「CRM設計って、一体何のことを言っているの?」
CRMツールの導入が決まり、準備を進める中で「CRM設計」という言葉を見かけたけれど、何をすべきなのかわからず困っていませんか。
初めてのCRM導入ポイント解説
顧客管理の課題を解決したいBtoB事業者様向けCRM導入のポイント※こちらの資料内容はHubSpotが2023年1月19日に開催したウェビナーの動画とeBookです。
- ウェビナー動画と資料
- CRMを利用する意義
- ExcelからCRMへの顧客情報の移行
- CRMの導入時に考慮すべきポイント
今すぐダウンロードする
全てのフィールドが必須です。
CRM設計とは、顧客それぞれのニーズに合わせて最適なアプローチをするためのシナリオ設計のことを指します。
別名、CRMシナリオ設計とも呼ばれており、より顧客満足度を向上させるためのマーケティング手法のひとつです。
CRMシナリオ設計は、以下の手順でおこないます。
CRMシナリオ設計を考える7つのSTEP
【STEP1】自社製品やサービスに対する理解を深める
【STEP2】自社の課題と目標・目的を洗い出す
【STEP3】顧客データ分析をしてターゲットを決める
【STEP4】アプローチするタイミングを決める
【STEP5】アプローチ内容を考える
【STEP6】各チャネルに応じたアプローチを実行する
【STEP7】PDCAサイクルで最適化を図っていく
ステップに沿ってCRMシナリオ設計をしておけば、顧客の心を動かし、さらに次の行動へアクションを起こさせることができるのです。
CRMシナリオ設計は、BtoBやBtoCに限らず、どのビジネスにおいても重要になってきます。
しかし、自社のマンパワーだけで取り組もうとすると、ハードルが高く感じてしまうのも現実です。
そこでこの記事では、CRMシナリオ設計の手順とあわせて、失敗しないために必要な知識をわかりやすくお伝えしていきます。
これから新たにCRMツールを導入するのであれば、最大限に活用してビジネス全体にプラスの影響を与えたいですよね。
ぜひこの記事を参考に、CRMツールの導入とあわせて、最適なCRMシナリオ設計をおこない顧客満足度を向上していきましょう。
1. CRM設計とは顧客への最適化されたアプローチシナリオ設計のこと
CRM設計とは、システム構築などのフェーズで使われる「設計」という意味合いではありません。 ターゲットである顧客に対して、最適なアプローチをするための「シナリオ設計」のことを指します。
どのようなターゲットに対して、どのような流れ・方法でアプローチしていくべきかという、シナリオを作っておくようなイメージです。
CRM(顧客情報管理)という言葉で混乱しやすいのですが、上記の違いがわかっていれば、よりCRM設計も理解しやすくなります。
顧客と良好な関係性を構築・維持していき顧客満足度を向上するためには、顧客ニーズにあわせてアプローチするための「CRM設計」が重要になってくるのです。
2. CRMにおけるシナリオ設計の重要性
顧客との良好な関係性を構築・維持するためには、事前にしっかりとしたCRM設計をしておくべきだとお伝えしました。
一口に「顧客」といっても、顧客それぞれで求めているニーズも違えば、アプローチ方法も変わってきます。
全顧客に同じ対応・アプローチをしてしまうと、「なんだか、自分には必要ないかも」と感じる顧客が出てしまう可能性も否定できません。
たとえば、最適アプローチができたことで、顧客満足度が上がることで、以下のような効果も期待できるでしょう。
CRMのシナリオ設計がもたらす効果
- 見込み客(リード)からの発注が実現する
- 新規顧客獲得が期待できる
- リピート購入してくれる顧客が育つ
- アップセルやクロスセルを促せる など
このように、顧客満足度が向上することが、ビジネス全体にも影響与えるのです。
- どのような顧客に向けてアプローチをするのか
- どのタイミングでアプローチをするのか
- どの方法でアプローチをするのか
- アプローチの結果と、改善点はあるのか
事前に順序立ててシナリオ設計をしておくことで、顧客それぞれのニーズにあった、最適なアプローチができるようになります。
だからこそ顧客満足度を向上・維持するためにも、あらゆる顧客データを分析したうえで、さまざまなシナリオ設計を考えておくことが重要なのです。
【POINT!】
CRMにおけるシステム設計には、あらゆる顧客情報を分析して最適なシナリオ設計をすることが鍵になってきます。
そして、その時に活躍してくれるのがCRMツールなのです。あらゆる顧客情報を一元管理できるCRMツールを使えば、より効果的で効率の良いシナリオ設計ができます。
