの行商人から買い続けるのがベストだ」と思う人が増えてきます。
そうして、特定の行商人を贔屓(ひいき)にする「お得意さま」が生まれました。

お得意さまが増えれば増えるほど、行商人は不要な営業をする必要がなくなり、持参する商品も、よりお得意さま向けのものが増えていきました。
そうして、商いは効率化し、商人と顧客、双方にとって良好な取引が続いていったのです。

まさに、CRMの歴史は大福帳にあり、と言っても過言ではない話です。

2.CRMの概念が注目されている背景

2-1.顧客と長期的に関わり、本質的な課題と向き合える企業が選ばれる時代

先ほど、お得意さまをつくることが重要だという話をしましたが、お得意さまをつくることは容易ではありません。
とくに、市場に商品やサービスがあふれ、顧客がさまざまな手段で情報収集できる現代においては、お得意さまどころか、二度三度と取引してもらえる関係を構築するのもなかなか難しいものです。

顧客側の「選択の幅」が広がっている昨今、以前から取引している顧客がいたとしても、その顧客に継続して取引してもらえるとは限らない状況が起きています。
顧客との取引関係を維持するためには、あなたの会社が顧客の課題を本質的に解決できる存在であり続ける必要があります。

表面的に見えている課題だけでなく、その奥に潜む本質的な課題を見つけ出し、把握し、解決する。
それができなければ、顧客はあなたの会社を心から信頼してくれません。

そのような背景から、顧客のことをより深く知る必要のある時代が訪れたのです。
つまり、顧客と「点」でコミュニケーションするのではなく、「線」でコミュニケーションをし、長期的に寄り添うことが大切な時代の到来です。

そして、そのコミュニケーションを実現するためにこそ、顧客との関係値を高めていくCRMの概念が必要不可欠なのです。

顧客と長期的に関わり、本質的な課題と向き合える企業が選ばれる時代

ちなみに最近、売り切り型ではなく継続課金のサブスクリプション型の商品やサービスをよく目にするのは、顧客と長期的な関係を結び、顧客に寄り添いつつビジネスを成長させたいと考える企業が増えているからだといえるでしょう。

顧客に長期的に寄り添い、顧客の本質的な課題と向き合うべき。だからこそCRMが注目されている

2-2.営業がもつ顧客情報のブラックボックス化を防ぐために

マーケティング部門が広告や展示会を通して、見込み客(リード)の情報を集める。
その後、その情報を営業担当者に渡したものの、営業担当者がひとりで情報を管理してしまい、結局、取引がどう進んだのかがわからない。
さらには、営業担当者が自分の成績を上げようとして、有望な見込み客の情報をあえて隠してしまうことも。

実際、そういった状況に陥っている企業は多くあります。

属人化の傾向が強い会社は、部署を横断して活用できる顧客の「情報資産」がなかなかたまりません。よって、顧客情報を一元的に管理し、全社的に活用できるようにするCRMの重要性が叫ばれているのです。


ここまで読んでいただいた方には、CRMを意識することがなぜ重要なのかを理解していただけたのではないかと思います。

ではここであらためて、CRMの概念を社内に浸透させると、どんなメリットが得られるのかを整理してみます。

3.CRMの概念を採り入れる7つのメリット

CRMの概念を採り入れれば、以下のようなメリットを得られるでしょう。
主なメリットを7つまとめてみました。

CRMの概念を採り入れる7つのメリット

1.顧客情報を「見える化」できる
バラバラに管理されていた顧客情報を一か所に集約し管理することで、すべての顧客情報を俯瞰して見られるようになります。
また、顧客情報の分析も可能になるため、商品開発のアイデアにつながることもあります。
2.顧客一人ひとりに合ったマーケティングや営業活動ができる
顧客について深く知ることで、顧客が求めている情報を、顧客が求めているタイミングで提供できるようになります。
それにより、メールや広告などを個々人に最適化した形で配信できるようになるほか、個々人に合わせた営業も可能になるため、受注率が高まります。
3.営業担当者の負荷が減り、パフォーマンスが向上する
過去の商談内容の記録をもとに顧客との関係が把握できるため、コミュニケーションの負荷が減ります。
また、顧客の自社に対する熱量がわかるため、熱量の高い顧客に優先的に営業をおこなったり、熱量の低い顧客には関心をもってもらうための提案を準備したりと、熱量に合わせたアプローチをとれます。
その結果、営業活動を効率よく進められ、営業担当者の負荷が減ります。
4.顧客満足度が上がり「お得意さま」が増える
顧客からの問い合わせがあった際に過去のやりとりの履歴を確認できるため、顧客に合わせた対応をスムーズにおこなえます。
また、顧客の情報が増えれば増えるほど、顧客のニーズを汲み取りやすくなるため、顧客に合わせた最適な提案が可能となり、顧客満足度が高まります。
その結果「お得意さま」が増え、事業の安定が望めます。
5.顧客に寄り添う姿勢や対応が、良い評判を集める
顧客に寄り添う姿勢や対応は、情緒的価値につながりやすく、良い評判が集まりやすくなります。
また、お得意さまが増えれば、お得意さまが自分の周囲に良いクチコミを発信してくれます。
そのクチコミはお得意さまならではの深い内容になりやすく、自社がアピールできていない細部のこだわりや、担当者のちょっとしたホスピタリティに関する評価が含まれることも多々あります。
そしてそれらの評判は、新たな顧客が増えるきっかけとなります。
6.会社を持続的に成長させられる
マーケティングの世界には「1:5の法則」というものがあり、新規顧客に商品を購入してもらう場合は、既存顧客に購入してもらう場合の5倍のコストがかかるといわれています。
そのため、事業を成長させるためには、新規顧客を増やす以上に、既存顧客に向けたアプローチを大切にし、お得意さまを増やすことを念頭に置かねばなりません。
そのアプローチにおいて、CRMの概念は必要不可欠です。
7.顧客へのアプローチ改善につながるPDCAサイクルを速く回せるようになる
顧客情報が一元管理されることにより、集客からアフターサポートまでの流れにおけるボトルネックが見えやすくなります。
そのため顧客へのアプローチにおいて何を改善すればいいかがわかり、PDCAサイクルを高速で回せるようになります。

