ウェブサイトを作成し集客に活かしたいと思ったら、「CMS」と「CRM」について理解し、両者を活用することが重要です。
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簡潔に解説すると、CMSはウェブサイトを作成・更新するためのシステム、CRMは顧客情報を管理し適切なタイミングでマーケティングを実施するためのシステムです。
このように役割の違う2つのシステムですが、連携することによりウェブサイトによる集客効果を最大限に発揮できます。
本記事では、CMSとCRMの主な機能や連携方法、おすすめのツールについてご紹介します。
冒頭でもご紹介しましたが、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)はウェブサイトを作成・更新するためのシステム、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)は顧客情報を管理するためのシステムを指します。似たような字面をしていますが、その役割は大きく変わるといえます。
一方で、ウェブを活かした集客を行うシステムという点では一致しており、また両者は連携することでさらに大きな集客効果を発揮します。具体的には、CMSでウェブサイトを構築してコンテンツを更新し、CRMでウェブサイト上のリードの動きややり取りを分析してアプローチに活かします。
ここからは、それぞれのシステムの詳細についてご紹介します。
CMSは現在、これからウェブサイトを作成したいと思ったらほとんどの企業が利用することになるシステムです。
CMSを使わずにウェブサイトを構築・更新したいとなった場合、基本的にはデザインを一から作成することになり、制作会社へ支払う代金はかなり高くなるでしょう。また、1ページを更新するにも制作会社へ依頼しなければなりません。
CMSはこのような課題を解決するシステムであり、製品によっては専門的な知識がなくてもウェブサイトの構築を行うことができ、更新はブログサービスを利用するかのように簡単です。
また、マーケティングの基盤となるCRMを始めとした外部ツールと連携しやすい点もメリットといえます。
CMSは基本的に、以下のような機能を備えています。
CMSの基幹となる機能は、名前にもなっているコンテンツ・マネジメント(コンテンツの管理)です。
CMSではウェブサイト構築に必要なデータや画像データ、テキスト、システムなどが保存されており、それを任意の形で出力する役割を担っています。
これにより、例えばCMSにブログ機能を搭載した場合、画像を任意の場所に入れたりテキストを編集したりすることで記事が出来上がります。
全てのCMSには、コンテンツをウェブサイト(場合によってはモバイルアプリなどの他のデジタルチャネル)に公開するためのインターフェイスがあります。
CMSや拡張機能にもよりますが、公開機能はコードベースの必要最低限のツールから、表示される状態を確認しながら作業できるWYSIWYG(見たまま編集)エディターまで、さまざまです。WYSIWYGエディターでは、コーディング不要でページを編集でき、多くの場合、ドラッグ&ドロップでの操作が可能です。
一般的にCMSには、公開前のコンテンツのプレビューや、ページの公開スケジュールを設定する機能も用意されています。
テーマは、色、フォント、レイアウトなど、ウェブサイトの外観を設定するための機能です。ウェブサイトの機能性を高める特殊なウィジェットが含まれることもあります。テーマは通常、オンラインマーケットプレイスからダウンロード購入できますが、CMSに何点か付属している場合もあります。
テーマと混同される機能として「テンプレート」がありますが、テンプレートはページの種類ごとに用意しておくページレイアウトを指し、多くの場合、テーマ内に設定されます。ウェブページをゼロから作成しなくても、ホームページ、ランディングページ、製品ページ、ブログ記事などのテンプレートを活用できます。
なお、テーマ機能とテンプレート機能共に、デスクトップ、モバイル、タブレットなどのデバイスごとに異なる画面サイズに応じてレイアウトが変更されるレスポンシブデザインに対応している必要があります。
多くのCMSには、コンテンツをオンラインで管理、公開できるだけでなく、トラフィック、ページ閲覧回数、直帰率、使用デバイス、地域などの主要な指標を追跡するための分析ツールが含まれています。
このような指標はダッシュボードにまとめて表示されるので、ウェブサイト全体の状況を詳しく把握できます。
CMSに分析機能が組み込まれていない場合は、Google アナリティクスのようなサードパーティー製ツールとの連携が必要になりますが、簡単に連携できる機能が提供されていることがほとんどです。
