多くの企業が検索エンジンでの上位表示を目指していますが、これは動き続ける標的を狙うようなもので、簡単なことではありません。

例えば、Googleはユーザーニーズへの対応という名目で(SEOの「最適化」であることを強調しつつ)、2018年の1年間だけでもアルゴリズムを3,234回(英語)更新しています。

Googleが強調スニペット(英語)を導入した結果、検索ページの順位決定システムが一変したことも記憶に新しいでしょう。スニペットは、(ユーザーが知りたい)シンプルな回答をいずれかのウェブコンテンツから引用するもので、検索結果1位のウェブサイトに限らず、2位や4位のウェブサイトから引用される場合もあります。

検索結果ページの強調スニペットで疑問が解消されるようになったことで、デスクトップユーザーの34%(英語)は、他のウェブページをクリックさえしなくなりました。一見、むやみにトラフィックを上げさせないための心ない施策のようにも思えますが、そうではありません。Googleは、ウェブページの序列よりも、検索時のユーザーエクスペリエンス(英語)を優先することで、ユーザーの満足度を高めているのです。

多くの企業にとって、検索エンジンに合わせた最適化は、もはや最重要項目ではなくなりました。この10年間、Googleのアルゴリズムが絶えず変化してきたことを考えれば、市場の焦点が「ユーザーの期待に応えること」に移っているのは一目瞭然です。今回は、分かる範囲でその内情を考察した上で、ウェブサイトのユーザーエクスペリエンスを向上させることがランキングの上昇(英語)やトラフィックの増加につながる理由を説明します。

検索エンジンはエンゲージメントをどう測定している?

ここからは、ユーザーエクスペリエンスの時代においてどのような測定指標がランキング上昇と相関関係を持っているのかを掘り下げていきますが、その前に、検索エンジンの情報はあまり表に出てこないという点を強調しておきます。Googleは、コアアルゴリズムの更新時(英語)には一般に通知しますが、自社の専有情報に関しては秘密主義で知られています。

この点を考慮して、Googleなどのエンジンが優先的に評価していると考えられるユーザーエンゲージメント指標を紹介します。

モバイル最適化

2015年、モバイル最適化がSEOのランキング向上を左右する要素になることがGoogleから発表(英語)されました。検索の半分はモバイルデバイス(英語)で行われています。

Googleは、デスクトップPC、携帯電話、タブレットに対応したレスポンシブ ウェブ デザインを推奨しており、モバイルに最適化されたウェブサイトは検索エンジン結果ページ(SERP)で上位に表示されます。

これに伴って、Googleが誇る「ローカルパック」に掲載されるというメリットも生まれます。ローカルパックとは、Googleの検索結果に表示される企業3社のリストです。以前は7社(英語)でしたが、モバイルに配慮して表示件数を減らしました。

ローカル検索

セマンティック検索

先ほども述べたように、キーワードの詰め込みが推奨されていた頃と比べ、Googleのアルゴリズムは大きく変化しました。最初の変化は、Googleがキーワードそのものだけでなく、キーワードがどのように使用されているかを判断するようになったことです。この段階では、キーワードやフレーズは自然に表示されていることが必要とされ、ページの読みやすさが損なわれると、Googleでのランキングが下がる仕組みになっていました。

2013年のHummingbirdのアップデート(英語)を経て、検索エンジンのアルゴリズムは、全体的な意味を考慮するようになりました。つまり、ページとは単にキーワードを集めただけのものではないと認識できるようになったのです。例えば、「最も足が速い動物」と検索した場合、Hummingbird以前なら「最も足が速い動物」というキーワードがページの複数箇所に埋め込まれていなければ、Googleのクローラーにそのトピックを伝えることができませんでした。Googleがセマンティック検索を導入してからは、検索の意図とページのコンテンツを照らし合わせることで、優れた検索体験の提供が可能になっています。

さらに最近では、利用者の検索体験を向上するために、BERT(英語)が導入されました。BERTは、質問を入力して検索するユーザーが増えていることを受けて設計されたテクノロジーです。ある単語が前後の単語とどのように関連しているかを分析することで、検索の意図を正しく解釈できるようになっています。音声認識による検索(英語)のほとんどは質問形式なので、Googleはこの先端技術によって将来大きなメリットを享受するでしょう(Comscoreは、2020年までに検索エンジンのクエリーの半分(英語)を音声検索が占めるようになると予測しています)。

滞在時間

この測定指標は、ユーザーが検索エンジンに戻る操作を行うまでの間、ページ上に留まっていた時間の長さを指します。検索エンジンはこの測定指標を使用して、ユーザーのクエリーに対するページの関連性を判断しています。ユーザーがあるページに長時間滞在してからSERPに戻ってきた場合、そのページは他のページよりも価値があると見なされます。

2020年8月現在、W3Schoolの月間訪問者数5,000万人のうち81%(英語)が使用しているGoogle Chromeをはじめ、各種ブラウザーでは訪問者のページごとの滞在時間が追跡されています。滞在時間は、関連性と質の高さを示す重要な要素となるため、ウェブページのデザイナーは、訪問者ができるだけ長く滞在してくれるウェブサイトを設計する必要があります。

残念ながら、検索エンジンのみがアクセスできる測定指標は多数あり、滞在時間もその1つです。しかし、他のデータを利用してウェブサイトのユーザーエンゲージメントを測定する方法はまだ残っています。ページ滞在時間、直帰率、ランディングページのコンバージョンなどの測定指標を追跡することで、ユーザーがウェブサイトからどのような体験や価値を得ているのかについて重要な知見を獲得できます。

