VSO(音声検索最適化)とは、音声検索時に目的のコンテンツを上位表示させるための施策です。検索ユーザーを対象とした集客方法はSEO(検索エンジン最適化)が主流でしたが、音声検索を利用するユーザーの増加に伴ってVSOにも注目が集まっています。
株式会社イードの「音声アシスタントとスマートスピーカーに関するアンケート調査」によると、デバイスを問わず音声アシスタントを利用している人は調査対象者の5割を超えています。
本記事では、VSOの仕組みやメリット、具体的な対策方法を解説します。音声検索の市場がさらに拡大していくことを見据えて、Webサイト運営者は早めに対策を講じることが重要です。
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VSO(音声検索最適化)とは
VSO(Voice Search Optimization / 音声検索最適化)とは、音声検索時に目的のコンテンツを上位表示させるための施策です。
現在は、検索エンジンに直接文字を入力して情報を探す「テキスト検索」が主流です。そのため、多くのWebサイト運営者は、テキスト検索での上位表示を目指してSEO(検索エンジン最適化)を行っています。
その一方で、スマートフォンやスマートスピーカーなどを使用した音声検索のニーズが高まっており、将来的に音声検索が主流になれば、VSOによる音声検索への対応が必要になります。ユーザー行動の変化に合わせて、早いうちに音声検索への対処方法を理解しておくことが重要といえるでしょう。
VSOへの対応は必要なのか?
将来的に音声検索が主流になる可能性はあるものの、現在主流になっているのはテキストによる検索です。そのため、VSOを実施する際はSEOと平行して行う必要があります。
ここでは、2023年5月時点における音声検索の立ち位置やVSOのメリットを解説します。現段階でVSOにどの程度リソースや予算を割くべきか判断する際の参考にしてください。
日本における音声検索の立ち位置
UXコンサルティングサービスを提供する株式会社イードの「音声アシスタントとスマートスピーカーに関するアンケート調査」によると、音声アシスタントの利用者は調査対象者となった約2,800名のパネルのうち5割強、日常的に利用している人は全体の約1割を占めます。また、「音声アシスタントを一度も利用したことがない」と回答した人は、2019年に51.2%、2022年に45.5%と、減少していることがわかりました。
この結果から、日本では将来的に音声検索の需要が伸びる可能性が十分にあるといえます。また、音声を主軸とした新たな情報デバイスの登場や、音声認識の精度向上などの要素も、音声検索の需要の高まりを後押しするでしょう。
VSOで得られるメリット
SEOと並行してVSOを行うことで、テキスト検索ユーザーに加えて音声検索ユーザーをカバーできるメリットがあります。テキスト検索と音声検索の両方で目的のコンテンツが上位表示されれば、Webサイト全体のアクセス数向上が見込めます。
VSO実施のためのポイント
VSOを実施するために必要なアクションプランは、SEOと大きくは変わりません。VSOではSEOと同様、テキスト検索に対するWebサイトの最適化を行うことが大切です。
テキスト検索向けのWebサイトの最適化とは、具体的に次のような対策を指します。
- 良質なコンテンツの制作
- ページエクスペリエンスの改善
(ページエクスペリエンスはWebページのユーザー体験を表す6つの指標) - コアウェブバイタルの改善
(コアウェブバイタルはWebサイトにおけるUXの質を評価するための指標) - モバイルフレンドリーなサイト設計
SEO調査会社であるBacklinko社の調査によると、音声検索結果の75%のコンテンツが、そのクエリで通常検索の上位3位にランクインしていることがわかりました。つまり、テキスト検索で上位にランクインしているコンテンツは、音声検索でも回答として表示される可能性が高いということです。音声検索の回答として優先的にコンテンツを表示させたい場合は、テキスト検索向けのWebサイト最適化が重要だと考えられます。
VSO実施に当たって特に意識すべきこと
ここでは、Backlinko社の調査をもとに、VSO実施に当たって特に意識すべき4つのポイントを解説します。
ページの表示速度
