カスタマーサポートは売上に直結する部門ではないため、力を入れて編成している企業はあまり多くないかもしれません。しかし、競合の多いIT業界においては、カスタマーサポートの重要性に注目が集まっています。
カスタマーサポートは、単なるお問い合わせ窓口ではありません。例えば、近年急成長を遂げているSaaS業界では、多くのサービスが月額制のサブスクリプションで提供されています。
サブスクリプションビジネスは、いかに継続利用してもらえるかが鍵となります。そのためには、カスタマーサポートで顧客の問題を素早く解決し、顧客満足度を高めることが重要です。カスタマーサポートを通じて顧客と良好な関係を築くことは、将来的な収益の安定にもつながります。
この記事では、IT業界のカスタマーサポートの重要性や業務内容をご紹介し、カスタマーサポートを成功させるポイントを解説します。カスタマーサポートを顧客と企業の橋渡し役として機能させる方法に興味がある方は、ぜひ最後までお読みください。
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IT業界におけるカスタマーサポートの重要性
顧客との信頼関係の構築が必要な近年のIT業界で、顧客に直接対応するカスタマーサポートの重要性が高まってきています。
SaaSなどを提供するIT企業では、自社サービスの継続利用で利益を得るため、顧客に自社のファンになってもらうことが重要な課題となっています。品質の高いカスタマーサポートは顧客の満足度を高めてファンを増やし、サービスや商品の継続利用や再購入を通じて収益の増加をもたらします。
期待できるのは、既存顧客からの直接的な効果だけではありません。手厚いフォローで満足した顧客に良い口コミを発信してもらうことで、潜在顧客へもアプローチできます。
また、顧客満足度の高さが周知されると、自社ブランドを象徴する強みとして利用できます。メディアに取り上げられる機会が増え、より多くの新規顧客を創出できる可能性が高まります。
ITのサービスやツールを利用する際は、使い方や機能の説明を詳しく聞きたいケースが多くあります。カスタマーサポートが販売後のアフターフォローをしっかり行い、顧客の疑問や課題を解決することで、顧客との間に信頼関係が構築できます。
カスタマーサポートについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
IT業界のカスタマーサポートの業務内容
IT業界のカスタマーサポートの役割は、顧客からの問い合わせ対応です。具体的には次のような業務を行います。
- 契約更新
- データ照合
- 見積書作成
- 商品・サービスの購入や操作方法に関する相談
- クレーム対応
対応の方法として、主に次の手段を使用します。
- 電話
- メール
- チャットツール
- 顧客のもとへ直接訪問
カスタマーサポートの評価は、あらかじめ設定されたKPI(重要業績評価指標)に基づいて決まります。ここでは、よく用いられるKPIを2つご紹介します。
問い合わせへの回答率は、よく設定されるKPIのひとつです。問い合わせの内容によってはすぐに返答できず、回答を保留することがあります。問い合わせへの回答率を高めるためには、顧客からの問い合わせに素早く的確に回答し、未回答の問い合わせを残さないことが大切です。
顧客からの満足度も、KPIとして設定されることが多くあります。顧客からもらった感謝の言葉の回数を計測し、数値化して客観的に評価します。顧客満足度は、カスタマーサポートの対応の後に行うアンケートを集計することで測定できます。
IT業界のカスタマーサポートを成功させるポイント
IT業界の成長のためには、カスタマーサポートの活躍が必須です。カスタマーサポートを成功させて顧客満足度を向上させるために押さえておきたいポイントは、次の4つです。
- カスタマーサクセスと連携する
- 総合的な能力が高い人材を配置する
- メンバー間の知識や対応情報を共有する
- FAQや動画コンテンツで理解できる問い合わせを減らす
それぞれ詳しく解説します。
カスタマーサクセスと連携する
