SaaSビジネスにおけるカスタマーサクセスはなぜ重要?SaaS企業への効果や取り組み方

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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顧客の選択行動の多様化が進むSaaS業界では、いかにして顧客にサービスを継続利用してもらうかが、ビジネス拡大のための重要な課題となっています。

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顧客を成功へ導くためのカスタマーサクセスの取り組みは、商品やサービス、ひいては企業への信頼を生み出し、ロイヤルティ醸成、LTV向上につながります

本記事では、SaaS企業におけるカスタマーサクセスの役割や、取り組むことで得られるメリット・効果、取り組む際のポイントを解説します。

カスタマーサクセス部門を成功に導くKPIテンプレート

SaaSビジネスに欠かせないカスタマーサクセスの存在

カスタマーサクセスは多くのビジネスで注目されていますが、特にSaaSビジネスではその存在感が増しています。ここでは、SaaSビジネスの特性に触れつつ、カスタマーサクセスの必要性やSaaS業界で注目されている背景について説明します。

カスタマーサクセスそのものについて理解を深めたい方は、こちらをご覧ください。

 

重要視するのは「顧客の成果達成」

SaaSは、クラウドサーバ上で稼働しているソフトウェアをインターネット経由で提供するサービス形態です。

SaaSビジネスの拡大には、顧客の成功が鍵をにぎっています。なぜなら、新規集客はもちろん、既存顧客が継続して商品・サービスを利用することが安定した売上につながるからです。カスタマーサクセスを通じて、商品・サービスへの満足度が高い状態で顧客との信頼関係が構築できれば、継続率・ロイヤルティ・LTVの向上も期待できます

カスタマーサクセスにおいては、顧客が抱える課題や価値観への理解を深め、成果達成を後押しできるようサポートすることが重要といえるでしょう。
 

SaaS業界で注目されている背景

2000年頃から提唱されはじめたカスタマーサクセスですが、なぜSaaS業界で急速に注目を集めるようになったのでしょうか。

カスタマーサクセスがSaaS業界で注目されるようになった背景について、3つの観点で解説します。
 

サブスクリプション型の普及と体験価値の向上

SaaSのビジネスモデルは、もともとサブスクリプション型が主流でしたが、カスタマーサクセスへの理解はそれほど進んでおらず、カスタマーサポートなど一部のサービス提供にとどまっていました。

その後、ビジネスツール系のSaaS業界以外にも、エンタメ・ライフサービスなどあらゆる業界でサブスクが普及し、各社で競争が激化しはじめます。

高付加価値をもっていたものが一般的なものになる「コモディティ化」が進み、製品やサービス自体が持つ価値そのものだけではなく、その製品やサービスを利用することによって得られる体験も重要になってきました。

その結果、顧客満足度の向上が他社との差異化に影響を与えるという価値観が浸透し、カスタマーサクセスの重要性が広く認知されるようになり、SaaS業界でもカスタマーサクセスに本格的に取り組む企業が増えました。

 

サービス解約率の重要度の高まり

SaaSに代表されるサブスクリプションサービスは、顧客に継続利用してもらうことで利益が発生するビジネスモデルであり、ビジネス拡大のためには、短期での解約をおさえることが重要です。

また、売上を安定させるためには、新規開拓を進めるだけでなく、既存顧客が継続利用をしたくなるような施策も求められるでしょう。

解約率の改善には、顧客がサービスを正しく活用できる状態を保ち、利用機会を増やして成果を感じてもらう必要があります。

活用促進や契約更新フォローなどのカスタマーサクセスを導入することで、顧客満足度が向上すると既存顧客の継続率が高まるため、長期的なサービス利用が実現できます。

このように、カスタマーサクセスが解約率の改善に効果を発揮すると広く知られるようになったことが、SaaS業界での普及を促進したと想定できます。
 

顧客の購買行動の変化

昨今は、インターネットやSNSの普及で情報収集が容易になり、顧客は営業担当者から情報を得るだけでなく、口コミや評判などを自分で検索して商品・サービス導入を検討できるようになりました。

競合の多いSaaS業界では、新しいサービスやプロダクトが次々登場するため、既存顧客・見込み客への戦略的なアプローチが不可欠です。

顧客の購買行動の変化に対応し、カスタマーサクセスによって顧客とのコミュニケーションを重視した施策を進めることで、他社との差異化ができるという考えが広まったのは、ごく自然な流れといえるでしょう。
 

カスタマーサクセスがSaaS企業にもたらす効果

カスタマーサクセスがSaaS企業にもたらす効果

カスタマーサクセスはSaaS企業へどのような効果をもたらすのでしょうか。期待できる効果のなかから、主な3つをご紹介します。

カスタマーサクセスの具体的な業務内容について知りたい方は、こちらをご覧ください。

 

LTV(顧客生涯価値)の向上

カスタマーサクセスがSaaS企業にもたらす効果として、顧客の成功体験を後押しすることによるLTV(顧客生涯価値)向上があげられます。

カスタマーサクセスによって顧客満足度を高め、ロイヤルティを醸成することで継続利用に結びつけることが可能です。

また、カスタマーサクセスには、既存顧客へアプローチしてアップセル・クロスセルする手法もあります。現状のプランを継続してもらうだけでなく、顧客に適した上のプランや違うサービスの追加を提案することで、さらにLTVを高める効果が期待できます。
 

