Google フォームは、誰でも無料で利用できるフォーム作成ツールです。アンケートフォームや問い合わせフォームを作る際に、利用を検討する方も多いのではないでしょうか。

しかし、Google フォームを初めて使用する場合には、どこから取り掛かれば良いのか悩んでしまうかもしれません。
そこで本記事では、Google フォームの特徴、使い方、機能を初心者の方に向けて分かりやすく紹介します。
Google フォームとは?
Google フォームとは、Google が無料で提供するオンラインのフォーム作成ツールです。Google フォームを使えば、アンケートフォームや問い合わせフォームなどを簡単な操作によって作成できます。
フォームの作成にはGoogle アカウントが必要ですが、回答するだけであればアカウントは必要ないため、誰でも気軽に回答してもらえる点が大きなメリットです(質問内容によってはログインが必要な場合もあります)。パソコン、スマートフォンのどちらでもフォームの作成、回答が可能です。
また、作成したGoogle フォームはそのままWebページへ組み込めるので、HTMLなどの専門知識がなくても利用できます。
なお、フォーム(form)は直訳すると形・形状といった意味になりますが、IT分野ではWebサイト上の情報入力欄のことを指すのが一般的です。フォームの種類についてなど、詳しい解説は以下をぜひご参照ください。
Google フォームのメリット・デメリット
Google フォームは誰でも無料で利用できますが、有料のフォーム作成ツールと比べてデザインが画一的になるなど、デメリットもあります。
Google フォームを使う前に、どのようなメリット・デメリットがあるのかを把握しておきましょう。
Google フォームのメリット
Google フォームには次の5つのメリットがあります。
テンプレートが豊富に用意されている
Google フォームには、顧客向けのアンケートや注文受付・イベントの出欠確認など、さまざまな用途に応じたテンプレートが17種類もあります(2023年2月時点)。
目的に沿ったテンプレートを使えば、質問内容を微調整するだけでフォームの作成が完了します。また、フォーム内に写真やロゴを使用すると、自動で写真やロゴに合う色が適用されます。
さらに、いろいろなデザインテーマからサイトにふさわしい雰囲気のものを選ぶことも可能なので、デザインの知識がなくてもきれいなフォームを作ることができます。
Google スプレッドシートで自動集計できる
Google フォームに寄せられた回答は、自動で集計され、円グラフや棒グラフで結果が表示されます。
Google スプレッドシートと連携すれば、問い合わせ内容やアンケート結果を一覧に並べて確認することも可能です。Google フォームの回答内容が自動で反映されるため、手間のかかる入力作業を省いて集計・分析などが行えます。
さまざまな形式の質問を設定できる
Google フォームでは、記述式・プルダウン・均等目盛などの質問形式を10種類の中から設定できます。また、フォーム内に画像や動画を追加できるほか、回答内容に応じて表示する質問を変えることも可能です。
共同作業が可能
Google フォームは、別デバイス・別アカウントを持つチームメイトと共同で作り上げることができます。リモートワークが推進されている今、遠隔で共同作業ができるのは大きなメリットと言えるでしょう。
PCやスマホなどデバイスを問わず作業が可能
Google フォームはレスポンシブデザインを採用しているため、スマートフォンでも作成、回答が可能です。デバイスの違いによるレイアウト崩れが起こらないため、回答率の向上が期待できます。
Google フォームのデメリット
続いて、Google フォームのデメリットを紹介します。
デザインのオリジナリティは出しづらい
Google フォームはカスタマイズ性が低いため、オリジナリティを出しづらい点がデメリットです。
Google フォーム上で行えるカスタマイズは、色やフォント・背景画像の変更のみです。見た人がすぐにGoogle フォームだと分かるため、オリジナリティを出したい場合には向いていません。
CSSやHTMLを使えばカスタマイズの幅が広がります。
高度な問い合わせ対応には向いていない
Google フォームには、問い合わせの内容に応じて自動返信する機能や、問い合わせの対応状況を確認・管理できる機能がついていません。そのため、カスタマーサポートなど、高度な問い合わせ管理が必要な場合には別のツールと組み合わせる必要があります。
Google ドライブの容量に制限がある
Google フォームのデータはGoogle ドライブに保存されます。そのため、Google ドライブの容量の上限を超えると自動的にフォームが停止しています。
特にファイルをアップロードする形式の回答は容量が大きくなるケースが多いので、Google ドライブの容量をあらかじめ確認しておきしょう。無料プランの容量は15GBです。
Google フォームの使い方(基礎編)
この章では、Google フォームの基本的な使い方を解説します。ここに書いてあることがマスターできればGoogle フォームを問題なく使いこなせるでしょう。
- Google フォームを作成する方法
- Google フォームの回答形式種類一覧
- Google フォームのリンクを取得する方法
- Google フォームを共有する方法
- Google フォームの受付を終了する方法
- Google フォームの回答を集計する方法
- Google フォームの回答を共有する方法
- 回答者がログイン不要で回答できるようにする方法
1. Google フォームを作成する方法
Google フォームを作成する手順は以下の通りです。
- アカウントを作成する
- テンプレートを選択する
- 必要な情報を入力する