ユーザーエンゲージメントを向上する4つの方法

優れたユーザーインターフェースが検索順位の上昇につながる仕組みはご理解いただけたかと思いますが、それを実現できるかどうかはまた別の話です。ユーザーエクスペリエンスを向上させるSEO(検索エンジン最適化)のベストプラクティスとはどういうものか、具体的に見ていきましょう。

1. AR(拡張現実)を駆使する

2017年、パーソナルケアと美容グッズの専門ブランド「Sephora」は、「Visual Artist」アプリの更新版をリリースしました。自宅にいながら、口紅やアイシャドウなどの化粧品をバーチャルに試せるアプリです。ユーザーエクスペリエンスに焦点を当てた小さな変更を加えたことで、親会社であるLVMHは収益14%増のオーガニックグロースを記録(英語)しました。

ARは、中小企業にとっても身近な存在になりつつあります。例えば、眼鏡の通販サイトでは、AR機能を使って商品を試着できるシステムを構築し、ユーザーのエンゲージメントを高めています。

また、新製品の発売を消費者にオンラインでも楽しんでもらえるように、このテクノロジーを活用した事例もあります。スニーカーブランド「Jordan Brand」は、スニーカー「Air Jordan III Tinker」の発売時にAR機能を使った購入体験(英語)を提供しました。Snapchatのコードをスキャンし、Shopifyで購入すると、その日のうちに地域の配送センターから靴が届けられる仕組みでした。

2. インタラクティブ要素を追加する

ユーザーエンゲージメントを向上するということは、簡単にいえば、ウェブサイト訪問者の注意を引く方法を見つけることです。最上級の検索エクスペリエンスを実現するには、ユーザーの時間を占有(しながら価値も提供)できるインタラクティブなツールとアクティビティーが不可欠です。

賃貸住宅のウェブサイトに住宅ローンの計算ツールを表示したり、レスポンス性の高いチャットボットを設置したり、ランディングページにその場で回答してもらうユーザーアンケートを用意したりと、シンプルなものでも十分な効果が期待できます。その例として、眼鏡ブランド「Warby Parker」では、自分に合ったフレームが見つかるオンラインクイズ(英語)を提供することで、処方付き眼鏡のオンライン購入体験を強化しています。簡単な質問に答えると、似合うスタイルについてアドバイスが提示されるので、訪問者の購買意欲が刺激されます。

Warby Parkerの眼鏡診断実際、SEMrushなどのツールを使用して、人気の高いウェブサイトのトラフィックの多いページ(英語)を調べてみると、インタラクティブな要素が多く取り入れられています。そうした要素がユーザーをつかんで離さないのです。イベント測定を設定しておけば、ユーザーのエンゲージメントにどれほど貢献しているかをGoogleアナリティクスによって分析できます。

3. 動画コンテンツを追加する

多くのマーケティング担当者が、動画コンテンツによってページの表示速度が低下し、直帰率が激増してしまうのではないかと不安に思っていることでしょう。妥当な懸念ですが、リスクを冒す価値はあるかもしれません。映像情報は人間の脳にとって処理しやすく、ウェブページの滞在時間が2.6倍長くなる(英語)ことも明らかになっています。動画を適切に配置すれば、滞在時間が伸び、ランキングが上昇します。

トヨタ自動車では、北米向けSUV「4Runner」のChoose Your Wildキャンペーン(英語)にインタラクティブな動画コンテンツを取り入れました。オフロード走行をバーチャルに体験できるこの動画コンテンツによって、邪魔するのではなく楽しんでもらいながら、見込み客を惹きつけると同時に、顧客の嗜好や情報を収集することができます。

4. 「リードマグネット」を意識する

優れたユーザーエクスペリエンスを実現する効果的な方法を挙げてみると、意外にも革新的なものばかりではありません。リードマグネット、つまり「見込み客を引き寄せる磁石」とは、CTA(Call to Action)付きのコンテンツを指します。これもデジタルマーケティング業界では、特に目新しい手法ではないものの、ニーズを理解し、適切なコンテンツを制作することで、ユーザーの心をつかみ、行動を喚起できるようになるのです。

ユーザーフレンドリーなウェブページを重視しているGoogleの取り組みを突き詰めて考えると、上位に表示されているページは、価値あるコンテンツリソースだということが分かります。ユーザーエクスペリエンスを向上させることは、同時に、コンバージョン最適化を優先することにもつながるのです。

このアプローチを採用しているのが「Bidsketch」です。提案書作成ソフトウェアを提供する同社では、メールアドレスを登録してもらう代わりに、無料で提案書のサンプルを提供(英語)しています。OatmealやBuzzFeedなどのコンテンツの多いウェブサイトでは、クイズを提供することでメールアドレスを入手しています(ユーザーエンゲージメントや滞在時間の向上にもつながります)。リードマグネットとして、スプレッドシート、チュートリアル、ジェネレーター、計算ツールなどの無料コンテンツを活用してみましょう。

有意義かつ価値のあるコンテンツでユーザーのエンゲージメントを向上させれば、訪問者の満足度も高まり(場合によってはブランドへの支持も取り付けられ)、さらにはGoogleの検索結果ページでの表示順位も上昇します。

AR、インタラクティブ要素、動画コンテンツ、リードマグネットなど、どのアプローチを採用してもかまいません。エンゲージメントを獲得できれば、ユーザーエクスペリエンスとSEOにも大きな成果が生まれるはずです。

 

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2021年に捨てるべきSEOにまつわる21の誤解

元記事発行日: 2021年6月28日、最終更新日: 2022年1月12日

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