この記事では、より効果的なCRMシナリオ設計をしていただくために、CRMツールを使う前提でお話していきます。
先に国内企業が導入できるCRMツールを比較したい方は、下記の記事をご覧ください。
3. CRMにおけるシナリオ設計7つのステップ全体像
CRMにおけるシナリオ設計は、以下の7つのステップで進めていきます。
CRMシナリオ設計の全体の流れを理解できたところで、具体的にどのようなことを考えるべきかイメージできない方もいるかと思います。
そこで、ここからはそれぞれのステップの内容・具体的な事例・成功を左右するポイントなどについて、徹底解説していきます。
3-1. 【CRMシナリオ設計のSTEP1】自社製品やサービスに対する理解を深める
自社製品やサービスに対する理解を深めることが、CRMシナリオ設計をスタートさせる第一歩になります。
なぜなら、顧客にアプローチする製品やサービス自体への理解が浅いままでは、シナリオ設計もうまくいかなくなってしまうからです。
具体的には、以下のようにさまざまなポイントから自社製品やサービスについて、しっかりと洗い出していきましょう。
- 機能
- 料金
- 製品ラインナップ
- 購入後のサポート内容
- 現在の顧客層
- 利用頻度や継続期間 など
自社製品・サービスについての理解を深めると、顧客に最適な提案ができるだけでなく、競合との差別化について考えやすくなります。
CRMシナリオ設計をスムーズに進めていくためにも、改めて自社製品・サービスへの理解を深めておくべきです。
3-2. 【CRMシナリオ設計のSTEP2】自社の課題と目標・目的を洗い出す
自社への理解を改めて深めることができたら、次は自社が抱えている課題について洗い出しましょう。
CRMシナリオ設計を考える際に「目標」を掲げる場合がほとんどですが、その目標も解決したい課題が明確になっていなければ導き出せません。
たとえば、以下のような課題を抱えていないでしょうか。
- リピート顧客が少なく、一度限りの顧客がほとんど
- 見込み客はいるが、なかなか成約に繋がらない
- 資料請求からの成約や購入につながるケースが少ない など
過去の売上実績や販売実績、顧客の行動履歴などをみることで、自社の課題は洗い出しやすくなります。
CRMツールのなかには、マーケティングに活用できる売上・販売実績の確認や、メール開封率やWebサイト訪問履歴などを調べられる機能がついているCRMもあるので、活用してみてください。
自社の課題をしっかりと洗い出すことができたら、その課題を解決するために「どのような目標・目的を立てるべきか」を話し合っていきましょう。
【POINT!】
課題について洗い出す際には、同一部署内だけで考えるのではなく、さまざまな担当者と共有しながら洗い出していきましょう。
多方面からの視点でみることで、今までは気づかなかったような課題もあらわになり、より現実的で実現可能な目標・目的を設定できます。
目標や目的を定める場合は、目標値を数字でしっかりと定めておくことで、PDCAを回しやすくなるでしょう。
3-3. 【CRMシナリオ設計のSTEP3】顧客データ分析をしてターゲットを決める
自社が抱える課題や目標を明確にしただけでは、「誰に」対して「どのような」アプローチをするのかは決められません。
より最適なCRMシナリオ設計をするためには、顧客データに基づいてより具体的なターゲットを決めることが重要なのです。
CRMツールに蓄積された顧客データを、下記のような分析を活用することで、ターゲットを絞り込んでいけます。
RFM分析 |
自社にとっての優良顧客を把握するために、Recency(最新購入日)・Frequency(購入頻度)・Monetary(購入金額)の3つの指標で顧客を分析・評価する。 |
---|---|
デシル分析 |
購入比率や売上構成を分析するために、購入金額が多い順に顧客をグループ分けする。 |
CTB分析 |
顧客目線のマーケティングをするために、Category(カテゴリ)・Taste(テイスト)・Brand(ブランド)の3つの指標をもとに、顧客の趣味嗜好を分析する。 |
※上記の具体的な機能は、あくまでも一般的な参考例であり、サービスによって利用できる分析機能は変わります。
さまざまな分析方法を活用することで、目標や目的にあわせて「ターゲットにすべき顧客層」が明確になってきます。
顧客データを分析する際には、CRMツールに蓄積されている
- 顧客の属性情報
- 過去の購入履歴やリピート率
- アクセス解析データ
- 見込み客リスト
などを参考に、データ分析を行うと、時間のかかっていた顧客データ分析も、効率よく進めていけます。