上記は、CRMの概念を採り入れる企業側のメリットではありますが、当然のことながら、顧客にもメリットが生まれます。
たとえば、課題によりフォーカスした提案を受けられることで、顧客の課題解決までのスピードが早くなります。
また、CRMの仕組みを積極的に採り入れているWebサイトにアクセスした際には、マイページなどで、自分が興味・関心のあるテーマの情報のみを受け取ることもできます。

このようにCRMは、顧客と企業側、双方に大きなメリットやベネフィットを生み出すのです。

4.CRMを成功に導くポイント

では、CRMの概念を社内に採り入れたあと、成功につなげるにはどうすればよいでしょうか。ここでは、CRMを成功に導くためのポイントを紹介します。
CRMを成功に導くポイント

4-1.CRMを成功に導く5つのポイント

まずは、CRMを成功に導くために押さえておきたい主なポイントを5つご紹介します。

CRMを成功に導く5つのポイント

1.顧客を理解するための情報をできるだけ記録する
顧客に関する情報は、氏名や連絡先などの「属性情報」だけでなく、商品を知った経路や購入後の行動などについても詳しく記録しておきます。

さまざまな情報を掛け合わせて分析することで、単一の情報だけでは見えてきにくい顧客のニーズが見えてきます。
2.欲しい情報をすぐに取り出せるようにする
記録した情報はなるべく一か所にまとめ、どこにどんな情報があるかを、誰が見てもすぐにわかるようにします。

情報をすぐに取り出せることで、お問い合わせへの返信や提案の際に、一人ひとりの顧客に合った対応ができます。
また、情報を更新する際には、効率よく更新作業を進めることができます。
3.CRMツール(CRMシステム)を導入し、効率化する
近年、顧客にひもづく情報が多様化しています。
その多様化した情報を把握しようとすると、ツールを使わないと厳しい面が多々あります。

たとえば「購買履歴」に関する情報を記録する際、その商品を知った経路(きっかけ)だけでも、展示会やチラシ、店頭というオフラインや、Web広告やSNS、オウンドメディアといったオンラインなどさまざまです。

それらの経路を人力で把握し抜け漏れなく管理することは難しく、ツールによる自動取得が可能なものは、ツールに任せたほうがよいでしょう。
ツールが自動的に取得する情報にはさまざまなものがあります。
4.顧客の状態に合わせて、コミュニケーションのとり方を工夫する
顧客の状況を定期的に確認するようにすれば、顧客に合わせたコミュニケーションがとれるようになります。たとえば、顧客があなたの会社のサービスを契約してから数か月経ったにもかかわらず、サービスにほとんどログインしていない場合、サービスを使いこなせていない可能性が考えられます。

その状況がわかれば、「お困りごとはないですか?」というメッセージだけではなく、サービスを上手に使うためのノウハウを提供したり、勉強会へ招待するなど、顧客に寄り添った提案ができます。
そうすれば、顧客は「自分のことを気にしてくれているんだ」と感じ、顧客との関係性が良好なものになります。
5.CRMを続けるという文化を醸成するために、短期的に成果を追い求め過ぎない
CRMは「顧客や見込み客との良好な関係をつくり、育てる」ことが目的です。
顧客情報の分析や顧客へのアプローチの改善を一度だけおこなえば、すぐに成果が出る、というわけではありません。

顧客とよい関係を築いていくためには、アプローチの効果測定をしながら、よりよいアプローチがないか検討し、何度も顧客とコミュニケーションを重ねていくことが大切です。

このような形でCRMを続けていくことで、自社サービスを使い続けてくれる「お得意さま」が増え、持続的に利益を上げられるようになります。
そのため、短期的に成果を追い求め過ぎず、長期的な目線でCRMの文化を社内に定着させることが大切です。

これら5つのポイントのうち、とくに重要なのが「1.顧客に関する情報をできるだけ記録する」というものです。
顧客一人ひとりに合った対応をするためには、顧客について深く知ることが必要不可欠。
顧客に関する情報は多ければ多いほど良いでしょう。

では、顧客に関する情報にはどのようなものがあるのかを見ていきます。

4-2.どんな顧客情報を集め、記録するかを考える

顧客情報と一口に言っても、情報にはさまざまなものがあります。
以下で取り上げる情報は、集めておくことで顧客理解につながりやすい情報の一例です。

顧客のプロフィールだけでなく、顧客と何について話したのかという「やりとり」に関する情報や、顧客がどのような行動をとったのかという「行動履歴」もしっかり把握しておきましょう。

▼顧客の属性やプロフィールに関する情報

法人顧客(to B)の場合 個人顧客(to C)の場合
  • 社名は?
  • 従業員数は?
  • 支店名は?
  • 業界は?
  • 主要取引先情報は?
  • 担当者名は?
  • 担当者の部署は?
  • 担当者の役職は?
  • 担当者の年齢は?
  • 担当者の性別は?
  • 担当者の家族構成は?
  • 担当者の性格は?
  • 担当者の価値観は?
  • 決裁権限者は?
  • 意志決定基準は?
  • 会社住所は?
  • 担当者の電話番号は?
  • 担当者のメールアドレスは?
  • 利用しているサービスは?
  • 利用を検討中のサービスは?
  • 名前は?
  • 年齢は?
  • 性別は?
  • 職業は?
  • 勤務先は?
  • 役職は?
  • 年収は?
  • 家族構成は?
  • 性格は?
  • 価値観は?
  • 好きなものは?
  • 嫌いなものは?
  • 意志決定基準は?
  • 住所は?
  • 電話番号は?
  • メールアドレスは?
  • 利用しているサービスは?
  • 利用を検討中のサービスは?

