チャットボットは業務効率化やオペレーターの負担軽減に有効ですが、初期費用や月額利用料の相場や、自社の使用目的に合ったチャットボットの費用感がわからないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、チャットボットの導入費用の内訳と相場、価格帯による機能の違いなどを解説します。
チャットボットの導入の費用相場を知り、おおよその見積もりを立てたい企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
チャットボット活用の基礎ガイド
チャットボット導入費用の内訳
まずは、チャットボットの利用に必要な費用を確認しましょう。
1. 導入費用
チャットボットのシステムは AI搭載型と非搭載型に分かれており、価格はAI搭載型の方が高額になります。
AI搭載型とは、あらかじめ学習させたデータをもとに、AIが統計的に正しいと判断した回答を導き出すシステムです。使用を重ねるごとにAIの学習が進み、回答の精度が向上していきます。AIが高精度であるほど、導入費用も高額になる傾向があります。
一方で、AIが搭載されていないタイプのチャットボットは「シナリオ型」と呼ばれます。「Aと聞かれたらBと答える」のように、あらかじめ作成したQ&Aやシナリオのデータを元に回答をするシンプルなシステムです。AI搭載型のように、データから最適な回答を導き出す機能はありません。一般的に、シナリオ型は、Q&Aやシナリオの数が多いほど費用も上がっていきます。
2. 月額費用(ランニングコスト)
チャットボットには買い切り型のものもありますが、クラウドサービスで提供されることが多いため、月額費用が発生します。
シナリオ型や簡易的なAI搭載型であれば月額費用はそれほど高額になりませんが、高精度でカスタマイズ性の高いAI搭載型の場合は注意しましょう。
3. その他の費用
その他の費用には、コンサルティング費用、カスタマイズ・オプション費用、有人チャットとの併用費用などがあります。詳しく見ていきましょう。
コンサルティング費用
コンサルティング費用とは、チャットボットの運用をベンダー側にサポートしてもらう際にかかる費用です。チャットボットは、「導入すれば成果が出る」というものではありません。利用履歴に基づいてFAQ(よくある質問)の追加・修正などを行っていき、はじめて高い成果を出せます。
これらの工程を行うリソースが足りない場合は、ベンダーが用意しているコンサルティングサービスを利用する方法があります。ベンダーや相談内容によっては無料の場合もありますが、サポートが充実するほどコンサルティングの費用は高くなるでしょう。
カスタマイズ・オプション費用
カスタマイズ・オプション費用とは、チャットボットに必要な機能を追加していくための費用です。
カスタマイズ・オプションの機能の一例は次の通りです。
- CRM(顧客関係管理ツール)との連携機能
- SNSとの連携機能
- 分析のためのレポート機能
- AI自動応答から有人チャットへの切替機能
- 会話画面などデザインのカスタマイズ
カスタマイズやオプションの内容は、ベンダーによって異なります。契約の際に、今後必要になってくるカスタマイズ機能やオプションが搭載されているかどうかと、それらの費用はどれくらいかかるのかを確認しておきましょう。
有人チャットとの併用費用
用意しておいたシナリオやAIでは対応できない問い合わせが発生した際、有人チャットに切り替えられるタイプのチャットボットがあります。自社にカスタマーサポートの機能がない場合は新たにオペレーターを設置する必要があり、人件費がかかります。
有人に切り替えられるチャットボットでは、よりきめ細やかな対応が可能となり、顧客満足度を高められます。
チャットボットの導入費用の相場
ここでは、チャットボットの導入費用や月額費用、その他の費用の相場を解説します。
無料で使えるチャットボットを知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
1. 導入費用
簡易的なシステムのチャットボットであれば、無料~数万円程度で構築可能です。しかし、複雑なAIシステムなどを導入するとなると35万~100万円以上と高額になります。
注意すべき点は、システム構築の代行費用が含まれている場合と含まれていない場合があることです。導入費用が無料もしくは安価なチャットボットは、シナリオ作成などを自社で行わなければならない可能性があることを覚えておきましょう。