Backlinko社の発表で、音声検索に対する返答ページの平均読み込み時間は4.6秒で、一般的なページよりも52%程度速いことが明らかになりました。このことから、音声検索ではユーザーに対して、より迅速に情報を提供することが重要だと考えられます。
Webサイトの運営者は、ユーザーがストレスを感じないように、ページの表示速度を高める対策を講じる必要があるでしょう。ページの表示速度はGoogle のランキング要因のひとつであり、SEOにおいても重要です。Google が提供する「PageSpeed insights」で細かい指標をチェックすると良いでしょう。
HTTPSによるセキュリティ強化
Backlinko社の調査で、音声検索によって表示されるコンテンツの70%以上がHTTPSで保護されていたことから、HTTPSへの対応が音声検索の表示可否に影響を与えることを示唆しています。
HTTPS化は、ユーザーやGoogle から「信頼できるWebサイトである」と認識してもらうための重要な施策です。VSOに限らず、未実施の場合は早めの対策を心がけましょう。
信頼性の高いドメイン
Backlinko社は、Google Homeの音声検索結果におけるWebサイトの平均ドメインパワーが76.8ポイントだと発表しています。SEOにおいては、ドメインパワーが100ポイントに近付くほどページが評価され、検索エンジンでの上位表示の可能性が高くなります。そのうえで76.8ポイントという数値は高水準といえるため、ドメインの信頼性が高いWebサイトほど音声検索の結果に表示されやすいと考えられるでしょう。
スマートスピーカーにおける音声検索は、テキスト検索とは異なり、ユーザーの質問に対して1つの回答が表示されます。そのため、Google はより正確な情報を提供しなければならず、必然的にドメインパワーが高い(=ページの評価が高い)Webサイトを回答結果に表示するのではないかとBacklinko社は推測しています。
簡潔で読みやすく、強調スニペットに対応できるコンテンツ
Backlinko社は、音声検索の全回答の40.7%が強調スニペットからのものだったと発表しています。強調スニペットとは、通常の検索結果よりも上部に表示される、そのページの内容を示す抜粋のことです。
Backlinko社の調査結果から、テキスト検索において強調スニペットに表示されたコンテンツは、音声検索の回答として表示されやすいことがわかっています。強調スニペットは、通常検索の上位(1~10位)コンテンツのなかから選ばれるため、音声検索で上位表示されるにはSEOが重要だといえるでしょう。
また、Backlinko社は同時に、音声検索では短くて簡潔な回答が好まれ、音声検索で返される結果は平均29単語で構成されていたと発表しています。VSOでは、簡潔かつ明瞭な文章やシンプルなコンテンツで、ユーザーが本質的に求めている回答を用意することが大切です。
VSOを考えるうえでの基本的なサイト構造やコンテンツの最適化が大切
VSOを実施するにあたって意識すべき点は、SEOと大きくは変わりません。事実、Backlinko社の調査によれば、音声検索結果の75%がそのクエリで通常検索の上位3位にランクインしています。SEOと同様、基本的なWebサイトの最適化を実施することがVSOにもつながるでしょう。
また、Backlinko社は調査結果のなかで、次の要素は音声検索での上位表示に直接的な影響は与えないとしています。
- 音声検索に向けたタイトルタグの最適化:
音声検索ではタイトルはあまり考慮されず、コンテンツの内容が重要とされる。通常検索と考え方を分ける必要性は薄い。 - Schemaマークアップ:
Schemaマークアップとは、検索エンジンがコンテンツの内容を理解できるよう、構造化されたHTMLタグのこと。音声検索の結果との因果関係は見られなかった。
いずれの検索方法であっても、Google が「ユーザーが求める質の高い情報を提供すること」を目指している点は変わりません。検索方法やキーワードによって細かな差があるとはいえ、結局のところ、ユーザーへの有益なコンテンツの提供が最も重要な対策となります。
まずはユーザーにとって有益でわかりやすいコンテンツを提供することに注力し、そのうえで今回ご紹介したような傾向を意識できれば、音声検索においても有効な対策が可能になるでしょう。