ディドロ効果とは、新しい商品やサービスの購入後に、ほかの商品も購入したくなる心理現象のことです。適切に活用することで、リピーターの創出や顧客単価アップなどの効果が期待できます。
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本記事では、ディドロ効果の概要や仕組み、活用事例、ポイントを詳しく解説します。ディドロ効果を適切に活用する際の参考にしてください。
ディドロ効果とは
まずは、ディドロ効果の概要と仕組みを詳しく解説します。
ディドロ効果の概要
ディドロ効果とは、新しい商品・サービスを購入した後、それに合わせて他の商品も購入したくなる心理現象のことです。フランスの哲学者ドゥニ・ディドロ氏が語源となっています。
ディドロ氏は、高価なガウンをプレゼントされたあと、それと調和するように所有品を高品質なものに統一したい衝動にかられた体験をエッセイに記しました。後にそのエッセイを読んだカナダ人の文化人類学者グラント・マクラッケンが、この現象を「ディドロ効果」と名付けています。
ディドロ効果は、営業やマーケティングに応用可能です。上手く活用できれば、アップセルやクロスセル、リピーター創出などにつなげられるでしょう。
ディドロ効果が働く仕組み
ディドロ効果が働くのは、主に新しいアイテムや商品を購入したときです。そのアイテムが持つ価値と同等の価値を持つアイテムや環境を一新したくなるのは、「一貫性の原理」が働くためだとされています。
一貫性の原理とは、人が自分の行動や発言、態度、信念などを一貫したものとして示したいと感じる心理のことです。新しい商品を購入すると、同じシリーズの別の商品が欲しくなるなどの現象が起きます。
ディドロ効果の活用例
ここでは、ディドロ効果の活用例を2つご紹介します。
- 同じ系統のインテリアで統一したショールーム
- アパレルのブランド構築
同じ系統のインテリアで統一したショールーム
インテリアショップでは、統一感のある空間やモデルルームを構築することで、消費者に同じ系統のインテリアを購入させる効果があります。
例えば、IKEAやニトリなどの大型家具店では、さまざまなスタイルのショールームを設置しています。意識すると、いずれのショールームでも、カラーや雰囲気が統一されていることに気付くでしょう。
統一されたデザインのショールームを見ると、顧客は自分の理想の部屋をイメージしやすくなり、展示されている家具をセットで購入したいと考えるようになります。
アパレルのブランド構築
ファッションブランドでは、ブランドごとに一貫した世界観を提供しています。例えば、高級志向のブランドは、それにマッチするラグジュアリーなラインナップを取り揃えています。一方、ヴィンテージスタイルのブランドは、レトロな雰囲気のアイテムを展開するなどの工夫をしています。
あるブランドのアパレルを購入した消費者は、同じブランドの別のアパレルも購入したくなる心理が働きます。高級ブランドのバッグを購入した消費者は、それに見合うように同じブランドのアパレル品を購入する傾向にあるため、関連商品を豊富に取り揃えておくと顧客に統一感のあるスタイルを提案できます。
ディドロ効果を活用するポイント
ディドロ効果を活用する際のポイントは、次の通りです。
- 初回購入のハードルを下げる
- 商品をシリーズ化する
- 独自のブランドを形成する
それぞれのポイントを詳しく解説します。
初回購入のハードルを下げる
ディドロ効果で重要なのは、まずは入口となる商品を購入してもらうことです。そのためには、初回購入のハードルを下げる必要があるでしょう。
初回購入のハードルを下げる施策には、初回限定クーポンの配布や複数商品の購入による割引などが有効です。一つの商品を皮切りに関連するさまざまな商品を利用してもらえると、顧客にとっても利便性が高まります。その結果、企業の利益にもつながるでしょう。
商品をシリーズ化する
商品をシリーズものとして提案し、セット購入を促すことでディドロ効果を効果的に引き出すことが期待できます。
例えば、インテリアなら、「春物シリーズ」、「モダンシリーズ」など、シリーズ化することで複数の商品を購入してもらえるでしょう。
また、インテリアならショールーム、アパレルなら店内のディスプレイエリアでマネキンを使ってコーディネートを展示するなどの方法も用いられています。実際に購入した際の使用感をイメージさせられるため、顧客の興味を十分に引き付けることが可能です。
独自のブランドを形成する
ディドロ効果を活用するには、ブランドが持つ世界観や価値観を伝え、独自のブランドを形成することが重要です。商品のデザインや雰囲気に加えて、ブランドの理念やポリシーにも統一性をもたせましょう。
ブランドのメッセージに共感した消費者は、ブランドの考え方に触れたいと感じ、類似した商品を求めるようになります。商品やサービスの良さを伝えるために、店舗デザインやキャッチコピーにもブランドイメージを反映させると効果的です。
ディドロ効果への理解を深め活用しよう
ディドロ効果は、アパレルのブランド構築やソーシャルゲームの課金、インテリアのショールームなど、さまざまな場面で活用されています。
営業やマーケティングにディドロ効果を活用する際は、初回購入のハードルを下げたり、商品をシリーズ化したりすると効果的です。顧客へどのような価値を提供したいのかというコンセプトをベースに、独自のブランディングに取り組んでみましょう。