これにより、顧客それぞれの傾向が見えてくるので、ターゲットを絞り込みやすくなるでしょう。
【POINT!】
顧客データ分析をするときは、とにかく幅広い顧客情報を徹底的に集めることが重要になってきます。
データが多いほど、より細分化した顧客のニーズや傾向をグループ化できるのです。
- 購入率が極端に低い顧客グループ
- リピート率が低い顧客グループ
- 購入離脱しやすい顧客グループ
などのように、アプローチすべき顧客グループの傾向がわかれば、対処方法も自ずと導き出せるでしょう。
3-4. 【CRMシナリオ設計のSTEP4】アプローチするタイミングを決める
アプローチする顧客ターゲットが決まったら、次はどのタイミングでアプローチするべきなのか考えてみましょう。
たとえ、しっかりとCRMシナリオ設計をしていても、アプローチするタイミングがズレてしまうと、顧客から良い反応は返ってきません。
「今のタイミングで営業されても、興味ない」
「一度購入したら、何度も営業の連絡が来てしつこい」
間違えたアプローチで、顧客にこのように感じさせてしまうと、購入離脱の大きな原因になるでしょう。
だからこそ、ターゲットによって、アプローチが的確に届くタイミングを見極めることが重要になります。
アプローチタイミングは、主に以下の要素を基準に考えていくとスムーズです。
- 時間帯:メール開封率が高い、反応が返ってきやすい時間帯など
- 行動:購入後、無料資料DL後、Webサイト訪問後など
- 頻度:一度だけなのか、繰り返しなのか
CRMツールを日頃から活用している場合は、メール開封率や顧客の行動履歴などがデータとして蓄積されている場合もあります。
蓄積されたデータを参考に、「どのタイミングでアプローチをすると、顧客の心を動かせるのか」を考えながらアプローチタイミングを見極めてみましょう。
【POINT!】
アプローチタイミングを考えるときは、以下のように具体的に洗い出してみるのがおすすめです。
- お問い合わせや無料資料請求の直後
- 商品購入の直後
- 商品購入から1ヶ月後
- 購入した商品の使い切り目安のタイミング
- 公式LINE登録の直後
- キャンペーン開始の2週間前
より具体的なアプローチタイミングを決めておけば、CRMシステムで自動化することも可能になるでしょう。
3-5. 【CRMシナリオ設計のSTEP5】アプローチ内容を考える
顧客にアプローチするタイミングまでが決まれば、次は顧客に伝えたいアプローチ内容を決めていきます。
たとえば、無料資料請求した見込み客に対して、すぐに高額商品の購入を促しても、顧客ニーズにあっていないので購入に繋がりません。
顧客ニーズとアプローチタイミングを考えたうえで、それぞれの顧客に合わせた最適なアプローチ内容を作ることが重要です。
たとえば、以下のように考えてみましょう。
タイミング |
内容 |
---|---|
無料資料請求 |
資料送付と初回限定割引に関するメッセージ |
商品購入直後 |
お礼メール |
商品購入数日後 |
使用の感想や継続利用を促進 |
商品を使い切る目安のタイミング |
割引クーポンなどで継続利用の促進 |
ポイントの有効期限1週間前 |
期限失効間近のお知らせと、割引クーポン配布 |
このように、タイミングにあったアプローチ内容を顧客に伝えることで
「今、まさにその情報を求めていた!」
「〇〇キャンペーンがあるなら、今契約しても良いかも…」
というように顧客の心を動かして、次の行動に繋げることができます。
実際に、CRMシナリオ設計に基づいて施策を続けていくと、そのアプローチ内容が最適だったか否かが数字として現れてくるでしょう。
アプローチした顧客の反応をみながら、より最適なアプローチ内容にしていけるように工夫していく必要があります。
【POINT!】
アプローチ内容について考える際には、顧客視点に立って考えるようにしましょう。
顧客と同じ視点に立ってみることで、本当に顧客のニーズを満たせるアプローチ内容を見つけられます。
「もしも、自分が顧客と同じ状況なら」を大前提に、どのようなアプローチをすると顧客の心が動くのか考えてみましょう。
3-6. 【CRMシナリオ設計のSTEP6】各チャネルに応じたアプローチを実行する
アプローチ内容まで決定したら、利用するチャネル(手段)を決めて、それに応じたアプローチを実行していきます。
CRMにおけるシナリオ設計で、企業が活用できるチャネルは以下のようにさまざまです。
- メールやLINE
- DMやチラシ
- 電話や訪問
- 店頭での販促プロモーション
どのチャネルを選ぶべきなのかは、アプローチタイミングや顧客層などによって、変わってくるでしょう。
