CMS(コンテンツマネジメントシステム)とCRM(カスタマーリレーションシップマネージメント)は、表記が似ているため混同されることがありますが、目的や機能が大きく異なります。


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活用するにあたっては、それぞれのツールの役割や関係性を理解したうえで導入することが大切です。また、CRMに蓄積された顧客情報と、CMSを通じて得られた顧客の行動データを連携することで、営業・マーケティング活動の精度が高まります。
本記事では、CMSとCRMの違いや関係性、連携させるメリットを詳しく紹介します。CRMと連携しやすいCMSツールも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
CMSとCRMの違い・関係
CMS(コンテンツマネジメントシステム)とは、Webサイトやコンテンツを作成・更新するためのシステムです。Webサイトやプログラミングの知識がなくてもWebサイトを構築でき、運用のコストも抑えられる点がメリットとしてあげられます。
CRM(カスタマーリレーションシップマネージメント)は、日本語に訳すと「顧客関係管理」となります。見込み客や顧客に関するデータを収集し、それぞれのニーズに合った営業・マーケティング戦略を展開します。それにより、企業と顧客間で良好な関係を築くことが、CRMの基本的な考え方です。CRMを実践することで顧客体験が向上し、結果的に売上やリピーターの醸成につながります。
部門を越えて顧客情報を一元管理し、CRMを実践するためのデジタルツールを「CRMツール」と呼びます。
CMSは、サイトの立ち上げや運用を効率化するためのツールで、CRMは詳細な顧客情報を管理するためのツールという役割の違いがあります。
CMSとCRMは、相互連携が可能です。CMSで立ち上げたWebサイトを通じて創出された見込み客の情報をCRMに登録し、フォローアップに活用するなどの使い方ができます。また、CRMのデータをコンテンツの改善に活かすことも可能です。
CMSとCRMを連携させるメリット
CMSとCRMを連携させる主なメリットは、次の通りです。
- 営業・マーケティング活動の精度を高められる
- データ入力の手間とコストを省ける
- 素早くWebサイトの分析やレポート作成ができる
それぞれ詳しく解説します。
営業・マーケティング活動の精度を高められる
CRMに蓄積されている購買履歴や問い合わせ履歴などの顧客に関する情報と、CMSを通じて得られるWebサイト上の行動データを連携すると、より深い顧客分析が可能になります。
例えば、購買に至ったユーザーがWebサイト上で辿った経路や、年齢や地域性の傾向といったパターンを把握できます。顧客の購買行動や属性を意識してコンテンツを制作することで、よりニーズに合った情報提供が可能になり、満足度が高まるでしょう。興味関心があることや、会員・非会員の区分など、CRMに登録されている情報に合わせて表示させるコンテンツを変えることも可能です。
また、「特定の商品ページを複数回閲覧して問い合わせに至った」など、CRMとCMSを通じて得た見込み客に関する情報を営業チームに引き継ぐ活用方法もあります。営業部門のメンバーは、見込み客の状況やニーズを的確に把握できるようになるため、適切なアプローチにつながります。
データ入力の手間とコストを省ける
CRMとCMSを連携せず、それぞれ独立したツールとして利用していると、同じ情報を二回入力する手間がかかります。
CRMとCMSを連携させることで、データが自動で反映されるようになるため、業務効率化につながります。
素早くWebサイトの分析やレポート作成ができる
CMSで収集されたページ閲覧数やダウンロード履歴、購入履歴などの行動データをCRMに蓄積することで、顧客行動の傾向が分析可能です。
例えば、どのような行動をとったユーザーが問い合わせにつながりやすかったのかを把握できます。また、Webサイトでどれだけの見込み客が創出され、商談に至ったかといった情報もリアルタイムで把握できます。
また、CMSとCRMを連携させておくと、Webサイトの分析やレポート作成をCRM上で行うことができます。レポートの作成業務の効率化につながるだけでなく、PDCAサイクルをより多く回せるようになるため、効果的な改善につながります。
作成したレポートは、Webサイトの運用目標に対する進捗管理やコンテンツの改善などに活用可能です。また、Webサイトの運用で得られた効果を、客観的な数値でほかのチャネルと比較しやすくなる点もメリットです。
CMSとCRMを連携させる方法
CMSとCRMを連携させるには、独立したCRMとCMSを導入して連携させる方法と、CMSとCRMが一体化したシステムを導入する方法があります。それぞれの特徴や方法を詳しく解説します。
