成約数を現状よりも伸ばしたいのであれば、アプローチの数など行動量を増やす前に、まずは営業施策を見直すべきでしょう。では、実際に成果を伸ばすための営業施策はどのように設計するべきなのでしょうか。今回は、最低限抑えておきたいポイントを解説します。
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売上アップに繋がる営業施策立案のポイント
自社にとって適切な営業施策を設計するには、何に気をつけるべきなのでしょうか。
売上金額は、基本的には「受注額×受注数」で決まります。営業施策を考える際は、まずは「受注額を上げるのか」「受注数を上げるのか」または「両方を目指すのか」というように、狙うべき方向を定める必要があります。
「受注額」「受注数」という2つの要素を押さえ、効果的な営業施策を設計するためのポイントを3つ挙げてみました。
その1:顧客の声を活かした商品・サービスの最適化
受注額を上げるために、直接的に効果が見込めるのは単価アップです。しかし、金額に見合った商品の魅力が顧客に伝わらなければ、値上げは受注数減少を引き起こし、結果として売上を減少させてしまいます。
また、流行の変動や情報技術の発展による変化が激しい現代のマーケットでは、商品・サービスの顧客吸引力を保つために、絶えず最適化し続けることが求められます。つまり、商品やサービスの開発・改善を繰り返すことは必須となっているのです。
商品の改善では、既存顧客へのヒアリングや過去の利用者データを基にした現状分析が重要です。これにより、顧客が求めている改善ポイントが明確になります。
顧客の声を拾い上げるのに、組織のなかで一番近い位置にいるのは誰なのかをはっきりさせることも肝心です。営業担当なのか、カスタマーサクセスなのか、カスタマーサポートなのか。もしくは、購入者履歴や解約者の声といったシステムに、ユーザーの反応が蓄積されているかもしれません。組織のなかで、顧客ニーズを拾い上げ、課題を分析する仕組みを作り上げましょう。それにより、顧客の声を商品改善に反映させることができ、魅力を保つサービスを作り上げることができます。
また、商品開発やサービス改善を行ったあと、顧客に対して新しくなった魅力を訴求することも忘れずに行いましょう。たとえば、クリエイターが自由に創作活動できるプラットフォームを展開するnote株式会社では、定期的にUI・UXの改善を行うと同時に、改良されたサービスや新機能を「カイゼン報告」として発表。プラットフォームの使い心地がユーザーファーストで改良されている点を実感でき、アクティブユーザーが増える流れにつながりました。
(参考: noteカイゼン報告|note)
商品の魅力を発信し続けなければ、新しくなった訴求ポイントは顧客に伝わりません。そのために、商品・サービスの最適化と併せてアプローチ手法の最適化を考える必要があります。
その2:ターゲットの最適化
営業施策の2つ目のポイントは、ターゲットの最適化です。自社の商品やサービスに適したターゲット・ペルソナに見直すことは、受注額と受注数の双方に影響を及ぼします。
ペルソナが曖昧でぼんやりしている場合、商品の魅力をアピールしてもターゲットには響きづらくなります。「このサービスは自分に必要だ」「この商品を買えばより快適に過ごせる」といった、消費者にとっての有益性が伝わりません。商品の改善やマーケティングの手法に対象の興味とのズレが生じ、売上増につながらないケースが考えられます。
どのような顧客が自社の商品に興味を示すのか。抱えている課題や悩みはなにか。年齢、趣味、志向、生活スタイル、検索キーワードといったペルソナを細かく設定しましょう。BtoBの営業であれば、アプローチする先の担当者が適切であるか、また、決裁権を有しているかも重要な要素です。
その3:アプローチ手法の最適化
最後のポイントは、アプローチ手法の最適化です。最適化されたアプローチは商品の魅力を適切に顧客に伝え、受注数をアップさせるきっかけになります。そのために、以下の3つの観点から営業施策を展開します。
- マーケティングの発信力を強化
幅広い顧客に商品を知ってもらうためには、マーケティングにおける発信力の強化が重要です。営業担当がテレアポや訪問といった形でのアプローチを繰り返すことは、顧客に合わせた提案を行える一方で、受注数には限界があります。
組織としては、営業部門とは別に、顧客のすそ野を広げるためにマーケティング部門を強化する必要があるでしょう。オウンドメディアやSNSマーケティング、セミナー、ダイレクトメールなど、あらゆるチャンネルが営業施策につながります。多彩なチャンネルを保つことで、より多くの新規顧客を開拓できます。
- 営業活動の効率化
受注数向上のためのアプローチには、無駄があってはいけません。無駄をなくすためには、顧客情報の管理を徹底しましょう。整理され可視化された顧客情報は、営業先の重複を防ぎ、潜在顧客を見過ごさず優良顧客へと育成する助けになります。
SFAやCRMといったツールの導入は、顧客情報の管理に最適です。どの顧客サイクルにどれくらいの見込み客がいるのかを把握でき、注力するべき顧客が明確になります。見込み客を逃さない営業活動を行うことで、受注数アップにつながるでしょう。
- 組織としての営業力強化
営業担当者の営業力を高めるために、個人への教育は重要ですが、それと同時に組織として営業力を強化させる施策に重きを置きましょう。個人の能力は流動的です。飛びぬけて売上成績の良い営業担当が転職や異動した場合、部門の成績に大きな影響があります。一方で、チーム内で優れた営業手法を共有することは、組織を育てます。
営業担当個人の能力だけを頼るのではなく、ノウハウを蓄積し、シェアすることに注力します。確度を高めるセールストークやメール文面、企画書や資料の共有といったチームセリングの体制を整えることが組織の営業力を底上げします。
営業で成果を出すためのたった1つのコツは?
営業施策を適切に運用し、成果に繋げるためには、顧客に対して率先して価値を提供しようと意識することが重要です。顧客に対して自社が先に価値を提供し、興味を惹きつけた上で関係構築していくというのは、当社HubSpotが提唱する「インバウンド」の核となる思想でもあります。インバウンドセールスを実践すれば、売り手・買い手双方にとってメリットのある状態を生み出すことができます。
では、インバウンドセールスを実践するにはどのような営業施策を設計すればいいのでしょうか。
「自社が先に価値を提供する」という思想に基づいていれば、どのような施策もインバウンドと言えます。ですので、手段にとらわれる必要はありません。相手を理解し、どのようなニーズを持っているのかを把握した上で適切な手段を選択しましょう。顧客理解を深め、適切なアプローチをするためには、営業システムや顧客管理システムが役立ちます。顧客情報を一元管理すれば顧客を理解しやすくなり、営業システムでアプローチ状況を可視化すれば営業活動を最適化しやすくなるでしょう。
まとめ:ターゲットを惹き付けられる営業施策を考えてみよう
営業施策は、単に現場の営業活動を活発化するだけではありません。そもそもの商品やサービスを改善・改良して魅力を高めたり、売り込む先のターゲットを明確にすることが、自社のセールス力を強化する土台となります。ターゲットが明確になったら、今度はいかに価値提供できるかを考えてみましょう。価値を感じてもらえればターゲットの興味を惹きつけ、アプローチのきっかけを生み出せる確率が高くなります。
さらに営業施策の効果を高めるには、現場で最適な営業手法を選択し、チームを支える管理ツールの活用が効果的です。