顧客がカスタマーサポートに問い合わせを行うチャネルには、電話・メール・チャット・SNS・FAQページなどがあります。数多くあるチャネルのなかでも、メールは多くの世代にとって親しみがあり、ビジネスシーンでも日常的に利用されていることから、電話と並ぶ主要な問い合わせ窓口です。
メールで適切な対応をとることができれば顧客満足度の向上につながりますが、書き方を間違えると大きなトラブルに発展してしまう可能性もあります。
この記事では、迅速で正確な回答をするために用意しておきたいメールの例文を紹介します。あわせて、メールを使うメリットや返信のポイント、メール対応で起こりがちな問題と対策なども解説します。
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カスタマーサポートで使えるメール例文5つ
ここでは、次の状況別メール例文を紹介しています。
- 問い合わせ・質問に対する回答
- クレームや苦情に対する回答
- すぐに返信できない場合の回答(一次回答)
- サービス改善・要望に対する回答
- お礼を伝えられた場合の回答
1. 問い合わせ・質問に対する回答
問い合わせや質問への回答を送る場合は、まずは件名に「何の問い合わせへの回答なのか」を明記することが重要です。
また、本文にも問い合わせ内容と、それに対する回答をはっきりと記載するようにしましょう。
■例文
件名:〇〇に関するお問い合わせについて
〇〇様
大変お世話になっております。株式会社〇〇 カスタマーサポート部門の〇〇と申します。
この度はお問い合わせいただき、誠にありがとうございます。
〇月×日にお問い合わせいただきました〇〇の件につきまして、ご案内いたします。
【回答内容】
何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合せください。
今後とも〇〇をよろしくお願いいたします。
2. クレームや苦情に対する回答
クレーム対応など、顧客に謝罪をしなければならない場合は、丁寧で迅速な回答がマナーです。また、過去に同様のクレームがあったかどうか確認してから回答すれば、スムーズに案内できるでしょう。
本文にはクレームが発生した要因と、今後の対応と対策を記載してください。
■例文
件名:〇〇に関するお詫び
〇〇様
大変お世話になっております。株式会社〇〇 カスタマーサポート部門の〇〇と申します。
〇月×日にお問合せいただいた〇〇の件ですが、
【クレームに対する回答・要因】
この度は、こちらの不手際により〇〇様にご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございません。
今後は【対策内容】を徹底し、再発防止に努めて参ります。
重ねて、この度は誠に申し訳ございませんでした。
今後も変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。
3. すぐに返信できない場合の回答(一次回答)
問い合わせにすぐ返信できない場合は、その旨と返信できない理由、回答期限を明記しましょう。
■例文
件名:〇〇に関するお問い合わせについて
〇〇様
大変お世話になっております。株式会社〇〇 カスタマーサポート部門の〇〇と申します。
この度はお問い合わせいただき、誠にありがとうございます。
お問い合わせいただきました〇〇の件につきましては、社内にて確認し、本日より〇営業日以内に回答させていただきます。
お時間をいただき大変申し訳ございません。今しばらくお待ちいただければと思います。
何卒よろしくお願いいたします。
4. サービス改善・要望に対する回答
顧客からの要望は商品の開発や改善のために有益なものです。そのため、まずは感謝の言葉を述べましょう。社内の関連部署にも共有し、サービス改善に役立ててください。
■例文
件名:〇〇に関するお問い合わせについて
〇〇様
大変お世話になっております。株式会社〇〇 カスタマーサポート部門の〇〇と申します。
この度は〇〇についてのご要望をいただき、誠にありがとうございます。
いただいた内容は関連部署に共有し、今後の開発・改善の参考にさせていただきます。
今後とも〇〇をよろしくお願いいたします。
5. お礼を伝えられた場合の回答
顧客からお礼を伝えられたときには、ポジティブな言葉で感謝の気持ちを伝えましょう。
■例文
〇〇様
大変お世話になっております。株式会社〇〇 カスタマーサポート部門の〇〇と申します。
この度は嬉しいお言葉をいただき、感謝申し上げます。
今後もより良いサービスをお届けできるよう尽力いたします。
ご利用いただくなかでご不明な点などございましたら、お気軽にお問い合せください。
今後とも〇〇をよろしくお願いいたします。
