商談の基本とは?準備方法や気をつけたいポイントを解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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商談を苦手に感じている若手営業担当者は少なくありません。

商談の基本とは?準備方法や気をつけたいポイントを解説

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ジャストシステムが2019年新卒対象者を行った調査によると、営業の具体的な困りごとのは「営業トークがうまくいかない」(35.5%)が悩みのトップ、悩みの2位が「上司によって仕事のやり方、教え方が違う」(32.3%)、3位が「成果(売上)が上がらない」(29.0%)いうものでした。

営業トークがうまくいかず、成果も上がらない、上司の教え方もバラバラで混乱しているという、悩める新人営業担当者姿が見えてきます。

しかし、企業の多くがWebサイトを運営するようになり、営業支援ツールが登場したことによって、営業のあり方も大きく変わりつつあります。本記事では顧客の信頼を獲得し、制約に繋げるための商談のコツと準備方法を紹介します。

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    そもそも商談とは?

    まずは、商談の定義から確認しましょう。

    商談とは、商談相手のビジネス上の課題や問題点を共有し、解決策を提案し、契約をまとめるための話し合いです。商談は営業活動の中心であり、商談を担う営業担当者は大きな役割を果たします。
     

    多くの商談は「営業主体」で行われてきた

    これまでは、契約を結ぶという営業担当者側の目的を優先し、顧客のニーズを汲み取らない、「アウトバウンド」な思想に基づいた営業スタイルが多かったのではないでしょうか。また、顧客の事情を鑑みずにテレアポし続けたり、アポイントなしの飛び込み営業を繰り返したりする手法も多くの企業で実践されてきたはずです。

    このようなアウトバウンドな思想に基づいた商談では、自社商品やサービスがいかに機能的に優れており、費用対効果が高いかという営業主体の「説得」が中心となる傾向にあります。最終的に契約を獲得した段階で、営業の役割は終了します。
     

    今、必要とされるのは「多様な選択肢」から「顧客起点」で商談の手段を選ぶ営業スタイル

    一方、当社HubSpotが提唱する、インバウンドな思想に基づいた営業スタイルはどうでしょうか。まずはマーケティングチームで、こちらから見込み客に対してこちらから先に有益な情報を提供し、興味をひきつけます。話を聞きたいと意思表示されたら、電話やメール、オンライン会議や訪問など、顧客に合わせた手段で商談を実施し、信頼関係を構築していきます。

    顧客が営業を必要とするのは「決定の最終段階に至りいくつかの候補の中から自分に最適な解決策はどれなのかを、専門家の立場からアドバイスしてほしいとき」です。なので本来、商談は見込み客の抱える問題を共有している営業担当者が、問題の解決策として自社の商品やサービスを提案する場であるべきです。インバウンドな思想をベースにすれば、本質的な商談を実施しやすくなるでしょう。
     

    商談の目的とは?

    ここで、改めて商談の目的を整理しておきましょう。
     

    これまでの商談では「伝えること」が重要だった

    これまで実施されてきた多く商談は、進め方は基本的には同じでした。営業担当者は自社商品やサービスの強みを訴え、競合他社のものに比べていかに性能が優っているか、費用対効果に優れているかを説明します。

    優秀な営業担当者は、商談相手との間に信頼関係を構築したり、商談相手が求めるくわしい情報を提供したりしていましたが、商談のスキルは属人化されたものでした。
     

    これからの商談は、「見込み客の支援」を主軸に

    今後求められるインバウンドな商談では、「見込み客の支援」を主軸とします。

    営業担当者は、ある程度興味を持っている見込み客と商談を実施。営業担当者は、まず見込み客の課題をヒアリングした上で、Webサイトや企業カタログなど公式情報には載っていない情報、特に「商談相手が独自に求めている情報」を提供し、その上で顧客が抱える問題の解決策として商品やサービスを提案します。情報提供と提案、どちらも「見込み客の支援」という観点から行われるものです。
     

    商談機会をいかに創出するか?

    商談機会をいかに創出するか?