解約率(チャーンレート)の改善

SaaSのカスタマーサクセスでは、オンボーディング(導入支援)、活用支援、契約更新フォロー、アップセル・クロスセル提案など、さまざまなアプローチで顧客満足度を高めていきます。

これにより解約率(チャーンレート)の改善が期待できます。

また、顧客の真の課題や目標を理解して適切にサポートするためには、カスタマーサポートや営業など他部署と連携し、多角的な支援をすることも必要です。
 

CPA(顧客創出単価)の負担軽減

CPA(顧客創出単価)は、1件の顧客創出にかかった費用を示す指標です。営業活動の新規開拓だけでは、見込み客の創出から取り組まなければならず、CPAが高くなる傾向があります。

カスタマーサクセスへ適切に取り組むことによって、既存顧客のLTVや解約率が改善されると、事業全体のCPAのバランスがとりやすくなり、コストやリソース面での負担軽減にもつながります。
 

SaaS企業におけるカスタマーサクセスの取り組み方

SaaS企業でカスタマーサクセスを導入する際には、SaaSの特性を理解したうえで取り組むことが大切です。ここでは、SaaS企業におけるカスタマーサクセスの取り組み方をご紹介します。

実際に企業がどういった取り組みをしているか、カスタマーサクセスの事例を知りたい方はこちらをご覧ください。

 

既存のフレームワークを活用する

自社のSaaS事業にそったカスタマーサクセスを一から構築するよりも、既存のフレームワークを活用する方が効率的に進められます。

KPI、ヘルススコア、タッチモデルなどの具体的なアクションを確認し、自社にあうものを積極的に取り入れると良いでしょう。

ただし、フレームワークはすべてのビジネスにそのまま適用できるわけではありません。ビジネスの特性にあわせてブラッシュアップしていく必要があることには留意しましょう。

カスタマーサクセスの立ち上げに役立つノウハウは、こちらで公開しています。

 

カスタマーサクセス専門の部署を立ち上げる

フレームワーク導入の次の段階として、カスタマーサクセス専門の部署を立ち上げることをおすすめします。特にSaaSビジネスでは、カスタマーサクセスがLTV、解約率、CPAなど重要な指標に影響を与えるため、専門の部署の必要性は高いといえます。

一般的に、顧客との接点となる営業部署が兼任することも多くありますが、カスタマーサクセスのステージに応じて専門の担当者や部署を設置することで精度が高まるでしょう。また、各部署の役割を分けることで、担当者の負担軽減につながり、コア業務に専念できます。
 

定期ミーティングを行い顧客を理解する

SaaSのカスタマーサクセスでは、顧客を深く理解することが重要です。企業理念やビジョン、企業風土まで考慮した顧客の成功を定義し、適切にサポートしていかなくてはなりません。

ここまで理解を深めてはじめて、顧客からの信頼獲得や継続利用へつながります。

顧客理解においては、営業担当者が一人で情報を保有しているだけでは根本的な解決につながりにくいでしょう。

営業、マーケティング、カスタマーサクセスの垣根を越えて、定期的にミーティングを実施し、チーム全体で顧客の情報を共有することで、多角的な支援が可能になります

具体的には、どういった問題が起きているか、課題解決に何が必要かといった点を検証し、チームで進めていく体制を整えましょう。その際に、多く発生している課題を明確にし、改善策をロードマップに組み込むことで、ノウハウの蓄積にもつながります。
 

優先順位を決めて取り組む

SaaSビジネスでカスタマーサクセスを導入する際は、自社の成長規模に応じて多角的に進める必要があります。

顧客対応に加えてカスタマーサクセス専門の部署の立ち上げなど、業務も多岐に渡るため、必要性の高いものや大きな効果をもたらすものなど、優先順位を決めて取り組むことで効率的に進められるはずです。

優先順位を決めた取り組みは成果につながりやすくなり、リソースも管理しやすくなるため、業務効率化も見込めます。
 

社内リソースの確保とツールを活用

カスタマーサクセス部署の立ち上げや、追加業務への対応には、リソースの確保が課題となるでしょう。

人員を増やして教育していくことは、即戦力に欠ける一方で、現状の人員のまま担当業務を増やす場合は、個々の負担が増えてしまいます。社内リソースを確保するためには、アウトソースできる業務を検討することも必要です。

また、安定した取り組みのために、ツールを活用するのも一つの方法です。

カスタマーサクセスを補助できるシステムを導入すれば、大量の顧客に対して、画一的な対応を少人数で行えるようになります。

顧客からの問い合わせやオンボーディング、ヘルススコア管理などフェーズにあったツールを選ぶことで、より最適な提案が可能になるでしょう。
 

カスタマーサクセスによる顧客満足度向上はSaaSビジネスの拡大に不可欠

顧客の選択行動の多様化が進むSaaS業界でビジネスを拡大させていくためには、いかに顧客に選ばれ利用し続けてもらうかが重要であり、顧客満足度を高めるカスタマーサクセスの取り組みが有効です。

ただし、カスタマーサクセスの本質は「顧客を成功に導くこと」であることは忘れないようにしましょう。

SaaSビジネスの収益化だけにフォーカスせず、自社の価値をどのように提供すれば顧客を成功へと導いていけるかを常に考え、実践していきましょう。

HubSpotではこの他にもマーケティングやセールスに役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。

 

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