アンケートは顧客の満足度やニーズを調査し、顧客理解を深めるための有効な手段であり、良質な回答と十分な回答数が得られれば顧客へのフィードバックに役立ちます。
一般的にアンケートは対象者に回答を協力してもらう形で実施します。そのため、回答率や回答の質を上げるためには アンケートの入口となる依頼文、およびアンケートの質問文への工夫がポイントとなります。
本記事では、基本的なノウハウが織り込まれた依頼文や質問文のテンプレートを目的別にご紹介します。自社のアンケート運用にぜひ活用してみてください。
顧客満足度アンケート作成に役立つテンプレート5選
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- NPS®(顧客ロイヤルティー指標)アンケート
- CSAT(顧客満足度指標)アンケート
- CES(顧客努力指標)アンケート
- 顧客満足度アンケート (詳細版)
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テンプレートを活用したアンケート作成
インターネット上には、多くの依頼文や質問文のテンプレートが公開されています。またアンケートツールにもテンプレートが多く用意されています。どちらのテンプレートでも、カスタマイズしてアンケートが作成可能です。
ただし、依頼文および質問文作成の際は、誰が読んでも同じ意味として理解される文面 、回答のしやすさが求められます。自社アンケートの作成にあたっては、単にテンプレートを利用するのではなく、テンプレートに含まれているノウハウを理解して活用しましょう。
テンプレートを活用するメリットとデメリット
アンケートを作成する際は、単にテンプレートを活用すればよいとは言えません。メリットとデメリットを理解して、自社向けにカスタマイズする必要があります。
メリット
・既存のノウハウを活用できる
既存のテンプレートには、表現や内容把握のしやすさ、読みやすさなどのノウハウが詰まっています。 テンプレートの活用によって、アンケート内容をゼロから作り上げる作業を省略できます。
・属人化が防げる
定型文が用いられた テンプレートを利用すれば、比較的容易に「誰が読んでも同じ意味として理解でき」なおかつ「理解されやすい文章」が作成できます。
デメリット
・自社向けのカスタマイズが必要となる
テンプレートは多くのアンケート作成者向けに作成されているため、内容が一般化されています。
良質で顧客理解に役立つ回答を収集するためには、自社の顧客向けにある程度のカスタマイズが求められます。
目的別のおすすめテンプレート
本章では、「顧客用アンケート」「社内用アンケート」「街頭・訪問調査用アンケート」のテンプレートを紹介します。
なお、アンケートツールによっては目的別のテンプレートを公開しています。例えば、マーケティングリサーチ企業のマクロミル社が提供するアンケートツール「Questant(クエスタント)」のサイトで目的別のテンプレートを参照できます。
顧客用アンケート用のテンプレート
顧客用アンケートは、対象者である「商品やサービスの利用者」「来店者」「来場者」「ウェブサイト閲覧者」に対して、「ブランド認知度」「商品利用に関する満足度」などを調査するために実施します。以下では一例として、「商品Aに関する満足度」のアンケートについて解説します。
【質問文作成のポイント】
商品の認知、購入、使用感の順番、つまり顧客にとっての時系列に沿って質問文を作成します。時系列に沿って質問することにより、対象者に回答しながら自然に思い出してもらえます。また、スムーズに回答してもらうために前半の質問で選択式の回答を促し、後半で自由記入欄への記入に誘います。
【テンプレート例(質問文)】
Q1. あなたは商品Aを何から知りましたか。(選択式で一択)
Q2. 商品Aをどこで購入しましたか。(選択式で一択)
Q3. 商品Aを購入した理由を教えてください(選択式で複数回答)
Q4. 商品Aにどのくらい満足していますか。(5段階評価)
Q5. Q4での回答理由をお書きください。(自由回答)
Q6. 商品Aの下記機能について、どのくらい満足していますか。(機能毎に5段階評価)
Q7. 商品Aについてのご意見がありましたら、ご自由にお書きください。(自由回答)
社内用アンケート用のテンプレート
主な社内用アンケートには、「従業員の満足度チェック」「第三者視点による評価対象者の評価」「ストレスチェック」などがあります。本章では「従業員の満足度チェック」のアンケートについて解説します。
