営業でクロージング率を高めるためには?コツと注意点を解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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クロージングとは、営業活動で見込み客と契約を締結することをいいます。ヒアリングから提案までは順調に進むことが多いものの、クロージングの成功率が上がらないと悩んでいる営業担当者の方は多いのではないでしょうか。

営業でクロージング率を高めるためには?コツと注意点を解説

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    クロージングの成功率を上げるためのキーワードのひとつに、顧客の「態度変容」があります。クロージングのテクニックを磨くことよりも、購買に至る過程における顧客の行動や心理の変化をくみ取ることの方がはるかに重要です。

    この記事では、営業のクロージングの重要性や段階別に使えるテクニックなどを解説しています。ぜひ参考にしてください。

    営業におけるクロージングとは

    営業におけるクロージングとは

    営業プロセスにおけるクロージングとは、商談で契約を締結する段階のことで、英語のClose(閉める)が由来です。

    営業活動は大きく次のプロセスに分けられ、クロージングは最終段階にあたります。

    1. 事前準備
    2. ヒアリング
    3. 提案
    4. 交渉・クロージング

    クロージングは契約書にサインをする瞬間だけではなく、契約に至るまでのアプローチを含めた営業活動全体を意味します。クロージングまでの過程で顧客に寄り添い、疑問や不安を解消し、成約しない理由を取り除いていくことが大切です。
     

    クロージングの"質"が重要な理由

    成約数を増やすために、多くの企業は、まずリード(見込み客)を増やすことに注力します。具体的には、オウンドメディアの運営などのコンテンツマーケティングや、広告出稿などです。

    しかし、リードが増えてもクロージング率(商談の成功率)が上がらなければ、成約数の増加にはつながりません。クロージングの量を増やすのではなく、質を高めることにフォーカスした方が、結果的に成約数は増えるでしょう。

    下の表は、クロージング率と、1件の成約に必要な商談数の関係性を数値で示したものです。

    クロージングの質が重要な理由

    クロージング率50%の営業担当のAさんは、20件商談を行えば10件成約できることがわかります。一方で、クロージング率10%の営業担当のCさんが、Aさんと同じ10件の成約を目指した場合は、100件の商談を行わなければなりません。

    このように、営業でより高い成果を求めるのであれば、クロージング率の向上が欠かせません。しかし、クロージング率を向上させるためのポイントは、クロージングよりも、もっと手前の段階にあります。次章で、クロージングの成否を分ける2つの要因を見ていきましょう。

     

    クロージングの成否を分ける2つの要因

    クロージングがうまくいかないのは、ここで紹介する2つの要因のうち、どちらかの把握が不十分な状態でクロージングをかけたことが主な理由です。
     

    1. 態度変容

    態度変容とは、見込み客が承認・サービスを認知してから購買に至るまでの心理的な変化のことです。一般的に、見込み客の態度は、認知→興味→理解→検討→購入の順に変化していきます。

    通常、クロージングに一番近いのは「検討」の段階にいる顧客なので、営業パーソンは検討段階の顧客に注力しがちです。しかし、「認知」の段階にいる顧客が、情報収集や、知人・友人からの勧めなどによって「検討」まで一気に進むこともあります。B2Bの場合は、上司の一声で状況が一変することも珍しくありません。

    見込み客の態度変容に気づかないと、相手が商品・サービスを「欲しい」と思ったタイミングで適切な提案ができず、チャンスを逃してしまうでしょう。見込み客が今、どの段階にいるのか見極め、相手のニーズに合わせて適切なアクションを起こすことが、クロージング率を高めることにつながります。
     

    2. BANT情報

    クロージングの成果を分けるもうひとつの要因が、ヒアリング段階で提案に必要な情報を漏れなく収集しておくことです。特に、1件の成約額が高額になりがちなB2B営業では、顧客の要望に合わせた提案が鍵となります。

    B2Bの営業活動でヒアリングしておきたい顧客情報は、「予算」「決裁権」「必要性」「導入時期」の4つで、それぞれの頭文字を取って「BANT情報」と呼びます。

    • Budget:予算
    • Authority:決裁権
    • Needs:必要性
    • Timeframe:導入時期

    BANT情報を把握したうえで提案につなげると、成約しない理由の見当がつき、事前準備がしやすくなります。BANTを構成する各要素を、それぞれ詳しく見ていきましょう。
     

