焦りを感じさせるような質問を考える
案件が行き詰ってしまうか、あるいは良い結果が得られずに終わるのを減らすために、相手が何か焦りを感じるような質問をしてください。
それによって見込み客が、もう少し詳しく説明を聞こうとか、後回しにするのはよそうという気持ちになるかもしれません。その製品がなければビジネスに悪い影響が出ることを理解してもらい、できるだけ早く行動を起こすよう説得することが大切です。
たとえば見込み客にぴったりの製品があるとします。予算の範囲内で購入できる手頃な価格に加えて、大幅な値引きまで提供しました。これ以上の条件はありません。ですが見込み客は、今すぐ購入すべき特別な理由がなければ、なかなか動こうとしてくれません。
それなら、無理やり理由を付けて説得するべきではないでしょうか?
もちろん、そうではありません。
購入すべき理由を一方的に考えて説得しても、見込み客のためにはならず、後で問題が起きることにもなりかねません。
それよりも、相手がまだ気付いていない理由を提示するか、あるいは案件から手を引く方が賢明です。
この記事では、自分たちに何か解決すべき問題があること、あるいは現状で満足すべきではないことを、見込み客に気付いてもらうための便利な質問を、数多くご紹介します。
これらを質問してもやはり、見込み客が購入を判断しないなら、マーケティング部門に相談して、育成をやり直してもらう必要があるでしょう。
営業担当からの質問で焦りを感じてもらう方法
見込み客の企業に関する質問
1)年間の収益や、おおよその顧客数や、従業員の頭数から考えて、御社の規模はどのくらいだと考えればよいですか。
この質問によって、相手の企業を評価し、将来的にどの程度の規模を目指していて、現状でその目標をどの程度達成できているかを理解することができます。
2)御社の経営は現在、行き詰っている、安定している、成長過程にある、のどれにあたると思いますか。業界の標準的な企業と比較して、急速に成長しているようですか。
企業全体の目標を、相手に思い出してもらってください。また、その成長戦略に対して自分たちの製品がどのように機能するかを説明するチャンスにもなります。
3)[何か驚くべき重要な事実を伝えて]この話を知らないという人が多いのですが、ご存知でしたか。
見込み客に何か新しい情報を伝えることによって、信頼を高めたり、知識があることを示したりするだけでなく、相手に焦りを感じさせることもできます。そして、その情報に関連して、できるだけ早く行動を起こさなければと思うこともあります。
見込み客の企業が抱える問題に関する質問
4)何か解決したい問題はありますか
購買者の抱える問題が、自分の想像とはまったく異なっている場合もありますので確認してください。状況を改善することだけ考えて、原因を解決しようとしない人もいることに注意しましょう。
5)なぜその問題を今、解決する必要があるのでしょうか。
問題をすぐに解決するべき理由を尋ねることで、見込み客がその問題に対して現状でどのくらい焦りを感じているか知ることができます。まだそれほど急ぐべき問題はでないと考えているなら、焦らせる方法を考えましょう。
6)この問題で一番困るのは誰(あるいは何)ですか。
上司かもしれませんし、自分たち、あるいは企業だと答えるかもしれません。いずれにしても、これを質問することによって、問題をすぐに解決しなければ、社員あるいは企業に被害が及ぶことを、相手に認識してもらうことができます。
7)問題の状況や原因は明らかになっていますか。
問題を調査するために、見込み客がこれまでにどの程度の時間をかけているかを確認してください。状況や原因を明確に説明できればできるほど、問題の解決に集中して取り組んでいると考えることができます。
8)前にも同じ問題が起きましたか。
見込み客の問題がどの程度厄介で、解決が難しいかを確認してください。
9)簡単に解決できる問題ですか。それとも難しそうですか。
おそらく見込み客は「難しい」と答えるはずです。簡単に解決できるなら、すでに解決しているはずですから。
10)この問題によって、企業の歳入および収益、企業文化、製品サイクルにどのような影響が出ますか。
何が機能しなくなっているかについて、さまざまな側面から情報を集めることができます。
11)この問題によって、多くの人に影響が及びますか。
どの程度多くの人に影響があるのか、見込み客の考えを聞かせてもらってください。
12)この問題を解決するのは、ご自分の担当する範囲内の仕事だからですか。それとも特別に指示を受けたからですか。