▼顧客とのやりとりや、顧客の行動履歴に関する情報

法人顧客(to B)の場合 個人顧客(to C)の場合
  • お問い合わせの履歴や内容は?
  • メールの履歴や内容は?
  • オンラインビデオ通話の履歴や内容は?
  • 電話の履歴や内容は?
  • 商品の購入履歴は?
  • 商品の購入回数は?
  • 商品の購入頻度は?
  • 最終購入日は?
  • 平均購入単価は?
  • 累計購入金額は?
  • メールの開封率は?
  • メール経由でのサイトへのアクセス率は?
  • 資料ダウンロード状況は?
  • イベントへの参加回数は?
  • 無料体験へのお申し込み状況は?
  • 事例セミナーへの参加状況は?
  • 電話の履歴や内容は?
  • メールの履歴や内容は?
  • オンラインビデオ通話の履歴や内容は?
  • 商品の購入履歴は?
  • 商品の購入回数は?
  • 商品の購入頻度は?
  • 最終購入日は?
  • 平均購入単価は?
  • 累計購入金額は?
  • メールの開封率は?
  • メール経由でのサイトへのアクセス率は?
  • 資料ダウンロード状況は?
  • イベントへの参加回数は?
  • 無料体験へのお申し込み状況は?

これらの情報はあくまでも一例です。

顧客とのやりとりや行動履歴に関する情報をあとから集めることはできないため、できる限り情報を記録しておかなければ、と考えてしまうかもしれません。

しかし、どんな情報を集めるかは、その企業がどんな営業やマーケティング活動をおこなっていくかによって変わります。
そのため、事前に課題を明確にし、記録すべき情報を整理したうえで、必要な情報を集めることが大切です。

また、顧客や見込み客の情報収集は、企業や自社サービスとの「接点」があるからこそ可能になります。
顧客の場合は、すでにやりとりが何度か発生しているため、接点を一から生み出すという考えにはなりませんが、見込み客の場合は話が異なります。
見込み客の場合は、接点を一から生み出す必要があるのです。

では、見込み客との接点をどのように生み出せばいいのでしょうか。
続いて、見込み客との接点のつくりかたを見ていきます。

4-3.見込み客のニーズに合わせて提案する

見込み客との接点をつくる上でオススメなのは、見込み客に見つけてもらうという考え方を採り入れることです。

こちらが一方的に相手とコンタクトをとろうとしても、その行為が相手にとって迷惑なものであれば、相手との接点はむしろ遠のきます。
だからこそ、相手が能動的にこちらに対して関心や興味をもち、相手が自ら近づきたいと思ってくれる流れをつくるべきなのです。

そのためには、見込み客のニーズに合わせた提案(オファー)を用意しておき、その提案を見込み客に見つけてもらい、選んでもらう必要があります。
そして、見込み客に見つけてもらうためには、見込み客が購入や契約といった意志決定をするまでに、どのような行動をとるかを知っておく必要もあります。

HubSpotでは、見込み客が意志決定をするまでにとる行動のプロセスを、「買い手が旅をする」という意味で「バイヤージャーニー」と名付け、以下のような図にまとめています。

見込み客の行動に寄り添い、最適な提案(オファー)をおこなう

バイヤージャーニー3つのステージ

バイヤージャーニー3つのステージ

このバイヤージャーニーを見ていただければわかるように、見込み客のステージは「認知」「検討」「決断」という3つに大きく分けられます。

HubSpotでは、見込み客がそのどの段階にいるのかを把握した上で、その段階に合わせた提案(オファー)を用意しておくことを勧めています。
そうすることで、見込み客の行動の過程に自社の提案を自然に重ねることができ、見込み客との接点をつくりやすくなるからです。

課題に気づいて解決策を探している方には、解決のためのノウハウが得られる「ebook」や「チェックリスト」を提供するとよいでしょう。

また、解決策を比較検討している方には、自分に合った解決策を見出すノウハウを教える「セミナー(ウェビナー)」の開催もオススメです。
そういった形で、見込み客の状況に合わせて最適な提案(オファー)を用意しておけば、見込み客へのアプローチがしやすくなります。

CRMを進める際は、ぜひ上記のバイヤージャーニーを参考に、見込み客の段階に合わせた提案(オファー)の設計も考慮しましょう。


では次からはいよいよ、CRMを推進するための具体的な方法について取り上げていきます。

5.CRMを推進するには何を使えばいい?

