近年、SaaS(Software as a Service)業界を中心に、カスタマーサクセスという言葉をよく耳にする機会が増えてきました。カスタマーサクセスという言葉は耳にした事はあるけれども、「カスタマーサポート」と「カスタマーサクセス」の違いが良く理解できていない。もしくは、カスタマーサポートとカスタマーサクセスの兼務状態が正しいのかわからない。といった事はありませんか?

そこで今回は、以下の3点に絞って、それぞれのポイントをご紹介します。

  • 「カスタマーサポート」と「カスタマーサクセス」の役割や指標の違い
  • HubSpotにおける「カスタマーサポート」と「カスタマーサクセス」
  • 「カスタマーサポート」と「カスタマーサクセス」の優先度

本記事が、カスタマーサクセスに取り組む企業の担当者の方々に少しでも参考になれば幸いです。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いとは?

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、役割や目的だけではなく、様々な相違点があります。以下に両者の違いをまとめたスライドを用意してみました。

customer_success_1

出典:What Is Customer Success? | HubSpot Blog

次の段落では、「ミッション、取り組む姿勢、成功指標」の3つのポイントに絞ってご紹介します。自社内でどのような体制を構築できそうか?また適切な人材は誰なのか?などをイメージしながら読み進めてみてください。

カスタマーサポートのミッション、取り組む姿勢、成果指標

【ミッション】顧客から要望があった際に、迅速かつ正確に顧客の問題を解決

カスタマーサポートのミッションは、顧客から依頼された課題を迅速に解決し、顧客の不満や障害を取り除くことです。

このようにして、顧客は再度健康な状態に戻り、自社が提供している製品やサービスを使っていくことができるようになります。

【取り組む姿勢】受動的かつ迅速に対応 

customer_success_2

カスタマーサポートではそのミッションを達成するために、顧客から助けを求められた際に、迅速かつ正確に回答する姿勢が重要となります。

例えば、カスタマーサポートに電話をかけた時に繋がるまでに何十分も待たされたら、そのサービス事業者に対して大きな不満を持ってしまうはずです。

または、Eメールで問い合わせをした際に、伝わりやすい文面を考えて送ったにもかかわらず、誤った回答がカスタマーサポートから返ってきたら、今後カスタマーサポートを頼りたくなくなるかもしれません。

そのため、カスタマーサポートでは、日々の顧客からの問い合わせに対して、素早くかつ正確に顧客の問題を解決して、顧客の満足度向上に努めていきましょう。

【HubSpotにおける成果指標】NPSとSQL

HubSpotではカスタマーサポートを収益ドライバーの1つとして捉えているため、2つの指標を主要な計測対象としています。

1つは、NPS(Net Promoter Scoreの略称)です。NPSの詳しい解説は本記事ではしませんが、気になる人はこちらの記事を読んでみてください。

そして、HubSpotのカスタマーサポートでは、お客様のご要望を解決する中で、「このような機能を試してみたい」「HubSpotはこのような事も実現できるのか?」というような質問が発生します。対応が必要な場合はカスタマーサポートから営業担当へ引き継ぐような形式を取っています。この数を、HubSpotではSQL(Service Qualified Lead)と定義し、成功指標として計測しています。

つまり、NPSが向上する=顧客のロイヤリティが高まっている(口コミの増加や満足度向上に伴う継続率の上昇)。

そして、SQLが増える=更なる収益機会が増える(アップセル/クロスセル)、というような効果をもたらすものこそ、カスタマーサポートだとHubSpotは考えています。