カスタマーサポートと似た言葉に「カスタマーサクセス」があります。カスタマーサポートは顧客からの問い合わせに適切に対応することを目指しますが、カスタマーサクセスでは、顧客が商品やサービスを利用して期待する成果を得られるように能動的に案内を行います。
カスタマーサポートの成果を上げるためには、カスタマーサクセスとの連携を意識しましょう。カスタマーサポートでは、問い合わせへの対応を通じて顧客の要望や意見を聴くことができます。カスタマーサポートで収集した情報はカスタマーサクセスで分析を行い、顧客のニーズを洗い出します。
顧客満足度の向上によって、購買単価の上昇(アップセル)や他商品の同時購入(クロスセル)を狙うことも可能です。カスタマーサポートとカスタマーサクセスの協力で得られたニーズをもとに顧客にアプローチを行い、商品やサービスを積極的に利用してもらえる状態を目指しましょう。
カスタマーサクセスの詳細は、こちらの記事で解説しています。あわせてご覧ください。
総合的な能力が高い人材を配置する
カスタマーサポートの業務は広範囲にわたるため、次の3つの能力を総合的に兼ね備えた人材が適しています。
- コミュニケーション能力
- 状況判断力
- 問題解決力
カスタマーサポートでは、顧客からの問い合わせに対して臨機応変かつ丁寧に対応することが求められるため、高いコミュニケーション能力は必須です。相手が抱えている課題を見抜くために、状況を素早く把握する判断力も求められます。さらに、状況をつかんだ後は、限られた時間内で顧客が求める解決方法を具体的に提示しなければなりません。
カスタマーサポートには、顧客を問題解決までスピーディに導くための総合的な能力が求められます。そのため、社内業務に詳しく、臨機応変なコミュニケーションが可能な人材を配置するのが良いでしょう。
メンバー間の知識や対応情報を共有する
ITサービスはアップデートによる機能追加で細かいバグが起きやすいため、サービスに関して動きがあるときは、情報を即座に共有する必要があります。
緊急時でも的確に対応できるようにするため、商品やサービスに関する知識や情報を日頃から共有するようにしましょう。カスタマーサポートのメンバー間でどのように対応したかを具体的に話し合ったり、他部署と商品やサービスの知識を強化したりして、いかなる時も質の高い対応ができるよう準備します。アップデートにあわせて勉強会を開き、定期的に情報共有のためのコミュニケーションを取るのもおすすめです。
顧客へ送るメールテンプレートの共有も、カスタマーサポートの品質を向上させるうえで重要です。カスタマーサポートの適切なメール対応は、こちらの記事で詳しく解説しています。
FAQや動画コンテンツで理解できる問い合わせを減らす
顧客が自力で解決できる問題であれば、カスタマーサポートが直接対応する必要はありません。簡単な質問とその解決策をまとめてFAQや動画コンテンツで公開することで、問い合わせ数を減らす効果があります。
それにより、真にカスタマーサポートを必要とする顧客にかける時間を長くとれるようになり、顧客満足度の向上が実現します。
また、FAQなどを活用すると、カスタマーサポートの担当者の経験や知識に関係なく、回答品質を一定に保つことが可能になります。担当者の知識が不十分でその場しのぎの回答を行い、顧客に不満や不安を与えてしまうこともなくなります。
カスタマーサポートの成功は企業の成長につながる
IT業界はサブスクリプションモデルをいち早く導入した業界のひとつです。もともとは、ライセンス料金と年間保守料金を支払ってもらうビジネスモデルが中心でしたが、顧客に寄り添ったサポートを行い、関係性を構築することで収益を安定させるサブスクリプションモデルが広がりを見せています。カスタマーサポートを成功させ、顧客満足度を高めて自社のファンを増やしましょう。
IT業界で提供される商品やサービスは頻繁にアップデートがあり、仕様や操作方法が変わることが多くあります。カスタマーサポートが顧客の疑問や不安を迅速に解決することで、顧客満足度は大きく高まり、口コミ効果も期待できるでしょう。
ぜひこの記事を参考にして、カスタマーサポートの編成・強化をしてみてください。