「Facebookのアルゴリズムの全面的な見直しにより、今後は友人や家族の投稿が優先的に表示され、企業の投稿は表示頻度が減少する。」CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が行ったこの発表により、デジタルマーケティング業界に衝撃が走り、Facebook広告のCPM(インプレッション単価)は122%急騰しました。これは過去14か月の中で、Facebook広告の費用が最も高い数字を記録した瞬間でした。(2018年3月当時)

現在もFacebookの投稿や広告のリーチは横ばいの状態が続いており、広告の費用がかつてないレベルにまで膨れ上がっています。従来は費用が比較的低く抑えられていましたが、今後Facebook広告の予算を増やすことなく収益を維持するにはどうすればよいのでしょうか?

その答えを一言で言えば、「広告の最適化」です。つまり、1つひとつの広告の配信にかかる費用から最大限の価値を得ることが重要であり、そのためには、Facebookでの広告戦略を継続的に検証し、データを基に戦略を修正して、広告の配信ごとに最高の成果を得られるようにする必要があります。広告の最適化に活用できるツールにはさまざまな種類があり、その多くは無料で利用できます。とはいえ、広告の最適化は口で言うほど簡単なことではありません。

この記事では、皆さんがFacebookでの広告活動を効率的かつ効果的に行えるよう、Facebook広告の費用を最適化するためにHubSpotが実践している5つのステップをご紹介します。HubSpotのアプローチを参考にして、Facebookでの広告掲載を有利に進めましょう。

Facebook広告の費用を最適化する方法 – HubSpotが実践する5つのステップ

1. キャンペーンの目的を検討する

大まかに言うと、弊社がFacebook広告を利用する目的は、「ダイレクトレスポンス」と「ブランドの認知度アップ」の2つです。

ダイレクトレスポンスは、コンテンツのダウンロードや利用登録、製品の購入など、ユーザーに取ってもらいたい行動を促すことを目的としています。

一方、ブランドの認知度アップでは、できるだけ多くのユーザーにコンテンツを見てもらうことが目的となります。

この場合、広告のクリックそのものではなく、ユーザーの目に触れることが狙いです。

Facebookは広告をクリックしそうなユーザーとそうでないユーザーを把握しているので、キャンペーン開始時に選択した目的を元に、適切なオーディエンスに表示されます。

2. 入札戦略を選択する

Facebookの課金形式には、CPM(インプレッション単価)CPC(クリック単価)の2つがあります。

CPMによる入札の場合、リスクはすべて広告主が背負うことになります。

具体的に言うと、CPMとは広告のクリック数ではなくインプレッション(表示)数に対して課金されるため、広告の内容やクリエイティブがクリックされなかった場合においても広告主は費用を払う必要がある訳です。

これに対し、CPCによる入札の場合、リスクは広告主とFacebookが分け合います。

実際にクリックされた回数が課金対象となるため、広告主はターゲットがクリックした遷移先のコンテンツを見せるという一定のラインを担保できます。しかし、全くクリックされないような広告は、広告主にとってもFacebookにとっても、価値がありません。

3. ターゲットオーディエンスを設定する

広告のターゲットを設定する際、弊社ではカスタムオーディエンスを使用しています。カスタムオーディエンスとは、「ある1か月間のHubSpotのアクティブユーザー」、「CRMの利用登録をした人」など、特定の属性に当てはまるユーザーをリストにしたものです。このリストをFacebookにアップロードすると、リストに含まれるユーザーがFacebookのプロフィールと照合され、より精度の高いオーディエンスが構築されます。 

数年前、弊社ではカスタムオーディエンスを使用して、Google Chromeを使用している各企業のCMO(最高マーケティング責任者)をターゲットとした広告を掲載しました。そのねらいは、この戦略により、HubSpotのGoogle Chrome拡張機能に対するユーザー獲得単価やCPCが減少するかどうかを確認することでした。