Google フォームを作成するためには、Google のアカウントが必要になります。
アカウントをお持ちの方は、Google フォームにアクセスしてください。お持ちでない方は、Google アカウントヘルプの手順に従って、アカウントの作成から始めてください。

Google フォームにアクセスしたら、フォームの作成目的に合わせてテンプレートを選択しましょう。右上の【テンプレートギャラリー】をクリックすると、17種類のテンプレートが表示されます。

テンプレートが不要な方は、【+】マークから空白のフォームを選択しても構いません。

テンプレートを選択したら、フォームのタイトルと説明文を入力します。
説明文には、フォームの概要や回答時の注意事項など、回答者にあらかじめ伝えておきたい内容を記載すると良いでしょう。
2. Google フォームの回答形式種類一覧
Google フォームの回答形式は10種類の中から選択できます。

- 記述式
- 段落
- ラジオボタン
- チェックボックス
- プルダウン
- 均等目盛
- 選択式(グリッド)
- チェックボックス(グリッド)
- 日付
- 時刻
各回答形式の特徴を画像付きで紹介します。
記述式

記述式は、簡単な回答を入力できる形式です。この回答形式では、「数字のみ」「指定した数値以上を入力可能」など、入力する文字を制限することができます。
また、「回答に特定の文字が含まれている」「回答内容はメールアドレスやURL」といったルールの設定も可能です。回答の最大文字数や最小文字数の設定もできます。
段落

段落は、1段落以上の長い回答を入力できる形式です。この回答形式では、回答の最大文字数と最小文字数の指定ができます。
ラジオボタン

ラジオボタンは、選択肢の中から一つだけ回答を選択できる形式です。この回答形式では、選択肢に「その他」を追加できます。
チェックボックス

チェックボックスは、選択肢の中から複数の回答を選択できる形式です。この回答形式でも、選択肢に「その他」を追加できます。「最低2つ以上は選択」「最大3つまで選択」などの制限を設けることも可能です。
プルダウン

プルダウンは、プルダウンで表示された選択肢の中から一つだけ回答を選択できる形式です。
均等目盛

均等目盛は、数値のメモリで段階評価ができる形式です。この回答形式では、メモリの最小値を0または1、最大値を2~10に設定できます。各メモリの両端にはラベルが設定できるため。数値の簡単な説明が可能です。
選択式(グリッド)

選択式(グリッド)は、一行につき一つの回答を選択できる形式です。複数のアイテムを段階評価してもらいたいときに活用できます。
チェックボックス(グリッド)

チェックボックス(グリッド)は、一行につき複数の回答を選択できる形式です。行に時間帯・列に日程を入れることで、スケジュール調整などに活用しやすいです。
日付

日付は、任意の日付を入力できる回答形式です。年月日だけではなく、年を省いた月日での設定や、日付に時刻を含めるなどの設定が可能です。
時刻

時刻は、時刻や経過時間を入力できる回答形式です。設定によって、時刻と経過時間のどちらを入力するかを選択可能です。
3. Google フォームのリンクを取得する方法
Google フォームのリンクを取得する方法は次の通りです。
- 画面右上の送信ボタンをクリックする

- クリップのボタンを押し、【コピー】をクリックする

4. Google フォームを共有する方法
Google フォームを共有し、共同編集を行う手順は以下の通りです。
- 画面右上の3点リーダーをクリックする

- 【共同編集者を追加】を選択する

- 共同作業をしたいユーザーのメールアドレスを入力する

- 【完了】をクリックする

5. Google フォームの受付を終了する方法

Google フォームの受け付けを終了するには、フォームの回答画面で右上の【回答を受付中】をオフにしましょう。

受付の終了が完了すると、このような画面になります。
6. Google フォームの回答を集計する方法

Google フォームの回答は、フォーム上部の「回答」より確認可能です。円グラフや棒グラフで集計結果が示されます。
7. Google フォームの回答を共有する方法
回答の共有方法は、共同編集を行う方法と同じです。「Google フォームの共有方法」の章を参考に、共同編集者を追加してください。
8. 回答者がログイン不要で回答できるようにする方法
Google アカウントへのログイン不要で回答できるようにする手順は以下の通りです。
- 【設定】画面を開く