「自分の担当範囲内だから」と答えた場合は、できるだけ早く問題を解決しようくらいに考えている可能性があります。一方、「特別に指示されたから」と答えた場合は、重大な問題であるとすでに理解し、一定の期日までに問題を解決しなければと焦っているはずです。
問題による影響に関する質問
13)問題を解決できたらどうなりますか。また、解決できなかった場合はどうなるでしょうか。
この質問によって、製品購入への行動を起こした場合の結果と、起こさなかった場合の結果を、相手に想像してもらうことができます。また、起こさなかった場合の結果を想像して暗い気持ちになるはずです。
14)解決に向けて行動を起こし、いつまでに結果を確認する必要がありますか。
相手は効果をすぐにでも実感したいと思うはずです。また、この質問に答えることで、時間があまり残っていないことにも気付くと思います。
15)この問題を早期に解決できるよう、私たちにぜひお手伝いさせてください。実現した場合、御社にとって最も喜ばしいのはどの点でしょうか。
自分たちの製品によって、問題を解決できる可能性が大きく高まるとわかれば、急いで行動を起こそうと思うはずです。
16)この問題を解決することで、あなた個人にどのような影響があると思いますか。
個人的にどのような動機があるのかを知ることで、商談が良い方に進むことがあります(ただし、逆に案件が台無しになることもあります)。
17)上司はどのように喜ぶでしょうか。
上司に喜んでもらうのは、非常に重要なことです。自分たちの製品が上司を喜ばせることにつながるとアピールしてください。
18)現在の状況がこの先も続けばどうなりますか。
たとえ問題が長期化して経営が傾く可能性があっても、変化を嫌い、現状を保ちたいと思う人が少なくありません。この質問をすることで、問題を放置することがどれだけ危険かを、相手に考えてもらってください。
問題解決の動機に関する質問
19)ぜひ応援したいので、何かお手伝させてください。
見込み客に単なる営業担当ではなく、パートナーとして見てもらうための質問です。自社の製品が、社内での評価を上げるために役立つことを説明してください。
20)昇進には何が必要で、どのような目標を達成することが要求されますか。
17番目の質問と同じく、この質問でも相手が個人的にどのような動機から問題を解決したいと考えているかを確認することができます。
21)この問題によって日々苦労していることはありますか。
ほとんどの人は職場で面倒な思いをしたり、厄介な問題を抱えていたりします。それを改善し、毎日を楽にする方法があると伝えれば、購入への意欲を高めてもらうことができます。
22)この問題によって部署全体にどのような影響がありますか。
個人ではなく部署全体にとって、その問題がどのくらい深刻かを考えてもらってください。
23)この問題に煩わされずに済むようになったら、どの仕事に優先して取り組みたいですか。
問題が解決して時間や気持ちに余裕ができ、もっと楽しい仕事や構想に集中して取り組めるようになった自分を想像してもらってください。
24)この問題で一番ストレスがたまるのはどの点ですか。
見込み客を最も困らせているのは何かがわかれば、それに合わせて製品の価値を効果的に売り込むことができます。
25)今はどのような仕事に取り組んでいますか。この問題による影響が何かありますか。
21番目の質問と同じく、相手の抱えている問題が日々の業務をどのように妨害しているかを確認してください。
26)役員会議でよく議題に上がる問題は何ですか。
CEOが注目する問題であれば、相手も気にかけているはずです。
27)毎日残業に追い込まれるような問題がありますか。
簡単には解決することができない問題が何なのか確認してください。
28)[Slack、Hipchat、ナレッジベース、wikiなどで]何度も取り上げられるテーマは何ですか。
どの企業でもナレッジベースやwikiを社全体で利用しているわけではありませんが、これらの場所で頻繁に取り上げられるテーマを尋ねることで、どのような問題を特に重要視し、情報の共有に努めながら、解決に取り組んでいるかを理解できます。
競合他社に関する質問
29)業界の競争はより激しさを増していると思いますか。
ほとんどの業界で競争が激化しています。見込み客に、競争力を維持するために、あるいは業界のトップに躍り出るために、できるだけ早く行動を起こす必要があることを再認識してもらってください。
30)特に注目している競合他社はいますか。
追い上げられているような焦りを感じる競合相手がどの企業かを尋ねてください。自社の製品によって、相手との差をどのように広げられるかを説明しましょう。
