マーケティング心理学用語12選|ビジネスに活かせる事例も紹介

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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圧倒的な成果を出せるマーケターは、人間の行動心理をよく理解して、マーケティング施策を実践しています。心理的な傾向を把握していれば、より効果的なマーケティング施策の立案が可能です。

マーケティング心理学用語12選|ビジネスに活かせる事例も紹介

マーケティングに役立つ心理学入門

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  • マズローの欲求5段階説の概要を理解する
  • 人間の行動原理について学習する
  • 自社のマーケティング活動を心理学的な観点から考察

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    本記事では、マーケティング担当者の方に向けて、知っておきたい12個の心理学の知識を紹介します。ご覧いただければ、「効果的なキャッチコピー」「成果の出る広告」「読んでもらえるメルマガ」作りの参考になるでしょう。

    マーケティング心理学とは

    マーケティング心理学は、消費者の行動や意思決定に関わる心理的な傾向を理解し、マーケティング戦略に活かす学問です。消費者の欲求やニーズ、価値観、行動パターンなどを心理学的観点から分析し、商品やサービスの開発、販売促進、ブランド構築などに活かすことが目的とされます。

    マーケティング心理学は、広告やプロモーション、パッケージデザイン、価格設定など、さまざまなマーケティング活動に応用されています。心理学の理論や手法を用いて、消費者の認知的・感情的・行動的反応を予測し、効果的なマーケティング戦略の立案が可能です。
     

    主なマーケティング心理学用語12選

    ここでは、マーケティングで活用される12の心理学用語をご紹介します。

    • バーナム効果
    • カリギュラ効果
    • ザイオンス効果
    • アンカリング効果
    • ウィンザー効果
    • フットインザドア
    • ディドロ効果
    • 松竹梅の法則
    • バンドワゴン効果
    • スノッブ効果
    • 損失回避の法則
    • 決定回避の法則
       

    バーナム効果

    誰にでも当てはまるような、一般的な記述や性格評価を「自分のことだ」と思いこむ傾向を指します。

    例えば、占いで「今、思い悩んでいることがありますね」と言われると、「あのことだ」と勝手に自分で結びつけてしまいがちです。多くの人にとって、悩み事のひとつやふたつはあるものです。しかし、占い師からそのように告げられると「当たっている」と感じてしまう傾向が見られます。

    マーケティングでは、広告やCMで多くの人に当てはまるような言葉を使って宣伝し、消費者に自分事にしてもらう手法が使われます

    例えば、ボディケア商品の「乾燥肌が気になるあなたへ」という文言は、バーナム効果を狙った方法です。冬の時期は特に乾燥を気にする人が多いため、該当者は多く、「自分のことだ」と思ってもらいやすいというメリットがあります。

     

    カリギュラ効果

    禁止されると、興味や関心が強まる心理的傾向を指します。「〇〇の人しか見ないでください」と書かれている広告や動画タイトルは、カリギュラ効果を狙った手法です。

    期間限定の商品も、カリギュラ効果を応用したもので「今しか買えない」と思わせて、消費者の興味を引く効果があります。人は「自分で決めたい」という欲求があるため、行動を禁止されたり、制限されたりすることで、かえって対象への欲求が強まるのです

     

    ザイオンス効果

    ザイオンス効果は、単純接触効果とも呼ばれ、ある対象に何度も接するうちに、好意を持つようになる傾向のことです。

    例えば、CMやスーパー・飲食店などの店内で流され、よく耳にする音楽をいつの間にか好きになっていた、という経験がある人もいるでしょう。これは、ザイオンス効果が働いたためと考えられます。

    ザイオンス効果は、マーケティングでも使われることが多い心理的傾向です。メールマガジンやSNSで積極的に発信を行い、会社名や自社の商品・サービスと接触する回数を増やすと、ザイオンス効果が起こりやすくなります
     

    アンカリング効果

    最初に提示された情報が、その後の情報に対する評価に影響を与える心理現象です。アンカーとは錨(いかり)のことで、アンカーを基準にして評価するのがアンカリング効果です。

    例えば、商品やサービスの価格表記がこれに当たります。「通常価格」と書かれている値札を見る機会は多いでしょう。この通常価格がアンカーとなり、割引後の価格をより安く見せる手法です。

     

    ウィンザー効果

    公式の情報よりも、第三者によってもたらされる情報を信用する心理的な現象です。

    例えば、ある商品について、企業が公式サイトで紹介している情報よりも、実際に使用した人の口コミによる情報の方が影響が大きい場合があります。SNS時代の昨今では、口コミの影響力が強いため、販促のために口コミを用いる企業も少なくありません。

    他にも、実際に商品やサービスを利用した人を対象に、アンケートやインタビューを行い、そのなかから肯定的な回答を厳選して広告やCMで活用すると効果的です。

     

    フットインザドア

    小さな要求や提案を受け入れたあとは、大きな要求や提案にも同意しやすくなる心理現象を利用したテクニックです。この心理現象は、最初の意見と一致した立場を取ろうとする「一貫性の原理」が働くことによって起こるものです。

    マーケティングでの具体的な使い方としては、まず、LINEやメルマガの登録などで無料のコンテンツを利用できるようにします。

    「登録」という小さな要求を受け入れてもらってから、有料の商品やサービスのプロモーションなどを提供すると、利用者は1度許可しているため、次の要求を受け入れやすくなる効果があります。

     

