LTV向上に必要なことは?高めるポイントと施策9選

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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近年、新規顧客を創出するコストは上昇傾向にあり、多くの企業がLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)という指標を重視しはじめました。

LTV向上に必要なことは?LTVを高めるポイント・具体的な施策9つ

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LTVは顧客と良好な関係を築き、満足度を高めることによって向上するため、顧客一人ひとりの状況に合わせたコミュニケーションが必要です。

本記事では、LTVを向上させるポイントや具体的な施策、注意点などをお伝えします。

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    LTV向上が重要な理由

    LTV向上が重要な理由

    LTV(顧客生涯価値)とは、1人(1社)の顧客が、取引開始から終了までの間に企業にもたらす価値を算出した指標です。計算式は「顧客単価×平均購買頻度×継続期間」になります。

    近年、マーケティングコストの削減や収益安定化の施策として、LTV向上に注力する企業が増えています。その主な理由として、次の3つがあげられます。

    • 日本市場の縮小
      国内では少子化による人口減少にともない、市場自体が縮小傾向。新規顧客の創出が難しくなりコストが増加している。
    • 競争の激化
      EC市場の拡大や消費行動の多様化といった変化により、新しい商品・サービスが数多く登場している。その結果、競合他社との競争が激化している。
    • サブスクリプションの台頭
      収益の安定化を狙ってサブスクリプション型サービスを導入する企業が増えている。LTV向上に努めることで、顧客のサービス利用期間を延ばす効果が期待できる。

    LTVを向上させるには、既存顧客との関係性を強化することが重要です

    顧客一人ひとりの状況に合わせたコミュニケーションでLTV向上に取り組み、中長期的な収益の安定化やマーケティングコストの削減につなげていきましょう。

     

    LTVを高める3つのポイント

    企業がLTV向上に取り組む際のポイントは次の3つです。

    • 顧客単価を上げる
    • 購買頻度を増やす
    • 継続利用期間を延ばす

    原価を下げて売上比率を上げることでもLTVを高められますが、原価を下げると製品やサービスの品質低下につながることがあり、顧客満足度が下がってしまうケースがあります。

    すべての企業に向く施策ではないため、今回は原価を下げて売上比率を上げる方法は省き、他の3つにフォーカスしていきます。

    LTV向上のための3つのポイントを強化するには、一人ひとりの顧客とのつながりを良好な関係で継続させ、ファン化やロイヤル化を目指すのが効果的です。次章で、そのための具体的な施策を紹介します。

    ファン化やロイヤル化

     

    LTV向上に向けた具体的な施策9つ

    LTV向上に向けた具体的な施策9つ

    ここでは、LTV向上に向けた具体的な9つの施策を目的別に紹介します。

    <目的:顧客単価を上げる>

    1. アップセル・クロスセルの実施
    2. 商品の選択肢を増やす
    3. 提供価値を高めたうえで単価を上げる

    <目的:購買頻度を増やす>

    1. 適切なタイミングでコミュニケーションを行う
    2. 会員ランクやポイント制度を導入する
    3. 顧客ロイヤルティ向上に取り組む

    <目的:継続利用期間を延ばす>

    1. 離脱率や解約率を下げる
    2. お得意さまに向けた施策に注力する
    3. 定期購入やサブスクリプションを導入する

     

    1. アップセル・クロスセルの実施

    アップセルは顧客が現在利用している商品やプランのアップグレードを指し、クロスセルは関連する商品やサービスを一緒に購入してもらうことを指します。

    顧客単価を高めるアップセルとクロスセルは、LTV向上の代表的な施策のひとつです。

    顧客に上位の商材を買ってもらうアップセルを成功させるには、グレードごとに顧客のベネフィットを明確にしておくことや、プライシング(価格設定)が重要です。

    また、関連する商品・サービスを購入してもらうクロスセルでは、顧客の購入履歴を活用することが可能です。営業支援ツールを継続的に活用している顧客に対してオプションプランを提案したり、化粧水や乳液をリピートしている顧客に対して、美容液を提案したりする施策がクロスセルにあたります。

     

