カスタマーサクセスマネージャー(CSM)とは?業務内容や成功のポイントについて解説

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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カスタマーサクセスマネージャーとは、顧客に起こりうる問題を未然に防いで、顧客が成功を収めるために継続的にサポートする担当者のことです。カスタマーサクセスマネージャーによるサポートは顧客を長期的に支援する結果、顧客満足度やロイヤルティの向上に寄与し、商品やサービスの継続利用につながります。

カスタマーサクセスマネージャー(CSM)とは?業務内容や成功のポイントについて解説

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    本記事では、カスタマーサクセスマネージャーの役割や業務内容、求められるスキルについて解説します。カスタマーサクセスマネージャーとして成果を上げるためのポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。

    カスタマーサクセスマネージャー(CSM)とは

    カスタマーサクセスマネージャーとは、顧客の成功を支援する担当者のことです。

    自社の商品やサービスの販売や提供に留まらず、顧客の成功を最優先に考え、顧客が目標を達成できるようにサポートします。ここでは、カスタマーサクセスマネージャーの必要性や、活躍する業界について解説します。

    カスタマーサクセスマネージャーは、顧客との良好な関係性を長期的に構築するために必要です。

    カスタマーサポートのように顧客の問い合わせやクレームに対して受動的に応じるのではなく、顧客のニーズや潜在的な課題を予測して能動的に対処して、顧客の成功と、自社への信頼性の向上を目指します。

    具体的には、定期的なフォローアップやコミュニティ運営を通じて顧客の声をヒアリングし、潜在的な問題やニーズを早期に発見して、解決策を提案するなどの取り組みを行います。

    自発的に顧客の成功を支援し、強い関係性を築くことで、結果的に自社へのロイヤルティ(愛着・忠誠心)が構築可能です。

    近年は、インターネットやSNSの普及により顧客自らが情報収集する環境が整っています。また、SaaSビジネスが広く展開されるようになり、顧客との長期的な関係構築の重要性がより高まっていることも、カスタマーサクセスマネージャーが必要とされる理由です。
     

    カスタマーサクセスマネージャーが活躍する業界

    カスタマーサクセスマネージャーと相性が良く活躍できる業界には、「SaaS業界」や「IT業界」などが挙げられます。

    SaaS業界は、サブスクリプション型のビジネスモデルです。一回売っただけでは終わらず、継続的にサービスを利用してもらえるように、顧客満足度を高める必要があります。

    また、IT業界にはソフトウェアの販売やコンサルティングなど、さまざまな業務があります。顧客が商品やサービスを継続的に利用して成果を最大化できるようサポートをしたり、問題を未然に防いだりするために、カスタマーサクセスマネージャーは重要な役割を担います。

     

    アカウントマネージャーとの違い

    アカウントマネジャーとカスタマーサクセスマネジャーは、どちらも顧客との関係を管理する役割であるものの、業務の焦点と責任が違います

    カスタマーサクセスマネージャーの焦点は「顧客の成功」です。一方、アカウントマネージャーは直訳すると顧客管理との意味であり、顧客を管理する担当者を指します。

    アカウントマネージャーは、顧客との関係を維持しビジネスを拡大することに焦点を当てます。具体的には、アップセルやクロスセルの機会を見つけ、顧客との継続的なビジネス関係を確保するのが主な役割です。

    一方で、カスタマーサクセスマネージャーは、自社の商品やサービスを最大限に活用して、顧客のビジネスでの成功を支援することに焦点を当てています。

    つまり、アカウントマネージャーは、顧客の課題・ビジネス強化に関する全般をサポートする一方で、カスタマーサクセスマネージャーは、自社の商品やサービスを通じて具体的な改善・サポートを行う点で異なります。両者とも顧客の最終的な目標達成をサポートする点では同じです。
     

    カスタマーサクセスマネージャーの役割

    カスタマーサクセスマネージャーは、主に次の2つの役割を担います。

    • 顧客との信頼関係構築
    • 顧客の成功を支援し、継続利用につなげる
       

    顧客との信頼関係構築

    カスタマーサクセスマネージャーは顧客の成功を目的としているため、顧客との良好な信頼関係を築くことが不可欠です。信頼関係を構築することで、よりオープンに顧客のビジネスの目標や課題を共有してもらいやすくなるからです。

    顧客ニーズへの理解が深まれば適切な戦略やソリューションを提案でき、顧客を成功に導きやすくなります。そうなれば解約防止にもつながり、長期的な関係構築が望めるでしょう。

