アンケート調査は顧客体験を高めるために有効です。アンケートでは、多くの人からフィードバックを通して、見込み客が潜在的に持っているニーズを引き出し、潜在ニーズを購買欲求へと醸成させるヒントを見つけることができます。
信頼できる回答を得るためには、アンケート設計から依頼文まで工夫をする必要があります。ただし、質問を並べたアンケートからは、顧客体験を高めるヒントは得られません。
本記事では、顧客体験向上に繋がるアンケートの作成手順を解説したうえで、失敗しないポイントを紹介します。
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アンケート作成の8つの手順
アンケート作成では、具体的な回答者の設定や設問順の調整、依頼文にまで工夫をする必要があります。質問を羅列しただけのアンケートでは、見込み客が潜在的に持っているニーズを引き出すことは難しいでしょう。まずは、アンケート作成手順をご紹介します。
STEP1.目標の明確化
明確な目標を立てれば、アンケートの作成から配布、結果分析までのプロセスが浮かび上がります。
目標の立て方は簡単です。アンケート調査を実施する理由を考えましょう。顧客満足度向上へ繋げることが理由なら、目標はサービスの良い点や課題をあぶりだすことになります。
設計中は紙に書いた目標を見える場所に置くのがおすすめです。目標から逸脱することなく、必要な設問だけ作成できます。
参考:The Ultimate Guide to Surveys | HubSpot
STEP2.調査対象を細かく設定する
アンケートの目標に適した調査対象を決めます。顧客満足度調査の場合、回答者はエンドユーザーとなり、下記のように属性分けできます。
- 性別
- 年齢
- 職種
- ○日以内に登録した会員
- ○日以内に登録解除した元会員
調査対象が曖昧なままでアンケート調査を実施しても、顧客体験を高めるヒントは得られません。誰に回答してもらいたいのかを意識し、具体的な属性分けを行いましょう。
STEP3.把握したい項目のリストアップ
設問を考える前に、まずは「製品満足度」や「価格」などの項目をリストアップします。新製品のマーケティング戦略立案が目的の場合は「価格」「販促」「流通」などが項目になります。
先に項目を考えることでバランスの良いアンケートが作成できます。
STEP4.設問文のリストアップ
各項目を複数の質問で深掘りすれば、顧客体験を高めるヒントを得られます。
製品について尋ねる場合、次のようになります。
- A製品にどの程度満足していますか?
- A製品を1つだけ改善するとしたら、どこを改善しますか?
- A製品を知人に勧めたいと思いますか?
高い回答率を維持しながら、項目を深掘りするためには、1つの項目に対し3~5問の質問を用意しましょう。
STEP5.設問順の調整
設問順は、回答率や結果に影響を与えます。そのため、回答者が負荷なく回答できるように調整しましょう。抑えておくべきポイントは下記のとおりです。
- 過去→現在→未来の順番にする
- 設問の難易度は徐々に上げる
- 回答を誘導するような設問順にならないようにに注意する
たとえば、「A社の製品でよく使うものはどれですか?」のあとに、「A~D社の中で今後も使い続けたいと思うブランドはどれですか?」の設問があると、先の設問に影響を受けた回答になる場合があります。
特に調査目的のアンケートでは、結論ありきで質問が作成される傾向があります。期待する結果を得ようとするあまり、「信頼性の低い回答」を生む可能性のある設問順にならないように配慮することが大切です。
STEP6.回答形式の選定
信頼性の高い回答を得るためには、設問内容に合った回答形式を選ぶ必要があります。代表的な回答形式の種類と特徴をご紹介します。
【単一回答】
ひとつだけ回答を選ぶ形式です。二者択一の質問、満足度や評価などを調べる際に有効になります。
例
- 以下の選択肢よりひとつだけお選びください
- 最も当てはまる選択肢をお選びください
【複数回答】
該当する全て/複数の選択肢を選ぶ形式です。市場における自社ポジションや回答傾向を掴むのに有効となります。
回答者は決まった選択肢の中からしか、回答を選べません。そのため、十分な数の選択肢を用意したうえで、該当する選択肢がない人のために「その他」を含める必要があります。
例
- 以下のブランドのうち、使用したことがあるものを全てお選びください
【自由回答】
自由にコメントを書く形式です。単一回答や複数回答では難しい重要な声や意見を得られます。
自由回答は定量化が難しく、データ分析には向いていないデメリットもあります。
例
- 当社の製品について、どう思われましたか?