    2. 商品の選択肢を増やす

    商品やサービスの選択肢を増やすことで、顧客単価アップにつなげられるケースもあります。

    例えば、健康食品の人気商品に味のバリエーションを展開したり、デジタルツールの利用プランを1つから3つのグレードに増やしたりといったことがあげられます。

    ただし、品揃えが多すぎると逆効果になることがあるため注意しましょう。

    「決定回避の法則(別名:ジャムの法則)」と呼ばれる法則があり、人は選択肢が多すぎると、かえって選択できなくなるものです。

    商品の選択肢が多すぎる場合は、逆に選択肢を絞ることで売り上げの向上を目指す方法もあるということを覚えておきましょう。

    参考:立正大学心理学研究所紀要 第12号 選択肢数と選択の繰り返しが選択結果の主観的満足度に与える影響
     

    3. 提供価値を高めたうえで単価を上げる

    商品単価を引き上げると顧客単価は上げられます。ただし、短絡的な視点での値上げは避け、商品の改善や付加価値を高めるなど提供価値を向上させたうえで、価格改定をしましょう。

    提供価値を向上させる取り組みには、次のようなものがあります。

    • 製品の原材料やサービスの品質を見直す
    • 商品の利便性を高める
    • 顧客対応を向上させる

    単価を上げる際には、顧客にとって納得感がある値上げかどうかが重要です。商品やサービスのベネフィットはちゃんと伝わっているか、顧客の予算を考慮した値上げになっているか、顧客との信頼関係(エンゲージメント)は高く保たれているかなどを踏まえて総合的に判断することが大切です。

    また、値上げの際は、数か月前から個別メールやWebサイトで告知をしておく必要があります。価格改定の理由を誠意を持って伝え、顧客との信頼関係を維持できるように配慮しましょう。
     

    4. 適切なタイミングでコミュニケーションを行う

    コミュニケーションの適切なタイミングをはかるには、カスタマージャーニーマップで顧客の心理状況を把握するのが効果的です。また、メールの開封率やWebサイトへの遷移状況、SNSでのリアクションといった分析も役立ちます。

    顧客の状況に合わせたタイミングでのコミュニケーションの例は、次の通りです。

    • 初回お試しを利用した顧客に、商品を試し終わるタイミングでメールを配信する
    • 化粧品を購入した顧客に、ちょうど使い終わるタイミングでお得なクーポンを配信する
    • ステップメールや定期的なメルマガ配信により、顧客との接触回数を増やす
    • オンラインセミナーを定期的に開催し、顧客との良好な関係を継続させる

    ポイントは、顧客にとって心地良いコミュニケーションを行うことです。顧客の購買行動をよく観察し、理解を深めたうえで施策を立てましょう。
     

    5. 会員ランクやポイント制度を導入する

    提供するサービスや商品の特性によっても異なりますが、会員ランク制度やポイント制度をうまく活用することで、購入回数や利用頻度を引き上げられるケースがあります。

    例えば、1年間の購入金額に応じて会員ランクを分け、ランクが上がるごとにポイント還元率もアップするシステムにしたり、特定の商品に利用できる期間限定ポイントを付与したりといった方法があります。
     

    6. 顧客ロイヤルティ向上に取り組む

    顧客ロイヤルティの向上とは、顧客が企業やブランドに抱いている愛着心や信頼の度合いを上げることを指します。

    顧客ロイヤルティが高まると、顧客の「この商品が好き」「このブランドが好き」という気持ちが強まります。そして、「好きなブランドだから他の商品も試そう」という消費行動が起こりやすくなるため、購入頻度や顧客単価が増え、LTV向上につながります

    また、ファンになった顧客が口コミを広めることで、新たな顧客を創出する効果も期待できます。
     

    7. 離脱率や解約率を下げる

    ECサイトやサブスクリプションサービスでは、離脱率や解約率がビジネス上の重要な指標になります。

    離脱率や解約率を下げるには、データ分析のほか、アンケートの活用も効果的です。サービスを利用中の顧客だけでなく、残念ながら解約してしまった顧客に対してもアンケートを実施し、改善点を見つけます。

    また、SNSやYahoo!知恵袋などで、顧客のリアルな本音やユーザーの困りごとをリサーチすることも役立つケースがあります。
     

    8. お得意さまに向けた施策に注力する

    企業やブランドに愛着を持ち、根強いファンでいてくれる「お得意さま」には、信頼感や愛着を醸成させる取り組みを行いましょう。例えば、次のような施策があげられます。

    • 特別なサービスを提供
    • 限定イベントの開催
    • 限定オンラインセミナーの実施
    • 感謝を込めて特別ポイントを加算

    また、ロイヤルティが高い顧客は、自身が愛用しているブランドや商品を友人や知人に勧めてくれる可能性があります。ロイヤルティが高い顧客の満足度をさらに向上させることによって、関係性を強化できるだけでなく、新規顧客の創出にもつながります。
     