CRMを推進するためには、顧客情報をどのようにして一元管理するかという「how」、すなわちツール選びが大切です。

ツールと一口に言っても、顧客情報を管理するだけなら、それこそExcelのような表計算アプリでも顧客情報は管理できます。

ただし、部署を横断して情報管理をすることや、顧客情報をすぐに取り出すことなどを考えると、やはりCRMのためにつくられた専用のツールのほうが使いやすいでしょう。
使いづらいツールを導入したことで「CRMは面倒だ」という空気が社内に広がってしまうと、せっかく高まっていたCRM推進の機運を逸することになってしまいます。

よって、ツール選びは、それぞれのツールの特性を知った上で、慎重におこないましょう。

ここではCRMで使える主なツールについて紹介しておきます。
CRMを推進するには何を使えばいい?
1.CRMの専用ツール

結論からいうと、CRMを導入するのであれば、CRMツールが最もオススメです。
なぜなら、CRMツールはまさにCRMを円滑に進めるためにつくられたツールであり、顧客とのコミュニケーションの過程で手に入るさまざまな情報をスムーズに一元管理できるからです。

顧客や見込み客のプロフィール情報の管理はもちろん、商談の進捗状況やどんな書類を取引したかの情報なども一元管理できます。

また、「HubSpot CRM」の場合、GmailやOutlookなどのメーラーソフトとカンタンに連携でき、顧客とやりとりしたEメールのデータが自動的に記録されます。
同じような機能はほかのCRMツールにも実装されていますが、CRMツールごとに機能が異なっていたり、デザインや使い勝手が異なったりします。
この記事の下部で代表的なCRMツールをいくつか紹介していますので、ぜひあなたに合ったCRMツールを選んでください。

2.Excel

Excelを使い、顧客情報を管理するためのシートを作成し、そのシートを皆で更新し続けるという方法です。
この方法の場合、更新したExcelのファイルを何らかの方法で共有する必要があります。

DropboxやOneDriveなどのクラウドストレージを使って共有するケースが多くありますが、ひとつのExcelファイルの共同編集は、誰がいつどう編集したかの履歴がわかりづらくなります。

また、ファイルの上書き防止のために毎回ファイルをバックアップすると、大量のバックアップファイルが生まれますし、バックアップしたファイルはカンタンにコピーできますから、外部に流出してしまうリスクも増えます。

たとえば、社員が自宅で作業をしようとデータをコピーしたUSBメモリーが紛失してしまうと、顧客情報の漏洩につながり大問題です。
そもそも、Excelは表計算ソフトで、時系列の情報の管理には向いていません。

深い分析をおこなおうとすると、複雑な関数やピポットテーブルなどを扱える必要があり、Excelに詳しい人材がいないと、顧客分析が厳しくなります。
また、その詳しい人材が辞めてしまうと、その複雑化したExcelのシートを触れる人がいなくなってしまいます。

3.Googleスプレッドシート

クラウドで使える表計算アプリのため、複数人でのオンライン編集に強みがあります。
ただし、Googleスプレッドシートを使った顧客管理も、基本的にはExcelと同じような問題が起きることが想定されるため、あまりオススメすることはできません。

4.名刺管理ツール

名刺に書かれている情報をOCRを通してテキスト化し、名簿をつくっていく機能が便利な名刺管理ツール。

見込み客の情報を集める際、展示会などで得た企業の担当者の名刺は非常に有益な情報となります。

最近の名刺管理ツールの中には、CRMの専用ツールに近い機能をもったものも増えてきました。

ただし、名刺管理ツールはあくまでも名刺管理を主としておこなうツール。
見込み客との接点をつくる機能が不足していたり、マーケティング系のサービスとの連携が不十分だったりするなど、CRMを本格的に進めていく上では機能面で少々心細い面があります。


以上を踏まえると、CRMを推進していくのなら、やはりCRMに特化したツールの導入をお勧めします。
今、さまざまな企業がCRMの機能をもったツールを展開していますが、無料で使える「HubSpot CRM」のように、導入のハードルが低いツールも増えてきました。

続けて、一般的なCRMツールにはどんな機能があるのかを見ていきましょう。

6.CRMツールの主な機能

この記事の冒頭で、CRMとは「顧客関係管理」という概念を指す言葉だとお伝えしました。
実は巷では、CRMツールを単に「CRM」と呼ぶケースが多くあります。

ただし、その呼び方では、CRMの概念に関する話なのか、CRMツールに関する話なのかがわかりにくくなりますので、この記事ではCRMのツールを明確に「CRMツール」と呼ぶことにしています。

では、CRMツールは一般的にどのような機能を有しているのかを見ていきましょう。

CRMツールと一口に言っても、ツールによって機能はさまざまです。
顧客情報の管理に特化しているツールの場合は、営業支援機能がなかったり、マーケティング機能がなかったりすることがあります。
よって、以下で紹介する機能は、どちらかというと、多機能でオールインワン的なCRMツールの基本機能だと考えてください。

CRMツールイメージ画像

CRMツールの主な4つの機能

機能1:顧客情報の管理機能

CRMの基本的な機能は、顧客や見込み客の「顧客情報」を管理する機能です。
CRMツールを使うと、先にあげたように、見込み客や顧客の「属性」と「購買履歴」の情報を一か所で管理できます。

また、入力された情報はCRMツール上でリアルタイムで共有されるため、チームや担当者が見込み客や顧客の変化をすぐにキャッチアップし、見込み客や顧客の状況に合わせた対応ができます。

機能2:顧客のサポート機能(カスタマーサポート機能)

CRMツールには、顧客の「属性」「購買履歴」の情報に、メールや電話で顧客とやり取りした内容をひもづけて記録できます。
そのため、顧客から問い合わせがあった場合に、顧客の個人情報や顧客とのやりとりの履歴にアクセスし、どのような顧客なのかをチーム内の誰もが短時間で把握できます。

機能3:マーケティング機能(顧客にアプローチするための機能)

顧客や見込み客を、商品の購入履歴や購入前の行動などに応じてリスト化し、特定の顧客にのみ自動でメールを送信したり、顧客や見込み客の状態を理解した上で電話をかけてアプローチしたりできます。