    多くの見込み客は、飛び込み営業や電話営業を求めておらず、自分の望むタイミングでの商談を希望しています。しかし「じゃあ、営業担当者は見込み客からの問い合わせをただ待つしかない」と考えるのは早計です。

    商談機会を積極的に創出するための方法について、詳しく見ていきましょう。
     

    Webサイトを通じてバイヤージャーニーを追跡する

    まず、マーケティングチームは自社の商品やサービスを求める人のために、Webサイトやブログ、動画、セミナーなどの情報発信を行います。見込み客(プロスペクト)は検索やSNSを通じてWebサイトに情報が掲載されていることを知り、企業のWebサイトを訪問します。

    見込み客がWebサイトを訪れてから購入決定に至るまでの道筋を、当社HubSpotでは「バイヤージャーニー」と呼んでいます。バイヤージャーニーは以下の3つの段階に分かれます。

    Webサイトを通じてバイヤージャーニーを追跡する

    バイヤージャーニーとは?その基本を解説

    1. 認識ステージ:見込み客が自分の問題に気づく段階
      【例】「Webサイトの訪問者が少ないのは、Webサイトで情報が探しにくいからかもしれない」
       
    2. 検討ステージ:見込み客が問題解決に向けて情報を収集する段階
      【例】WebページのUXを上げるためにはどうしたら良いのだろう?
       
    3. 決定ステージ:見込み客が解決策候補の中から最適解を選ぶ段階
      【例】もっとUXの高いWebサイトにするためにCMSを変更したいのだが、自社にはどれが一番合っているのだろう?

    マーケティングチームでは、見込み客の行動履歴(Webサイトへのアクセス履歴や問い合わせ内容、資料DL状況など)を分析し、3段階のいずれかに分類します。
     

    バイヤージャーニーをもとに営業パイプラインの策定へ

    次に営業部門では、バイヤージャーニーの3つの段階にいる見込み客に合わせて営業パイプラインを策定します。営業パイプラインとは、案件化してから契約・受注、納品に至るまでを可視化するために策定する工程管理のプロセスです。

    バイヤージャーニーをもとに営業パイプラインの策定へ

    1. 接触:見込み客に対して、メールを送付することでコンタクトを開始
      【例1】メルマガの購読を申し込んだ認識ステージの見込み客に対して、サンキューメールを送る
      【例2】サンキューメールが開封されていれば、見込み客が興味を持ちそうな無料ウェビナーへの招待メールを送る
       
    2. アポイントメント:自社の商品やサービスについて、詳しい説明とヒアリングを行うための電話連絡・オンライン面談のアポイントメントを取る
      【例】無料デモの利用を申し込んだ見込み客に「使用法につきまして、くわしくご説明をいたします。また、お使いの環境を含めていくつかお伺いしたいことがございますので、お時間をいただけませんか」とアポイントを取る
       
    3. ヒアリング:見込み客と電話やオンライン面談などを通じてヒアリングを行う。結果を営業担当者と共有する
      【例】「実際にこのサービスをお使いいただけた段階で、使用感などおきかせください。また、御社には◯◯のような問題はございませんか?」など、デモの使い方の説明を通じて、見込み客が抱える問題や困りごとを聞く
       
    4. ソリューションの提案:営業担当者がWebサイトではわからないような、見込み客に特化した情報や解決策を伝える
      【例】営業担当者が「見込み客の抱える問題の原因は〇〇です。その問題の根本を解決するためには△△が必要で、その解決策として◇◇というサービスがです。」と提案を行う
       
    5. 提案書の送付:提案書を書面で送付
      【例】商談の内容も盛り込み、今後契約に向けてのプロセスを説明する。

    上記の場合、営業チームは、訪問を中心とするフィールドセールスと、見込み客の情報を元に、メールや電話、オンライン会議など、社内で営業活動を行うインサイドセールス部門の2つに分かれます。

    商談機会は主にインサイドセールスによって準備されます。営業パイプラインのうち、ヒアリングまでの前半をインサイドセールスが担当し、ソリューションの提案以降の商談を中心とする後半をフィールドセールスが担当します。
     

    商談の基本的な流れ

    ここから、商談をどのように行えばいいのか、具体的な流れに沿って見ていきましょう。
     

    1.商談前にやっておくべき準備

    フィールドセールス部門はインサイドセールス部門との協働によって、見込み客の情報を確認し、これから行う商談の方向性を定めます。特に重点を置くのは、以下の4点です。

    1. 見込み客が抱えるビジネス課題(企業の目的を達成するためのハードル)
    2. 見込み客の問題点(日々の業務の中で現場担当者が感じている問題)
    3. 見込み客の課題・問題の解決策(課題や問題を解決する具体的な方法)
    4. 見込み客にとってのメリット(自社の製品・サービスを導入することで得られる効果)
       