    なお、信頼関係を構築するには、カスタマーサクセスマネージャーが透明性のあるコミュニケーションを行い、顧客の問題や課題を率直に話し合うことが重要です。また、顧客の成功を最優先に考え、その実現に向けて全力を尽くす姿勢も信頼関係を深めるきっかけになります。

    顧客のカスタマーサクセスマネージャーに対する信頼は、企業全体への信頼にもつながります。結果として顧客満足度とロイヤルティも向上するでしょう。
     

    顧客の成功を支援し、継続利用につなげる

    カスタマーサクセスマネージャーの役割は、顧客の成功を支援することです。商品やサービスを提供するだけでなく、顧客が最大限に活用できるようサポートします。

    そのためには、顧客の目標やニーズの理解と、何をもって成功とするのかという、成功の定義をすり合わせる工程が必要になります。定義した成功に向けて、現状抱えている課題を解決し、定義した成功に到達できた場合はさらにビジネスを成長させるための目標を設定します
     

    カスタマーサクセスマネージャーの業務内容

    カスタマーサクセスマネージャーの業務内容は、主に次の3つです。

    • オンボーディング
    • 顧客の課題解決
    • 顧客満足度の向上
       

    オンボーディング

    オンボーディングとは、新規顧客が自社の商品やサービスを効果的に活用できるように、導入から利用開始までをサポートする活動のことです。顧客が自社の商品やサービスを導入しても、使いこなせなければ継続して利用する可能性は低くなってしまいます。

    一方で、オンボーディングによって商品やサービスを効果的に活用し、顧客がビジネス目標やニーズを達成できれば、結果的に顧客満足度が向上して、継続的な利用や顧客ロイヤルティの向上につながるでしょう。そこで、カスタマーサクセスマネージャーは、オンボーディングの際は次の4つの業務を行います。

    • 課題のヒアリング
    • 「成功」の要件定義
    • 使い方や機能の説明、必要資料の提供
    • 使い方のトレーニング
    • 導入後のフォロー

    なお、検討中の見込み客に対しても同様のサポートを行うことで、商品やサービスの導入促進が期待できます。

    当社HubSpotの場合、導入支援とカスタマーサクセスの機能は切り分けており、それぞれで専門の担当者が支援します。導入支援のチームは顧客が自走できる環境の構築支援に集中し、その後の成果につなげるための伴走はカスタマーサクセスマネージャーが担当するというように、顧客のフェーズに応じた対応がしやすい体制を持つべきという考えが根底にあるからです。

    参考:「売って終わり」ではない世界に欠かせないカスタマーサクセス "長くて深い"関係をつくるためのヒント|SalesZine(セールスジン)
     

    顧客の課題解決

    カスタマーサクセスマネージャーには、商品やサービスを利用している顧客が抱える課題を把握し、迅速かつ丁寧に解決することが求められます。そのため、顧客とコミュニケーションを取り、信頼関係を構築することが不可欠です。

    顧客の課題解決に関連して、カスタマーサクセスマネージャーは次の4つの業務を行います。

    • 戦略の立案や提案
    • 顧客からのフィードバック集計
    • 問い合わせ対応
    • 定期的なミーティング

    これらの業務によって顧客の課題や現状を把握し、より効果の高い解決策を提案することもカスタマーサクセスマネージャーの業務です。
     

    顧客満足度の向上

    カスタマーサクセスマネージャーは、顧客が商品やサービスに満足して継続的に利用してもらえるように次の施策を実施します。

    • 商品やサービスの導入による効果測定
    • 運用サポート
    • 顧客イベントやセミナー開催

    商品やサービスの導入による効果測定を行うことで、顧客は定量的に変化を把握し、成功に近づいていると実感できます。また、顧客向けのイベントやセミナーを開催して商品やサービスに関する知見を提供したり、顧客同士が交流できる場を設けたりすることも顧客満足度の向上につながるでしょう。
     

    カスタマーサクセスマネージャーに問われるスキル

    顧客を成功に導くために継続的なサポートを行うカスタマーサクセスマネージャーには、主に次の3つのスキルが求められます。

    • コミュニケーションスキル
    • 課題発見・解決スキル
    • 情報分析スキル
    • プロジェクトマネジメントスキル
       

    コミュニケーションスキル

    カスタマーサクセスマネージャーに最も必要なスキルは、顧客とのコミュニケーションスキルです。顧客の抱える課題のヒアリングや解決策の提案、進捗報告や商品の説明など、あらゆる場面でコミュニケーションが求められるからです。

    また、カスタマーサクセスを成功させるにはマーケティングやセールスなど他部門との連携が必要になります。社内の関連部門との情報交換や引き継ぎなどでも、コミュニケーションスキルは必須といえるでしょう。
     