たとえば、営業メールを配信する際に、すべての見込み客へ配信すると、特定の人にとってはすでに知っている不必要な情報を送信してしまう可能性があります。

そのようなことがないよう、「すでに資料をダウンロード済み」といった特定の条件を満たした見込み客を除外して営業メールを送ったり、逆に資料をダウンロード済みの相手には、商品に関してより具体的な活用方法を記載したメールを送るといったことが可能になります。

機能4:営業支援機能

顧客や見込み客と良好な関係をつくるためには、相手に合った営業提案をすることも大事です。
あとで詳しく説明しますが、CRMと似ているツールに、「SFA(Sales Force Automation)」と呼ばれる「営業支援ツール」があります。

このツールには、日報をカンタンに入力しチーム内で共有する機能や、営業活動のスケジュールや担当者のタスクを管理できる機能など、営業活動をサポートする機能が備わっています。最近のCRMツールにも同種の機能をもつものが増えています。


以上のように、CRMツールにはCRMを進める上での便利な機能がふんだんに用意されています。
ではここであらためて、CRMツールを活用するメリットを詳細に整理しておきます。

7.CRMツールを活用する5つのメリット

CRMツールを活用する大きなメリットとして、以下の5つのメリットがあります。

CRMツールを活用する5つのメリット


1.顧客情報や取引情報を効率よく記録できる

各担当者が、別々の場所に顧客情報を管理したり、それらの情報を口頭やメール、Excelで共有していると、情報の管理漏れが発生しやすくなります。

CRMツールを使うと、顧客情報と一緒にメールや電話でのやり取りの内容や、自分たちで残したメモなども一つの場所で管理できます。

また、各担当者がもつ顧客情報を一か所で管理することで、同じ情報を重複して入力する手間を省いたり、入力漏れがある項目をすぐに確認できます。

2.顧客とコミュニケーションをとるための機能が充実している

CRMツールには、フォームを柔軟に作成できる機能があり、「問い合わせ」「資料請求」「イベントのお申し込み」など様々なフォームを作ることができます。

また、どのフォームからお問い合せがあったのか、どこからアクセスされたのかという流入元別に顧客情報を自動で分類することもできます。

さらには、特定の条件に合った見込み客や顧客に限定してメールを送ることもできます。
3.他部署との連携がしやすい
他部署との連携をとるとき、利用しているツールが異なると、情報の受け渡しに苦労します。

全社的に同じCRMツールを利用していれば、ツールの画面にアクセスするだけで、全部署で同じ情報を閲覧できるだけでなく、情報の受け渡しもカンタンです。
4.さまざまな環境からアクセスできる
クラウド型のCRMツールの場合、PCだけでなく、スマートフォンからのアクセスにも配慮されたものが多くあります。

たとえば、外出先での営業活動が終わったあとも、オフィスに戻らず、記憶が新しいうちに情報を入力することで、精度の高い顧客情報を記録できます。

また、外出先にて顧客からの問い合わせ対応が必要になったとしても、その場で顧客情報を確認できるため、素早く的確なレスポンスを実現できます。
5.バックアップをとる必要がない
クラウド型のCRMツールの場合、入力した情報はインターネットサーバー上に保存されるため、バックアップを取る必要がありません。

では続けて、これらのメリットをより身近に感じていただくために、「HubSpot CRM」を導入された企業さまの成功事例について、少し紹介しておきます。
成功事例を知ることで、CRMツールを導入したあとの未来をよりイメージしてもらいやすくなるはずです。

8.CRMツールを使った成功事例

HubSpot CRM」はさまざまな機能が入っているCRMツールのため、活用のバリエーションは多く、さまざまな成功事例が生まれています。
以下の2つの事例は、CRMツールを導入するメリットやベネフィットがとくにわかりやすい活用事例です。

事例1:業務を自動化し、空いた時間でマーケティングの効果測定を進められるようになった

キャリア支援事業を展開する「ポジウィル株式会社」では、キャリア面談の日時を決めるため、何度も顧客とメールでやり取りをしていました。
しかし、問い合わせ数が増加したことで、面談日時の設定をすべて手作業でおこなうことに限界を感じていました。

また、メールマーケティングをおこなう際に、メールを配信する顧客リストの作成に時間がかかり、マーケティングの効果も充分振り返られていませんでした。

しかし、「HubSpot CRM」を導入したことで、面談を設定する際には、担当者の空き状況がわかるミーティング用のURLを面談希望者に送るだけ済むようになりました。

また、顧客リストの作成についても、顧客の流入元別で顧客情報が自動でまとめられリストが作成されたため、リスト作成の手間が省けました。

業務が自動化されたことで、空いた時間で顧客情報の分析などをおこない、マーケティングの効果測定にも時間をかけられるようになりました。

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事例2:広告運用のPDCAをまわせるようになった結果、月間の成約数が10倍に

システム開発やコンサルティングを主な事業としている「株式会社構造計画研究所」では、自社商品として初めてハード製品を扱い始めました。

しかしその新しい事業は、既存事業のコンサルティングと扱う商品の形態が異なるうえ価格も安いため、過去の顧客の中に商品の販売対象となる顧客がほぼいませんでした。

そこで、自分たちで獲得した見込み客を受注まで繋げられるように、商談の進捗を一括で管理できる「HubSpot CRM」を導入しました。

CRMツールの導入により、見込み客の情報とともに商談がどんな状態にあるのかを一か所で確認できるようになりました。

また、Web広告にかけた費用対効果も一目で確認でき、広告運用の方針をすぐに検討できるようになりました。
結果、営業を効率よく進められ、HubSpotを使い始めてから1年で、月間の成約数(CV)を10倍以上に向上することができました。