    2.アイスブレイク

    アイスブレイクとは初対面の緊張をほぐし、以降の商談を進めやすくする手法です。

    商談も回数を重ねると、お互いの理解も進むために「話題を探さなくては…」と緊張することもなくなります。しかし営業活動の経験が浅かったり、相手のことをよく知らなかったりする場合には「木戸に立てかけし衣食住」(気象・道楽(趣味)・ニュース・旅・知人・家庭・健康・仕事の頭文と「衣食住」)を話題にすると良いと言われています。

    以下に、アイスブレイクのヒントとして覚えておくと良いことを挙げます。

    • 事前に担当者との個人的なつながりを見つけておき、それをきっかけにする
      【例】「昨日の試合はすごかったですね」(相手があるチームのファンであることを知っている場合)
    • 相手や相手の周囲のものに焦点を当て、答えやすい質問をする
      【例】「ビル前の歩道で工事をしていて、通るのが大変でした。いつ頃から工事をしているのですか?」
    • 自分を初心者として、先方の業界のニュースやイベントなどについて質問する
      【例】「先日新聞のニュースで、御社が今度販売される〇〇について拝見いたしました。私は素人なのでその技術がどのくらいすごいのか、リアルなところは見当もつかないのですが、さぞかし最先端の技術を使っておられるのでしょうね」
       

    3.自社紹介

    相手の問題意識や関心領域に触れながら、自社の理念や実際の事業について紹介します。数字を積極的に使うことで、規模感が把握しやすくなると共に、エビデンスに基づいた話し方をするという印象を与えることができます。

    【例】「弊社は3万社以上にお使いいただいている〇〇のサービスを扱う会社で、A社様、B社様(ともに相手が聞いてピンと来るような会社名)にもご活用いただいております」
     

    4.商品・サービス説明

    ビジネス課題と問題点を相手から引き出しつつ、自社の製品やサービスが提供する機能が「問題解決」になることを説明します。

    【例】「〇〇でお困りだとお伺いいたしましたが、私どもの経験によりますと、実は◇◇が原因でそのような症状が出ているケースが大変多いのです。弊社の△△は、◇◇を解消するのに最も良い機能を持っております。というのもこの機能は…」
     

    5.プラン・料金説明

    プランや利用料金は見込み客が一番聞きたい点でもあります。以下のような観点を含めて、丁寧に説明します。

    • プランと料金
    • サポート体制
    • 競合他社と比較した自社の強み・優位性
    • 導入することで得られるメリット
       

    6.疑問点・不安要素の解消

    見込み客の声に丁寧に耳を傾け、疑問点や不安要素の解消に努めます。必要であれば、後日資料を作成して次回のステップにつなげます。
     

    7.クロージング

    商談の最終目標はクロージング(契約締結・成約)にあります。

    顧客の企業形態によっては、契約前に社内稟議を通過する必要があります。クロージングの段階で、契約までに必要なタスクを自社と顧客双方の間で確認しておきましょう。

    クロージングの進め方やコツについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
     

    8.御礼メール

    商談が終わったら、フォローアップメールを必ず送信することが重要です。フォローアップメールには、以下の4点を必ず盛り込みます。

    • 商談の機会を持ってくれたことのお礼
    • 商談で確認したことをまとめる
    • 前回の商談を踏まえて、いくつか簡単な質問を行う
    • 次回の日程の確認
       

    商談成功のポイント

    商談成功のポイント

    営業部門が商談をうまくまとめるためには、日頃から準備しておかなければならない重要なポイントがあります。そのポイントは、大きく3つにまとめることができます。

    1. CRMなどの顧客管理ツールを活用して社内で顧客情報を共有する
    2. 自社商品やサービスに対する理解を深める
    3. ロープレで商談のトレーニングを行う

    ここからは商談を成功に導くためのポイントを説明します。
     

    CRMなどの顧客管理ツールを活用して社内で顧客情報を共有する

    CRMとは「Customer Relationship Management」の頭文字を取った略語で、顧客関係管理とも呼ばれます。CRMは顧客情報をデータベース化して、マーケティング部門、営業部門、カスタマーサポート部門など、顧客と関係を持つあらゆる部門で情報を共有化するためのツールです。

    CRMでは見込み客に関して以下のような情報を収集します。

    • 年齢・性別・居住地・職業などの基本データ
    • Webサイトの閲覧履歴
    • 過去の利用状況、購入情報、問い合わせ状況
    • 興味・関心領域

    見込み客にとって必要な情報を提供するために、行動履歴を分析し、どのような情報を探しているのかを推測するのは非常に有効です。見込み客に関する情報をストックし、いつでもアクセスできる状態にできるCRMを導入しておくと、顧客理解をより促進できるでしょう。
     