カスタマーサポートでメールを使うメリットとは
電話やチャット、SNSなど、カスタマーサポートのチャネルの選択肢は多数あります。そのなかでメールを使うメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、カスタマーサポートでメールを使うメリットを3つ紹介します。
コミュニケーションの失敗やトラブルを抑止できる
メールはメッセージの受信から返信まで時間的な余裕があります。そのため、冷静に対応でき、コミュニケーションの失敗や確認不足によるトラブルを最小限に抑えられます。
顧客の中には、伝えたいことを口頭でまとめることが苦手な方もいます。文章にすることで内容を整理できるでしょう。
カスタマーサポートにとっても、特に顧客のクレームを電話で対応する場合、精神的負担が大きくなります。それらの対応も落ち着いてできることがメリットです。
課題解決スピードが早くなる
メールには受付時間の制約がないため、顧客は時間や曜日を気にせずに問い合わせが可能です。
カスタマーサポート側でも文章によって正確に状況が把握でき、認識の相違や情報不足も減らせるため、結果的に課題解決までの時間を短縮できます。
やりとりの記録・保存ができる
文章の大きなメリットは、記録を残せることです。過去に同様の問い合わせがあったことも記録で確認できるため、顧客への案内もスムーズにできるでしょう。部署内での情報共有もしやすく、対応方法やナレッジの共有も簡単です。
さらに、万が一裁判などに発展した場合でも、やりとりを証拠として提出できる点もメリットです。
カスタマーサポートにおけるメール返信のポイント
ここでは、カスタマーサポートにおけるメール返信のポイントを紹介します。
内容を明確にする
メールの内容は誰が見ても理解できるように、要点を簡潔にまとめなくてはなりません。会社名や問い合わせ内容、署名を必ず入れて、「あの問い合わせの回答だ」とすぐにわかるようにしましょう。
内容も箇条書きを使ったり、参考URLを記載したりして、わかりやすくまとめることを意識しましょう。
すぐに回答ができない場合は一次回答をする
調査や確認が必要ですぐに回答ができない場合は、ひとまず一次回答を送るようにしましょう。回答が遅いと、顧客は不安になり、不信感を覚えます。
一次回答では、改めて回答する日時、回答に時間がかかる理由を明記しておくと、顧客の不安も軽減されるでしょう。
クレーム・苦情に対する回答は迅速に
クレームや苦情が来た場合は、できる限り迅速に返信する必要があります。クレームを送る顧客は、基本的に自社に対して良い印象を抱いていません。そのため、待たせてしまうとさらに不満を増長させる可能性があります。なるべく優先して対応し、誠意を見せましょう。
専門用語は使わない
顧客への問い合わせ回答では、専門用語などの難しい言葉は使わない方が良いでしょう。専門用語が入っていると、顧客に内容を理解してもらえない可能性があるからです。
また、なかには専門用語が入っていることで不快に感じる顧客もいます。誰もが理解できる言葉に言い換えて回答するのがポイントです。
クッション言葉を使う
クッション言葉を使うことで、伝えにくい言葉を柔らかくする効果があります。
例えば、顧客に何か行動を依頼するときや、顧客からの要望を聞き入れることができないときなどに、「恐れ入りますが」「大変恐縮ですが」「ご希望に沿えず」などの言葉を挟むことで、柔らかく伝えることができます。
定型文は定期的に見直す
メール対応では、問い合わせ回答や苦情への回答など状況に応じた定型文を用意しておくことで、スタッフによる応対品質の差を最小限にできます。しかし、定型文を見直さないまま使い続けると、現状に合わなくなることもあります。定期的にチェックして加筆・修正し、常に最新の状態にしておきましょう。
商品の仕様やサービス内容が変わった場合は、定型文を見直すチャンスです。そのようなタイミングでは問い合わせも増えるため、サポート体制を整える意味でも定型文を見直すと良いでしょう。特に新商品をリリースする場合は、応対品質を均一化するため、事前にスタッフ向けの説明会を開くなどの対応もおすすめです。
カスタマーサポートのメール対応で起こりがちな問題と対策方法
電話よりも冷静な状態で回答でき、問い合わせ記録も残しやすいメール対応。しかし、気を付けるべきポイントを押さえておかないと、大きなミスにつながる恐れがあります。
メール対応で起こりがちな問題とその対策方法を5つ紹介します。問題が生じた場合のリスクをスタッフに共有し、対策方法をマニュアルなどにまとめておくことをおすすめします。
問い合わせメールの返信漏れ・二重返信
次のような状況が発生した場合は、返信漏れや重複返信が発生するリスクが高まります。