    Budget(予算)

    顧客が想定している予算額のことです。予算を確認せずに営業活動を進めると、見込み客の予算と大きく乖離した提案をしてしまう可能性があります。そのため、早い段階で予算を確認することが大切です。

    予算をヒアリングする際のポイントは、具体的な金額の提示を相手に求めないことです。予算は契約に直結する要素なので、予算を詳しく聞き出そうとすると、相手が躊躇してしまう可能性があります。30万円以下、50万円以下、100万円以下など、ざっくりと金額の幅を提示し、その中から選んでもらう方法が効果的です。
     

    Authority(決裁権)

    Authority(決裁権)とは、商品・サービス購入の承認フローや、「最終的な決裁権を持つのは誰なのか」ということです。

    商品の種類や単価にもよりますが、B2B営業の場合、ヒアリング段階では決裁権を持った人が商談に参加しないケースの方が多いでしょう。承認フローをさりげなくヒアリングし、「誰に向けて提案すべきなのか」を把握しましょう。
     

    Needs(必要性)

    Needs(必要性)とは、見込み客が抱えている課題と、「それを商品・サービスを通じてどのように解決したいのか」ということです。多くの営業パーソンは見込み客の求めていることを深掘りしようとしますが、見込み客自身も、自らが何を必要としているのかを正確に認識できていないことがあります。

    深掘りすべきなのは見込み客の求めていることではなく、「悩み」や「課題」です。丁寧なヒアリングを通して見込み客が抱えている悩みを深掘りし、他社の事例などを交えながら、自社の商品・サービスが、顧客の悩みや課題の解決に役立つイメージを持ってもらうことを目指しましょう。
     

    Timeframe(導入時期)

    Timeframe(導入時期)とは、見込み客が商品の導入を検討している時期のことです。導入時期を把握していると、見込み客が早期に導入したいと考えている場合などに、タイムリーなアプローチができます。

    顧客が必要とするタイミングでのアプローチを実現するには、「〇〇を考慮して、〇〇までに導入してはいかがでしょうか?」など他の要素と組み合わせてヒアリングしたり、「いつまでに〇〇することは可能でしょうか?」と、ステップごとに回答期限を設けたりするなど、見込み客の都合に合わせた対応が必要です。

     

    クロージングの可能性を高める3つの段階別テクニック

    クロージングの可能性を高める3つの段階別テクニック

    クロージングは「テストクロージング」「クロージング」「契約締結」の3つの段階に分けられ、それぞれの成約率を高めるためのテクニックが存在します。ここでは、それぞれのテクニックを紹介します。

    ただし、ここでご紹介するテクニックよりも大切なのは、顧客を深く理解することです。そのうえで、ここからご紹介する方法を試してみてください。
     

    1. テストクロージング

    テストクロージングとは、見込み客の反応を見て、自社の商品やサービスに興味があるか・導入したいと感じているかを確認する手法です。

    テストクロージングには、次のような方法があります。

    1. 実際に使っている動画を視聴してもらう

      動画とあわせて、「〇〇社や××でもお使いいただいております」「御社でお使いいただけるとしたら△△などの場面になりますか?」など補足情報や質問をすると、より導入するメリットなどをイメージでき、クロージングの確率を高められるでしょう。

    2. 製品に触り、動かしてもらう

      「操作性など使い心地はいかがでしょうか?」「他に欲しい機能はございますか?」など質問し、「使っている自分」を想像してもらうことが可能です。

    3. ソフトウェアのデモアカウントを提供する

      商材がソフトウェアの場合は、見込み客にデモアカウントを提供し、実際に利用してもらいます。「お使いいただいていかがでしたか?」「変更が必要な点などありましたらご教示ください」のように伝えると、見込み客自身も製品開発に参加しているように感じてもらえるでしょう。

    見込み客に導入後の具体的なイメージを持ってもらうことで、疑問点や不安要素の解消につながります。

    テストクロージングで役立つテクニックを3つご紹介します。
     

    1)Yes, butテクニック

    Yes ,butテクニックとは、相手の意見に同意を示し、別の視点や立ち位置から改めて説明する方法です。まず相手の意見を受け入れ、ワンクッション置いてから商品説明に進みます。

