従業員が100人を超えたとき、HubSpotが経験した変化とは? 〜会社が成長すれば適切なコミュニケーションのあり方も変わる〜

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Brian Halligan
Brian Halligan

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以下にご紹介するコメントの中で、最も有益なものを選ぶとしたらどれになるか考えてみてください。

HubSpotDublinOffice

これらは2009年にHubSpot社内で実施したネット プロモーター スコア(NPS)のアンケート調査で従業員から寄せられたものです。このアンケートでは、「HubSpotに入社することを友人にどれくらい勧めようと思いますか? 1~10の点数で答えてください」というシンプルな質問に回答してもらいました。NPSは55でした。従業員数100人ほどのスタートアップ企業としては上出来です。正直、私は寄せられたコメントの多くにすっかり気を良くしていました。

  • さまざまな変更点について、その方法や理由をきちんと説明してもらえる。
  • 経営陣がすばらしい。伝えたいことや、業務の改善についての意見に耳を傾けてくれる。
  • 頭の切れるすばらしい人たちばかりだが、社歴が長い私には、会社の成長に伴う深刻な問題が目に付く。あまりに急速な成長は決して良いことではない。

私はかなりカジュアルなコミュニケーションのスタイルを好んでおり、創業から3年の時点では、それがうまくいっていると評価されていました。

では、3つ目のコメントはどう考えたらよいでしょうか? そのときの私には、これが好意的な意見なのか批判的な意見なのか判断がつきませんでした。しかし、今になって思えば、それは従業員たちの間で不満が募り始めている兆候だったのでしょう。1年後、従業員数は150人を超えていました。ここで改めて従業員の満足度を調査したところ、NPSは29となりました。26ポイントもの急激な悪化です。

このときの調査では、次のようなコメントが数多く寄せられました。

  • 急成長している会社の実態に合わせて社内のコミュニケーションの方法を大幅に見直すべき。
  • 既に中規模の会社なのに、いまだにスタートアップ企業のようなことをやっているので、急激な変化への対応に困ることがある。上層部が日々何をしているのかわからず、会社としての動きが予測不能。

「対応に困る」。これにはビックリしました。

アーカイブを読み返していてこのようなコメントを見つけると今でも心苦しく思います。言うまでもありませんが、こうしたネガティブな意見が寄せられたのはコミュニケーションのあり方に問題があったからでした。これはコミュニケーションの起点となる経営者の責任です。

こんなとき、会社の成長に合わせて経営スタイルを調整する手立てはあるのでしょうか? 従業員のコメントにあったように、やはり大幅な見直しが必要なのでしょうか?

その後の展開をお伝えしましょう。翌年に実施したNPSのアンケート調査では、スコアが52まで回復していました。この改善の裏には、経営陣全員の協力がありました。私たちは問題の種類に応じ、それぞれ別々の方法で対処したのです。

そのとき私が見いだしたコミュニケーションテクニックを以下にご紹介します。どれも拡大期に入った企業には不可欠なものです。大きな組織を運営するうえで絶大な効果を持つので、ぜひ参考になさってください。

1. 繰り返し伝える。

「どんな相手でも自分の意見や意図を完璧に理解し、伝言ゲームの末端にいる人にまでそのメッセージが正確に伝わるだろう」 –– 何かを伝えようとするときには、そういった甘い考えを捨てなければなりません。

伝えたいメッセージは、口癖になってしまうほど繰り返し言葉にする必要があります。

だれかが自分の発言を聞き、途中から言葉を引き取ってくれるようになれば、目標は半ば達成されたと言えます。

伝えたいメッセージを「理解してもらう」のは容易ではありませんが、これができるだけでは不十分です。

メッセージを「覚えてもらう」ことはさらに困難ですが、それができてもまだ安心できません。

自分がいない場でもメッセージを「反復してもらう」ことができるようになって、ようやく一安心です。

2. 優秀な「プレゼンター」になる。

だれにでも、尊敬するプレゼンテーションの名手が何人かいるでしょう。しかし、その人のスタイルをまねしようとするのではなく、自分にとってしっくりくる方法を見つけて、それを磨くようにしてください。