- 問い合わせ数が多く、返信待ちのメールが増加
- サポート担当者のリソースが不足
- サポートチーム内の連携や情報共有が不足
サポート部門には、多種多様な問い合わせメールが届きます。問い合わせ内容の難易度や優先度も異なるため、問い合わせに対する調査や返信に取り組む前にスケジューリングを行い、未着手・対応中・返信済みなどの各ステータスを関係者で共有する作業が必要です。
エクセルなどのスプレッドシートを管理表として利用すれば、問い合わせ状況の共有やサポート担当者の割り振り作業を行えますが、メールの問い合わせ数が多いと管理が難しくなります。
例えば、スプレッドシートを使っているケースでは、ステータスの更新や共有のあいだに、重複返信が発生してしまうリスクがあります。返信漏れ・重複返信を防止するためには、リアルタイムに更新と共有が可能な専用のメール共有システムの導入が有効です。
サポート担当者のスキルによる応対品質のムラ
より多くの顧客に満足してもらうには、担当者によるスキルのバラツキを小さくする施策が必要です。
複数の担当者でメール対応を行うと、スキルによる返信品質の差が生じやすくなります。そのため、よくある質問なら定型文を用意しておくと便利です。ただし、定型文に頼り過ぎても返信が画一化してしまう可能性があるので注意しましょう。定型文をこまめにメンテナンスする体制も必要です。
顧客への返信の品質を一定に保つために、顧客への返信前に他の担当者に添削してもらう体制も有効です。この作業を効率化するために、メール共有システムの導入を検討してみましょう。メール共有システムを利用すれば、定型文の作成や共有によって返信品質のムラを減らせます。さらにメールの添削・確認依頼が簡単にでき、履歴も残せるため、対応時間の短縮にもつながるでしょう。
返信まで時間がかかる
カスタマーサービスの現場では、すぐに解決できる問い合わせから解決に時間のかかる問い合わせまで、多種多様なメールが届きます。特にクレーム対応では、事実確認や返金保証の調整など、返信するまでに必要な準備に時間がかかってしまいます。
そこで、顧客を待たせないように、まずは問い合わせを受け取ったことを知らせる一次返信のルールを決めておくこともひとつの方法です。
その際には、次のような一次返信用の定型文を準備しておくことにより、サポート担当者のスキルによる対応の違いを軽減できます。また、問い合わせを行った顧客に安心感を与える効果も期待できます。
- 問い合わせのお礼、もしくはお詫び
- 問い合わせメールを受け取った旨の通知
- 回答期限
メールの宛名・宛先アドレス間違い
情報漏洩による企業リスクが高まるなか、宛名・宛先アドレスを誤って記入することで起こる誤送信は、絶対に避けなければなりません。企業の信用に直接影響を与えるだけでなく、競合他社に情報漏洩してしまった場合は賠償問題に発展するリスクもあります。
そこで、社内のサポート担当者で宛名・宛先アドレス間違いを起こさないルールを検討し、策定したルールを徹底する仕組みを構築しましょう。
例えば、「メールアドレスを手打ちしない」「一画面に複数案件を開いてメール対応しない」など、問い合わせメールの対応を組織内で徹底することで、トラブルの発生リスクを下げることができます。
万が一、誤送信が発生した場合は、事態収拾のための迅速な対応が重要になります。社内での連絡体制や、顧客に送付するメール本文のテンプレートなどを記載したトラブル対応マニュアルを作成しておきましょう。
顧客データベースを活用できていない
顧客からの問い合わせに数回に渡って対応する場合には、過去の問い合わせ履歴が必要になります。例えば、顧客から同じ内容の問い合わせを複数回受けている場合には、過去の対応を把握した上で解決策の提案が必要です。また、問い合わせの際に過去の問い合わせ履歴を考慮することにより、顧客が納得感や安心感を得られやすくなります。
別の顧客から同じ内容で問い合わせが複数あった際も、返信内容の品質を保ちつつ、迅速な返信が可能です。顧客データベースと過去の問い合わせ履歴を連携させたシステムを活用することで、サポート品質を向上できます。
カスタマーサポートのメール対応の質を高めよう
電話よりも落ち着いて対応ができ、問い合わせ履歴の記録や保存もできるメール対応。カスタマーサポートでのメール対応は、多くの企業で取り入れられています。メール対応で顧客満足度を上げるためにも、電話や他のチャネルと同様、丁寧で正確な対応を意識することが重要です。
今回紹介した例文やメール返信のポイント、よくあるトラブル例とその対策方法を参考に、カスタマーサポート部門の問い合わせ対応スキルを強化していきましょう。質の良いサービスを提供することで、顧客満足度の向上につながるはずです。