    【使用例】

    見込み客「これは予算外ですね」

    営業担当「そうですね、確かに他者と比べて高いと感じるかもしれません。しかし、この価格は〇〇という機能を搭載したことが反映されており、これは弊社独自のサービスです。」
     

    2)Whyテクニック

    相手の意見をさらに深掘りするために「そうお考えになる理由をお聞かせいただけないでしょうか?」と理由を聞く方法です。まずは相手の意見を受け入れることが重要です。

    【使用例】

    見込み客「もう少し考えさせてもらえませんか?」

    営業担当「検討されるお時間が必要ということですね。ごもっともです。ただ、こちらのサービスには無料トライアル期間を設けており、トライアル後の解約も可能です。」
     

    3)反論を購入理由に変えるテクニック

    反論を受け入れて、それこそが購入する理由になると切り返すテクニックです。

    【使用例】

    見込み客「うちも予算が厳しいんですよ」

    営業担当「おっしゃることはよくわかります。〇〇業界にとっては厳しい状況が続いていますから。そのため弊社の低価格プランでも良いのですが、高価格帯のプレミアムプランでしたら、御社であれば△△だけの利益増が期待できます。トータルで考えるとプレミアムの方がメリットが大きいのではないでしょうか?」
     

    2. クロージング

    クロージングは営業活動で最も重要な段階で、見込み客に最終的な決断を促します。ここで重要なのは、顧客視点で考え、顧客に価値を感じてもらえるようにコミュニケーションを取ることです。

    クロージングで使えるテクニックを4つ紹介します。

    1. 購入すべき理由を伝えて決心を後押しする
    2. Aを購入するか、Bを購入するかを選んでもらう(松竹梅の法則)
    3. ゴールデンサイレンスを妨げない
    4. 購入を前提とした質問をする
       

    1)購入すべき理由を伝えて決心を後押しする

    顧客が決断に迷っている場合は、購入すべき理由を改めて伝え、決心を促しましょう。

    【使用例】

    「これまでご説明しましたように、本商品にはすでに多くの企業で実証済みのAとBというメリットがございます。御社におかれましても、Cを達成するためには必ずお役に立てます。」
     

    2)Aを購入するか、Bを購入するかを選んでもらう(松竹梅の法則)

    「購入するか、しないか」ではなく、「AとBどちらを購入するか」を選んでもらう方法です。複数の選択肢を用意することで、購入への心理的なハードルを下げることができます。

    【使用例】

    「この商品にはタイプが2種類ございます。〇〇の機能に優れたAタイプと、△△面を重視したBタイプがございます。どちらがよろしいでしょうか?」
     

    3)ゴールデンサイレンスを妨げない

    ゴールデンサイレンスとは、「提案が終わり、見込み客が考える沈黙の時間」のことです。

    沈黙を気まずいと感じて何か話しかけてしまいがちですが、見込み客はさまざまなことを思案しています。口を挟まず、見込み客の反応をじっと待ちましょう。
     

    4)購入を前提とした質問をする

    支払い方法や購入後の手続きなど、購入を前提とした質問をすることで、見込み客は成約後のイメージができ、前向きに検討できるようになります。

    【使用例】

    「お支払方法はどのようになさいますか?」「ご契約後にはこのようなお手続きが必要となっておりますが、その際の必要書類はこちらでご用意いたしましょうか?」
     

    3. 契約締結

    営業活動は契約締結で終わりではありません。締結後の手続きや導入方法、サポート体制の説明などを丁寧に行い、顧客の不安を取り除いていきましょう。継続的な関係を築くためにも、真摯な対応が重要です。
     

    クロージング率の向上は営業プロセスの全体最適から

    クロージング率を向上させるポイントは、一連の営業プロセスを、顧客とのコミュニケーションという「線」として捉えることです。

    見込み客が必要とする情報を最適なタイミングで提供するには、顧客理解が欠かせません。そこで活用したいのが、

     

    顧客理解がクロージングを成功に導く秘訣

    クロージングは営業活動において契約に結びつく重要な段階です。さまざまなテクニックがありますが、最も重要なのは自社の商品・サービスが見込み客の課題解決に貢献することを、相手に理解してもらうことです。

    顧客理解のためにはクロージングを含めた営業プロセス全体を最適化する必要があります。営業プロセスを可視化・評価できるMAツールの導入なども視野に入れながら、顧客理解を深めてクロージング率の向上を目指しましょう。

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    トピック: SFA

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