【質問文作成のポイント】
社内での満足度調査では、無記名の方がより正直な意見を回答してもらえる傾向があります。そのため、記入者の名前に代わり、性別、年齢、部署、役職などの属性を回答してもらい、それぞれの属性を掛け合わせたクロス集計を行うことが一般的です。
目的に対する調査事項として仕事の内容、査定や給与の納得度、職場環境、教育制度、人間関係、公私のバランスなど、多方面からの質問を行い、改善点を明確にします。
【テンプレート例(質問文)】
Q1. 性別を選択してください。(選択式で一択)
Q2. 年齢を選択してください。(選択式で一択)
Q3. あなたが所属する部署に最も近いものを選択ください。(選択式で一択)
Q4. 現在の役職に最も近いものを選択ください。(選択式で一択)
Q5. 入社して何年目ですか。(選択式で一択)
Q6. 現在担当している仕事について、どのくらい満足していますか。(5段階評価)
Q7. Q6の回答理由を記入ください。(自由回答)
Q8. 会社の教育制度にどのくらい満足していますか。(5段階評価)
Q9. Q8で「不満」「やや不満」と回答した方へ:理由を記入ください。(自由回答)
Q10. 今後も現在の職場で働き続けたいと思いますか。(選択式で一択)
Q11. 仕事や職場の関する悩みや要望がありましたら、ご自由に記入ください。(自由回答)
街頭・訪問調査用アンケートのテンプレート
街頭・訪問調査アンケートには、対面で回答してもらうパターンと後日にアンケートを返送してもらうパターンがあります。最近では、スマートフォンでQRコードを読み込みその場で回答してもらう形式が増えています。街頭・訪問調査アンケートにはさまざまな目的が想定されますが、本章では、「住民アンケート」を想定して解説します。
【質問文作成のポイント】
特定地域の住民に対するアンケートの場合、行政や環境への満足度などの目的に応じた質問に加えて、性別、年齢、居住年数、家族構成、職業区分など回答者の属性調査により、クロス集計を用いた比較や分析が可能となります。また、回答者によって多種多様な回答が想定されるため、自由回答を多めに設定して、満足している点、不満に思っている点など幅広い意見の収集に留意します。
【テンプレート例(質問文)】
Q1. あなたの性別を教えてください(選択式で一択)
Q2. あなたの年齢を教えてください(選択式で一択)
Q3. あなたがA市にお住まいの年数を教えてください。(選択式で一択)
Q4. あなたと同居している方の人数を教えてください。(選択式で一択)
Q5. あなたの職業にもっとも近いものを選択してください。(選択式で一択)
Q6. A市の住み心地についてどのくらい満足していますか。(5段階評価)
Q7. Q6で「満足」「やや満足」と回答された方へ:回答理由を記入ください(自由回答)
Q8. Q7で「不満」「やや不満」と回答された方へ:回答理由を記入ください(自由回答)
Q9. 今後、A市が「取り組むべき」「改善すべき」と思うものをすべてお知らせください。(選択式+自由回答)
Q8. 今後もA市に住み続けたいと思いますか。(選択式で一択)
Q11.A市についてご意見・ご要望がございましたら、ご自由にお書きください。(自由回答)
【目的別】質問文と同じぐらい重要な「依頼文」の例
アンケート依頼文の狙いは、回答者にアンケートの趣旨を伝え、回答協力を得る点にあります。依頼文が読みやすく理解しやすいほど、回答率が上がる傾向にあります。依頼文には、アンケートの目的、分量、回答期限、アンケート結果の利用方法などを記載し、回答者へ理解を促します。また、アンケートの質問量が多い場合には、プレゼントなどインセンティブを設定し、その内容や贈答方法についても説明します。
顧客用アンケート用の依頼文例
【依頼文作成のポイント】
アンケートの実施は、顧客との良好な関係を作る目的であることを意識して依頼文を作成します。顧客との関係構築に留意した丁寧なビジネス文章を作成しましょう。
【テンプレート例(依頼文)】
〇〇年〇〇月〇〇日
〇〇〇 株式会社
〇〇〇 様
〇〇〇株式会社
〇〇〇
商品Aに関するアンケート回答のお願い
拝啓 貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、現在弊社では、商品Aをご利用いただいている皆様に、より良いアフターサービスの展開を予定しております。そこで、更なるサービス改善のため、現状のアフターサービスについてのご要望やご意見を伺いたく存じます。 つきましては、ご多忙のところ恐縮ですが、同封のアンケート用紙にご記入の上、返信用封筒にてご返送いただきますようお願い申し上げます。