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このようにCRMツールを活用することで、業務の効率化や事業の成長が見込めます。

まるで魔法のようなツールのように思えてきたかもしれませんが、実は、CRMツールを活用できるかどうかは、ツールの導入時にどのような準備ができているかにかかってきます。

次は、CRMツールの導入で失敗するケースについて触れてみましょう。

9.CRMツールの導入で失敗するケース

CRMツールの導入で失敗するケースは、以下のようなケースです。

CRMツールの導入で失敗する4つのケース

1.CRMツールを使う文化が根付かなかった
CRMツールを導入したとしても、何を目的として使うものかを社内共有できていなければ、ただ面倒な作業が増えたと思われてしまい、CRMの文化は定着しません。

CRMツールを導入することによって影響が出そうな関係者に、「自社や顧客にどんなメリットがあるのか」を事前に共有して、理解を得るようにしましょう。
2.何の顧客情報を記録すべきなのかを考えられていなかった
顧客情報を記録する際、「何を記録すべきなのか」「それによって顧客や見込み客にどんなメリットがあるのか」「自分たちの課題解決にどう活用できるのか」を前もって練らずに集めた情報では、ただ情報が集まってくるだけで、有効な情報活用ができなくなります。

CRMツールを使う上では、事前の設計がとても重要です。
3.CRMツールを運用できる人材がいなかった
CRMツールの運用に詳しいメンバーがいない場合や、ツールの使い方で困ったときに、専任でツールのことを調べて困りごとを解決するメンバーがいない場合は、CRMツールがなかなか社内に浸透しません。

ツールのメリットをきちんと理解し、社内に文化として浸透させてくれる担当者を用意しましょう。
4.導入すれば短期的に成果が上がると思っていた
CRMツールは基本的には顧客とのコミュニケーションを中長期的に改善していくツールです。
そのため、成果は中長期で測定したほうが社内に浸透します。

もちろん、短期的な利用であっても成果が上がることはありますが、短期的に成果を出すという用途での利用は「CRMツールらしくない」ことを知っておきましょう。

せっかく導入するツールですから、上記のような失敗は未然に防ぎたいものです。
そこで、CRMツールの導入前にチェックしておきたいポイントを、チェックリスト形式にまとめてみました。

10.CRMツールの導入前に確認したいチェックリスト

チェックリストの全項目を紹介する前に、まずは、チェックリストの中でもとくに確認していただきたい項目を先に3つ取り上げます。

10-1.必ずチェックしておきたい3つのポイント

CRMツールを導入する際は、まずは以下の3つについてチェックしておきましょう。

1.導入する目的は明確か?

CRMツールを導入する際には「解決したい課題」や「CRMの導入で実現したいこと」を明確にする必要があります。
なぜなら、顧客情報をどのように活用したいのかは、運用する人自身で考えなければならないからです。

CRMツールは、あくまでも「収納機能にすぐれた箱」です。
箱を使う目的や、何を収納するのかがハッキリしていないと「箱を買ったものの使えなかった」ということになりかねません。

同じように、CRMツールを導入するだけでは、優良顧客が自動的に抽出されたり、顧客満足度が向上したりすることはありません。

顧客情報のデータを顧客の流入経路や商品の購入状況に応じて分け、その分類に応じて顧客へのアプローチ方法を考えてこそ、CRMツールを活用できます。

2.CRMによって活用したい情報があるか?

まずは、CRMによって活用したい情報が、社内にあるかどうかを確認しましょう。
また、情報があるとして、それが名刺なのか、名刺管理ソフトなのか、紙なのか、Excelなのかといった具合に、情報がどのような形式で保管されているのかも確認しておきましょう。

その上で、現在自社が情報を保管している形式が、CRMへ一括でデータインポートが可能かを確かめ、情報を入力しやすいCRMを選ぶようにすることが必要です。

3.運用できる体制はつくれるか?

顧客に合わせたアプローチや、顧客との関係性作りは継続しておこなう必要があります。
そのため、CRMツールを運用をおこなう担当者は確保できるかや、データを一か所にまとめるためのルール作りなどを進められる体制があるか、確認しましょう。

また、CRMツールのカスタマーサポート体制についても、ツールの使い方がわからないときにすぐに聞けるか、そもそも日本語のサポートに対応しているか、など確認しておくとよいでしょう。


