営業活動をしていく上で顧客情報を管理することはとても大切ですが、貴社では顧客管理にどんなツールを用いていますか?顧客管理はExcelで十分という方もいれば、CRMを導入すべきだという方もいらっしゃるでしょう。
私の身の回りの知人でも両者存在し、「CRMはExcelで代用できるか否か」の論争は尽きないと感じています。「顧客管理の目的の認識の違い」が意見の違いにつながっていると思いますので、今回は本来の顧客管理の目的と、各ツール(Excel、CRM)を使用する際の注意点。・留意点についてお伝えします。
初めてのCRM導入ポイント解説
顧客管理の課題を解決したいBtoB事業者様向けCRM導入のポイント※こちらの資料内容はHubSpotが2023年1月19日に開催したウェビナーの動画とeBookです。
- ウェビナー動画と資料
- CRMを利用する意義
- ExcelからCRMへの顧客情報の移行
- CRMの導入時に考慮すべきポイント
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1. CRMとは?そもそも本来の目的は?
CRMとは、英語の「Customer Relationship Management」の略語であり、日本語に訳すと「顧客管理」、「顧客関係管理」という意味です。ビジネスにおいて顧客との関係構築は重要事項であり、その関係性を構築・管理するマネジメント手法がCRMです。
顧客管理というと会社名や住所、代表者名、売上などの情報を記載する顧客台帳をイメージする方もいらっしゃると思いますが、その方は「顧客管理はExcelで十分だ」と言っていませんか?
冒頭にお伝えした「顧客管理の目的の認識の違い」というのが、このことです。「顧客管理=顧客の静的情報(会社名や住所、代表者名等)」だと思っている方は、顧客の情報が把握できていれば良いと考えているはずです。
ただどんな情報も蓄積するだけではなんの価値にもなりません。その情報を蓄積・活用することで初めて価値になります。
企業はそれぞれビジョン・ミッションも掲げ、その実現のために事業を行っています。その事業を継続的に行うためには利益が必要で、CRMもこの「利益・売上を増加させる」ことを目的として実施されるべき施策であり、顧客データの分析は非常に重要になってきます。
パレートの法則で提唱されていますが、顧客全体の2割である優良顧客が売上の8割をあげています。その顧客の情報(業界や営業人数等)や現状(課題)を正しく把握し効果的なアプローチをすべきです。
売上を増加させるには「適切な顧客」に「適切なタイミング」で「適切な情報」を提供することが必要であり、顧客情報を常に最新かつ使いやすい状況にしていなければなりません。
2. CRMの基本機能
一般的なCRMには大きく分けて4つの機能が搭載されています。
- 顧客管理機能
- 営業支援機能
- マーケティング支援機能
- カスタマーサポート機能
上記の順番に詳細を解説します。
顧客管理機能
企業の静的な情報を管理する機能です。例えば、
- 社名
- 従業員数
- 業界
- 担当者名
- 担当者部署名
- 電話番号
- メールアドレス
- 取引情報等
この情報を基に営業活動や顧客サポート、マーケティング活動を行うため、CRMの最も基本的な機能といえるでしょう。
営業支援機能
日頃の営業活動の情報を蓄積する機能です。顧客管理機能で蓄積できない、担当者の課題や営業進捗確認などの情報を収集し、次回訪問や全体の戦略策定に役立てます。例えば、
- 訪問履歴
- 訪問時のヒアリング内容
- 営業日報等
ここで気をつけておきたいのが、「営業部門が簡単に使えるか?」です。どんなに高価で高機能なツールでも活用されなければ何の価値もありません。そのため営業部門が簡単に使え、継続的に情報を蓄積できるか?を念頭にシステムのインターフェース(入出力部分)や使い方を考えましょう。
マーケティング支援機能
顧客育成のために必要なマーケティング機能です。多くの顧客をセグメント分けし一斉メール配信する機能や配信履歴を閲覧出来る機能です。最近ではSNSと連動する機能もついているツールもあります。例えば、
- メール配信機能
- メール履歴
- フォームデータ収集等
カスタマーサポート機能
顧客からサポートチームへの問合せデータを蓄積する機能です。どんな商品・サービスでも販売したら終わりではなく、その商品・サービスを使いこなすためにはサポートが必要です。最適な情報・提案を行うために、サポート履歴を社内全体で共有することが大切です。例えば、
- 前回の入電日時
- クレーム内容
- サポート進捗等
- 契約関連情報
ただ、これらの機能はそのCRMを開発している企業などによって異なります。 そのため、CRM探しをされる場合は、自社の営業活動や、営業進捗管理などに必要な事柄をまずはある程度明確にしてからCRM探しをされる、もしくは無料で活用できるCRMなどを利用することから始めるとよいかもしれません。
3. CRMを用いた関連システム
CRMは顧客情報を蓄積し、営業活動やマーケティング活動、サポート活動など様々な用途に活用できます。CRMを別のシステムと連動することで、より効果的にすることが可能で、その一例を紹介します。
CTI
CTIとはComputer Telephony Integrationの略で、電話とコンピューターを統合するシステムです。サポートチームに着信があった時に、顧客情報をパソコン上に表示されることができます。入電の度に「顧客名を聞く→システム上で検索」という手間が省け、お客様対応に注力することができます。
このような機能は昨今のCRMにはすでに実装されていることもあり、例えばHubSpotの無料CRMには標準機能として搭載されいます。