独立したCMSとCRMを導入して連携させる
独立したCMSとCRMを導入して連携させる方法のメリットは、CRMとCMSをそれぞれ最適なシステムから選択できる点です。設計の自由度が高まり、自社の業務フローや要件に合ったシステムの構築が可能になります。
ただし、両者を連携させるための手間とコストがかかる点は理解しておく必要があるでしょう。
また、連携が可能かどうかはシステムによって異なります。そのため、比較検討の段階で仕様を確認しておくことが大切です。
CMSとCRMが一体化したシステムを導入する
CRMのなかには、顧客情報をコンテンツ制作に活用する目的で、CMS機能が搭載されているものもあります。
CRMとCMSが一体化したシステムを導入すると、連携作業を行う必要がなく、導入や保守管理のための費用と手間も1つのシステム分だけで済みます。
HubSpotも、CRMとCMSが一体化したプラットフォームです。CRMを基盤に、ユーザー一人ひとりに最適化されたパーソナライズドなコンテンツを作成でき、リード創出から顧客化までの一連のプロセスをスムーズに管理できます。
CRM連携しやすいCMSツール
ここでは、CRMと連携しやすいCMSツールを5つ紹介します。
- WordPress
- Wix
- Shopify
- Joomla
- Drupal
WordPress
出典:WordPress
WordPressは、ソースコードが公開されている「オープンソース型」と呼ばれる無料のCMSです。WordPressを使って構築されているWebサイトは数多く存在し、W3Techで公開されているデータによると、全世界の40%以上のWebサイトでWordPressが採用されています。
WordPressで構築したWebサイトにCRMプラグインをインストールすると、CRMの機能を簡単に追加できます。HubSpotでは、CRM連携に対応したWordPressプラグインを提供していますので、ぜひご利用ください。
自社のWebサイトにHubSpotの無料CRMを接続することで、訪問者情報の取得や自動更新されるコンタクトリストでの整理、営業関連の測定指標の分析が可能です。WooCommerceやStripe、Gmailなどのアプリとの連携も簡単に行えます。
Wix
出典:Wix
Wixは、ノーコードでWebサイトやECサイトが構築できるCMSです。
WixのWebサイトにCRM機能を追加するには、Wix純正のCRMツールを使用します。簡単な作業で連携が可能で、顧客とのコミュニケーションを一本化することでシンプルなワークフローを形成できます。
よく使用するアクションのオートメーション化やライブチャット、フォームなどの機能によって、業務効率化と見込み客の効果的な創出に貢献します。
Shopify
出典:Shopify
定額課金制のECプラットフォームとして知名度の高いShopifyは、マーケットプレイスから入手できる外部のCRMソフトウェアと簡単に連携できます。
Shopify アプリストアでCRM連携を検索するか、次のアプリの中から選んでみてください。
- HubSpot:Shopify対応のCRMのなかでも定評があり、無料で利用を開始できます。CTAのパーソナライズやEメールによるナーチャリング、コンテンツエンゲージメントのトラッキング、主要なマーケティングツールや営業ツールとの豊富な連携など、見込み客や顧客との関係を構築できる機能を備えています。
- AgileCRM(英語):小規模なECサイトにおすすめのツールで、コンタクト管理や営業、マーケティング、カスタマーサポートの統合機能が業務に役立ちます。他のCRMアプリに比べて低価格で利用できます。
- Metrilo:高度な行動トラッキングや詳細な顧客プロファイル、カスタマイズ性の高いフィルタリングツールなど、詳細な顧客セグメンテーションの機能が強みです。ビジネスのニーズに合わせて選べる複数の料金プランが用意されています。
Joomla
出典:Joomla
Joomlaはオープンソース型のCMSで、拡張機能による幅広いカスタマイズが可能です。Joomlaと連携可能なCRMで評価の高いものを紹介します。
- JoomCRM(英語):Joomlaの代表的なCRM拡張機能である「JoomCRM」には、コンタクトや取引の管理、チーム管理、リード創出などのCRM機能があります。最初に導入する機能として最適です。
- CiviCRM(英語):非営利団体のWebサイトに特化して開発されているツールです。寄付の募集やイベントの管理、サイト会員の管理など、資金提供者や提携先との関係の強化に役立つ機能が豊富です。
Drupal
出典:Drupal