導入費用の相場は次の通りです。
<導入費用の相場>
- AI搭載型:5万円~300万円
- Q&A・シナリオ型:0円~5万円
2. 月額費用(ランニングコスト)
チャットボットの月額費用は、シナリオ型であるか、AIが搭載されているか、カスタマイズ性が高いかなどによって変わります。簡易的なシステムであれば月々数千円~数万円におさまりますが、複雑なAI搭載型であれば月額100万円以上の費用が発生する場合もあるでしょう。
月額費用の相場は次の通りです。
<月額費用の相場>
- AI搭載型:月額5万円~200万円
- シナリオ型:月額1,900円~3万9,800円
3. その他の費用
チャットボットは、シナリオやQ&Aの作成の代行の有無、有人チャットや外部システムとの連携といったカスタマイズ、オプション機能などによって費用が変わってきます。
<オプション費用の相場>
- 初期100シナリオ作成+初期設定:20万円
- 50シナリオ追加作成:10万円
- シナリオメンテナンス:月額3万5,000円
- 外部連携:月額1万円~1万5,000円
- 有人チャット:月額2万円
- サイトの追加:月額3,500円
必要なオプションも踏まえたうえで予算を検討しましょう。
チャットボットを自社で開発する場合にかかる費用
チャットボットは、自社で開発することもできます。ゼロから自社仕様のチャットボットを開発するとなると膨大な工数と費用がかかりますが、チャットボット開発ツールを使えば、低コスト・短時間での開発が期待できます。
近年では、LINEのチャットボットを開発・導入する企業が増加傾向にあります。チャットボットの作り方やLINEのチャットボットについて知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
価格帯によるチャットボットの機能の違い
ここでは、価格帯によるチャットボットの機能の違いを解説します。
おすすめのチャットボットや費用の比較をしたい方は、次の記事を参考にしてください。
低価格帯|月額利用料数千円~5万円
月額数千円~5万円程度の価格帯のチャットボットは、 AIが搭載されていないタイプや、カスタマイズ性が低いツールが中心です。
低価格帯のチャットボットでも、問い合わせ内容や商品の種類が限られているECサイトなどであれば十分に対応できます。
- 訪問者閲覧・レポート機能
- 履歴・離脱分析
- Google Analytics連携
- LINE連携
- チャットのデザイン制作
中価格帯|月額利用料10万円~30万円
月額10万円~30万円の価格帯のチャットボットは、機能は充実しているものの、個別カスタマイズに対応していないツールが多く見られます。しかし、本格的なAIが搭載され始める価格帯であり、高い費用対効果が期待できます。
中価格帯のチャットボットには、次のような機能が搭載されています。
- 自然言語認識機能
- 曖昧な言い回しを読み取る機能
- 文章から意味を読み取る機能
顧客との複雑なやりとりが必要となる場合は、中価格帯のチャットボットを選択しましょう。
高価格帯|月額利用料30万円以上
月額30万円以上の価格帯は、大規模なプロジェクトによって開発されたものが多く、精度の高いAIや柔軟なカスタマイズ性を持つのが特徴です。
高価格帯のチャットボットには、次のような機能が搭載されています。
- 多様なアバター:自社のイメージにあったキャラクターを作成できる
- 対話・機械学習ハイブリッドAI:対話を重ねるごとに自ら学習して回答精度を高める
- 聞き返し機能:問い合わせが曖昧だった場合に追加情報の記載を促す
- テキスト入力支援機能:入力した文字に部分一致する質問を自動提案してくれる
高精度な学習機能を持つAIや、オリジナリティの高いチャットボットを導入する必要がある場合は、高価格帯のチャットボットを選択しましょう。
チャットボットは自社の目的を踏まえて費用相場を確認しよう
チャットボットの活用方法は、社内の問い合わせやナレッジ共有、カスタマーサポートなどさまざまです。自社の目的に合った価格帯のチャットボットを利用すれば、期待通りの結果につながり、費用対効果も高くなります。
費用によるチャットボットの性能や特徴の違いを理解して、自社の目的に合ったチャットボットを見つけましょう。