    自社商品やサービスに対する理解を深める

    商談を成功に導くためには「自社商品やサービスがどのような問題に対する解決策になるか、多面的な角度から理解し、解決策の引き出しを増やしておくこと」が重要です。

    見込み客が本当に購入したいのは、商品やサービスではなく、その商品やサービスによって生み出される結果です。自社の商品やサービスがいかに課題や問題を解決できるか、統計や図表などの資料をもとに、論理的な裏付けを持って説明できるように準備をしておきましょう。
     

    ロープレで商談のトレーニングを行う

    経験の少ない営業担当者は、ロープレ(ロールプレイング)が効果的です。ロープレとは、場面や状況を設定したシナリオを用意し、場面に合わせて「顧客役」「営業担当者役」に分かれて演じることです。ロープレを仕組み化することで、チーム全体の営業力を底上げすることにもつながります。

    ロープレでは以下の3点に気を付けて、シナリオを作成します。

    • 「傾聴」を練習するために、オープンクエスチョン(イエス・ノーで答えられない質問)の作り方を学ぶ
    • 初回挨拶からクロージングまでの流れを把握する
    • 挨拶の場面、アイスブレイクの場面、商品説明の場面、クロージングの場面と細かく分けながら、自分の苦手なところを見つけ出す

    「顧客役」「営業担当者役」のほかに「記録係」を用意して、画面を録画しておけば参考になるでしょう。記録係は時間の管理ほか、客観的な立場からフィードバックを行います。

    営業のロープレについて詳細を知りたい方は、別記事もご用意していますので、ぜひご覧ください。
     

    商談のKPI・KGIを設定する

    商談のKPI・KGIを設定する

    商談がうまく進められたかどうかは、最終的に成約したかどうかでわかります。しかし成約に到達するまでの範囲で、商談がうまくいっていることを客観的に評価するにはどうすれば良いでしょうか?

    商談の過程を客観的に評価する際は、営業パイプラインに沿って途中にマイルストーンを設け、到達したかどうかを計測しましょう。
     

    KGIを設定する

    KGIとは「Key Goal Indicator(最終目標達成指標)」の略語で、数値化された目標のことです。例えば「第三四半期に売上〇〇円を達成する」「2020年に総売上〇〇円を達成する」などがKGIに相当します。
     

    KPIを設定する

    KPIは「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」の略語です。KGIを達成するためには何が必要か要素に分解し、それを達成するために何を達成しなければならないかを見ていきます。

    例えば「第三四半期に売上〇〇円を達成する」というKGIを達成するためのKPIは、以下のようにして割り出すことができます。

    1. 〇〇円を達成するためには、A件の契約を取らなくてはならない
    2. A件の契約を取るためには、B件の提案を行わなくてはならない
    3. B件の提案を行うためには、C回の商談を行わなければならない
    4. C回の商談を設定するためには、D件の電話ヒアリングを行わなければならない
    5. D件の電話ヒアリングを行うためには、E件のアポイントメントのための電話をかけなければならない

    コンバージョン率を元に、1つ上の階層のKPIを達成するために必要なKPIが設定可能です。インサイドセールス・フィールドセールスごとにKPIを設定し、達成度を確認しましょう。
     

    どれだけ顧客を理解できているかが成否を分ける

    商談のカギは、自社製品をいかにうまく説明し、見込み客の購買意欲を高めることではありません。中身がないまま流暢に発せられた言葉は、相手に否定的な感情を起こさせて逆効果になることもあります。

    商談を成功に導くために何よりも必要なことは、顧客を理解しようとする姿勢を見せることです。特に以下の2点を意識しましょう。

    • 先方の課題や問題を正確に把握する
    • 自社の製品やサービスが問題解決につながることを誠意を持って伝えて、信頼関係を築く

    「営業」は個人の業績として評価されることが多いために、どうしても個人主義になりがちです。優秀な営業担当者の中には「営業ノウハウは自分の財産だ、それを共有するなんて」と思う人がいるかもしれません。

    しかし、ノウハウを全体で共有し、ほかの営業担当者を育成することで、属人化されない商談や営業が可能になります。誰が担当しても安定して同じ水準の商談を行えることが、顧客や見込み客の信頼感にもつながり、結果的には会社の業績も向上させます。

    さまざまな部署が情報を共有して分業体制を敷くのと同時に、チーム全体で商談に取り組むことで、企業全体の営業力を高めていきましょう。

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    トピック: 営業テクニック

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