優れたCMSを導入すると、単にウェブサイトを構築するだけでなく、SEO対策を行えるサポート機能が利用できます。
これによりGoogle などの検索順位向上が期待でき、多くの人に訪問してもらうことが可能になります。
標準搭載のツールや拡張機能を駆使して、XMLサイトマップの作成、301リダイレクトの追加、ウェブサイトのパフォーマンス向上、ページのメタデータの最適化などを行うことができます。
ページテンプレートやコンテンツエディターなどの組み込みのブログ作成ツールを使用すると、オンラインビジネスで簡単にブログの公開を開始し、コンテンツマーケティング活動を後押しすることができます。
実際、CMSとして最も普及しているWordPressは、ブロガー向けのCMSとして始まり、現在もブログ向けとして広く認知されています。
CMS単体ではウェブサイトに必要な多様なニーズを網羅できない場合もあるため、拡張機能が用意されています。
eコマースや会員機能、SEO対策、ユーザーインターフェイスの強化など、CMSの標準機能では満たせないニーズには、追加のソフトウェア機能によって対応できます。
CMSについてさらに詳しくは、以下コラムをご覧ください。
CRMソフトウェアは、個々のリード(見込み客)と顧客が貴社のオンラインビジネス環境でどのような行動を取っているかを追跡するために使用します。
現在、CRMは主にツール・システムを指す言葉として使われています。
一方、この言葉が生まれて浸透していった1990年代では、「顧客との関係を管理しよう」という概念やマーケティング手法の言葉として知られていました。
顧客との関係を管理とは、顧客と長きに渡って良好な関係を築くことがビジネスの成功につながるという考え方から、1回限りの取引ではなく関係性を重視しようというものです。顧客目線に立って商品・サービスを提供し、双方にとって価値ある存在であることを目指します。
このCRMを実施するにあたって欠かせないのが、現在多くの製品が登場しているCRMツールです。CRMでは顧客のデータを収集して一元管理し、態度変容などの分析を行い、部署を横断して顧客のニーズに合わせた施策の展開を目指します。
このように、CRMとはマーケティング手法でありながら、それを実現するツールの名称としても認識されています。
多くのCRMでは、以下のような機能を利用できます。
CRMには、コンタクトを「レコード」として保存し、各レコードには、氏名、会社名、連絡先などの関連する顧客情報を記録します。こうした情報の記録を通じて、営業チームはそれぞれのリードやカスタマージャーニーを素早く把握するとともに、全体的な顧客の傾向を確認できます。
顧客のレコードは、営業担当者と顧客との関係の記録でもあります。Eメール、電話、ミーティングなど、全てのコミュニケーションをCRMに集約することにより、1人ひとりの相手へのフォローアップに適したタイミングが分かるようになります。
CRMでは、地域、企業のタイプ、企業規模といった条件別に顧客を分類してリスト化することも可能です。これにより、顧客基盤の全体像が明確になるので、特定のセグメントに合わせた営業戦略の策定にも役立ちます。
CRMソフトウェアの大きな利点として、コンタクトと営業担当者のコミュニケーションを自動的に記録できることが挙げられます。
統合型のCRMなら、電話番号、会議時間、Eメール、フォーム回答などの情報をコピーして貼り付ける必要がなく、自動で収集されるため、チームにとっての大きな摩擦要因を取り除くことができます。
CRMには通常、各コンタクトが営業プロセス上のどのような段階にあるかを追跡する機能があり、この情報はコンタクトレコードに保存されます。
コンタクトのカスタマージャーニーの進行に伴って、担当者が取引ステージを更新したり、自動的に次のステージに移行させたりできます。
成約件数を向上できるように、見込み客とのコミュニケーションをテンプレート化したコンテンツリポジトリーを構築できます。
担当者は、Eメールやフォームなどのテンプレートを作成し、営業プロセスを標準化して、文面の作成に費やす時間を節約できます。
高機能なCRMの場合は、営業データを分かりやすいレポートとして集約し、営業チームがビジネスの傾向と情報を導き出せるようになります。
レポートは、売上目標に対する進捗管理として、または目標の達成を支援する上でも役立ちます。レポートでは一般的に、コンタクト、セグメント、特定期間における組織全体の業績を出力できます。
CRMについてさらに詳しくは、以下コラムでまとめています。
今回は「CRMとCMS」に関する記事ですが、2つのツールは競合関係にあるわけではなく、融合が可能です。ウェブサイト上で顧客による操作が行われることから、顧客に関するトラッキングシステムとウェブサイトの管理システムとの接続は不可欠と言えます。