    課題発見・解決スキル

    カスタマーサクセスマネージャーの業務は、顧客の課題を解決して成功へ導くことであり、顧客の潜在的な課題を発見し、抱えている課題を解決するスキルが求められます。

    例えば、顧客が商品やサービスを最大限に活用しきれていないなど、顧客自らが課題を認識できていないケースは少なくありません。しかし、このような状況を放置していては商品やサービスの解約につながってしまいます。

    顧客のビジネス上の目標達成を後押しするためにも、カスタマーサクセスマネージャーには、課題を発見し適切な解決策を提示する力が必要になります。
     

    情報分析スキル

    顧客にとって必要な提案をして成功をサポートするには、得られる情報を全体的に把握し、分析するスキルが求められます。なぜなら、顧客のビジネス状況や課題を正しく把握することで、最適な課題解決策の提示などのサポートを行えるからです。

    業界の動向や競合他社、ビジネスモデルなどをふまえ、顧客に「何が起きているのか」「問題の原因は何か」など、適切な状況判断が求められます。なお、情報分析の前提として、顧客の商品やサービスやさまざまなビジネスモデル、マーケティングやセールスなど専門分野の理解力も必要です。
     

    プロジェクトマネジメントスキル

    顧客の成功を支援するためには、複数のタスクやプロジェクトを効果的に管理し、適切なスケジュールやリソースを確保しなければなりません。そのためには、顧客の現状や課題を把握しサポートを実行するまでの計画をマネジメントするスキルが求められます。

    限られた時間や予算を最大限に活用し、効率的に業務を進めるには、チームをまとめて、プロジェクトを管理するプロジェクトマネジメントスキルが必要です。
     

    カスタマーサクセスマネージャーとして成果を上げるためのポイント

    カスタマーサクセスマネージャーとして成果を上げるためには、次の3つのポイントを押さえましょう。

    • 顧客との密なコミュニケーション
    • 関連部門との連携
    • 業務を効果的に行えるツールの導入
       

    顧客との密なコミュニケーション

    顧客を成功に導くためには、密なコミュニケーションが必要です。なぜなら、きめ細やかなコミュニケーションを通じて、顧客の潜在的なニーズや課題、不満を理解できるからです。顧客それぞれの状態に合わせたコミュニケーションができれば、関係構築などの高い効果が期待できるでしょう。

    また、顧客に対してヒアリングを実施し、生の声を獲得することも大切です。顧客からのフィードバックは、サービスの改善にも役立てられ、より質の高いサポートを実施できるでしょう。
     

    関連部門との連携

    顧客の成功をサポートするためには、カスタマーサクセス部門だけでなく、マーケティング部門やセールス部門などとの連携が不可欠です。ただし、部門ごとに役割や見込める成果は異なるため、組織全体で取り組む必要があります

    例えば、マーケティング部門とは顧客の課題や目的を共有し、ペルソナの作成や認知拡大のための施策を考えます。また、セールス部門と連携することで、新規案件の獲得に貢献可能です。各部門と連携して、スムーズに支援を提供できる体制を整えましょう。
     

    業務を効果的に行えるツールの導入

    カスタマーサクセスの業務に役立つツールの導入も、カスタマーサクセスマネージャーとして成果を上げるために有用です。一般的には、次の機能が搭載されています。

    • 顧客情報の一元化
    • データ分析
    • アップセルの兆候予測
    • 解約リスクの検知
    • 問い合わせ・チャットサポート
    • オンボーディング管理

    これらのツールを導入すれば、顧客の状況に適したアクションを迅速に実行できるため、関係を構築して顧客満足度を高められます。信頼関係の強化や解約率(チャーンレート)の低下、定着率の増加といったメリットも期待できるでしょう。

    また、プロセスの自動化により業務効率化も可能です。

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    カスタマーサクセスマネージャーを通じて顧客との信頼関係を強化しよう

    収益を拡大、維持するには、顧客満足度を高めて商品やサービスを継続的に利用してもらうことが不可欠です。そのためには、 顧客に起こりうる問題を未然に防ぎ、成功を収めるために継続的にサポートするカスタマーサクセスマネージャーの配置が重要です。

    カスタマーサクセスマネージャーの業務は、顧客の課題解決につながる戦略立案や、満足度向上のための効果測定・検証、運用サポートなど多岐にわたります。広範な業務を処理し、カスタマーサクセスマネージャーが顧客の成功に貢献できる環境にするためには、ツールの導入が効果的です。顧客の状況に適したアクションを迅速に行えるため、良好な関係を構築でき、満足度も向上できるでしょう。

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