例えば、HubSpotを購入したユーザーに対して、初めてHubSpotを知ったキッカケを聞いてみると、第1位は全体の33%が口コミという結果もあります。

customer_success_3

現代におけるカスタマーサポートは、単なるクレーム対応を引き受けるコールセンターではなく、顧客の課題を第一線で解決する役割を担っています。

カスタマーサポートに対して、新規見込み顧客創出既存顧客からの収益機会創出の2点を成果として可視化させることが重要なのかもしれません。

カスタマーサクセスのミッション、取り組む姿勢、成果指標

【ミッション】顧客の事業成長/成功を促進  → 自社の事業成長/成功

カスタマーサクセスのミッションは、自社サービスを通して顧客の事業成功に貢献し、結果的に自社サービスを長く使い続けてもらうことです。

身近なサービスでカスタマーサクセスをたとえてみると、ダイエット成功に一緒にコミットするプライベートジムのトレーナーのような存在です。

通常の会員制のジムでダイエットに挑戦し始めたが、しばらく時間が経つとジムに通う頻度も落ちてしまいダイエット失敗。結果として、月額会費が無駄なので解約をしてしまったという経験はありますか?

恥ずかしながら、私自身このような経験をしたことがあり、意気揚々と最初の2-3ヶ月はジムに頻繁に通っていたのですが、段々と通わなくなっていき、キャンペーンで入会をした際に結んだ契約期間が過ぎたので、半年ほどで退会してしまいました。

ブライベートジムのトレーナーのようにダイエット目標に合わせて、日々の食事の栄養管理やトレーニングメニューを提案してくれていれば、もっとジムに通えていたかもしれません。

このように、顧客の成功に対して中長期的に寄り添い、結果的にサービス・製品を長く続けてもらうといったような、双方にとってWin-Winの関係性を築いていくことがカスタマーサクセスに対して期待されます。

【取り組む姿勢】顧客の成功を導くために顧客と共に伴走する

customer_success_4

カスタマーサクセスは受動的に顧客からの要望を待つのではなく、顧客を成功に導くための道筋を示し顧客が成功するために伴走します。

例えばカスタマーサクセスと顧客のコミュニケーションの流れは、上図のように、最初に顧客にとっての成功の定義を認識を合わせます。

その後、カスタマーサクセスは、顧客が成功に向かうために

  • 製品/サービスの使用状況・データ
  • 目標とアクションのギャップ
  • アクションを実行をする上での障害の有無

等を確認しながら、顧客へ能動的にコミュニケーションを行います。

【HubSpotにおける成果指標】顧客継続率、ヘルススコア、SQL

次は、HubSpotのカスタマーサクセス部署が成果指標として追いかけている数値をご紹介します。

「顧客継続率」

カスタマーサクセスの働きかけで、顧客がサービスを中長期的に使用できているか確認するために用いています。継続率は、アカウント数ベースではなく、収益ベースで算出をしています。

「ヘルススコア」

顧客継続率を上げるための補助的な指標として使用をしています。ヘルススコアを算出する主要素は、以下の3つです。

  • ツール使用率
  • カスタマーサクセス担当とのエンゲージメント
  • パフォーマンス(例:Webサイトトラフィックやリード増加数)

他にはサブの指標として、カスタマーサポート同様にSQL(Service Qualified Lead)を見ています。

カスタマーサクセスを実践してみたいが成果指標の決め方が分からない。というような事をお悩みの方は、一例として参考にしていただけると幸いです。

カスタマーサポートとカスタマーサクセスどちらを先に優先するべきのか?

では、カスタマーサポートとカスタマーサクセスどちらを優先すべきなのでしょうか?結論はカスタマーサポートを優先すべきです

HubSpotのカスタマーサクセス部署の立ち上げ期から拡大期までを牽引、またHubSpot Service Hub現開発責任者のMichael Redbordのインタビューの様子の一部を以下に抜粋してみました。

Q:顧客が最も必要とし、はじめに期待をするものは、カスタマーサポートですか?それともカスタマーサクセスですか?

