カリギュラ効果とは?意味やマーケティングでの活用例、ポイントを解説

ダウンロード: マーケティングに役立つ心理学入門
水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

最終更新日:

公開日:

「してはいけない」と禁じられると、その事柄に対しての興味や関心がかえって強くなる心理を、カリギュラ効果といいます。マーケティングにも活用されている、心理効果のひとつです。

カリギュラ効果とは?意味やマーケティングでの活用例、ポイントを解説

マーケティングに役立つ心理学入門

〜見込み客の行動を理解して最適なマーケティング活動を進める秘訣〜

  • 顧客をファンへと変える「ファノクラシー」の構築方法
  • マズローの欲求5段階説の概要を理解する
  • 人間の行動原理について学習する
  • 自社のマーケティング活動を心理学的な観点から考察

    今すぐダウンロードする

    全てのフィールドが必須です。

    ダウンロードの準備ができました

    下記のボタンよりダウンロードいただけます。

    カリギュラ効果を正しく理解して活用すれば、マーケティングの成果向上の効果が期待できます。本記事では、カリギュラ効果とは何か、マーケティングにおける具体的な活用例、活用のポイントを解説します。

    マーケティング担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

    カリギュラ効果とは

    カリギュラ効果とは、ある事柄について禁止や制限をされると、逆にそれをしたくなる心理です。人間は、行動を禁止または制限されることで、その事柄に対して関心を持つ性質があります。

    例えば、「〇〇な人は絶対に見ないでください」といった広告は、カリギュラ効果で欲求が高まる、心理的な効果を利用しています。

    なぜ、この現象をカリギュラ効果と呼ぶのでしょうか。名前の由来は、『カリギュラ』という映画です。この映画はショッキングなシーンなどが多く、アメリカの一部地域で放映禁止にしたところ、逆に見たがる人が増えて話題を呼びました。

    この映画にちなんで、他者から禁止されるとやりたくなる心理効果を「カリギュラ効果」と呼ぶようになったのです。
     

    カリギュラ効果と似ている言葉との比較

    カリギュラ効果に似た心理学用語に、次の2つがあります。

    • シロクマ効果
    • 心理的リアクタンス

    順番に解説します。
     

    シロクマ効果

    シロクマ効果とは、やりたくないのに逆にそれを行ってしまう心理現象です。

    例えば、禁煙したいと考えている人がいるとしましょう。しかし、タバコのことを忘れようと思えば思うほど、タバコのことを考えてしまいます。これがシロクマ効果です。

    なお、シロクマ効果と呼ばれる理由は、「シロクマのことを考えないようにする」実験が行われたためです。心理学者によるこの実験では、考えないようにすればするほど、かえってシロクマを思い出してしまうという結果になりました。

    カリギュラ効果との違いは、自分が望んでいるかどうかにあります。カリギュラ効果は、禁止や制限をされることでしたくなり、シロクマ効果は、やりたくないのにやってしまう点が異なります。
     

    心理的リアクタンス

    心理的リアクタンスとは、言動に制限をかけられると、自由を奪われたことに対する反発を覚える心理のことです。

    例えば、今から勉強をしようと思っていたところに、親から「勉強しなさい」と言われてやる気がなくなる、といったケースが心理的リアクタンスに該当します。

    カリギュラ効果との違いは、禁止や制限をかけられた際の感情です。カリギュラ効果では、禁止されることで興味や関心が生まれますが、心理的リアクタンスでは反発が生じる点に違いがあります。
     

    カリギュラ効果のマーケティングでの活用例

    カリギュラ効果のマーケティング活用例を4つ紹介します。

    • 限定販売
    • 会員登録
    • キャッチコピー
    • 話題作り

    具体的な詳細を、一つずつ見ていきましょう。
     

    限定販売

    商品やサービスの数量や期間を限定する方法です。制限することで、消費者の関心を高める効果があります

    消費者は「今しか買えない」と感じ、興味や関心が生まれやすくなります。「季節限定の菓子」や「限定10足のスニーカー」などが、その一例です。
     

    会員登録

    会員登録は、小さなハードルを設けて、それを乗り越えると欲求を満たせるようにする集客手法です。

    例えば、記事を読んでいる途中で「続きは会員限定」と表示されることがあります。これも、カリギュラ効果を狙ったものです。比較的簡単な課題を設けて「読みたい」という欲求を刺激することで、ユーザーの興味を引く効果が期待できます。