敬具
記
[同封書類]
・アンケート用紙
・返信用封筒
以上
社内用アンケート用の依頼文例
【依頼文作成のポイント】
社内用アンケートは、結果がどのように利用されるかを明記すると回答者に安心感が与えられ、本音を回答をしてもらいやすくなります。また、社員に回答してもらうアンケートのため、依頼文は丁寧でありつつも理解しやすさに重点をおきます。
【テンプレート(依頼文)】
〇〇年〇〇月〇〇日
各位
人材育成制度の利用状況調査へのご協力願い
〇〇部〇〇課
昨年より導入された人材育成制度につきまして、利用状況の把握を目的に、社員の皆様の意識調査を下記の要領で実施いたします。
つきましては、同封のアンケート用紙に必要事項をご記入の上、総務部までご提出いただきますようお願い申し上げます。
記
1.調査対象期間 〇〇月〇〇日 ~ 〇〇月〇〇日
2.調査内容 人材育成制度の利用状況と社員の意識調査
3.質問事項 (1)人材育成制度の利用状況
(2)カリキュラムの内容や期間について
(3)課題、改善点 他
4.提出期限 〇〇月〇〇日
以上
街頭・訪問調査用アンケートの依頼文例
【依頼文作成のポイント】
街頭でのインタービュー形式、調査員が対象者の自宅などに訪問して実施するアンケート形式では、回答がすぐに得られ、回答率が高い傾向があります。一方、記載内容によっては回答を拒まれるケースもあるため、アンケートの目的や必然性を簡潔に分かりやすく説明することが大切です。
【テンプレート】
ここでは令和2年に行われた国勢調査実施について簡潔に解説した資料を紹介します。文章のみの依頼文とは異なりますが、イラストや記号、セリフを用いることでひと目でアンケートの目的や手順を理解してもらうための工夫が施されています。
引用:牛久市役所「 令和2年国勢調査にご協力ください!(2020年9月11日更新) 」より
テンプレート活用の注意点
一般に公開されているアンケート用テンプレートは、幅広い利用者に向けて作成されているため内容が一般化しています。より良質な回答を得るためにも、アンケート目的に応じたカスタマイズを施しましょう。
紙をつかったアンケートはテンプレートが充実しており、カスタマイズしやすいですが、最近では、回答率向上のため、スマートフォンやパソコンでのアンケートも増加しています。
スマートフォンでの回答を予定しているアンケートでは、質問文のカスタマイズに加えて、操作性を重視した画面設計が重要 です。
回答しやすいように、入力しやすい画面設計を心がけましょう。特に、質問量が多く何ページにもわたる場合や、入力すべき箇所が多いなど操作性が悪い場合は、アンケートから離脱される可能性が高まるため留意してください。
また、テンプレートを活用してアンケートを手軽に実施できたとしても、その後の集計を疎かにしては意味がありません。回答情報を分析可能な状態で管理し、開発、マーケティング、営業、カスタマーサポートなどあらゆる部署が活用できる状態にしておけると良いでしょう。
なお、当社HubSpotが提供している「Service Hub」(有料)に実装されている顧客フィードバック機能を活用すれば、顧客理解を深め、長期的な関係構築を前提にしたアンケートを実施しやすくなっています。
HubSpot CRM(無料)と連携しており、アンケート内容は自動的にCRMに蓄積されていきます。アンケート回答結果やカスタマーサポートへの問い合わせ内容、閲覧ページ、ダウンロードした資料などあらゆる行動履歴がCRMで確認できるため、顧客理解を深めやすい仕様です。
テンプレートを活用しながら、顧客へも還元を改善していフィードバックに活かそう
アンケートを単なる調査手段と考えて取り組んでいると、回答率や回答品質の向上は望めません。 アンケートを実施する際は目的を明確化し、回答を促す依頼文や質問文の設計を心がけましょう。
ただし、オリジナルのアンケート設計は時間も労力もかかります。まずは、本記事でご紹介したような インターネット上やアンケートツールで公開されているテンプレートを利用してください。その内容をもとに、自社独自の依頼文や質問文へとカスタマイズし、顧客理解に努め、フィードバックに活かしましょう。
アンケート作成の概要については、別ページ で解説しています。ぜひアンケート作成の参考にしてください。