しかし、他のブラウザーを使用しているCMOにも「この拡張機能はブラウザーを変更してでも使う価値がある」と感じてもらえるのではないかという予感がありました。その予感は的中し、広告のターゲットをすべてのブラウザーに拡大したところ、HubSpotのGoogle Chrome拡張機能のユーザー獲得数が、Chromeのユーザーだけをターゲットにした場合と比べて2倍に増えることが判明しました。

ターゲット ユーザー獲得単価 CPC

Google Chrome

のみ

19.32ドル 3.60ドル

すべての

ブラウザー

9.63ドル 1.07ドル

広告のターゲットを設定し、費用を最適化するには、類似オーディエンスを作成するという手段もあります。弊社で作成する際は、比較的簡単な次の2つの方法を利用しています。

1)HubSpotのデータベースから特定の属性(「CRMの利用登録をした人」、「チームの他のメンバーを新しいユーザーとして招待した人」など)に当てはまるユーザーのリストを取得し、Facebookにアップロードする。

2)HubSpotのウェブページ(ブログのトップページなど)のいずれかにピクセルを追加して、そのページにアクセスしたユーザーにCookieが付与されるようにする。これにより、Facebookはこのユーザーと登録されているプロフィールを照合して、ニュースフィードに広告を配信できるようになります。

どちらの方法でも、リストに含まれる人物と似ているユーザーが大量に抽出されるので、顧客になりそうなプロスペクトに対して広告を配信することが可能になります。

たとえばHubSpotでは、CRMの利用登録を促進する目的でFacebookに広告を掲載する際に、サイト内の特定のページにアクセスした人よりも、意思決定の権限を持つ役職のユーザーやCRMのアクティブユーザー、HubSpot CRMに営業担当者として登録されているユーザーに基づいて類似オーディエンスを作成すると、チーム単位の利用登録をより低いコストで増やせることがわかりました。

オーディエンスの属性 利用登録獲得単価
意思決定の権限を持つ役職 20.31ドル
アクティブユーザー 20.48ドル
CRMに登録されている営業担当者 23.95ドル
利用登録済みのユーザー 24.33ドル
CRMの紹介ページの訪問者 27.66ドル
セールスエグゼクティブ相当 28.55ドル
HubSpotのサイトの訪問者 31.48ドル
SB4の訪問者 33.48ドル
セールスブログの訪問者 34.14ドル

4. 魅力的な広告クリエイティブを作成する

広告文を書く際は、見る人を強く惹きつけるような文面を作ることが重要です。そうでなければ、スマートフォンを操作しながらテレビの前でポテトチップスをつまんでいるミレニアル世代のオーディエンスの気を引くことはできません。

では、オーディエンスにポテトチップスよりも自社のコンテンツに集中してもらうために必要なプロセスとは、どのようなものでしょうか? 過去2年間に実施した、500以上もの広告クリエイティブのテストを基に、弊社では魅力的な広告クリエイティブを作成するためのポイントを次の3つにまとめました。

1. オーディエンスの好奇心をくすぐる

マーケティングでは、相手の興味をそそる要素を含めておくのがポイントです。人間は、この世界の現象にただ反応しているのではなく、自分たちの世界を解明しようという欲望にとりつかれた生き物です。オーディエンスの興味を刺激して、好奇心を満たさずにはいられないと思わせられなければ、広告をクリックしてもらうことはできません。

たとえば、以前「Google カレンダーの隠れたポテンシャルを引き出すHubSpotの新機能」というキャッチフレーズを使用したところ、「HubSpot CRMでミーティングの予約設定がずっと簡単に」というキャッチフレーズよりも優れた成果を得ることができました。

その理由を考えてみると、1つ目のキャッチフレーズでは、極力具体的な文言を使わずに新しいツールについて言及することで、すぐに使えてメリットが大きそうなツールへの期待と興味を呼び起こすことに成功しています。

一方、2つ目のキャッチフレーズでは、新しいツールがミーティングのスケジュール設定に使うものであることがすぐにわかってしまいます。これでは見る人の好奇心や興味を刺激して、広告をクリックしてもらうことはできません。