    あまりに大きなハードルを設定しすぎると逆効果になりますが、一般的に軽微なことであれば、興味が高まりやすく効果的です。
     

    キャッチコピー

    禁止や制限を伴うようなキャッチコピーを用いると、カリギュラ効果が発生します。本の帯やPOPなどで「絶対に読まないでください」と書かれていると、無性に内容が気になるように、禁止されると読みたくなる、まさにカリギュラ効果を狙った手法です。

    また、バーナム効果をかけ合わせると、より大きな効果が期待できます。バーナム効果とは、誰にでも当てはまる事柄を自分のことだと思ってしまう現象です。

    例えば、「現在の成果に満足している方は見ないでください。今よりさらに営業成績を上げたいと考えている方に向けたセミナーとなります」と広告に記載するとします。最初に禁止をしていますが、実際に営業成績を全く伸ばしたくないと考える人は少ないため、多くの人に「自分のことだ」と捉えてもらいやすくなります。

    バーナム効果については、下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

     

    話題作り

    カリギュラ効果は、話題作りにも活かされています。例えば、テレビ番組などで放送禁止用語を表す「ピーッ」という音を意図的・効果的に使用することにより、「一体何が話されていたのか」と、SNSなどで話題に上ることがあります。

    一部を隠すことで、隠された内容に視聴者が強く興味を引かれるため、話題作りになるのです。
     

    カリギュラ効果を活用するときのポイント

    ここでは、カリギュラ効果をビジネスで活用する際のポイントを3つ紹介します。

    • ブランドイメージに注意する
    • 禁止理由を明確にする
    • 制限の度合いを見極める

    いずれも留意が必要なため、正しく理解しましょう。
     

    ブランドイメージに注意する

    広告や宣伝で注意が必要なのは、その文言です。「閲覧禁止」など、過剰な表現を安易に用いると、ブランドイメージが損なわれてしまう場合があるので、表現方法には細心の注意を払わなければなりません

    数量限定の訴求なども、過度の煽りがブランドイメージの棄損につながる恐れがあります。許容ラインは、商材や企業が目指すイメージによって異なるため、慎重に取り扱いましょう。

    カリギュラ効果を有効に活用するためには、ユーザーとの信頼関係が大切です。事前にマーケティングリサーチを行うなどして、市場や顧客のニーズ、信頼関係の構築度合いも確認したうえで、活用を検討することが求められます。
     

    禁止理由を明確にする

    「読まないでください」といった禁止の表現を用いるときは、なぜ禁止するのか、理由を明確にしましょう。理由がわからなければ、特に好奇心がそそられることなく、読まれずに終わってしまいます。

    本来の目的は読んでもらうことなので、ただ単に禁止するだけでなく、ユーザーの興味を引くような書き方を心がけてください

    例えば、ダイエット商品の場合「ストイックな方は見ないでください」と表現したうえで、「心身に負担をかけずに痩せたい人のための方法です」などの理由も添えて、説明すると良いでしょう。
     

    制限の度合いを見極める

    会員登録の項目でも述べたとおり、乗り越えるべきハードルは、適切な高さにする必要があります。例えば、会員登録すれば記事の続きを読める場合、無料であればハードルは低いので、乗り越えてくれる人が多くなります。

    しかし、有料の会員登録で月額1,000円かかるとしたら、ハードルが高すぎて二の足を踏み、登録しない人が増えるでしょう。自社の商品やサービスの内容に見合った、適度なハードルを設定することが重要です。
     

    カリギュラ効果をマーケティングに活かそう

    カリギュラ効果を正しく理解することで、マーケティングにも応用できます。どのようなハードルを設ければ、ユーザーの興味・関心を引けるのか、限定や禁止の内容などを考えてみてください。

    自社のブランドイメージを損なわないよう十分に注意しながら、効果的に活用し、マーケティングの成果向上や売上アップを目指しましょう。

    HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

     

    マーケティングに役立つ心理学入門

    関連記事

    このeBookでは、顧客をファンに変え、ファンを顧客に変える「ファノクラシー」を構築するためのマーケティング手法を心理学的なアプローチから解説しています。