また、CallConnect(Webブラウザ上で電話の発着信業務が行えるシステム)のようなサービスを利用し、電話機能を発展的に用いるためにCRMと連携機能をもち合わせているツールなども存在します。
位置情報と紐づいたCRMシステム
顧客の信用を得るにはザイアンスの法則(単純接触効果)でもあるように、5回以上の接触が必要です。ただ営業の稼働時間は限られているため、商談数を増やすためには移動時間を削減する必要があります。
そこで位置情報と連動したCRMシステムがあります。訪問先から近い顧客企業がシステム上にピックアップされ、立ち寄りで訪問が組みやすくなります。これにより営業の生産性向上につなげることができます。
例えば、Microsoft Dynamicsなどには地理情報に紐づいた顧客管理などを行うことができ、 日立ソリューションズのGeoMation(単純接触効果)などと連携させ営業支援活動の効率化を測ることなどができます。
4. Excelのメリット・デメリット
「利益・売上を増加させる」ことを目的としてExcelはCRMの代用としてなり得るのでしょうか。マクロを組んだりすれば、部分的にExcelで代用できることもあります。
多くの方はCRMシステムがあることは知っており、Excelよりも機能が良いのは知っているはずです。ただ「Excelに何が出来て何ができないか?」を明確に把握しておらず、何を機会損失しているか?を把握していないため今まで優先順位を挙げられていなかったのではないでしょうか。そのためExcelのメリット・デメリットについて解説します。
Excelの3つのメリット
費用がかからず誰でも使える
顧客情報をExcelで代用する大きな理由の1つはこの「費用がかからず誰でも使える」という点ではないでしょうか。多くの人のパソコンの中にインストールされており、一度は使ったことがある&使い慣れているという点が強みですね。
企業の静的情報の蓄積には強い
表計算ソフトであるExcelの得意分野です。社名、従業員数、業界、URLなど項目が決まっていれば、縦列に企業情報を次々に入力していけます。フィルタ機能を活用すれば、業界毎に抽出することや従業員数順に並べ替えることも可能です。
グラフの作成が簡単
入力された表・データからグラフを作成することが簡単です。従業員規模数や業界別の分布図など様々なグラフを作成でき、顧客の現状把握に役立出ることが可能です。
マクロを使えれば簡易データベースも構築可能
社内にExcelに精通した社員はいませんか?マクロを用いて営業の要望通りのデータベースを構築できる方もいらっしゃいます。そのような方がいる企業であればExcelで顧客簡易データベースを利用しているのではないでしょうか?
Excelの2つのデメリット
ファイルを開けないくらいデータが重くなることも
顧客情報や営業日報など様々な情報を蓄積でき便利な反面、情報が増えるに従ってファイルが開けなくなるくらいデータが重くなってしまいます。せっかく顧客情報を蓄積し、いざ使おう!となった時にファイルを開くまで10分待つなんて本末転倒ですね。
共有が難しい
顧客情報は全社で共有し活かすことが必須ですが、Excelは共有が得意ではありません。共用サーバーにExcelをいれていたとしても、別の人が作業している場合は編集ができても情報を保存することができません。そのため入力したいときに入力できず、後から入力するつもりが忘れてしまう場合もあります。また、入力担当者の数が増えるほど効率が悪くなります。
5. CRMを用いて解決できること
「4. Excelのメリット・デメリット」では「顧客情報の蓄積」にフォーカスしてExcelのメリット・デメリットをお伝えしました。しかし冒頭でお伝えした通り、「情報を蓄積するだけでなく、活用することが重要」です。
情報を活用することがExcelではできないため、「利益・売上を増加させる」ことを目的をする企業であればCRMを導入することが必要です。顧客基本情報、営業活動、マーケティン活動、カスタマーサポート活動それぞれのデータを一元管理しなければなりませんが、それぞれの必要な項目は異なります。
例えば、カスタマーサポートであれば問合せ内容、課題、現状、サポート進捗などが必要です。マーケティング活動であればアクション履歴、セグメント分け、効果測定などが必要になります。
特にExcelで管理しきれないのは営業案件管理です。売上を上げるために営業チームが注力している項目の1つであり、案件概要や提案商材、決裁フロー、ネック、導入時期、見込み度などを管理する必要があります。
CRMを活用することにより各項目が管理でき、カスタムフィルターを使用することで名前、所有者、金額、ステージごとに取引を並べ替えれば、次に必要なアクションを瞬時に見極められます。
また案件管理は客観的に見て「何がネックになりそうか?」や「今後どのように進めるか?」を判断し選択する必要があります。案件相談時間をチームで設けている企業があるのではないでしょうか。
CRMであれば顧客情報・案件情報を企業全体で一元管理し、チームの案件を抽出することやタスクのリマインド機能をつけることも可能です。
これにより「いつの間にか失注していた案件」を減らし、売上増加につながるでしょう。そして案件管理で蓄積した情報を分析し、今後の営業活動に生かすことが可能です。
6. まとめ
いかがでしたか?CRMとは「利益・売上を増加させる」を目的としているため、顧客情報を蓄積するだけでなく、利益につなげるためにPDCAを回す必要があります。自社の顧客情報管理が「利益・売上の増加」に繋がっているかを再度見直してみましょう。
もし利益・売上の増加に繋げられていないのであれば改善の必要がありますので、CRMを検討してみてください。
しかも、ハブスポットのCRMは完全に無料です。
じつはエクセルは無料ではありません。会社は、PC購入時に上乗せで支払っているか、サブスクリプションで毎月利用料を支払っているのです。