それでは、上記の3つのポイントを含め、CRMツール導入の際に確認したい項目をまとめたチェックリストをお見せします。
チェックポイントは全13項目です。

10-2.CRMツールの導入前に確認したい13項目のチェックリスト

CRMツールを導入する際は、以下の全13項目をチェックしておきましょう。

1.導入する目的は明確か?
CRMによって解決したい課題は明確ですか? CRMツールは多機能な分、CRMによって自社の何を解決したいかが明確でないと、機能を持て余してしまいます。
CRMを導入することによって自社のどんな課題が解決されるかを明確にしておきましょう。
CRMの効果を明確にするためのKPIを設置していますか? CRMツールを導入することで自社がメリットを得られたかどうかを評価しましょう。
「定量的」「定性的」どちらでもよいので、自社の問題に適したKPIを設定しておき、それを達成できたかをきちんと評価しましょう。
社内で重要なKPIの定義は統一されていますか? いつ誰がCRMツールに入力しても差が出ないように、重要なKPIの定義を統一しておきましょう。
たとえば「営業件数」をカウントする場合、「対面での営業はカウントするが、メールや電話での営業はカウントしない」など決めておきましょう。
CRMでできることが理解できていますか? CRMツールは導入しただけでは機能しません。
ツールの機能と特性を理解し、自社のどんな課題解決に役立つかを明確にしておきましょう。
CRMで出来ないことは理解できていますか? CRMツールでは、実現できることと出来ないことがあります。
自社の解決しようとしている課題に求めている機能がきちんと内包されているかを確認しましょう。
CRMで自社では使う必要のない機能もあることを理解できていますか? CRMツールは多機能な分、すべての機能を使いこなすのは困難です。
自社に最も効果的な機能を優先的に利用し、運用人員や体制によっては無理につかわなくても良い機能があることを理解しておきましょう。
2.CRMによって活用したい情報があるか?
CRMに入力するお客様のデータはありますか? すでにお客様のデータがある場合は、きちんと項目(お名前・会社名・役職・電話番号など)ごとに整理し、CSVなどで整理しておき、すぐにCRMツールにインポートできるようにしておきましょう。
CRM導入後にどうやって顧客データを集めるか決まっていますか? CRMツールはお客様のデータを集めることによって、お客様を理解し、お客様にとってメリットとなるコミュニケーションができるようになるツールです。
既存のデータを元にするだけでなく、その後どのようにお客様にとって有益なコミュニケーションをするためのデータを集めるかを設計しておきましょう。
CRMを運用することで得られるお客様のメリットは明確ですか? CRMツールを利用することで、自社のお客様にどのようなメリットをもたらすのかも明確にしましょう。
お客様のデータ収集やアプローチなどが目的化し、顧客体験価値が低下しないように注意しましょう。
3.運用できる体制はつくれるか?
CRMを運用を開始できるまでの担当人員を確保していますか? CRMツールは導入しただけでは機能しません。
どのようにお客様のデータを集め、どのようにそのデータをチームで連携し、どのように活用するかを設計する人員が必要です。
CRMを運用開始後に、改善を行う担当人員を確保していますか? CRMツールは導入して終わりではありません。
常に市場やお客様の変化に応じて、運用を変化させる必要があります。そのための人員が確保できているかを確認しましょう。
CRMを導入することで、業務に変化が生まれる部署との連携は取れていますか? CRMツールは特定の部署だけが活用するのではなく、チームや会社が横断的にデータを一元化することで、効果を最大化できます。
導入前にツールを導入することで業務に変化が発生する部署に、メリットを伝えたり、業務フローの変化のポイントを共有しておきましょう。
CRMを導入後のフォローアップはしっかりしていますか? CRMツールのすべての機能を担当者が運用方法まで完全に把握するのは困難です。
そんなときに、きちんと導入後のサポートが充実しているCRMツールを提供してくれている企業かどうかを確認しましょう。

このチェックリストを用いて、CRMツールの導入をぜひ成功させてください。

11.CRMツール・SFAツール・MAツールの違い

ここで、CRMツールと合わせて紹介されることが多い、「SFAツール(通称:SFA)」や「MAツール(通称:MA)」についてカンタンに説明しておきます。

「SFAツール」や「MAツール」のうち、とくに前者の「SFAツール」についてはCRMツールと似ている部分が多いため、最近では明確な線引きが難しくなっているのですが、一応CRMツールとの違いを紹介しておきます。

●SFA(Sales Force Automation):営業支援システム

SFAは営業の進捗状況を可視化するダッシュボードや日報機能、請求書発行(もしくは請求書ツールとの連携)機能が実装されているツールです。
CRMとSFAは、どちらも顧客データを管理できるという点において共通しています。

しかし、管理する目的が異なります。
CRMは顧客との良好な関係を構築することを目的にしている一方、SFAは営業活動を推進することを目的としています。

●MA(Marketing Automation):マーケティングオートメーション

MAは、見込み客の獲得、育成、購買までのプロセスを自動化することでマーケティングをサポートするツールです。

たとえば、見込み客が自社サイトをいつ閲覧したのか記録(トラッキング)したり、より自社商品に関心の高い顧客を自動的にリストで分けることができます。

従来手動でおこなっていた業務を自動化することで、生産性をあげることを目的としています。


ちなみに以下の図は、B to Bにおける見込み客や顧客とのコミュニケーションのプロセスをまとめたものです。

一般的なMAツールとSFAツールがどの領域を得意としているのかを、プロセスの中でわかりやすく表現してみました。

HubSpotが考えるCRM

上記の図を見ていただければわかるように、実はHubSpotが考えるCRMとは、まさにこのプロセスを全方位的に捉えるものです。

そのため、「HubSpot CRM」では、以下のプロセスにおける個々の顧客接点に対して、最適なアプローチをおこなうための機能を多数用意しています。

  1. 集客(見込み客との接点をつくる)
  2. 見込み客の情報を入手
  3. 見込み客の育成(リードナーチャリング)
  4. 見込み客の選定(案件化)
  5. 商談(提案や見積書作成)
  6. 成約・受注
  7. 顧客のサポート・関係維持
  8. お得意さまになってもらう

ちなみに、その全方位的な捉え方は、HubSpotが考えるフライホイールという概念がベースとなっています。
(以下の図はフライホイールの概念図です)

フライホイール

このフライホイールという概念を通し、HubSpotは、マーケティングを成功させるためには、「Attract(惹きつける)」「Engage(信頼関係を築く)」「Delight(満足してもらう)」という3つの段階を意識し、顧客に優れた顧客体験を提供し続けることが大事であると発信し続けています。