たとえば、ITリテラシーの高い層であればSNSを中心としたアプローチの方が効果的な場合が多いかと思います。
反対に普段からSNS等を使わない顧客層の場合は、電話やDMなども選択肢になるでしょう。
事前に分析しておいた顧客データも参考にしながら、顧客それぞれに最適なチャネルでアプローチを行っていくべきです。
【POINT!】
顧客の反応をみたり比較したい時は、ABテストを行うのが効果的です。
同じ属性の顧客グループに対して、AとCで違うアプローチ内容を発信してみましょう。
(例)
Aの顧客グループ:購入直後にお礼メールと割引クーポンの配布
Bの顧客グループ:購入直後にお礼メール、2週間後にLINEでレビュー依頼と割引クーポン配布
ABテストをすることで、どちらのアプローチ内容・チャネルが有効なのか、明確にわかってきます。
3-7. 【CRMシナリオ設計のSTEP7】PDCAサイクルで最適化を図っていく
より精度の高いCRMシナリオ設計にするためにも、PDCAサイクルを回しながら、施策全体を見直して最適化を図っていきましょう。
CRMシナリオ設計に基づいておこなった施策が、うまく稼働しているのか知るためにも、以下の指標を確認しなければいけません。
【参考例】
- メッセージをクリックしてWebサイトを訪問したユーザー数
- 訪問先のWebサイトでの会員登録率
- メールの開封率やクリック率
- 新規購入率
- リピート購入率 など
数値が改善しており目標達成に近いているなら、そのターゲットに対して最適なCRMシナリオ設計を作ることができたということです。
反対に、一向に数値改善がみられない場合は、より最適なCRMシナリオ設計にするために改善点を洗い出してみてください。
「なぜ、顧客の行動につながらなかったのか」を改めて考えることで、間違えて設定しているシナリオを洗い出せます。
間違えていた部分を見直し、より最適なシナリオへと作り替えて、再度試していくことが重要です。
一度のCRMシナリオ設計で満足するのではなく、常にPDCAをまわしながら、自社にとって最適なシナリオ設計を意識していきましょう。
4. シナリオ設計の効果を最大限に高めてくれるのが「CRMツール」
自社だけでCRMシナリオ設計しようとすると、専門知識や分析にかける時間などが必要になり、ハードルが高くなってしまいます。
そこで活躍してくれるのが、顧客情報を一元管理できるCRMツールです。
CRMツールを活用することで、より効果的に顧客に伝わり成果に繋がりやすいシナリオ設計ができるでしょう。
CRMツールを活用すべき5つの理由
- あらゆる顧客情報を一元管理できるので、情報管理の手間が省ける
- 蓄積した顧客情報から、データ分析できるCRMツールが多い
- 顧客とのやりとり履歴から、最適なアプローチタイミング・手段・内容がわかる
- 他部署との情報共有が可能なので、ビジネス全体を視野に入れたシナリオ設計ができる
- 成果を記録・可視化できるので、効率よくPDCAサイクルをまわせる
なかには、AI機能などを使ってアプローチ方法・タイミングを提案してくれるCRMツールもあるので、CRMシナリオ設計に活かせるでしょう。
マンパワーだけでCRMシナリオ設計をするのと、便利なCRMツールを活用するのでは、得られる成果も大きく変わってしまいます。
より自社にとって最適なCRMシナリオ設計をおこなうためにも、ぜひCRMツールの導入もあわせて検討してみましょう。
すぐにでもCRMツール選びを始めたい方は、ぜひ下記リンクから、一目でわかるCRMツールの比較記事をご覧ください。
5. CRMシナリオ設計で最適な顧客アプローチをするなら、CRMツールを全力で活用すべき!
この記事では、CRMシナリオ設計の基礎知識と手順について解説してきました。
ビジネスにおいて顧客満足度を高めるためには、顧客それぞれの状況やニーズにあったアプローチのシナリオ設計をおこない、実際に施策として実行しなければいけません。
CRMシナリオ設計のすべてを人力のみでおこなおうとすると、予想以上の時間がかかってしまうだけでなく、最適なシナリオ設計ができる可能性も低くなってしまうでしょう。
そこで活用すべきなのが、CRMツールなのです。
あらゆる顧客情報を一元管理・分析してくれるCRMツールを活用することで、効率よくCRMシナリオ設計をおこなえます。
これからしっかりとCRMシナリオ設計について考えていきたい方は、CRMツールの導入をあわせて検討してみてください。
反対に、すでにCRMツールの導入を決めている方は、最大限に活用するためにもCRMシナリオ設計についても考えていきましょう。