31)時間と労力、見込み客、予算を無駄に消費していると思われる人が、同じ部署にいますか。
効率の低下を招いている原因を改善(あるいは排除)すれば、部署の成績は大幅に向上します。その可能性に着目してもらってください。
32)最重要顧客を不意に失った経験はありますか。
答えが「はい」でも「いいえ」でも、この質問によって相手に焦りを感じさせることができます。「はい」の場合は、二度と同じ失敗をしたくないと恐怖を感じるでしょう。「いいえ」の場合は、たった一度の失敗が、企業の業績に大きな打撃を与えることがあると説明してください。
33)その顧客を失ったことで業績がどのように変わりましたか。
苦い経験を口に出して言ってもらうことで、悲劇を繰り返したくないとより強く感じてもらうことができます。
34)価格競争を避けるために何をしていますか。
おそらく見込み客の企業も、底辺への競争である価格競争を避けるために、他社との差別化を図る方法について探っているはずです。その差別化に自分たちの製品が役立つことを説明してください。
35)御社で扱っていない製品やサービスについて、顧客から問い合わせを受けることはありますか。
見込み客の企業がまだ提供していない何かについて、顧客から尋ねられているようなら、競合他社に顧客を取られる可能性があると説明してください。自分たちに何が欠けているかを考えることで焦りを感じてもらい、そのためにどのような助けが必要かも考えてもらいましょう。
次の段階に関する質問
36)弊社の製品(またはサービス)を導入して非常に高い成果を得たお客さまがいるのですが、ご紹介しましょうか。
素晴らしい成果を経験した人から話を聞けば、その製品を自社でも導入したいと思うはずです。
37)同じような問題を抱えている(あるいは解決した)お客さまがいるので、一度お話しなさってはいかがですか。
製品を導入済みのお客さまだけでなく、導入を検討中のお客さまと情報を交換してもらうという方法もあります。自分たち、あるいは自分たちの製品を気に入っているお客さまを紹介するべきですが、製品を売り込むのではなく、あくまでも情報を交換してもらうことを目的としてください。
この方法によって、見込み客や顧客の側が有益な情報を得られるだけでなく、企業の側も、いずれかの時点で、製品やサービスを必ず検討してもらえるというメリットがあります。
38)必要な情報を今から24時間以内にすべて揃えてお渡ししたら、それらを確認したのち、数日内に手続きを開始していただけますか。
見込み客がどのくらい本気かを試すための質問です。まだ開始できないと言われたら、それ以上は説得せず、購入を判断するためにほかに何が必要かを尋ねてください。
39)購入を決定したのち契約書をお送りしたら、その日から6日以内に署名付きでご返送いただけますか。
これは私たちハブスポットもオススメする、商談を確実に受注するための方法です。購買者はおそらく、「もう少し時間が必要だ」と返事をするので、「わかりました。では6日以内に準備手続きだけ済ませていただけますか」と聞いてください。相手が了承すれば、一週間以内に商談を先に進めるための契約を、確実に取り付けることがきます。
(6日以内という日数は、各自のセールスサイクルに応じて変えてください。通常2週間ほどかかるという場合なら、6日以内に返送するようお願いしましょう。10から12か月かかる場合は、3週間以内でお願いするとよいと思います)
40)問題を解決し、良い結果を得るためのスケジュールを教えてください。
見込み客があまりにも厳しいスケジュールを作成していないか注意してください。予定に間に合わせるために、営業プロセスを急がなくてはならないかもしれません。
41)経営への悪影響を避けるために、この問題をいつまでに解決しなくてはなりませんか。
いつまでに製品を購入してもらう必要があるかを確認してください。期限に間に合わせるためには、数週間(あるいは数か月)以内に購入に踏み切る必要があることを見込み客に説明しましょう。
42)繁忙期や閑散期はありますか。1年で最も忙しい、または余裕のある時期はいつですか。そのような時期を迎える前に、この問題を解決する必要がありますか。
(教育、旅行、娯楽の業界など)季節によって仕事の量が変わる業種には、比較的時間の余裕があるあいだに製品の購入を済ませることが、非常に重要である企業が多く存在します。
43)弊社の製品で問題がすぐに解決したら、どのような点が助かりますか。
問題が予定より早く解決して嬉しくない人はいません。この質問をすることで、相手の口からメリットを実際に語ってもらってください。