A:2018年現在、優れたカスタマーサポートの機能は、市場競争力になります。創業初日から優れたカスタマーサポートを準備し、その後優れたカスタマーサクセス機能を準備しましょう。

優れたカスタマーサポート機能は、競争優位性を保つための力となります。絶対に無視してはいけません。

出典:Why customer support must come before customer success

上記のインタビュー内で、Michaelも明言しているように、プロダクトをリリースした直後などは、機能の不具合、誤動作、または購入時の期待値との乖離などにより払い戻しの要請などが多く発生したりします。このような状態時に、優れたカスタマーサポート機能が作動をしなければ顧客は即座に離れてしまいます

また、プロダクト/サービスの改善やプロダクトマーケットフィットの検証には必ず顧客のフィードバックが必要となります。

また、創業時においては、カスタマーサポートは専任者が取り組むのではなくて、チーム全体で取り組むべきものとして認識しなてくはいけません。

世界的に有名なユニコーン企業のAirbnbの共同創業者であるJoe Gebbia氏も、創業当初は常にヘッドセットを付けて、カスタマーサポートの電話を取り続けていたそうです。

では、具体的に実践すべき事はどのようなものがあるのでしょうか?

① サポート対応の簡易的な対応プロセス作成

顧客からサポートリクエストがあった際に、簡単な対応プロセスを構築しておき、サポートチームは対応速度を向上させましょう。

②複数のコミュニケーションチャンネルの管理

創業者へ直接電話がかかってきたり、エンジニア直接メールが送られてきたりなど、この時期になると顧客からのフィードバックは様々な場所から入ってきます。そのため、組織全体で共通のメールアドレスやライブチャットなどを公式チャンネルとして立ち上げましょう。

③顧客から良くある質問をブログ化する

顧客を自己解決できるリソースをWebサイト上などに準備してください。例えば、「〇〇のセットアップ方法」「〇〇機能に関する良くある質問」のようなサポートドキュメントを投稿する事です。このようなリソースは、営業担当が見込み顧客とコミュニケーションをする際でも非常に重宝されます。

④顧客の不満を開発のロードマップに落とし込む

顧客対応の結果開発が必要な場合は、顧客の不満を即座に開発部署へフィードバックして、部署は開発のロードマップに追加をする機能、また修正が必要なバグを洗い出していきます。

上記のような事がまだカスタマーサポートとして実践できていない場合は、カスタマーサクセス立ち上げ前に完了させる事に目を向けてみてください。

顧客に対して一定基準の満足度を提供できるようになるカスタマーサポート機能を立ち上げてから、更に顧客に対してアクティブに価値の提供する事を目的にカスタマーサクセスの立ち上げを検討しましょう。

自社の成長規模に応じてカスタマーサクセスを立ち上げるタイミングを考えよう!

カスタマーサクセスとカスタマーサポートのミッション、取り組む姿勢や成果指標などの違いは、ご理解いただけたでしょうか?

プロダクト/サービスのリリースをまだしていない事業者様やカスタマーサポート自体に専任の担当者が不在という事業者の方々は、まずはカスタマーサポートの取り組みを強化してみても良いかもしれません。

一方で、既にカスタマーサポートの体制が構築できていて、これからカスタマーサクセスに取り組んでいくという方々は、本記事で紹介した役割等を参考に、KPIや適切な人材を考えてみてください。

また、あまり世の中に知られていないことですが、HubSpot自身は2011年頃からカスタマーサクセスに真剣に取り組んできました。

本記事を読んでいただき、「HubSpotってそんなにカスタマーサクセスの歴史があるんだ。実際に現場で挑戦してみたい!」といった方や「カスタマーサクセスという職業って、とても魅力的だなぁ」と思ってくれた方がいらっしゃいましたら、一緒に日本を盛り上げてくれる仲間を絶賛募集中ですので、下記のリンクをチェックしてみてください。

HubSpotカスタマーサクセス(直販担当 )

HubSpotカスタマーサクセス(パートナー担当 )

今後も、カスタマーサクセスにおけるKPIの設計方法やHubSpotが実践してきたノウハウなどもご紹介していければと思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。

New Call-to-action

元記事発行日: 2019/03/04 19:00:00, 最終更新日: 3月 05 2019