2. ニュースフィードに溶け込ませる

Facebookのアルゴリズムが変更されて以来、ほとんどのユーザーのニュースフィードは、友人や家族の投稿でますます埋め尽くされるようになりました。そこで、唐突な広告にならないように、自然な写真を含めることが重要です。

たとえば、いかにも写真素材のように見える画像では、投稿ではないことがすぐにわかってしまいます。

しかし、友人からの投稿のように見える写真を使用すれば、ユーザーのニュースフィードと一体化して、より良い第一印象を与えることができます。

3. 製品を売り込むのではなく感情に訴える

心理学では、人間は感情に基づいて行動し、その行動を論理で後から正当化するとされています。この仮説はマーケティングにも当てはまります。つまり、人間は他の人間に対してと同様に、人格のような特徴をブランドにも関連付けるのです。2つの選択肢の中から1つを選択することは、自分の親友や大切な人を選ぶようなものであり、選んだ相手に対して特別な感情を抱かずにはいられません。

これと同じ理由により、製品の機能を売り込んでも説得力に欠けてしまうと言えます。製品の機能の説明は、脳の中でも論理を司る部分にしかアピールできず、感情を司る部分にアピールしたときほど行動を促す効果がないということが、各種の研究において指摘されています。

Facebook広告でHubSpot CRMのプロモーションを実施した際は、オーディエンスの共感を集める方法を明らかにするために、正規ユーザーの獲得にかかった単価とクリックスルー率を30以上の感情に関連する項目についてテストしました。その結果のうち、コストを抑えられた項目と割高になった項目を以下にご紹介します。

項目 ユーザー獲得単価 クリックスルー率
不満の解消、軽減  2.86ドル  1.07%

変革

(バージョン2)

 3.95ドル  0.76%

 データ

エンリッチメント 

 4.08ドル  0.68%
 時間の節約  4.10ドル  1.02%

 変革

(バージョン1)

 4.97ドル  0.72%
 セールスプロセスの全容把握  9.65ドル  0.53%
 リードの離脱防止  10.47ドル  0.56%
 ストレスの軽減  10.57ドル  0.64%

5. ランディングページのデザインをシンプルにする

見る人の注目を集める広告を作成できたとしても、それで終わりというわけではなく、商品やサービスの価値を明確に伝える効果的なランディングページを作る必要があります。そこで、ランディングページのデザインに関して弊社が実践している3つの原則をご紹介しましょう。

1. 広告と同じように、オーディエンスの好奇心をくすぐる

オーディエンスをプロスペクトや顧客に転換するには、相手の興味を刺激するのが最適な方法です。商品やサービスの詳細には触れないようにしながらも、メリットについては効果的にアピールしましょう。

2. 別のサイトへのリンクでオーディエンスの注意をそらさないようにする

別のサイトへのリンクを設置して、ランディングページから離脱できるようにしてしまうと、まるでファネル(漏斗)に穴が開いたかのように訪問者が流出し、コンバージョン率の低下を招きます。ランディングページを離れる方法は、ページを閉じる、または利用登録を行う、の2つに限定しておきましょう。

3. 動画の設置を検討する

商品やサービスの内容を説明するうえで、動画はテキストよりも高い訴求力を発揮できますが、見る人の注意をそらすことで、ランディングページのコンバージョン率の低下につながる場合があります。しかし、弊社の事例では、動画を設置すると、ランディングページでアクティブユーザーを獲得できる確率が上昇し、コンバージョン率の低下を補うことに成功しています。

ページのパターン ユーザー獲得単価 アクティブユーザー獲得単価
動画あり 21.56ドル 78.37ドル
動画なし 15.76ドル 85.32ドル

広告のテストに終わりはない

Facebook広告のテストはギャンブルのような側面があり、失敗に終わる場合が少なくありません。それでも、効果的な戦略とそうでない戦略をすばやく見極めて、Facebookでの広告を的確に練り直すことができれば、広告が配信されるたびに発生する費用から大きな価値を引き出せるようになるはずです。

効果的なFacebook広告の制作方法をまとめました。

 

元記事発行日: 2019年10月16日、最終更新日: 2020年3月03日

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