CMSとCRMの連携により、ウェブサイト上の全ての行動がCRMに集約されることで、素早い分析やレポートの作成に加えて、有意義な洞察の獲得が可能になります。また、ウェブサイトの効果を他のオンラインチャネルと比較して確認できるので、マーケティングやコンテンツ戦略の強化にも活用できます。
CMSの導入を検討する場合は、そのCMSにどのようなCRM連携機能があるかを考慮しておいてください。主要なCMSでは基本的には各種CRMとの連携が可能ですが、連携のコスト、機能、オプションはさまざまです。総合的な観点から、自社にとって最適な組み合わせを検討してください。
また、導入済みのCMSがあっても、連携可能なCRMが限られている場合は、効果的なCRM連携を備えたCMSへの乗り換えも選択肢になります。CMSの乗り換えには労力がかかりますが、優れたCRMの活用によって顧客が増えれば、その労力を埋め合わせる以上の大きな効果が期待できます。
次のセクションでは、いくつかのCMSにCRMを追加する方法をご説明します。
ここでは、定評のあるCMSと、効果的なCRMの組み合わせについて紹介します。
当社HubSpotが提供しているContent Hubは、コンテンツマーケティングを効率よく実施するためのマーケティングソフトウェアです。
Content Hubの大きな特徴であるAIを用いたコンテンツの作成では、AIが作った草稿を調整するだけでブログコンテンツを作成できます。作成したコンテンツは、Content Hub内で利用できる無料のCMSで作成したウェブサイトにて公開できます。
Content Hubを始めとしたHubSpot製品群は同一のプラットフォームから簡単に連携でき、それには無料のCRMプラットフォームも含まれます。連携を行えば、CMS共通の環境でリードの創出・コンタクト管理・アナリティクスによる分析などの機能を異様できます。
ウェブサイト上で行われたすべてのやり取りはCMS経由でCRMに保存されるため、レポートの作成も簡単です。
画像出典:HubSpot
WordPressのウェブサイトにCRMを追加する作業は、CRMプラグインをインストールするだけで済みます。HubSpot提供のWordPressプラグインのような追加機能を使うと、コーディング不要でWordPressとCRMをシームレスに同期できます。
HubSpotのWordPressプラグインによって自社のウェブサイトにHubSpot CRMを接続することで、訪問者情報の取得、自動更新されるコンタクトリストでの整理、営業関連の測定指標の分析が可能になります。
HubSpot CRMは、WooCommerce、Stripe、Gmailなどの他のアプリとの連携も簡単です。
画像出典:WordPress
他のCRMについては、CRMプラグインの紹介記事(英語)をご覧ください。
CMSの分野で定評があるWixの使いやすさは、CRMにも当てはまります。WixのウェブサイトにCRM機能を追加するには、Wix純正のCRMツールを使用します。
CRMツールはWix内で簡単に追加でき、顧客とのコミュニケーションを一本化してシンプルなワークフローを形成できます。
支払いの受け付け・管理、よく使用するアクションのオートメーション化、ライブチャット、フォームなどの機能を駆使することで、Wixユーザーはそれまでの20倍の見込み客を獲得できると謳っています。
画像出典:Wix
あらゆるeコマースビジネスに不可欠なCRMは、Shopifyを利用している場合にも欠かせません。Shopifyは、マーケットプレイスから入手できるサードパーティーのCRMソフトウェアと簡単に連携できます。
Shopify アプリストアでCRM連携を検索するか、以下のアプリの中から選んでみてください。
市場シェア2位のオープンソースCMS「Joomla」は、評価の高いCRM連携など、拡張機能による幅広いカスタマイズが可能です。次のようなJoomla CRM拡張機能が好評です。
DrupalにCRMを追加する際には、評価の高いいくつかのCRMモジュールから選択できます。他のCMSと比較してDrupalの利用には作業が必要になります。ウェブサイトにCRMを接続する場合にも、多くの作業が発生することが想定されます。Drupalのお勧めのモジュールを以下に示します。
オンラインビジネスの成長をサポートするツールには実にさまざまなものがありますが、CMSとCRM、そしてこの2つのツールの連携は中核的な要素といえます。
時間とコストを節約しつつ必要なマーケティング施策を実施でき、機会の損失を防ぎつつオーディエンスに対する理解を深め、信頼を獲得していくための近道になるでしょう。