優れた顧客体験に感動した顧客は「お得意さま」になり、やがて新たな顧客を連れてきてくれる。まさにその良質な循環の原点が、このフライホイールの中にあるのです。

フライホイールの概念についてもっと詳しく知る

ここまで、CRMツールに関するさまざまな知識を取り上げてきました。
続いては、代表的なCRMツールについて紹介します。
CRMツールの導入を検討される際は、ぜひ参考にしてください。

12.代表的なCRMツールをご紹介

今、海外および国内には、さまざまなCRMツールがあります。
それぞれのツールは、できることや、使い勝手やデザインが異なります。
また当然のことながら、導入費用も異なります。
あなたの会社の条件に合ったツールを見つけてください。

■海外製のCRMツール

Salesforce Sales Cloud

Salesforce Sales Cloudは、営業管理、サポート状況、マーケティングデータを1ヵ所に集約できるCRMです。
また、社内の基幹システムやその他ツールとの互換性が高く、企業ごとに幅広いカスタイマイズをすることが可能です。

・HubSpot CRM

この記事を執筆している当社HubSpotが提供しているCRMツールです。
HubSpot CRMは、無料版でも顧客管理システムとして必要な要素がすべてそろっており、無料版の使用期間は無期限となっています。
有料版に拡張することによって、目的に合わせた機能の拡張をしていくことが可能です。

・Zoho CRM

Zoho CRMは、中小企業やベンチャー企業を意識して作られたCRMツールです。
効果測定機能が特徴的で、営業部隊の活動の効果測定や、予算や人員の配分なども可視化することが可能です。

・SugarCRM for Zendesk

SugarCRM for Zendeskは、売上拡大の支援を主たる目的としており、顧客管理だけでなく、営業支援システムやメールマガジン、ダイレクトメールなどの機能が一体化したCRMです。

■国内製のCRMツール

・kintone

kintoneは、顧客管理ツールというよりは、顧客管理をするためのアプリを作れるツールです。「日報」や「見積書管理」などのアプリを、自由に作成することができます。

・Senses

Sensesは、UI/UXにこだわっており、入力のしやすさと使いやすさが魅力のCRMです。
他のツールと連携することで、業務効率を劇的に改善することができます。

・Sansan

元々名刺管理サービスでしたが、その管理ノウハウを活用して、CRMに近い存在になりつつあるのがSansanです。
CRMの機能をいきなりすべて使いこなしていくのはハードルが高いと考えている人に向いています。


代表的なCRMツールについて紹介しました。
最後に当社HubSpotが提供している「HubSpot CRM」について、もう少しだけ詳しく紹介させてください。

13.さまざまな業務に効果を発揮!無料で使える「HubSpot CRM」とは?

無料の中小企業向けCRMソフトウェア - HubSpot CRM | HubSpot(ハブスポット)

HubSpotは、見込み客に対して先に価値を届けて興味関心を惹きつけ、関係性を構築していく「インバウンドマーケティング」の思想や、「インバウンドマーケティング」を提唱し、米国で広く認知されてきたソフトウェア企業です。2016年に日本法人が設立され、日本においても徐々に導入企業が増えています。

HubSpotは、ながらくマーケティングツールを主軸としてきましたが、現在は営業、カスタマーサポート向けのツールも提供しています。それらツール群のコアとなるのが「使いやすさ」と「機能性」の両立を徹底的に追求した無料CRMです。

HubSpot CRMは「使いやすさ」「機能性」を徹底的に追及した無料のCRMツール

なぜCRMをコアに据えたのか。
それは、ここまでお伝えしてきた、顧客を深く理解し、適切なアプローチを通じて価値を提供することこそが創業当初から掲げてきた「インバウンド」であり、実現するためにはCRMを中心に据え置くべきだと考えたからです。

顧客が自社サイトのどのページに訪れ、どのように回遊したのか。
どの資料をダウンロードし、どのような問い合わせをしたのか。
営業担当者やカスタマーサポート担当者とどのようなやり取りをしたのかなど、顧客に関するあらゆる情報を部門に関係なく一元管理できます。

営業リーダー、営業担当者、マーケティング担当者、カスタマーサービスチーム、マネージャー、経営者など、顧客と関わるすべての方たちにご利用いただけます。

今回の記事を読んでCRMに興味をもたれた方は、ぜひHubSpotのCRMをチェックしていただき、CRMの世界を体験してみてください。
完全に、永久無料でご利用いただけるCRMです。

HubSpot CRMの魅力が2分で分かる動画もご用意しました。
ぜひ導入のイメージをつかんでください。

何を買うかよりも「誰」から買うかの時代において、最後に伝えたいこと

「顧客や見込み客との良好な関係をつくり、育ててゆく」
そのためにCRMの概念は生まれました。

このCRMの概念を採り入れることで、顧客を中心に考えたまさに本質的なビジネスを長期的に展開できます。そして、その姿勢は「お得意さま」を増やし、やがては顧客や見込み客から選ばれ続ける企業になれるでしょう。

何を買うよりも、誰から買うかの時代。
マスマーケティングだけでなく、1to1マーケティングの重要性が説かれる時代。

人と向き合うこと、すなわち「人付き合い」を重ねる大切さがあらためて説かれています。企業は「法人」と書き、ひとりの人でもあります。
あなたという人、あなたの「企業」という人が、顧客や見込み客とどのようにコミュニケーションを深め、関係性を育ててゆけるのか、そこに事業成長の未来があるでしょう。

そのためにも、ぜひCRMを積極的に採り入れることをオススメします。

本記事がビジネスの未来を担うすべての方のお役に立てれば幸いです。

HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

 

営業チームを成功に導くためのCRMテンプレート

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元記事発行日: 2021年2月03日、最終更新日: 2021年2月18日

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