    9. 定期購入やサブスクリプションを導入する

    既存の商品に定期購入のシステムを導入する、あるいは、新規サービスとしてサブスクリプションを開始する方法もあります。

    うまく仕組み化できれば継続利用期間を延ばす効果が期待できますが、顧客に正しく価値提供できなければ、即解約につながってしまいます。定期購入やサブスクリプションをビジネスの基盤にするには、買い切り型の商品・サービス以上に、顧客満足度やLTVを向上させるための施策に注力することが求められます。
     

    LTV向上の施策を行う際の注意点

    LTV向上の施策を行う際の注意点

    LTV向上の施策を行う際には、次の注意点をおさえましょう。

    1. 顧客属性に合わせてコミュニケーション方法を変える
    2. 購入回数に応じてコンテンツやオファーを変える
    3. 本質は顧客との関係構築であることを忘れない
    4. 顧客満足度との相関を意識する
       

    1. 顧客属性に合わせてコミュニケーション方法を変える

    顧客属性とは、年齢や性別、居住地、職業、趣味、行動パターンなど、固有の顧客情報による分類を指します。LTV向上の施策を行う際には、顧客属性に応じてコミュニケーション方法を変えることが大切です。

    例えば、幅広い年齢層を対象とするサービスの場合には、年齢層ごとに顧客に合ったチャネルでアプローチする必要があります。また、顧客属性に応じてメール配信やクーポン配布のタイミングを最適化し、LTV向上につなげている企業もあります。

    顧客属性に合わせたコミュニケーション方法を探るには、顧客像の明確化(ペルソナ設定)が欠かせません。顧客へのインタビューやアンケート、市場調査を行い、顧客理解を深めましょう。それによって、顧客視点で適切なコミュニケーション方法を導き出せるようになります。

     

    2. 購入回数に応じてコンテンツやオファーを変える

    顧客のニーズは、商品・サービスを購入した回数や利用期間によって異なります

    例えば、「商品を購入したことがある顧客」を細かく分析してみると、次のような違いがあることがわかります。

    • 初回のトライアル商品のみを購入した顧客
    • トライアルで商品を気に入り、2回目を購入した顧客
    • 6か月リピートしている顧客
    • 3年間リピートしている顧客
    • 一時期、定期的に購入していた休眠顧客

    初回のトライアル商品のみを購入した顧客に対しては、2回目の購入時に使用できるクーポンを配布するなどの施策が効果的です。また、休眠顧客に対しては、メールや電話などのコミュニケーション方法から適切なものを選び、近況をヒアリングしてみると良いでしょう。

    LTVを向上させるには、このようにきめ細やかな対応が必要不可欠です。
     

    3. 本質は顧客との関係構築であることを忘れない

    LTV向上の本来の目的は、顧客と良い関係を築き、ひとりでも多くの顧客にブランドや商品・サービスを好きになってもらうことです

    新商品の告知やクーポン配布、セールの案内といった施策も重要ですが、あくまでも顧客に価値を提供するためのものだということを忘れないようにしましょう。

    顧客とのコミュニケーションを適切に管理したいなら、CRM(顧客関係管理)のツールを活用するのがおすすめです。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

     

    4. 顧客満足度との相関を意識する

    顧客満足度とLTVは相関関係にあるため、顧客満足度が高いほどLTVの向上につながります

    顧客満足度を向上させる具体的な方法には、製品の機能面の改善、アフターフォローなどのサポート体制の強化、キャンペーンをはじめとするプロモーションなどがあげられます。

    CRMツールを活用しながら、購入前から購入後のフォローに至るまで、顧客体験の向上に対して全社的に取り組むことが重要です。

     

    顧客と良好な関係を築いてLTVの向上をはかろう

    LTVを高めるには、顧客一人ひとりと信頼関係を構築する姿勢が必要です。顧客が何を求めていて、何に困っているのかを把握し、その悩みや課題に対して自社がどのように貢献できるかを考え抜きましょう。

    顧客とのコミュニケーションを最適化するには、CRMツールを活用すると良いでしょう。商談のステージや契約状況、購買履歴、営業のアプローチ履歴といった情報を一か所に集約し、リアルタイムの顧客情報を部署横断的に共有できます。

    「営業」「マーケティング」「製品開発」などの役割を越えて、顧客のためにできることを日々、実践していくことが大切です。中長期的な視点を持ち、LTV向上のための施策をコツコツ続けていくことで結果につながるでしょう。

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    トピック: CRM

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