Drupalは、オープンソース型のCMSです。Drupalに追加できるおすすめのCRMを紹介します。
- HubSpot(英語):Drupal用HubSpotモジュールでは、HubSpotのAPI経由で、DrupalのWebサイトとHubSpot CRMなどのHubSpotのツールが同期されます。DrupalのWebサイトのフォームにユーザーによって入力された情報が、HubSpotのシステムに自動保存される仕組みです。
- AgileCRM(英語):Agileの強力なCRMモジュールは、DrupalのWebサイトと簡単に連携できます。ランディングページやフォームの迅速な追加、Eメールの自動送信、訪問者のエンゲージメント追跡が可能になります。
- RedHen(英語):Drupal向けに設計されたオープンソース型のCRMで、コンタクト管理やエンゲージメントトラッキング、イベント登録、会員プロファイルなど、非営利団体の主なCRMニーズに対応しています。軽量なカスタマイズとバックエンドへのアクセスが可能で、コーディングを行う場合に最適です。
CRMとCMSが一体化したツール
ここでは、CRMとCMSが一体化したツールを紹介します。
- Content Hub
- Salesforce CMS
- Adobe Experience Manager Sites
Content Hub
出典:Content Hub
HubSpotが提供しているContent Hubは、顧客のニーズに合ったコンテンツを効率的に制作するためのマーケティングソフトウェアです。
Content Hubの大きな特徴であるAIを用いたコンテンツの作成では、AIが作った草稿を調整するだけでブログコンテンツを作成できます。作成したコンテンツは、Content Hub内で利用できる無料のCMSで作成したWebサイトにて公開することも可能です。
HubSpotの製品はCRM(顧客関係管理)が基盤となっているため、顧客情報の分析からコンテンツへの効果的な反映、分析までをワンストップで実施可能なのがメリットです。
Webサイト上で行われたすべてのやり取りは、Content Hub経由でCRMに保存されるため、レポートの作成も簡単です。
Salesforce CMS
出典:Salesforce
Salesforce CMSは、コンテンツを制作し、Salesforceに構築されたEコマースやマーケティングメール、カスタマーコミュニティーといったチャネルに拡張できるツールです。Experience Cloud ユーザーライセンスを保有したユーザーが使用できます。
Salesforce CMSのワークスペースでは、コンテンツの制作者や公開範囲などを細かく設定可能です。
Adobe Experience Manager Sites
出典:Adobe Experience Manager Sites
Adobe Experience Manager Sitesは、コンテンツ制作やパフォーマンス分析が可能なCMSです。サイトの読み込み時間や応答性、検索ランキングといった細かな分析に対応できるのが大きな特徴で、SEOの強化につながります。
Adobe Experience Manager Sitesは、Adobe Experience Cloud製品の1つで、AIを活用したコンテンツの制作・配信や顧客情報の一元管理、マーケティングキャンペーンの分析などが可能な統合型のマーケティングソフトウェアです。Adobe Experience Cloudは、世界的に知名度のある大手企業にも多く採用されています。
CRMとCMSを連携してより戦略的なマーケティング活動を展開しよう
CMSとCRMは、いずれも見込み客や顧客のニーズに合ったマーケティング施策の展開に役立つツールで、業務効率化にもつながります。それぞれ得意なジャンルが異なるため、組み合わせることで、より多角的なマーケティング活動が可能となるでしょう。
CMSとCRMを別々に導入する場合は、連携が可能かどうかあらかじめ確認しておくことが重要です。CMSとCRMが一体化されたツールを導入すると連携の必要がなく、データの同期も自動で行われます。
HubSpotは、CRM(顧客関係管理)ツールを基盤とした統合型のマーケティングソフトウェアです。Content Hubと連携することで、一体型ツールのような使い勝手の良さやデータの同期が簡単に実現できます。また、HubSpotでは、Marketing Hub(MA)やSales Hub(SFA)、Service Hub(カスタマーサポートツール)などのツールも提供しており、営業・マーケティング・カスタマーサポートの強化や一元管理が可能です。
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