- 【回答】を開き、【回答を1回に制限する】をオフにする

Google フォームの使い方(応用編)
ここからは、Google フォームの応用的な使い方を解説します。解説する項目は以下のとおりです。
- Google フォームをEメールやWebサイトに埋め込む方法
- 条件分岐を設定する方法
- 回答者へフィードバックする方法
- 選択肢をランダムに設定する方法
- 自動返信メールを設定する方法
- Google フォームのQRコードを作成する方法
- メール通知の設定方法
1. Google フォームをEメールやWebサイトに埋め込む方法
Google フォームをEメールに埋め込む方法は以下の通りです。
- 画面右上の送信ボタンをクリックする

- メールマークを開き、送信先のメールアドレスと件名・メッセージを入力する

- 【フォームをメールに含める】にチェックを入れ、【送信】をクリックする

- 実際のメール受信画面

EメールではなくWebサイトにGoogle フォームを埋め込みたい場合は、次の手順を踏んでください。
- 画面右上の送信ボタンをクリックする

- 【< >】マークを選択し、コピーをクリックする

- Google フォームの高さや幅は自由に設定できます。コピー後は、埋め込み用のHTMLリンクをWebサイトに貼り付ければ完了です。
2. 条件分岐を設定する方法
Google フォームでは、「セクション」の機能を使用することで、質問の回答によって次に表示される質問を分岐させることができます。手順は次の通りです。
- 右側のメニューから【セクションを追加】を選択する

- 新しく作成したセクションのタイトル・説明文・質問を設定する

- 元のセクションに戻り、右下の3点リーダーから【回答に応じてセクションに移動】を選択する

- 回答ごとに移動するセクションを選択する

- 質問ごとに移動先のセクションを選択できるようになるので、任意のセクションを設定します。こうすることで、質問に対してAの回答をした人にだけセクション2の質問を表示するといった分岐を作成できます。
3. 回答者へフィードバックする方法
Google フォームでは、アンケートフォームだけでなくテストフォームを作成することもできます。
テストフォームにすると、選択肢に点数を割り振り、回答者ごとに自動採点できるようになります。また、正解・不正解の場合それぞれにフィードバックを設定することも可能です。
テストフォームを使うことで、社内向けに知識の確認をするテストを配布したり、ユーザーに腕試しのクイズを試してもらったりといった活用ができます。 また、回答に対するフィードバックを設定することで、回答者のモチベーションを高めることができます。
テストを作成し、回答者にフィードバックを行う方法は次の通りです。
- 【設定】画面を開き、【テストにする】をオンにする

- 各項目の設定をオンにする

- 【質問】画面に戻り、【解答集を作成】をクリックする

- 正解の項目を設定し、点数を入力する

- 【回答に対するフィードバックを追加】をクリックし、フィードバックを入力・保存する

フィードバックは不正解と正解の場合で個別に設定でき、それぞれ外部ページへのリンクやYouTube動画へのリンクを貼ることもできます。
- 【完了】をクリックする

4. 選択肢をランダムに設定する方法
Google フォームでは、作成した質問の選択肢をランダムに表示させることができます。選択肢の順番によって固定観念が生まれ、アンケート結果が左右されると困る場合などに活用できます。
選択肢をランダムにする方法は、質問の右下の3点リーダーから「選択肢の順序をシャッフルする」を選択するだけです。

5. 自動返信メールを設定する方法
Google フォームでは、フォームの回答者に自動返信メールを送ることができます。イベントの参加受付フォームやお問い合わせフォームで自動返信メールを活用すれば、回答がきちんと送信できたことを回答者が確認できます。
自動返信メールの設定方法は3つあります。
- Google フォームの画面から設定する方法
- Google フォームの拡張機能(アドオン)を使う方法
- Google Apps Scriptを使う方法
6. Google フォームのQRコードを作成する方法
Google フォームはURLを共有したりWebサイトに埋め込んだりすることで回答を集めることができますが、フォームにはURLが発行されるため、QRコードを作成して印刷物などに掲載することも可能です。
今回は、QRのススメを利用した方法を紹介します。
- Google フォームのリンクをコピーする
リンクのコピー方法については、「Google フォームのリンクを取得する方法」の章をご覧ください。
- QRのススメに移動し、入力欄にURLをペーストして【OK】をクリックする