- HubSpotのブログで好きな記事を教えてください
STEP7.依頼文の作成
アンケートの回答は手間がかかるものです。より多くの回答を得るには、依頼文にも工夫が必要です。ポイントは次の2点を依頼文に含めることです。
- アンケート実施目的や結果の利用用途
- 特典やクーポン
顧客を対象にアンケート調査を実施する場合、実施目的を伝えると、協働意欲を醸成できます。協働意欲を高めることで、回答率に加え、回答の質の向上も期待できるでしょう。
例
「お客様からのフィードバックは、サービス改善や新製品開発などに活用させていただきます。また、貴重なお時間を割いていただいたお礼として、特典を用意しております。」
STEP8.配信チャネルの決定
Webアンケートでは、URLやQRコードが割り当てられるため、様々なチャネルでアンケート配信を行えます。各チャネルの特徴を理解して、最適なものを選べるようになりましょう。以下が主なチャネルの特徴となります。
【Eメール】
顧客には、Eメールを開く・アンケートに回答する2つの手間が生じるため、回答率は低いです。しかし、回答に手間と時間をかけてくれる顧客は自社のファンである可能性が高く、丁寧な回答に期待できます。そのため、自由回答を入れておくのがおすすめです。特典を用意することで、回答率アップに期待できます。
【Webサイト】
十分なトラフィックがあり、エンドユーザーを対象にするのなら、Webサイトにアンケートを組み込むといいでしょう。回答率こそ高いですが、多くの設問表示はできない、質的調査には向いていないデメリットもあります。
【パネル配信】
リサーチ会社のパネルに配信する方法です。商品認知度や消費者意識調査などに向いています。一方、年齢や地域などの簡単な属性分けとなるため、顧客満足度のようなエンドユーザーを対象にした調査には向いていません。設問数と配信者数が多くなるほど、料金は高くなります。
アンケート作成で失敗しないための5つのポイント
顧客体験向上に繋がるアンケート作成には、回答者の視点に立ち負荷なく回答できるアンケート設計が必要です。ここからは、アンケート作成で失敗しないポイントをご紹介します。
1.回答者が理解しやすい表現を使う
アンケートでは、回答者となりうるターゲット層が理解しやすい表現を使用します。専門用語の使用を控え、回答者の視点に立った表現を心掛けましょう。
2.設問数は絞り込む
アンケート作成において設問数は悩みどころです。
設問数が少な過ぎると、分析や検証に十分な量のデータは得られません。一方、設問数が多すぎる場合は、回答者の負担が大きくなり途中離脱に繋がります。
最適な設問数は、アンケート実施目的や質問内容などによって異なるものの、アンケート種類によって設問数はある程度決まっています。
マーケティング目的のアンケート調査では、回答時間は10~15分程度、設問数は約15~20問が最適です。
これらはあくまでも目安となります。重要なのは、回答者の負担が少ないアンケート設計をすることです。
3.1つの設問で2つ以上のことを尋ねない
たとえば、「この製品の使い心地や満足度についてご自由にお答えください」という質問では、「使い心地」と「満足度」の2つについて尋ねています。
このような設問は回答者の混乱を招くうえ、曖昧な回答が増える原因となるので注意が必要です。
1つの設問につき、尋ねることは1つだけにすることがポイントです。
4.「特にない」を減らすように努める
回答者の絞り込みを行っていなければ、「特にない」が増えてしまいます。「特にない」が多いアンケートでは、正確なデータは得られません。
回答者の絞り込みを行うことで、選択肢の漏れを少なくして、「特にない」の数を減らすことが重要です。
たとえば、高齢者を対象にネットショッピングに関する下記のアンケート調査をしたとします。
質問:ECサイトを利用しない理由について教えてください
- 実店舗で購入したいから
- 決済手段のセキュリティに不安があるから
- 事業者を信頼できないから
- 特にない
この設計の場合「特にない」の回答が増える可能性が高くなっています。理由は「興味はあるが使い方が分からない」など他に想定される選択肢が漏れているからです。
まずは細かな回答者の条件設定を行いましょう。そして、回答者の視点に立ち、選択肢を厳選することで、「特にない」を減らせます。
5.スマホからもスムーズに回答できるUI設計を意識する
アンケートの見た目や操作性は、完了率に影響を及ぼします。 どのデバイスからでもスムーズに回答できるUI(ユーザーインターフェイス)設計が必要です。
アンケート設計を行う際に意識するポイントは次の通りです。
- 簡潔な質問文にする:長すぎる質問文は回答者の負担になります。1つの質問文の文字数は30~40字程度にしましょう。
- 質問をグループに分ける:関連する質問をグループ化して、見出しを付けましょう。回答者の負担を減らす論理的なアンケートになります。
- ドロップダウン形式を減らす:ドロップダウン形式だと、回答するまでに2タップ必要です。ユーザーの負担となるため、選択肢は全て表示するようにしましょう。
- プログレスバーを表示する:回答者にとって、終わりの見えないアンケートは苦痛です。プログレスバーを表示して、残りの質問数を伝えましょう。
- 数字を避ける:満足度や度合いを尋ねる際は「1」や「5」のような数字ではなく、「非常に満足」や「やや不満」のような言葉を使いましょう。数字だと回答者が混乱してしまいます。
Webアンケート作成ツールを使ってみよう
アンケートのデザイン設計から配布、集計までスムーズに実施するには、Webアンケート作成ツールがおすすめです。
Webアンケート作成ツールを使えば、複雑なアンケート設計が簡単にでき、瞬時に分析結果を得ることができます。
一番のメリットは、複数部署でアンケート結果を円滑に共有できることです。
アンケート調査は、顧客体験を向上するために実施します。したがって、調査結果は顧客接点を持つ全部署で共有されることが求められます。
マーケティング部が実施した調査結果は、営業部や製品開発部などでも活用できるでしょう。
Webアンケート作成ツールを使用すれば、適切な集計データの管理、および円滑に他部署とのデータ共有を行えます。
Webアンケート作成ツールを使い、アンケート設計からデータ共有、そして複数部署での顧客理解を推進しましょう。
Webアンケート作成ツールのメリットやおすすめツールについては、こちらの記事も参考にしてください。
【無料&有料版】おすすめのアンケート作成ツール9選
回答者の視点に立ったアンケートを設計し、顧客体験向上のヒントを得よう
アンケート作成における最も重要なポイントは、回答者の視点に立つことです。そうすれば、回答者の負荷を減らしつつ、顧客体験向上に繋がるアンケート設計ができます。
アンケート作成には、ツールやテンプレートが役に立ちます。特にアンケート作成ツールを導入すれば、適切な集計データの管理と複数部署で円滑なデータ共有を行える環境構築が可能です。
回答者の視点に立ったアンケート設計を行い、顧客体験向上のヒントを得たら、複数部署で共有しましょう。そうすることで、真の顧客体験の向上を図れます。