私が自分で得意だと思っているテクニックの1つは、自分の考えをホワイトボードに書きながら説明し、何が言いたいのかを視覚的に示すことです。たとえば、過去から現在、そして未来に至るさまざまなトレンドや、顧客、パートナー、従業員のセグメントの分類などを図に描いて見せると、たいていは言いたいことが伝わりやすくなります。従業員がホワイトボードの写真を撮っていれば、自分の話が参考になったことがわかります。感想を聞くまでもありません。たまたま入った会議室でホワイトボードに似たような図が描かれているのを見つけたら、自分の言いたいことが正しく伝わっていたのだと確信してもよいでしょう。

話し方講座への参加に少し時間を割いてみたり、スピーチの技術を学ぶトーストマスターズの例会に参加したりするだけでも、自分では気付きにくい効果的なプレゼンテーションのテクニックや普段の癖を知るのに役立つでしょう。

3. 優秀な「ライター」になる。

上司のメモやブログ記事がよく考えて書かれたものであれば、部下はただ読むだけでなく、熟読してくれます。先ほどの社内アンケートに出てきた、「上層部が日々何をしているのかわからず、会社としての動きが予測不能」というコメントからもわかるように、従業員は情報が文字として書かれた状態で共有されることを望んでいるのです。

幸いにも、私はものを考えたり、アイデアをまとめたりするときに、(ホワイトボードを始めとして)常に何かを書き出しています。そのため、メッセージを書き起こす際には、情報をまとめたリスト(あるいは、縦横2行ずつの表や座標平面の場合もあります)が既に手元にあるのが常です。また、メッセージを発信するときは、Eメールを送るよりも社内のWiki(社内のWikipediaのようなドキュメント共有ツール)に投稿するようにしています。従業員のコメントを集めやすいのはもちろんですが、「いいね」の数を見るだけでもメッセージが社内の共通認識としてどれくらい浸透しているかを判断する基準となるからです。

4. 社内を歩き回る。

会社の4階で開かれていた会議が午後2時に終わり、次の会議は1階で、2時半からの予定だったとします。このようなときに、私はいつも長い長い寄り道をします。まず階段で3階に下り、フロアーを通り抜けながら従業員にあいさつします。さらに階段で2階に下り、またあいさつしながらフロアーを通り抜けるといった具合です。

従業員全員が1つのフロアーで働いているうちは難なくできることですが、会社の規模が大きくなれば、より意識的かつ意図的に自分の存在を従業員に知らせる必要があります。

5. ボディーランゲージにも気を配る

社内を歩き回ることは、必然的に自分がエネルギッシュであることを意味します。私は服装にはさして気を使いませんが、精力的な姿を見せようとは努力しています。うつむきながら肩を落とし、心ここにあらずといった姿を見せたり、話し声に疲れをにじませたりするなど、ボディーランゲージを通じて疲労が伝われば、従業員まで元気をなくしてしまうでしょう。ときには空元気も必要です。活き活きと働く従業員からエネルギーを分けてもらうことで、自分の気力が回復してきます。

6. 権限を与えて仕事を任せる。

コミュニケーションの発信源はCEOだけではありません。確定していないことや決裁が必要なことがある際、トップの回答を待つためにすべての業務をストップさせるのは非効率です。HubSpotの従業員が5人、いえ50人くらいのころまでは、私が何日にもわたって忙しく意思決定を下し、社内の全チームの足並みを揃えて同じ目標に向かわせるのが当たり前でした。

しかし、会社が拡大期に入ると、すべての意思決定をCEOが下すという構図は完全に機能しなくなりました。

そこで、私たちは担当責任者(DRI)という新たなポジションを作りました。DRIは各部門に所属していますが、特定の事項についてはCEOと同等の決定権を持ち、変更点の徹底と他の従業員への指示を社内全体に対して行うことができます。新しく責任者を得て、私の指示を待つ必要がなくなったことを、従業員たちはありがたく思っているようです。

さらに、DRI導入には予想外のメリットがありました。新たなリーダーを育てる有効な手段となったのです。

効果的なコミュニケーションは、会社が成長して規模が大きくなるにつれて、どうしても難しくなります。HubSpotではコミュニケーションの頻度を増やし、さまざまなコミュニケーション手段を組み合わせることにより、人やシステムを総入れ替えすることなく、成果を出してきました。ぜひ参考にしてみてください。

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