- サイズ・色を調整し、【ダウンロードする】をクリックする

7. メール通知の設定方法
Google フォームでは、新しい回答が届いた際にメール通知を受け取ることができ、回答のチェック漏れを防ぐことができます。
メール通知の設定方法は3つあります。
- Google フォーム上で通知設定を行う方法
- スプレッドシートから通知設定を行う方法
- Google Apps Scriptを使う方法
業務におけるGoogle フォームの利用例
Google フォームは、コツさえつかめば直観的に使えるようになります。すべてのテンプレートに対して、質問・タイトル・説明文・画像・動画・セクションの追加が可能です。
さらに、Google フォームは他のプラットフォームとの連携に優れています。たとえば、Google フォーム内からYouTube動画を検索して埋め込んだり、画像をアップロード・検索したりできます。
以下で、初めてGoogle フォームを使用する方に向けていくつか作成例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
社内のセミナーや会議(イベント出欠確認フォームを使用)

求人への応募(就職申込書フォームを使用)

顧客フィードバック(お客様アンケートフォームを使用)

投票を作成(テストフォームを使用)

Google フォームのデザインをカスタマイズする方法
Google フォームは、色やフォント・背景画像などを自由にカスタマイズできます。カスタマイズすることで入力完了率が上がる可能性があるため、重要なフォームを作成する際には活用したい機能です。
画面右上のパレットマークをクリックし、フォームの作成目的に適したデザインへカスタマイズしてみましょう。

CSSやHTMLを使えばより自由なカスタマイズができるようになります。
Google フォームのユーザビリティを高めるポイント
Google フォームのユーザビリティを高めると、回答完了率を向上させることができます。以下で2つのポイントを紹介しますので、ぜひ実施してみてください。
入力フォームのデザイン
Google フォームのユーザビリティを高めるためには、デザイン性を高めることが重要です。フォームのデザインが会社のイメージと統一されていると、ユーザーに安心して回答してもらえるでしょう。
一方で、デザインがあまりにも質素で会社のイメージとかけ離れていると、外部サイトに誘導されたのではないかと不審に思われる可能性があります。
会社のイメージに合わせてフォームをデザインしてください。
EFO(入力フォームの最適化)
EFO(入力フォームの最適化)とは、たとえば以下のような施策を指します。
- 必須入力項目を減らす
- 全角・半角の自動切り換え
- 入力の不備をその場で指摘する
このような施策を行うことでフォーム回答時のストレスを低減し、入力完了率が向上します。EFOについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
Google フォームの主なセキュリティ対策
Google フォームには次のようなセキュリティ対策が施されており、安全性は高いと言えます。
- SSL/TLS化
- 365日・24時間体制で監視
- アカウント管理のサポート
Google フォーム以外の無料で使えるフォーム作成ツール
Google フォーム以外にも、無料で使えるフォーム作成ツールはいくつかあります。
各フォームの特徴やメリット・デメリットについては以下で紹介しています。自社に合うフォーム作成ツールを見つけてみてください。
Google フォームに関するよくある質問
Google フォームを利用する際によくある質問をまとめました。
1. Google フォームの回答にはGoogle アカウントが必要?
基本的には、Google フォームの回答にGoogle アカウントは必要ありません。
回答時にログインが求められる場合は、「回答者がログイン不要で回答できるようにする方法」の手順に従ってログイン不要で回答できるように設定してください。
2. Google フォームの公開範囲を制限することはできる?
Google フォームの公開範囲を社内のみに設定することは可能です。
【設定】ページの【全般】より、【(組織名)と信頼できる組織のユーザーに限定する】をオンにすれば社外に漏れることはありません。
ただし、一般ユーザーがGoogle フォームを利用する場合は公開範囲の制限ができません。
3. Google フォームで処理できる回答の数は?
Google フォームが処理できる回答の数はおよそ200万件ですが、フォームの回答はGoogle ドライブに保存されるため、ドライブの容量が上限に達すると自動的にフォームが停止します。
特に、ファイルアップロード形式のフォームは容量が大きくなる傾向があるので、Google ドライブの残容量に注意しましょう。
4. Google フォームのデータはどこに保存される?
質問3でも伝えたとおり、Google フォームで得た回答のデータは作成者(オーナー)のGoogle ドライブに保存されます。
5. Google フォームに誰が回答したかわかる?
Google フォームの設定で「回答」から「メールアドレスを収集する」をオンにすると、回答者はメールアドレスの入力が必須になります。なお、収集できるのはアドレスのみで、その他の個人情報を閲覧できるわけではありません。
上記の設定をしなければ、基本的にGoogle フォームの回答は匿名となります。
6. Google フォームはスマートフォンで利用できる?
Google フォームの作成・回答はスマートフォンでも可能であり、PCと機能面もまったく同じです。
Google フォームを気軽に活用しよう
Google フォームは直感的な操作で簡単に活用できます。使い方をマスターし、目的に応じてアンケートフォームや問い合わせフォームを作成してみてください。