    ディドロ効果

    ディドロ効果とは、理想的な品物を手に入れた際、周囲のアイテムもそれに合わせて一新したり、統一を図ったりしたくなる心理のことです。

    例えば、新たにソファを購入したときに、他の家具と調和がとれていなければ、色や雰囲気をそろえたくなる心理です。

    ディドロ効果を誘発させるものとしては、ショールームやブランドショップのマネキンがあげられます。家具やコーディネートを同じシリーズでまとめることにより、一貫性を持たせ「統一させたい」という欲求を引き出します

    マーケティングにおけるディドロ効果の活用例として、ユーザーがA商品を購入した際に「あわせてこちらの商品もいかがですか?」と類似のB商品を紹介する、クロスセルの手法がよく用いられます。

     

    松竹梅の法則

    松竹梅の法則は、3つの選択肢のうち、中間の選択肢が最も選ばれやすいという心理現象です。販売手法のひとつとして、よく用いられています。

    例えば、飲食店のランチメニューで、価格が高い順に「A」「B」2種類の定食があるとしましょう。利益率がより高いB定食を選んでほしい場合、B定食よりも価格が安い「C」定食という新メニューをつくります。

    その結果、中間の価格である「B」定食を選ぶ人が増えるケースが一般的です。人は極端な選択肢を避ける傾向があるため、中間が選ばれやすくなるのです。

    したがって、メニュー価格やサービス料を設定する際は、とくに推奨したい商品が中間帯の価格になるように調整を加えるのが効果的です。

     

    バンドワゴン効果

    バンドワゴン効果は、周囲の人々の行動や意見に追随しやすくなる心理現象です。

    大勢が一定の行動をとっていると、他者も同じような行動をとりがちになります。行列のできるお店がさらに流行るようになるのは、このバンドワゴン効果も関係しています。

    広告などで「大人気」「〇〇ランキング1位」などと記載するのは、バンドワゴン効果を狙った手法です。多くの人から支持されていることをアピールして、「みんなが使っているなら、私も使ってみよう」と思わせる効果があります。

    ただし、「大人気」や「ランキング1位」など、実態に即さない誇張・誇大の表現は景品表示法により禁止されています。これらの表現を使う際は、根拠の示せる場合のみに限定しましょう。

     

    スノッブ効果

    スノッブ効果は、バンドワゴン効果とは反対に「みんなと同じものは嫌だ」という心理現象です。「〇個の限定販売」「先着〇人だけの限定モデル」などの訴求は、スノッブ効果の一例です。

    この心理現象には「希少性」が深く関わっています。数量限定のプレミア品が欲しくなるのは、入手困難な商品だからです。地域限定品も同様に「ここでしか買えない」と思わせて、希少性を高めています。

    このように希少性を打ち出すと、スノッブ効果によって「欲しい」と感じる人が増え、需要が増します。
     

    損失回避の法則

    人は「得をする」ことよりも「損を回避する」方を選びたがる性質があります。期間限定セールやポイントカードは、この損失回避の法則を活用している実例です。

    期間が決まっているセールは「この機会を逃すと損をする」と思わせ、ポイントカードは「ポイント制度がないお店で買うのは損だ」と認識させます。そのため、企業側からすれば、自店舗で商品やサービスを買ってもらいやすくなるという効果があります。

     

    決定回避の法則

    選択肢が多すぎると、決断しづらくなる心理現象です。この法則は、社会心理学者のシーナ・アイエンガー氏がジャムの販売実験を行って提唱したことから、ジャム理論とも呼ばれています。

    同氏の実験では、ジャムを24種類並べたときと、6種類を置いたときでは「6種類のみの方が売れ行きが良い」という結果が出ました。

    このように選択肢を用意しすぎると、かえって「間違った選択で損をしたくない」という心理が働き、購入の決断に至らなくなってしまいます。そのため、消費者を迷わせないように、商品数や種類をある程度絞ることも大切です。

     

    その他マーケティングに活用できる心理学

    これまで紹介してきた12選以外にも、マーケティングに活かせる、以下のような心理学用語があります。

    • コンコルド効果:やめるべきとわかっていても、これまでの投資をもったいなく感じて投資し続けてしまうこと。別名は、埋没費用(サンクコスト)効果です。
    • ストループ効果:同時に目に入る2つの情報が互いに干渉して、理解に時間がかかる現象。例えば、文字色と文字の意味(赤色の文字で「青」と表示した場合、文字の色を問われても「赤」と即答できない)などが該当します。
    • ヴェブレン効果:「見せびらかしたい」という欲求によって、高価格の商品の需要が高まる消費行動。「顕示効果」とも呼ばれます。
    • ハロー効果:ひとつの特徴によって、全体の印象を判断してしまう現象。「高学歴だから仕事もできるだろう」などの思い込みは、その一例です。
    • カクテルパーティー効果:騒がしい場所でも、自分の名前や関わりのある事柄が、はっきり聞き取れる心理効果。音声の選択的聴取や選択的注意ともいわれます。
    • プライミング効果:前もって五感で受けた刺激・経験によって、その後の判断や行動に影響が出ること。例えば、カレーの匂いがして、無意識のうちに帰りにカレーの具材を買うなどの行為が身近なケースです。
    • アンダードッグ効果:弱い者や不利な立場の側を応援したくなる心理現象。同様の意味で使われる慣用句として「判官びいき」という言葉が挙げられます。

     

    マーケティング心理学を活用して目標達成につなげよう

    マーケティング心理学を活用すれば、消費者の心理や行動の予測が立てられるようになり、効果的なマーケティング戦略の立案に役立ちます。消費者の購買意欲の決定に影響を与える要因を理解し、それに基づいて商品やサービスの提供方法を最適化させましょう。

    マーケティング心理学は、ビジネスシーンに応じて柔軟に使い分けることも大切です。心理学の知識を活かして、自社の成果や売上の向上といった目標達成につなげましょう。

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